有価証券報告書-第147期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 13:50
【資料】
PDFをみる
【項目】
142項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社グループでは、株主、投資家、顧客、従業員、取引先、債権者、地域社会等の全てのステークホルダーの皆様に価値を提供する企業として持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
当社グループは、当社のスポンサーグループであるスターアジアグループと業務提携契約を締結し、当社グループとスターアジアグループとが両者の強みを活かし協働し、人的・物的リソースを有効活用して持続的かつ安定的に成長することについて合意しております。
現在のホテル事業は、宿泊特化型ホテル『ベストウェスタン』及び『ココホテル』と中長期滞在型ホテル『バリュー・ザ・ホテル』の3ブランドを事業の中核に据えており、全国的な展開を行っております。当社グループにおいて運営するホテルでは、ハイリスク・ハイリターン型の長期固定賃料支払の賃貸借契約タイプの運営から、運営委託契約を中心とした”Fee-For-Service” (サービスの対価としてのフィー)モデルへの移行に注力しており、低単価・低稼働でも利益が捻出できる経営体質とすべく、既存店舗と近接するエリアへの出店による人的資源の共有化やエリア単位で一括して業務を外注する等、損益分岐点の引き下げを図ることで利益率の高いホテル運営を目指しております。
また、今後はこれまで行っておりましたホテル事業に加え、不動産事業として既存ホテルとは一線を画す競争力のあるホテル開発や、ホテル開発を通じて得られる情報によって、その延長線上で考えられる様々な不動産の開発にもチャレンジしてまいります。
加えて、当社では、未曽有のコロナ禍において、一時的にホテル物件の取引市場では買手がほぼ不在となっている状況で、投資収益率及び競争力の高いホテル物件を割安に購入できる機会が増えているため、今後、ホテル運営の受託とともに、ホテル物件の取得を推進し、ホテル物件の所有者でありホテル運営者であるオーナーオペレーターモデルへのシフトを行ってまいります。割安なホテル物件の取得や出資を通じて、ホテル需給環境の回復に伴い、ホテル運営による収益拡大のみならず、将来的な物件売却益の実現により、高い投資リターンを享受することが期待できます。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大及びその終息時期が当社グループの事業活動に与える影響につきまして、現時点で合理的に予測することが困難な状況ではありますが、株主価値の最大化を図るため中長期的な最低目標として自己資本利益率(ROE)15%を目指しております。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、2021年3月期におきまして、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は更に深刻化し、日本政府による2度の緊急事態宣言の発令や世界各国の主要都市で行われたロックダウンなどの影響により世界経済は停滞し、特に宿泊業においては、観光庁が公表している宿泊旅行統計調査によると、2020年において日本人延べ宿泊者数が前年対比40.3%減、外国人延べ宿泊者数が前年対比84.4%減と大きな打撃を受け、当社グループにおきましても売上高は、前期比45.5%減少いたしました。2022年3月期におきましても、同感染症の感染拡大が、当社グループの事業活動に与える影響につきまして、現時点で合理的に予測することが困難な状況でありますが、2022年3月期以降も一定期間にわたり影響が継続するものと考えております。
一方で新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりホテル物件の収益予測が困難となったことで、ホテル専業の上場不動産投資信託(REIT)の投資口価格が低迷を続けているため、最大のホテル物件購入者であるREITによる購入が足元では停滞し、一時的にホテル物件の取引市場では買手がほぼ不在の状況となり、ホテル物件の取引価格が低迷しており、投資収益率及び競争力の高いホテル物件を割安に購入できる機会が増えていると考えております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、株主、投資家、顧客、従業員、取引先、債権者、地域社会等の全てのステークホルダーの皆様に価値を提供する企業として持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、下記の事項の課題を認識し対処してまいります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界規模で深刻化する以前の前連結会計年度第3四半期時点において、当社グループでは、営業利益149百万円、経常利益60百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益166百万円を計上しておりましたが、同感染症の感染拡大以降、各国政府による渡航制限や日本政府による緊急事態宣言に伴う外出自粛要請を主要因とする訪日外国人旅行客及び国内利用客の大幅な減少に起因し、運営ホテルの稼働率及び客室単価が大幅に低下したことや運営するホテルの一部を休館したことなどによりホテル事業において大幅な減収となりました。この結果、当社グループでは当連結会計年度におきまして、親会社株主に帰属する当期純損失△2,101百万円を計上し、当連結会計年度末時点において△784百万円の債務超過となっております。
当社グループでは、翌連結会計年度において同感染症の感染拡大が、当社グループの事業活動に与える影響につきまして、現時点で合理的に予測することが困難な状況ではありますが、コロナ禍において業績を改善させること、アフターコロナに向けて収益の拡大に取り組むこと、債務超過を解消することが当社グループとして対処すべき課題であると認識しております。
コロナ禍において業績を改善させるため、当社グループでは、航空会社との販売に関するタイアップ等の新規販売チャネルの開拓、新規顧客向けベネフィットプログラムへの参画、コロナ禍における社会情勢の変化に対応した医療従事者向けプランやテレワーク向け等の販売プランの造成及び推進、レストラン部門の外注化及び法人契約の拡大等、売上増加に向けた各種施策を実施することで売上の改善に取り組んでまいります。また、ホテル建物オーナーとの賃借料の削減交渉、人件費の削減、運営するホテルの一部を休館するなどの経費削減、雇用調整助成金等の活用に取り組んでおり、翌連結会計年度におきましても、役員報酬の減額、本社経費の削減、ホテル運営の効率化、不採算ホテルの営業中止、休館などを中心に引き続きコスト管理を徹底してまいります。
アフターコロナに向けて収益の拡大を図るため、当社グループでは、未曽有のコロナ禍において、一時的にホテル物件の取引市場では買手がほぼ不在となっている状況で、投資収益率及び競争力の高いホテル物件を割安に購入できる機会が増えているため、今後、ホテル運営の受託とともに、ホテル物件の取得を推進し、ホテル物件の所有者でありホテル運営者であるオーナーオペレーターモデルへのシフトを行ってまいります。割安ホテル物件への出資により、ホテル需給環境の回復に伴い、ホテル運営による収益拡大及び将来的な売却益の実現による高い投資リターンを享受することが期待できます。
債務超過を解消するため、当社グループでは、上記の施策を実施するとともに、資本増強に向けた対応策を積極的に進めてまいります。当社では、2020年7月30日に1,500百万円の転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権を発行しております。転換社債型新株予約権付社債につきましては、当連結会計年度末までに600百万円の転換請求を受けており、残りの900百万円について転換請求があった場合、純資産が同額増加いたします。新株予約権につきましては、未行使の新株予約権が全て行使された場合は純資産が1,442百万円増加いたします。
不動産事業につきましては、保有物件の売却等を進めるとともに、売却等の過程で得られる有益な情報に基づくフィービジネスの獲得を目指します。また、新型コロナウイルス感染症の影響により変化するホテル業界に対して、不動産事業の観点から開発やリノベーションの検討を行ってまいります。