訂正有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況及び経営者の視点による分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計方針に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計上の見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社の連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。
(a)固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれんを含む無形固定資産等について、資産又は資産グループの減損の兆候の有無を判定しています。資産又は資産グループが減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産又は資産グループの回収可能価額の見積りを行っています。資産又は資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産又は資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回るものについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該損失を減損損失として認識しています。使用価値の算定にあたっては、資産又は資産グループの経済的残存使用年数や将来キャッシュ・フロー、割引率等について、一定の仮定に基づいています。当社グループは、これらの仮定は経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、将来の事業計画や経済条件等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の連結財務諸表において認識する金額に影響を与える可能性があります。
(b)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来減算一時差異、繰越欠損金及び未使用の繰越税額控除について、それらに係る税金の額から将来の会計期間において回収が見込まれない税金の額を控除して繰延税金資産を計上しています。この計上は、経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、将来の事業計画等状況の変化や関連法令の改正・公布によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の連結財務諸表において認識する金額に影響を与える可能性があります。
(c)退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産の額を控除した額を計上しています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上の仮定に基づいて算出しています。この仮定には割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれています。当社グループは、これらの仮定は経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、経済状況の変化による割引率や死亡率等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期を含む仮定に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
②経営成績に関する説明
当社グループは、2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画において、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じ、連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指しています。
このような基本方針のもと、国内事業では、需要の構造的な変化に対応すべく、生産体制の再構築を行うことで資本の効率化を進める一方、有望事業には経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力の強化に取り組みました。また、海外事業では、海外拠点数の拡大に加え、既存のインフラを活用した新事業の展開等、既存拠点からの有機的拡大を図るとともに、事業・拠点間のシナジー創出を進めました。
当連結会計年度の売上高は、国内事業では価格の修正効果等がありましたが、海外事業でパルプ市況の軟化影響等があり、前期を434億円(△2.8%)下回る15,076億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は、前期を2.1ポイント下回る29.9%となりました。
営業利益は、国内事業では増益だったものの、海外事業は減益となり、前期を41億円(△3.7%)下回る1,061億円となりました。
営業外損益は、持分法による投資利益の減少等により、前期に対し130億円の減益となり、経常利益は前期を171億円(△14.4%)下回る1,013億円となりました。
特別損益は、減損損失の減少等により、前期に対し244億円の増益となり、税金等調整前当期純利益は前期を73億円
(+8.1%)上回る981億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を62億円(+11.9%)上回る582億円となりました。
なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は内外経済を下振れさせており、当社グループにつきましても、国内外で印刷用紙を中心に足元で需要が落ち込んでいます。今後は緩やかに回復するものと思われますが、引続き、グループ経営戦略に沿った諸施策を着実に推し進め、収益力の強化、中長期的な企業価値向上に努めてまいります。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、経済的特徴、製品の製造方法又は製造過程、製品を販売する市場又は顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、「生活産業資材」、「機能材」、「資源環境ビジネス」、「印刷情報メディア」の4つとしています。報告セグメントに含まれない事業セグメントは、「その他」としています。
