四半期報告書-第98期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

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2021/08/06 14:09
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績に関する説明
当社グループは、2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画において、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じ、連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指しています。
このような基本方針のもと、国内事業では、需要の構造的な変化に対応すべく、生産体制の再構築を行うことで資本の効率化を進める一方、有望事業には経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力の強化に取り組んでいます。また、海外事業では、海外拠点数の拡大に加え、既存のインフラを活用した新事業の展開等、既存拠点からの有機的拡大を図るとともに、事業・拠点間のシナジー創出を進めています。イノベーションの推進では、環境・社会ニーズに対応した新事業・新製品の開発推進と早期事業化を図り、「持続可能な社会への貢献」を進めています。
新型コロナウイルスの感染拡大により経営環境が大きく変化し、消費構造やライフスタイル・働き方の多様化など、多くのチャンスとリスクが拡大することが想定されます。引き続き、「中期経営計画」のグループ経営戦略の基本方針に基づいた企業価値向上施策を着実に実行するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた事業構造改革等を迅速かつ適切に行っていきます。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大により停滞した経済活動の再開が進むにつれ、緩やかに需要が回復しつつあることに加え、パルプの販売価格の上昇を受け、前年同四半期を209億円(6.5%)上回る3,427億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は、前年同四半期を3.7ポイント上回る32.4%となりました。
営業利益は、各セグメントともに増益となり、前年同四半期を171億円(155.4%)上回る281億円となりました。経常利益は、営業利益の増加に加え為替差益の発生等により、前年同四半期を286億円(482.6%)上回る346億円となり、税金等調整前四半期純利益は、前年同四半期を273億円(411.9%)上回る339億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同四半期を185億円(860.0%)上回る206億円となりました。
なお、当第1四半期連結会計期間の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、経済的特徴、製品の製造方法又は製造過程、製品を販売する市場又は顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、「生活産業資材」、「機能材」、「資源環境ビジネス」、「印刷情報メディア」の4つとしています。報告セグメントに含まれない事業セグメントは、「その他」としています。
各セグメントの主要な事業内容は以下のとおりです。
生活産業資材・・・・・ 段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業、家庭紙事業、紙おむつ事業
機能材・・・・・・・・ 特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業
資源環境ビジネス・・・ パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業
印刷情報メディア・・・ 新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業
その他・・・・・・・・ 不動産事業、エンジニアリング、商事、物流 他
なお、当第1四半期連結会計期間の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、事業セグメントの利益又は損失の算定方法を同様に変更しています。
当該変更により、従来の方法に比べて、当第1四半期連結累計期間の「生活産業資材」の売上高は6億円減少、「機能材」の売上高は34億円減少、「資源環境ビジネス」の売上高は1億円減少、「印刷情報メディア」の売上高は68億円減少、「その他」の売上高は20億円減少しています。なお、各セグメント利益又は損失に与える影響は軽微です。
