有価証券報告書-第99期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/29 14:00
【資料】
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【項目】
171項目
(1) 経営成績等の状況及び経営者の視点による分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものですが、予測しえない経済状況の変化等さまざまな要因があるため、その結果について当社が保証するものではありません。
① 経営成績に関する説明
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大により停滞していた経済活動の再開による需要の回復やパルプ市況の上昇、また足元の原燃料価格高騰影響を受けた価格修正の実施により、前期を2,365億円(16.1%)上回る17,066億円となりました。なお、当社グループの海外売上高比率は前期を4.1ポイント上回る37.6%となりました。
営業利益は、上記の価格修正の取り組みに加え、販売量も増加しましたが、原燃料価格高騰影響が大きく、前期を353億円(△29.4%)下回る848億円となりました。経常利益は、外貨建債権債務の評価替えによる為替差益の減少もあり、前期を401億円(△29.7%)下回る950億円となりました。税金等調整前当期純利益は前期を446億円(△34.5%)下回る846億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を310億円(△35.5%)下回る565億円となりました。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、経済的特徴、製品の製造方法又は製造過程、製品を販売する市場又は顧客の種類等において類似性が認められるものについて集約を実施し、「生活産業資材」、「機能材」、「資源環境ビジネス」、「印刷情報メディア」の4つとしています。報告セグメントに含まれない事業セグメントは、「その他」としています。なお、第2四半期連結会計期間より、「生活産業資材」、「その他」に区分していた一部の事業について「資源環境ビジネス」に区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
各セグメントの主要な事業内容は以下のとおりです。
生活産業資材・・・・・段ボール原紙・段ボール加工事業、白板紙・紙器事業、包装用紙・製袋事業、家庭紙事業、紙おむつ事業
機能材・・・・・・・・特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業
資源環境ビジネス・・・パルプ事業、エネルギー事業、植林・木材加工事業
印刷情報メディア・・・新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業
その他・・・・・・・・商事、物流、エンジニアリング、不動産事業 他
○生活産業資材
当連結会計年度の売上高は前期比11.7%増収の7,805億円、営業利益は同274億円減益の12億円の損失となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボール、白板紙、家庭紙等、多くの品種において価格修正に取り組んでおり、売上高は前年に対し増収となりました。また、紙おむつの売上高は前年並となりました。
海外事業では、段ボール原紙・段ボールは主に東南アジア・インドでの販売増、値上げの浸透に加え、マレーシアにおいて2021年10月から段ボール原紙の新マシンが稼働したことにより、売上高は前年に対し増収となりました。
連結売上高:7,805億円(前期比11.7%増収)
連結営業損失(△):△12億円(前期は262億円の連結営業利益)


○機能材
当連結会計年度の売上高は前期比19.0%増収の2,199億円、営業利益は同1.5%増益の155億円となりました。
国内事業では、特殊紙は販売数量が前年に対し減少しましたが、価格修正を実施したことにより前年に対し増収となりました。感熱紙は新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い減少した需要が回復傾向にあったこと、また価格修正の実施により、売上高は前年に対し増収となりました。
海外事業では、感熱紙は国内事業と同様、需要の回復傾向や価格修正の実施に加え、ブラジルにおいて設備増強・増設工事を実施し2022年1月から稼働したことにより、売上高は前年に対し増収となりました。
連結売上高:2,199億円(前期比19.0%増収)
連結営業利益:155億円(前期比1.5%増益)

○資源環境ビジネス
当連結会計年度の売上高は前期比32.2%増収の4,238億円、営業利益は同24.1%増益の685億円となりました。
国内事業では、パルプ事業は市況の上昇を受け、売上高は前年に対し増収となりました。エネルギー事業は2022年12月から徳島県でバイオマス発電所が新たに稼働したことにより、売上高は前年に対し増収となりました。
海外事業では、パルプ事業は販売が好調に推移したことに加え、市況の上昇により、売上高は前年に対し増収となりました。
連結売上高:4,238億円(前期比32.2%増収)
連結営業利益:685億円(前期比24.1%増益)

○印刷情報メディア
当連結会計年度の売上高は前期比14.9%増収の2,810億円、営業利益は同226億円減益の48億円の損失となりました。
国内事業では、新聞用紙は需要の減少傾向が継続しているものの、価格修正の実施により売上高は前年並となりました。印刷用紙は輸入紙の減少により国内品への需要が高まっていることに加え、価格修正の実施により、売上高は前年に対し増収となりました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司において、売上高は前年に対し増収となりました。
連結売上高:2,810億円(前期比14.9%増収)
連結営業損失(△):△48億円(前期は178億円の連結営業利益)