各セグメントの主要な事業内容は以下のとおりです。
生活産業資材・・・・・ 段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業、家庭紙事業、紙おむつ事業
機能材・・・・・・・・ 特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業
資源環境ビジネス・・・ パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業
印刷情報メディア・・・ 新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業
その他・・・・・・・・ 不動産事業、エンジニアリング、商事、物流 他
○生活産業資材
当連結会計年度の売上高は、前期比0.7%増収の6,861億円、営業利益は、製品の価格修正効果により、同82.7%増益の409億円となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボールは食品・通販向け等が堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。白板紙は国内・輸出販売共に販売量が前年に対し減少しました。包装用紙は、国内販売は自動車用や輸出関連製品の需要減により、販売量が前年に対して減少しました。輸出販売は前年に対し減少しました。紙おむつは、子供用おむつは国内販売が減少しましたが、輸出販売は販売量が前年に対し増加しました。大人用おむつは、販売量が前年に対し減少しました。家庭紙は王子製紙株式会社春日井工場の火災による操業停止等の影響により、販売量が前年に対し減少しましたが、売上高は価格修正効果により前年に対し増加しました。
海外事業では、段ボール原紙は、東南アジアにおいて販売量が前年に対し増加しましたが、売上高は市況軟化の影響により減少しました。オセアニアでは販売量が前年に対し減少しました。段ボールは、東南アジアでは飲料・加工食品関連を中心に堅調に推移しました。オセアニアでは販売量が前年に対しほぼ横ばいでした。紙おむつは、中国ではWhitoの拡販及びECサイトでの販売好調、マレーシアでは自社ブランド品の浸透、インドネシアでは拡販の継続により、それぞれ販売量が前年に対し大幅に増加しました。
連結売上高: 6,861億円(前期比 0.7%増収)
連結営業利益: 409億円(前期比 82.7%増益)
○機能材
当連結会計年度の売上高は、前期比4.2%減収の2,147億円、営業利益は一部製品の減販影響等により、同16.4%減益の154億円となりました。
国内事業では、特殊紙の国内販売は新製品開発・新規顧客開拓を進めましたが、電子・工業部門向け等が低調に推移し、販売量が前年に対し減少しました。輸出販売は、中国・韓国経済の減速影響等により、販売量が前年に対し減少しました。感熱紙は、堅調に推移し販売量が前年に対し増加しました。
海外事業では、感熱紙は、欧州・東南アジアにおいて販売量が前年に対し減少しましたが、北米・南米では販売量が前年に対し増加しました。
連結売上高: 2,147億円(前期比 4.2%減収)
連結営業利益: 154億円(前期比 16.4%減益)
○資源環境ビジネス
当連結会計年度の売上高は、前期比12.5%減収の2,856億円、営業利益はパルプ市況軟化の影響等により、同55.4%減益の288億円となりました。
国内事業では、パルプ事業は販売量が前年並みでした。エネルギー事業は青森県八戸市においてエム・ピー・エム・王子エコエネルギー株式会社がバイオマス発電設備を稼働したことにより、売電量が前年に対し増加しました。
海外事業では、パルプ事業は販売量が前年に対し増加しましたが、売上高は市況軟化の影響等により減少しました。
連結売上高: 2,856億円(前期比 12.5%減収)
連結営業利益: 288億円(前期比 55.4%減益)
○印刷情報メディア
当連結会計年度の売上高は、前期比3.4%減収の2,927億円、営業利益は製品の価格修正効果等により、同161億円増益の113億円となりました。
国内事業では、新聞用紙は発行部数減及び頁数減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。印刷・情報用紙は需要減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司が印刷用紙の販売量を伸ばしましたが、売上高は市況軟化の影響等により減少しました。
連結売上高: 2,927億円(前期比 3.4%減収)
連結営業利益: 113億円(前期は48億円の連結営業損失)
○その他
当連結会計年度は、売上高はエンジニアリング事業及び不動産事業の減収により前期比1.6%減収の2,894億円、営業利益は、同8.8%減益の90億円となりました。
連結売上高: 2,894億円(前期比 1.6%減収)
連結営業利益: 90億円(前期比 8.8%減益)
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
(注)1.生産高は自家使用分を含めて記載しています。
2.金額は販売価格によるものであり、消費税及び地方消費税を含みません。
(b)受注実績
当社グループは、エンジニアリング等一部の事業で受注生産を行っていますが、その割合が僅少であるため、記載を省略しています。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税及び地方消費税を含みません。
④財政状態