〈生活産業資材〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比9.9%増収の1,673億円、営業利益は同61.4%増益の86億円となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボールの国内販売は、全体的な需要回復がみられることに加え、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛等から通販向けが引き続き堅調なこと等により、販売量が前年に対し増加しました。白板紙の国内販売は、前年には同感染拡大防止のためのイベント中止や外出自粛によって減少した土産物及び贈答関係の需要が回復しつつあり、販売量が前年に対し増加しました。輸出販売は、前年に対し増加しました。包装用紙の国内販売は、同感染拡大防止のための外出自粛や経済活動の制限等による需要減は継続しているものの、自動車産業等の経済活動の復調により、販売量が前年に対し増加しました。輸出販売は、前年に対し増加しました。紙おむつは、子供用おむつの国内販売量は前年に対し減少しましたが、輸出販売量は前年並みでした。大人用おむつの販売量は、前年に対し減少しました。家庭紙の販売量は、前年並みでした。
海外事業では、東南アジアにおいて、段ボール原紙は、顧客である加工会社の旺盛な需要により、販売量及び売上高ともに前年に対し増加し、段ボールは、昨年末から続く好調な販売及び値上げの浸透等により、販売量及び売上高ともに前年に対し増加しました。紙おむつは、マレーシアでは同感染拡大に伴う大手小売店での販売不調のため、販売量が前年に対し減少しましたが、インドネシアではコンビニエンスストアでの拡販継続により、販売量が前年に対し大幅に増加しました。オセアニアでは、段ボール原紙は、コンテナ不足による海上輸送スケジュールの乱れもあり、輸出向けの販売量が前年に対し減少しました。段ボールは、ニュージーランド、オーストラリア共に販売量が前年に対し増加しました。
〈機能材〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比7.2%減収の451億円、営業利益は同2.2%増益の34億円となりました。
国内事業では、同感染拡大に伴う訪日観光客やイベントの減少による乗車券や高級パッケージの需要の減少は続いていますが、電動車(電気、ハイブリッド、プラグインハイブリッド及び燃料電池)向けのコンデンサフィルムやスマートフォン製造工程用のセパレートフィルム及び電子部材用の工程紙が堅調に推移したことにより、全体としては販売量、売上高ともに前年に対し増加しました。感熱紙の販売量は前年並みでしたが、売上高は高価格の医療向け用途の需要が減少し、前年に対し減少しました。
海外事業では、東南アジアでは販売量が前年に対し増加、南米では前年並みとなりましたが、欧州では前年に顧客の在庫積み増しの動きが顕著だったため、前年に対し減少しました。
〈資源環境ビジネス〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比14.3%増収の668億円、営業利益は同666.9%増益の97億円となりました。
国内事業では、パルプ事業は、主に溶解パルプの中国向け輸出が、同感染拡大に伴う経済活動停滞から回復したことにより、販売量が前年に対し増加しました。エネルギー事業は、エム・ピー・エム・王子エコエネルギー株式会社の設備の定期点検に伴い停止した影響により、売電量が前年に対し減少しました。
海外事業では、パルプ事業は、販売量は前年に対し減少しましたが、パルプ販売価格の上昇を受けて売上高は前年に対し増加しました。木材事業は、販売量が前年に対し増加しました。
〈印刷情報メディア〉
当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期比2.8%増収の578億円、営業利益は同58億円増益の48億円となりました。
国内事業では、新聞用紙は、需要の減少傾向が継続していますが、他社の被災に伴い不足した業界全体の供給量を一部補ったこともあり、販売量が前年に対し僅かに増加しました。印刷用紙は、前年の同感染拡大に伴う経済活動停滞の反動から、販売量が前年に対し増加しました。印刷用紙の用途別では、出版用途においては、女性誌、旅行誌、スポーツ誌等の定期誌の発行部数減少等により、販売量が前年に対し減少しました。商業印刷用途においては、前年のイベント自粛等によるカタログ、ポスター、チラシ等の需要減少が大きく、販売量が前年に対し増加しました。情報用紙は、前年のテレワークの普及によるオフィスでの需要減少が大きく、販売量が前年に対し増加しました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司において、中国国内での同感染状況が収束傾向となり、経済活動が回復し始めたことから、販売量が前年に対し増加しました。
② 財政状態に関する説明