○その他
当連結会計年度は、商事事業、物流事業等で増収となり、売上高は前期比9.3%増収の3,181億円、営業利益は同18.0%増益の84億円となりました。
連結売上高:3,181億円(前期比9.3%増収)
連結営業利益:84億円(前期比18.0%増益)


② 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
生活産業資材827,43211.8
機能材212,35819.3
資源環境ビジネス316,84525.1
印刷情報メディア281,20722.0
報告セグメント計1,637,84416.8
その他7,732△15.2
1,645,57716.6

(注) 生産高は自家使用分を含めて記載しています。
(b) 受注実績
当社グループは、エンジニアリング等一部の事業で受注生産を行っていますが、その割合が僅少であるため、記載を省略しています。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりです。
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
生活産業資材715,32011.7
機能材205,68520.0
資源環境ビジネス368,48731.2
印刷情報メディア219,8769.9
報告セグメント計1,509,36916.7
その他197,27211.3
1,706,64116.1

(注) セグメント間取引については相殺消去しています。
③ 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、有形固定資産、売掛金、棚卸資産等の増加に加え、円安の進行による為替換算差もあり、前連結会計年度末に対し2,423億円増加し、22,960億円となりました。負債は、有利子負債等の増加により、前連結会計年度末に対し1,532億円増加し、13,315億円となりました。純有利子負債残高(有利子負債-現金及び現金同等物等)は、前連結会計年度末に対し1,366億円増加し、7,313億円となりました。純資産は、為替換算調整勘定や利益剰余金等の増加により、前連結会計年度末に対し891億円増加し、9,646億円となりました。
上記の結果、ネットD/Eレシオ(純有利子負債残高/純資産残高)は0.8倍となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
当社グループでは、市場が縮小している事業では、生産体制再構築等によってコスト削減を徹底し、キャッシュ・フローの確保を図る一方、需要の伸びが期待できる国内事業や海外の経済発展が見込まれる地域へ投資を行い、ポートフォリオの拡充を図っています。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、568億円(前連結会計年度末は555億円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に対して1,253億円収入が減少し、183億円(前連結会計年度は1,436億円の収入)となりました。主なキャッシュの増加は、税金等調整前当期純利益に減価償却費を加えた1,577億円(前連結会計年度は1,951億円)であり、主なキャッシュの減少は、売上債権の増加439億円(前連結会計年度は210億円の増加)、棚卸資産の増加426億円(前連結会計年度は260億円の増加)及び法人税等の支払額469億円(前連結会計年度は223億円の支払い)によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出等により、1,233億円の支出(前連結会計年度は926億円の支出)となりました。有形及び無形固定資産の取得による支出の主な内容は、能力増強・更新や品質改善、省力化、生産性向上、安全及び環境のために必要な設備投資です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの発行による収入等により、1,018億円の収入(前連結会計年度は1,360億円の支出)となりました。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) 資金需要の主な内容
当社グループの営業活動に関する資金需要は、生産・販売活動のために必要な運転資金(製品製造のための原燃料の購入・製造費や人件費、製品の輸送・保管費等)や研究開発費等が主な内容です。投資活動に関する資金需要は、経営戦略の遂行に必要な投資や品質改善・省力化・生産性向上・安全・環境のために必要な設備投資等が主な内容です。
今後も海外事業や有望な事業等の成長分野に対しては、M&Aや設備投資、研究開発投資等を積極的に行っていく予定であり、また、「環境行動目標2030」の達成に向けて、石炭ボイラの燃料転換や植林地の取得等を進めていきます。これら所要資金の調達については、自己資金と外部調達との最適なバランスを検討し実施していきます。
(b) 財務政策
営業活動を通じて獲得したキャッシュ・フローは配当及び投資資金に充当し、有利子負債残高を適正水準に保ちながら、不足資金については借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等による資金調達を行い、余剰資金については有利子負債の削減に充当します。
なお、長期借入金や社債等の長期資金については、中期経営計画に基づく資金需要見通しや金利動向等の調達環境、既存の借入金や社債償還時期等を総合的に勘案の上、調達規模、調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
当社は、主要連結子会社との間でグループファイナンスを行い、資金の一元管理を行うことにより、運転資金の効率的な運用を図っています。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。