当社グループは、2019年度から2021年度を最終年度とする中期経営計画に取り組んでおり、2021年度の経営数値目標の達成に向けて、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」を積極的に実施するとともに、政策保有株式の売却等を進めて有利子負債を圧縮し、財務基盤の強化を進めています。その結果、当期の純有利子負債残高(有利子負債-現金及び現金同等物等)は4,973億円となり、前連結会計年度末に対して376億円減少し、ネットD/Eレシオ(純有利子負債残高/純資産残高)は0.6倍、ROEは8.5%となりました。引き続き、中期経営計画の各戦略を着実に遂行し、経営数値目標の達成を目指していきます。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に対して661億円減少し、18,853億円となりました。流動資産は、前連結会計年度末が金融機関の休日だった影響等による受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に対して330億円減少し、固定資産は、有形固定資産の取得、及び当社グループのIFRS適用会社がIFRS第16号「リース」の適用によって使用権資産を認識した影響等により増加しましたが、投資有価証券の売却、及び有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に対して331億円減少しました。なお、有形固定資産の取得は、セグメント別には、生活産業資材ではGS Paperboard & Packing Sdn.Bhd.の段ボール原紙マシンの増設等により増加し、また、資源環境ビジネスでは王子グリーンエナジー徳島株式会社のバイオマス発電設備設置等により増加しました。
負債は、IFRS第16号「リース」の適用によってリース負債を認識した影響による増加がありましたが、前連結会計年度末が金融機関の休日だった影響等による支払手形及び買掛金の減少、及び有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に対して823億円減少し、10,536億円となりました。
純資産は、円高による為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金が減少しましたが、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に対して163億円増加し、8,317億円となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況
当社グループでは、市場が縮小している新聞・印刷情報用紙事業では、生産体制再構築等によってコスト削減を徹底し、キャッシュ・フローの確保を図る一方、需要の伸びが期待できる国内事業や海外の経済発展が見込まれる地域へ投資を行い、ポートフォリオの拡充を図っています。
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費を加えたキャッシュ・インが1,615億円(前連結会計年度は1,603億円)となり、法人税等の支払い等を含めた合計は、前連結会計年度に対して161億円収入が減少し、1,245億円の収入(前連結会計年度は1,406億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が増加しましたが、投資有価証券の売却による収入の増加等により、前連結会計年度に対して18億円支出が減少し、648億円の支出(前連結会計年度は666億円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローの支出の主な内容は、既存分野における設備維持・更新、品質改善、生産性向上、安全及び環境のために必要な投資の他、中期経営戦略に掲げている成長戦略投資である王子グリーンエナジー徳島株式会社のバイオマス発電設備設置、GS Paperboard & Packaging Sdn.Bhd.の段ボール原紙マシン増設等に関する支出によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除したフリー・キャッシュ・フローは主として有利子負債の圧縮、配当金の支払い等に充当し、その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは581億円の支出(前連結会計年度は455億円の支出)となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に対して4億円減少し、824億円となりました。
⑥資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)資金需要の主な内容
当社グループの営業活動に関する資金需要は、生産・販売活動のために必要な運転資金(製品製造のための原燃料の購入・製造費や人件費、製品の輸送・保管費等)や研究開発費等が主な内容です。投資活動に関する資金需要は、経営戦略の遂行に必要な投資や品質改善・省力化・生産性向上・安全・環境のために必要な設備投資等が主な内容です。
今後も海外事業や有望な事業等の成長分野に対しては、M&Aや設備投資、研究開発投資等を積極的に行っていく予定であり、所要資金の調達については、自己資金と外部調達との最適なバランスを検討し実施していきます。
(b)財務政策
営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローは配当及び投資資金に充当し、有利子負債残高を適正水準に保ちながら、不足資金については借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等による資金調達を行い、余剰資金については有利子負債の削減に充当します。
なお、長期借入金や社債等の長期資金については、中期経営計画に基づく資金需要見通しや金利動向等の調達環境、既存の借入金や社債償還時期等を総合的に勘案の上、調達規模、調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
当社は、主要連結子会社との間でグループファイナンスを行い、資金の一元管理を行うことにより、運転資金の効率的な運用を図っています。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響に備えて、従来から締結している取引銀行との貸出コミットメントライン契約に加え、現預金残高の積み上げにより一定程度の手許流動性を確保しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計方針に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計上の見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社の連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。