当第1四半期連結累計期間は、新型コロナウイルスの感染拡大により停滞した経済活動の再開が進むにつれ、緩やかに需要が回復しつつあることに加え、年初における海外でのパルプの販売価格の上昇や円安外貨高による為替差益の発生等もあり、当社グループの業績は前年同四半期に対し大幅な増収増益となりました。このような中、将来の成長のために重要な戦略を着実に進めており、2021年5月にはCelulose Nipo-Brasileira(セニブラ)社の親会社である日伯紙パルプ資源開発株式会社が非支配株主の保有する株式を自己株式として取得しました。この取得にあたっての必要資金は、外部からの調達と手許現預金により充当しました。この結果、当第1四半期末の純有利子負債残高(有利子負債-現金及び現金同等物等)は前連結会計年度末に対し925億円増加し、6,039億円となり、ネットD/Eレシオ(純有利子負債残高/純資産残高)は0.7倍となりました。また、前連結会計年度末に対して現預金残高は減少しましたが、同感染拡大等に備え、資金面のリスク対応として手許流動性は引き続き確保しています。
当第1四半期末の総資産は現金及び預金等が減少しましたが、有形固定資産、棚卸資産、及び受取手形、売掛金及び契約資産等の増加により前連結会計年度末に対して298億円増加し、20,112億円となりました。負債は有利子負債等の増加により前連結会計年度末に対して684億円増加し、11,842億円となりました。純資産は利益剰余金及び為替換算調整勘定等が増加しましたが、非支配株主持分等の減少により前連結会計年度末に対して386億円減少し、8,270億円となりました。
なお、当第1四半期連結会計期間の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しています。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。
(2)経営方針・経営戦略等
当社グループは、「革新的価値の創造」、「未来と世界への貢献」、「環境・社会との共生」を経営理念とし、「領域をこえ 未来へ」向かって、中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。
これらの経営理念の下、「森のリサイクル」、「水のリサイクル」、「紙のリサイクル」という、バリューチェーンを通じた3つの資源循環を引き続き推進し、事業を通じて社会に対し価値を提供していくことで、真に豊かな社会の実現に貢献していきます。また、企業存続の根幹である「安全・環境・コンプライアンス」を経営の最優先・最重要課題と位置づけ、労働災害リスク撲滅、環境事故防止、企業としての社会的責任を果たすための法令遵守等、全役員・全従業員に確実に浸透させる取り組みを続けていきます。
現在取り組んでいる2019年度から2021年度を対象とする中期経営計画では、「国内事業の収益力アップ」、「海外事業の拡充」、「イノベーションの推進」をグループ経営戦略の基本方針に据え、「持続可能な社会への貢献」を通じて連結営業利益1,000億円以上を安定的に継続するグローバルな企業集団を目指していきます。
新型コロナウイルスの感染拡大によりグローバルで経営環境が大きく変化し、消費構造やライフスタイル・働き方の多様化など、多くのチャンスとリスクが拡大することが想定されます。引き続き、「中期経営計画」のグループ経営戦略の基本方針に基づいた企業価値向上施策を着実に実行するとともに、コロナ禍による環境変化を見据えた事業構造改革等を迅速かつ適切に行っていきます。なお、当中期経営計画の最終年度である2021年度の経営数値目標は以下のとおりです。
2021年度経営目標
連結営業利益海外売上高比率ROEネットD/Eレシオ※
1,500億円以上40%10.0%0.7倍
(2018年度実績を維持)

※ネットD/Eレシオ=純有利子負債残高/純資産
「国内事業の収益力アップ」では、国内需要の変化に応じて生産体制再構築や保有設備の有効活用等によって資本効率化を図る一方、有望事業に経営資源を集中し、キャッシュを稼ぐ力を強化いたします。「海外事業の拡充」では、既存拠点からの有機的拡大や事業、拠点間シナジーの創出を進めていきます。また、「イノベーションの推進」では、環境・社会ニーズに対応した新事業・新製品の開発推進と早期事業化を図り、これらの取り組みを通じて「持続可能な社会への貢献」を進めていきます。
具体的には以下の取り組みを行っています。
(a)生活産業資材
・産業資材(段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業)
海外では、事業基盤をより強固なものとするため、マレーシアで段ボール原紙マシンの増設とエネルギー供給及び用排水設備更新を進めています。インドネシアでは初となる段ボール工場が2021年3月に稼働しており、さらに段ボール新工場の建設を、ベトナム(2022年5月稼働予定)、マレーシア南部、中部(それぞれ2022年1月、6月稼働予定)においても決定しています。また、ニュージーランドでは、クライストチャーチ市にある段ボール工場の新設・移転を進めています(2021年稼働予定)。今後も、地域・市場ごとにリスクとリターンを見極め、新拠点の設立とM&Aにより、事業拡大を進めていきます。
国内では、段ボール需要の伸びが特に大きいと期待される関東において、船橋地区で、国内最大規模となる段ボール工場が2020年7月に営業生産を開始しました。さらに、宇都宮地区で、段ボール原紙工場敷地内への段ボール工場の移転・新設(2022年10月稼働予定)を決定し、段ボールの原紙加工一貫工場とすることで、より品質の高い製品を持続的かつ効率的に供給する体制を整えます。国内需要の構造的な変化への対応としては、段ボール原紙製造設備の停機・移設等により生産体制の再構築を実施しています。さらに、段ボール原紙・白板紙・包装用紙から段ボール・紙器・製袋まで、素材加工一貫の製造・販売・製品開発・提案等、グループ総合力を活かしたトータルパッケージングを推進しています。その具体的な取り組みの一つとして、包装資材の削減や省人化、配送費削減などにつながる「OJI FLEX PACK’AGE」の提供及びその包装資材である連続段ボールシート「らくだん」の販売を開始しています。
また、2020年9月より石塚硝子株式会社の紙容器関連事業に合弁にて参画しています。同事業では、原紙から飲料パッケージまでの国内一貫生産システムを構築しており、当社グループと、総合容器メーカーである石塚硝子株式会社の経営資源及びノウハウを相互に活用して、事業基盤の強化及び新製品開発による新たな事業領域への進出を図り、国内外へ拡販していきます。
今後も、産業資材事業全般において、素材から加工まで幅広く事業を拡大し、競争力・収益力の向上を図っていきます。
・生活消費財(家庭紙事業、紙おむつ事業)
家庭紙事業では、森林認証を取得した環境配慮型製品や「鼻セレブ」に代表される高品質製品を取り揃えた製品展開により、一層の「ネピア」ブランドの価値向上に努めています。2020年7月に中国の家庭紙原紙製造設備が稼働し、2020年9月からはその原紙を活用した関東地区の新加工拠点も稼働させるとともに、さらに同拠点に自社物流倉庫(2022年8月稼働予定)の設置を決定しました。家庭紙加工拠点と配送拠点の一体化により関東圏での家庭紙・おむつ製品市場の拡大を図ってまいります。
紙おむつ事業の子供用分野では、国内外で統一ブランドとして展開しており、2021年4月に「ストレスフリーおむつ(「肌ストレスフリー」「動きのストレスフリー」「おむつ替えのストレスフリー」)」としてリニューアルを行った「Genki!(ゲンキ!)」とともに、新技術で赤ちゃんの快適性を追求した最高品質のブランド「Whito(ホワイト)」で高品質・高価格帯市場を開拓することにより、おむつ事業においても「ネピア」ブランドの価値向上に努めていきます。特に中国では高付加価値、高価格帯おむつ市場の成長が著しく、品質と性能をさらに高めた「Whito Premium(ホワイトプレミアム)」の販売を2020年10月から開始し拡販を進めています。また、マレーシアでは紙おむつ加工機の新設を含む生産体制再構築により生産能力を増強し、インドネシアでは合弁会社での販売に加え、現地紙おむつ工場の稼働によって、コスト競争力の確保と事業基盤の強化を図り、周辺国を含めて一層の事業拡大を進めています。国内における大人用紙おむつについては、要介護・要支援人口の増加に伴い成長が見込まれていることを受け、福島県に加工機を増設することを決定しました(2022年9月稼動予定)。引き続き、高齢化が進むわが国の介護現場が抱える課題を解決する商品の開発を進めていきます。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、医療現場での資材不足への対応として、医療用ガウンの素材供給を開始するとともに、全ての材料を日本製とし国内にて加工を行ったAll Made in Japanの自社開発医療用ガウン製品の提供も開始しています。さらに、全国的なマスク需要の高まりを受け、同じくAll Made in Japanのマスク製造設備を増設しました。当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の早期終息に少しでも貢献できるよう今後も努めていきます。
(b)機能材(特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業)
海外では、南米での旺盛な感熱紙需要に対応するため、ブラジルで生産能力をほぼ倍増とする設備増強・増設工事を行うことを決定しています(2021年12月稼働予定)。東南アジア・南米・中東・アフリカ等の新興国市場の経済発展に伴って拡大する需要に応じて、これまで培ってきた「抄紙」や「紙加工(塗工・粘着)」、「フィルム製膜」といった当社グループの強みである基幹技術をベースに新たな事業エリアの拡大を図っていきます。