(a)固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれんを含む無形固定資産等について、資産又は資産グループの減損の兆候の有無を判定しています。資産又は資産グループが減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産又は資産グループの回収可能価額の見積りを行っています。資産又は資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産又は資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回るものについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該損失を減損損失として認識しています。使用価値の算定にあたっては、資産又は資産グループの経済的残存使用年数や将来キャッシュ・フロー、割引率等について、一定の仮定に基づいています。当社グループは、これらの仮定は経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、将来の事業計画や経済条件等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の連結財務諸表において認識する金額に影響を与える可能性があります。
(b)繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来減算一時差異、繰越欠損金及び未使用の繰越税額控除について、それらに係る税金の額から将来の会計期間において回収が見込まれない税金の額を控除して繰延税金資産を計上しています。この計上は、経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、将来の事業計画等状況の変化や関連法令の改正・公布によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の連結財務諸表において認識する金額に影響を与える可能性があります。
(c)退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における見込額に基づき、退職給付債務から年金資産の額を控除した額を計上しています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上の仮定に基づいて算出しています。この仮定には割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれています。当社グループは、これらの仮定は経営者の最善の見積りと判断により決定しており適切であると考えていますが、経済状況の変化による割引率や死亡率等の変化によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、将来の退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期を含む仮定に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1) 連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
②経営成績に関する説明
当社グループは、2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画において、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じ、連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指しています。
このような基本方針のもと、国内事業では、需要の構造的な変化に対応すべく、生産体制の再構築を行うことで資本の効率化を進める一方、有望事業には経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力の強化に取り組みました。また、海外事業では、海外拠点数の拡大に加え、既存のインフラを活用した新事業の展開等、既存拠点からの有機的拡大を図るとともに、事業・拠点間のシナジー創出を進めました。
当連結会計年度の売上高は、国内事業では価格の修正効果等がありましたが、海外事業でパルプ市況の軟化影響等があり、前期を434億円(△2.8%)下回る15,076億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は、前期を2.1ポイント下回る29.9%となりました。
営業利益は、国内事業では増益だったものの、海外事業は減益となり、前期を41億円(△3.7%)下回る1,061億円となりました。
営業外損益は、持分法による投資利益の減少等により、前期に対し130億円の減益となり、経常利益は前期を171億円(△14.4%)下回る1,013億円となりました。
特別損益は、減損損失の減少等により、前期に対し244億円の増益となり、税金等調整前当期純利益は前期を73億円
(+8.1%)上回る981億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を62億円(+11.9%)上回る582億円となりました。
なお、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は内外経済を下振れさせており、当社グループにつきましても、国内外で印刷用紙を中心に足元で需要が落ち込んでいます。今後は緩やかに回復するものと思われますが、引続き、グループ経営戦略に沿った諸施策を着実に推し進め、収益力の強化、中長期的な企業価値向上に努めてまいります。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、経済的特徴、製品の製造方法又は製造過程、製品を販売する市場又は顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、「生活産業資材」、「機能材」、「資源環境ビジネス」、「印刷情報メディア」の4つとしています。報告セグメントに含まれない事業セグメントは、「その他」としています。
各セグメントの主要な事業内容は以下のとおりです。
生活産業資材・・・・・ 段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業、家庭紙事業、紙おむつ事業
機能材・・・・・・・・ 特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業
資源環境ビジネス・・・ パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業
印刷情報メディア・・・ 新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業
その他・・・・・・・・ 不動産事業、エンジニアリング、商事、物流 他
○生活産業資材
当連結会計年度の売上高は、前期比0.7%増収の6,861億円、営業利益は、製品の価格修正効果により、同82.7%増益の409億円となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボールは食品・通販向け等が堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。白板紙は国内・輸出販売共に販売量が前年に対し減少しました。包装用紙は、国内販売は自動車用や輸出関連製品の需要減により、販売量が前年に対して減少しました。輸出販売は前年に対し減少しました。紙おむつは、子供用おむつは国内販売が減少しましたが、輸出販売は販売量が前年に対し増加しました。大人用おむつは、販売量が前年に対し減少しました。家庭紙は王子製紙株式会社春日井工場の火災による操業停止等の影響により、販売量が前年に対し減少しましたが、売上高は価格修正効果により前年に対し増加しました。
海外事業では、段ボール原紙は、東南アジアにおいて販売量が前年に対し増加しましたが、売上高は市況軟化の影響により減少しました。オセアニアでは販売量が前年に対し減少しました。段ボールは、東南アジアでは飲料・加工食品関連を中心に堅調に推移しました。オセアニアでは販売量が前年に対しほぼ横ばいでした。紙おむつは、中国ではWhitoの拡販及びECサイトでの販売好調、マレーシアでは自社ブランド品の浸透、インドネシアでは拡販の継続により、それぞれ販売量が前年に対し大幅に増加しました。
連結売上高: 6,861億円(前期比 0.7%増収)
連結営業利益: 409億円(前期比 82.7%増益)
○機能材
当連結会計年度の売上高は、前期比4.2%減収の2,147億円、営業利益は一部製品の減販影響等により、同16.4%減益の154億円となりました。
国内事業では、特殊紙の国内販売は新製品開発・新規顧客開拓を進めましたが、電子・工業部門向け等が低調に推移し、販売量が前年に対し減少しました。輸出販売は、中国・韓国経済の減速影響等により、販売量が前年に対し減少しました。感熱紙は、堅調に推移し販売量が前年に対し増加しました。
海外事業では、感熱紙は、欧州・東南アジアにおいて販売量が前年に対し減少しましたが、北米・南米では販売量が前年に対し増加しました。
連結売上高: 2,147億円(前期比 4.2%減収)
連結営業利益: 154億円(前期比 16.4%減益)
○資源環境ビジネス
当連結会計年度の売上高は、前期比12.5%減収の2,856億円、営業利益はパルプ市況軟化の影響等により、同55.4%減益の288億円となりました。
国内事業では、パルプ事業は販売量が前年並みでした。エネルギー事業は青森県八戸市においてエム・ピー・エム・王子エコエネルギー株式会社がバイオマス発電設備を稼働したことにより、売電量が前年に対し増加しました。
海外事業では、パルプ事業は販売量が前年に対し増加しましたが、売上高は市況軟化の影響等により減少しました。
連結売上高: 2,856億円(前期比 12.5%減収)
連結営業利益: 288億円(前期比 55.4%減益)
○印刷情報メディア
当連結会計年度の売上高は、前期比3.4%減収の2,927億円、営業利益は製品の価格修正効果等により、同161億円増益の113億円となりました。
国内事業では、新聞用紙は発行部数減及び頁数減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。印刷・情報用紙は需要減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司が印刷用紙の販売量を伸ばしましたが、売上高は市況軟化の影響等により減少しました。
連結売上高: 2,927億円(前期比 3.4%減収)
連結営業利益: 113億円(前期は48億円の連結営業損失)
○その他
当連結会計年度は、売上高はエンジニアリング事業及び不動産事業の減収により前期比1.6%減収の2,894億円、営業利益は、同8.8%減益の90億円となりました。
連結売上高: 2,894億円(前期比 1.6%減収)
連結営業利益: 90億円(前期比 8.8%減益)
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 生活産業資材 | 728,617 | 0.5 |
| 機能材 | 200,278 | △4.7 |
| 資源環境ビジネス | 210,029 | △13.1 |
| 印刷情報メディア | 269,358 | △6.6 |
| 報告セグメント計 | 1,408,283 | △3.9 |
| その他 | 9,051 | 2.3 |
| 計 | 1,417,335 | △3.8 |
(注)1.生産高は自家使用分を含めて記載しています。
2.金額は販売価格によるものであり、消費税及び地方消費税を含みません。
(b)受注実績
当社グループは、エンジニアリング等一部の事業で受注生産を行っていますが、その割合が僅少であるため、記載を省略しています。
(c)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 生活産業資材 | 631,606 | 0.6 |
| 機能材 | 200,709 | △4.1 |
| 資源環境ビジネス | 239,667 | △11.5 |
| 印刷情報メディア | 251,837 | △2.2 |
| 報告セグメント計 | 1,323,820 | △3.0 |
| その他 | 183,787 | △1.0 |
| 計 | 1,507,607 | △2.8 |
(注)1.セグメント間取引については相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税及び地方消費税を含みません。
④財政状態