国内では、パルプ設備の停止等、生産体制の継続的な見直しを行い、競争力・収益力を高めることで既存事業の基盤を強化しています。また、三菱製紙株式会社との協業では、ノーカーボン紙事業の譲渡(2020年9月完了)を実施し、さらに、プレスボード事業の譲受も決定しています(2021年10月予定)。これらの施策は、機能材市場の需要構造の変化に応じて、王子グループ及び三菱製紙株式会社における経営資源の選択と集中を進め、両者の生産性と収益性の改善、及び競争力の強化を図るものです。また、脱炭素社会への転換がグローバルに進行し、電動車(電気、ハイブリッド、プラグインハイブリッド及び燃料電池用)が急速に普及していることを受け、電動車のモーター駆動制御装置のコンデンサに用いられるポリプロピレンフィルムの生産設備を滋賀県に増設することを決定しています(2023年稼働予定)。
今後も、高機能・高付加価値製品の迅速な開発を継続し、また、研究開発型ビジネスのたゆまざる追求により、新たな事業領域拡大に取り組んでいきます。
(c)資源環境ビジネス(パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業)
パルプ事業では、パルプ市況の変動に耐え得る事業基盤を強化するため、主要拠点において戦略的収益対策を継続して実施しています。ニュージーランドのOji Fibre Solutions社では当社グループのノウハウや操業管理手法等を導入・活用し、操業の安定化及び効率化対策に取り組み、ブラジルのCelulose Nipo-Brasileira(セニブラ)社では製造設備の最新鋭化等による継続的な収益対策を進めています。国内の溶解パルプ事業ではレーヨン用途向け製品に加えて、医療品材料や濾過材用途等の高付加価値品の生産を行い、収益力の強化を進めています。なお、2021年5月にセニブラ社の親会社である日伯紙パルプ資源開発株式会社が、非支配株主が保有する株式を自己株式として取得しました。これにより当社グループが同社の全議決権を保有することになり、グループ経営基盤の強化及び機動的な事業運営を図り、パルプ事業の生産・販売をより一層強化していきます。
エネルギー事業では、再生可能エネルギーの利用拡大を目指しさらなる事業拡大を進めており、伊藤忠エネクス株式会社と合弁で徳島県にバイオマス発電設備を建設することを決定し、2022年9月の稼働に向けて準備を進めています。また、エネルギー事業の拡大に合わせバイオマス燃料事業の強化を進めており、国内では、未利用木材資源を活用した燃料用チップの調達増、海外では、インドネシアやマレーシアにおける燃料用パーム椰子殻の調達増に向けた取り組みを行っています。
植林・木材加工事業では、アジア・オセアニア・ブラジル地域を中心に持続可能な森林資源の確保及び生産能力増強に取り組んでいます。また、中国・東南アジアに設立した販売拠点で、パルプ・木材製品等の拡販を進めています。
(d)印刷情報メディア(新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業)
国内では、新型コロナウイルス感染症流行により人々の生活様式が変化しており、また企業においても、テレワークの活用等、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しています。これら事業環境の変化に伴うグラフィック用紙市場への影響を見極め、生産性・稼働率の向上等を図るべく洋紙マシンの停止や段ボール原紙マシンへの改造による最適生産体制の構築及び保有設備の有効活用を進め、国際競争力の強化を進めるとともにキャッシュ・フローの増大を図っていきます。また、既に実施している交錯輸送の解消によるコストダウン等、三菱製紙株式会社との業務提携効果をさらに発現させ、競争力・収益力の向上を図っていきます。
また、中国では数少ない紙パルプ一貫生産体制の強みを最大限に活かしたコストダウンを継続して行い、さらなる競争力強化に取り組んでいます。
(e)イノベーションの推進と持続可能な社会の実現に向けた取り組み
当社グループは、「環境・社会との共生」の経営理念の下、環境経営の推進を掲げ、環境と調和した企業活動を展開しており、また、「革新的価値の創造」を行うべく、柔軟かつ効率的な研究開発活動を充実させ、新たなニーズの探索に取り組み、イノベーションの推進による新製品・新事業の創出を進めています。これらの活動により、真の豊かさと持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
次世代素材として幅広い産業に応用が期待されているセルロースナノファイバー(CNF)について、生コンクリートの圧送先行剤用添加剤としての採用、化粧品原料「アウロ・ヴィスコCS」の化粧品メーカーでの採用に加え、グローバルに大きな市場がある工業用製品向け添加剤としても採用されています。また、CNFシート「アウロ・ヴェール」の卓球ラケット本体への採用拡大等もあり多方面での利用が進んでいます。さらに、自動車の窓ガラス用途での開発を進めているCNFとポリカーボネートを複合した樹脂ガラスは、無機ガラスに比べて軽量なため、走行時のCO2排出削減に寄与するものとして期待を集め、現在は実用化に向けた取り組みを継続しています。今後は、ポリカーボネート以外の汎用樹脂との複合化についても、技術開発を積極的に推し進め、CNFの普及に貢献していきます。