当社グループは、2019年度から2021年度を最終年度とする中期経営計画に取り組んでおり、2021年度の経営数値目標の達成に向けて、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」を積極的に実施するとともに、政策保有株式の売却等を進めて有利子負債を圧縮し、財務基盤の強化を進めています。その結果、当期の純有利子負債残高(有利子負債-現金及び現金同等物等)は4,973億円となり、前連結会計年度末に対して376億円減少し、ネットD/Eレシオ(純有利子負債残高/純資産残高)は0.6倍、ROEは8.5%となりました。引き続き、中期経営計画の各戦略を着実に遂行し、経営数値目標の達成を目指していきます。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に対して661億円減少し、18,853億円となりました。流動資産は、前連結会計年度末が金融機関の休日だった影響等による受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に対して330億円減少し、固定資産は、有形固定資産の取得、及び当社グループのIFRS適用会社がIFRS第16号「リース」の適用によって使用権資産を認識した影響等により増加しましたが、投資有価証券の売却、及び有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末に対して331億円減少しました。なお、有形固定資産の取得は、セグメント別には、生活産業資材ではGS Paperboard & Packing Sdn.Bhd.の段ボール原紙マシンの増設等により増加し、また、資源環境ビジネスでは王子グリーンエナジー徳島株式会社のバイオマス発電設備設置等により増加しました。
負債は、IFRS第16号「リース」の適用によってリース負債を認識した影響による増加がありましたが、前連結会計年度末が金融機関の休日だった影響等による支払手形及び買掛金の減少、及び有利子負債の減少等により、前連結会計年度末に対して823億円減少し、10,536億円となりました。
純資産は、円高による為替換算調整勘定やその他有価証券評価差額金が減少しましたが、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に対して163億円増加し、8,317億円となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況
当社グループでは、市場が縮小している新聞・印刷情報用紙事業では、生産体制再構築等によってコスト削減を徹底し、キャッシュ・フローの確保を図る一方、需要の伸びが期待できる国内事業や海外の経済発展が見込まれる地域へ投資を行い、ポートフォリオの拡充を図っています。
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に減価償却費を加えたキャッシュ・インが1,615億円(前連結会計年度は1,603億円)となり、法人税等の支払い等を含めた合計は、前連結会計年度に対して161億円収入が減少し、1,245億円の収入(前連結会計年度は1,406億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が増加しましたが、投資有価証券の売却による収入の増加等により、前連結会計年度に対して18億円支出が減少し、648億円の支出(前連結会計年度は666億円の支出)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローの支出の主な内容は、既存分野における設備維持・更新、品質改善、生産性向上、安全及び環境のために必要な投資の他、中期経営戦略に掲げている成長戦略投資である王子グリーンエナジー徳島株式会社のバイオマス発電設備設置、GS Paperboard & Packaging Sdn.Bhd.の段ボール原紙マシン増設等に関する支出によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除したフリー・キャッシュ・フローは主として有利子負債の圧縮、配当金の支払い等に充当し、その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは581億円の支出(前連結会計年度は455億円の支出)となりました。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に対して4億円減少し、824億円となりました。
⑥資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)資金需要の主な内容
当社グループの営業活動に関する資金需要は、生産・販売活動のために必要な運転資金(製品製造のための原燃料の購入・製造費や人件費、製品の輸送・保管費等)や研究開発費等が主な内容です。投資活動に関する資金需要は、経営戦略の遂行に必要な投資や品質改善・省力化・生産性向上・安全・環境のために必要な設備投資等が主な内容です。
今後も海外事業や有望な事業等の成長分野に対しては、M&Aや設備投資、研究開発投資等を積極的に行っていく予定であり、所要資金の調達については、自己資金と外部調達との最適なバランスを検討し実施していきます。
(b)財務政策
営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローは配当及び投資資金に充当し、有利子負債残高を適正水準に保ちながら、不足資金については借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等による資金調達を行い、余剰資金については有利子負債の削減に充当します。
なお、長期借入金や社債等の長期資金については、中期経営計画に基づく資金需要見通しや金利動向等の調達環境、既存の借入金や社債償還時期等を総合的に勘案の上、調達規模、調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
当社は、主要連結子会社との間でグループファイナンスを行い、資金の一元管理を行うことにより、運転資金の効率的な運用を図っています。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響に備えて、従来から締結している取引銀行との貸出コミットメントライン契約に加え、現預金残高の積み上げにより一定程度の手許流動性を確保しています。