海洋プラスチック問題への対応として世界中でプラスチックに替わる紙製品の需要が高まっている中、地球環境に配慮した製品や、素材開発に積極的に取り組んでいます。水蒸気と酸素の両方にバリア性を有する紙素材「SILBIO BARRIER」は、多くの引き合いに対応し、採用事例も出てきており、さらなるラインナップ拡充と機能向上に取り組んでいます。包装材料としては、Nestlé Group製品のパッケージ素材に当社グループ紙製品がプラスチック代替として、タイに続き日本でも採用され、さらに2020年秋の同社紙包装製品のラインナップ増加に伴い、より幅広い普及が実現しました。また、滑らかな表面と自由な立体成形性が特徴のパルプモールド製品「PaPiPress」においても、プラスチックの代替パッケージとして様々な分野のお客様からの引き合いに対応し、化粧品の容器に採用されました。また、国際的に権威がある「iFデザイン・アワード2021」を受賞し、今後もさらなる展開を進めていきます。
バイオマスプラスチックの製造についても開発中です。従来の石油を原料としたプラスチックから、食糧資源との競合がない、木を起点としたグルコースからポリ乳酸を製造し、生分解性素材を開発することで、海洋プラスチック問題への貢献を目指していきます。また、グルコースから製造したポリ乳酸とポリプロピレン等の複合によるバイオマスプラスチックの製造実証も進めており、化石燃料由来のCO2排出を抑制し、地球温暖化防止についても貢献することを目指していきます。なお、この事業は環境省の委託事業(令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチックなど資源循環システム構築実証事業)に採用されています。
木質資源由来のヘミセルロースでは、化学合成した「硫酸化ヘミセルロース」の医薬品化を王子ファーマ株式会社にて進めています。また、同じく木質資源由来の医薬品開発を進める株式会社レクメドへの出資を実施し、共同開発を進めています。今後も、大学や製薬企業とのコラボレーションを推進し、木質資源由来の医薬品研究開発を推進していきます。
水処理技術の分野では、当社グループが長年培ってきた技術を活かした競争力のある水処理システムを実用化しています。具体的には水資源を有効活用するため膜ろ過装置を用いた工業・生活用水の製造設備や排水基準値を大幅に下回る排水処理設備が東南アジアでも採用されています。またこれらの設備はIoT技術を活用した遠隔監視機能を組み込むことで、より最適な水処理設備の運用のサポートが可能となっています。
なお、当社グループは、環境問題を経営の最重要課題の一つと位置づけており、環境に関する長期ビジョンとして「環境ビジョン2050」を、また、その達成に向けて、2030年度を目標達成年度とし2021年度より取り組みを開始する「環境行動目標2030」を新たに制定しました。「環境ビジョン2050」の中核は、森林保全・植林を通じ、森林のCO2吸収固定能力を最大限に活用しながら、製造部門・物流部門の徹底した省エネルギー化と、再生可能エネルギー利用量の拡大等にも取り組み、2050年のネット・ゼロ・カーボン(温室効果ガス(GHG)排出の実質ゼロ)を目指すものです。その過程として、2030年度までに、GHG排出量について2018年度対比70%以上の削減目標を設定し、併せて、資源の有効活用の推進や様々な環境負荷の低減、生物多様性の維持保全等について、総力を挙げて取り組み持続可能な社会の実現に貢献していきます。さらに、当社グループは、各国の金融関連省庁及び中央銀行からなる金融安定理事会により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設置した、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同しました。今後は、TCFDの提言に基づいた「気候変動が事業に与えるリスク・機会」について、ガバナンス・戦略・リスク管理等を俯瞰した情報開示を進めていきます。
また、中長期的な企業価値向上を図り、持続的発展を遂げるため、多様な人材が活躍できるよう働き方改革とダイバーシティの推進に取り組んでいきます。
多様なステークホルダーとの信頼関係を構築しながら、経営の効率性、健全性及び透明性を確保し、企業価値の向上と社会から信頼される会社を実現するため、コーポレートガバナンスの充実を経営上の最重要課題の一つと位置づけ、継続的に強化に努めていきます。
当社グループはこれらの諸施策を通じて、社会に様々な価値を提供し、持続可能な開発目標(SDGs)達成の貢献をするとともに、常に時代のニーズを先取りし、イノベーションに挑戦して、持続的に成長する企業グループを目指していきます。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,457百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

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