有価証券報告書-第110期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 14:29
【資料】
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【項目】
156項目
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における国内経済は、コロナ禍の収束の見通しが立たず、休業要請や外出自粛要請の影響による景気悪化及び個人消費の低迷が続いています。世界経済も同様にコロナ禍の影響によって減速しており、今後の見通しについても不透明な状況となっています。
このような状況の中、当社グループは2018年度から2020年度にかけて取り組んできた第3次中期事業計画の最終年度を迎えました。2012年度より開始した第1次中期事業計画以降、継続的な洋紙需要の減少への対策として、「メディア用途の紙」から「梱包・包装用途の紙」への転換に向けた構造改革を進めてきました。まずは2012年に可児工場の洋紙生産マシンであるN3号抄紙機をいわき大王製紙へ移設し、2014年に板紙生産マシンとして再稼働させました。さらに、衛生用紙の国内需要の伸びに対応するため、2015年には可児工場で衛生用紙生産マシンであるN8号抄紙機を稼働させ、2018年には休止していた川之江工場で衛生用紙生産マシンを新設し再稼働させました。中国をはじめとする海外生産拠点においては、ベビー用紙おむつ以外に生産・販売する家庭紙商品のカテゴリーを拡大する複合事業化の進展や、2020年にはブラジル及びトルコでM&Aを実施する等、グローバルでの事業拡大を加速させてきました。
これらの構造改革に継続して取り組んできた結果、2021年3月期の連結業績は、売上高を除くすべての項目で第3次中期事業計画の目標を達成しました。売上高については目標に未達となりましたが、8期連続の増収且つ6期連続で過去最高を記録しました。営業利益については、紙・板紙事業において競争力の高い板紙の輸出が伸長した他、ホーム&パーソナルケア事業において国内でのマスク生産設備の増強や、海外での多品種販売による複合事業化を推進したこと等により、目標と直近の連結業績予想を上回りました。
第3次中期事業計画の目標及び当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
第3次
中期事業計画
目標
2020年度
(2021年3月期)
連結業績
< 参考 >2020年度
(2021年3月期)
直近の連結業績予想
連結売上高6,150億円5,629億円5,650億円
連結営業利益320億円369億円330億円
ROE8.0%10.1%6.5%
ネットD/Eレシオ1.61.31.4

2021年度より開始となる第4次中期事業計画ではさらに成長を加速させ、第5次中期事業計画での売上高8,000億円~1兆円の実現に向けて戦略を果敢に実行していきます。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
① 売上高
売上高は、主にホーム&パーソナルケア事業において、国内での衛生用紙・ベビー用紙おむつ・大人用紙おむつ・ウエットワイプ・マスクの販売が好調だったことや、海外の連結子会社数が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ16,495百万円増加(前年同期比 3.0%増)し、562,928百万円となりました。
② 営業利益
営業利益は、紙・板紙事業において競争力の高い板紙の輸出が伸長した他、ホーム&パーソナルケア事業において国内でのマスク生産設備の増強や、海外での多品種販売による複合事業化を推進したこと等により、前連結会計年度に比べ6,244百万円増加(前年同期比 20.4%増)し、36,873百万円となりました。
この結果、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ1.0%上昇し、6.6%となりました。
③ 経常利益
経常利益は、主に営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ6,367百万円増加(前年同期比 22.6%増)し、34,478百万円となりました。
④ 特別損益
特別利益は、主に投資有価証券売却益の減少により、前連結会計年度に比べ3,225百万円減少し、4,343百万円となりました。特別損失は、主に減損損失の増加により、前連結会計年度に比べ1,675百万円増加し、6,105百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ2,916百万円増加(前年同期比 15.2%増)し、22,115百万円となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ10円82銭増加し、138円73銭となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 紙・板紙
売上高302,453百万円(前年同期比4.8%減)
セグメント利益19,576百万円(前年同期比1.8%減)

新聞用紙は、新聞の発行部数減少や、コロナ禍での広告減少に伴う頁数減少の影響により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
洋紙(新聞用紙を除く)は、コロナ禍での外出・イベント自粛によるチラシ及びパンフレット用途の紙需要の減少や、在宅勤務の浸透による事務用紙の需要減少等により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
板紙・段ボールは、国内需要の回復の兆しがあるものの、通年ではコロナ禍の影響で国内需要は減少しました。しかし、昨年4月から三島工場N7号抄紙機の営業運転開始による板紙の輸出販売が増加したことで、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
セグメント利益は、印刷用紙等の需要減少に合わせた生産調整や、板紙の輸出販売の増加に取り組みましたが、コロナ禍による需要減少の影響が大きかったことにより、前年同期を下回りました。
② ホーム&パーソナルケア
売上高237,990百万円(前年同期比16.2%増)
セグメント利益14,734百万円(前年同期比85.0%増)

国内事業については、衛生用紙は、コロナ禍での生活者の衛生意識の高まりから需要が拡大したペーパータオル及びキッチンペーパーが順調に販売伸長しました。一方、ティシューやトイレットは前年度にコロナ禍の影響による一時的な需要の前倒しがあったことから、販売数量、金額ともに前年同期を下回りました。
ベビー用紙おむつは、新シリーズとなる「グ~ンプラス」を10月に立ち上げ、「エリエール贅沢保湿ティシュー」と同じ保湿成分を配合したハイグレード商品としてテープタイプ・パンツタイプを上市しました。また、既存商品の「グ~ンまっさらさら通気パンツタイプ」も、新たにディズニーキャラクターのデザインを採用した全面リニューアルを実施しました。これらのブランド一新に合わせてテレビCM等での認知拡大策にも注力した結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
大人用紙おむつは、市販ルートでは、新商品の「アテント 夜1枚安心パッド モレを防いで朝までぐっすり8回吸収」に加え、既存商品である超うす型パンツ「下着爽快」シリーズの販売が順調に推移しました。病院・施設等の業務ルートでは、地域包括ケアシステムにおける生活者の在宅復帰を支援する提案の継続に加え、感染症対策をテーマに大人用紙おむつとともにマスク・ペーパータオル等の提案も行い、拡販に注力しました。これらの結果、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
フェミニンケア用品は、昨年10月に「エリス朝まで超安心」のパッケージを刷新したことが生活者から好評を得ましたが、コロナ禍で市場全体の売上が落ち込んだ影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
ウエットワイプは、昨年9月にリニューアル発売した「キレキラ!トイレクリーナー 1枚で徹底おそうじシート」のプロモーション強化による認知率向上及び拡販に取り組みました。またコロナ禍での需要の高まりに対し、安定供給に努めた結果、販売数量・金額ともに前年同期を大幅に上回りました。
マスクは、コロナ禍による需要の増加に対し、生産設備を増設したことで安定供給可能な体制を整えました。また、生活者の需要実態を捉え、サイズ展開を豊富にした他、30枚入りの大容量品をラインナップに加えました。これらの結果、販売数量・金額ともに前年同期を大幅に上回りました。
海外事業については、中国では主力のベビー用紙おむつにおいて、プレミアム商品である「光羽鎏金(ひかりのはね りゅうじん)シリーズ」の拡販と、販売チャネル別・地域別・消費者層別に対応した商品展開と販売促進活動により、大都市以外への配荷が拡大しました。また紙製品においても、ベビー用ローションティシューやプレミアムトイレット等の販売が順調に伸長したことにより、販売金額は前年同期を上回りました。
タイやインドネシア等の東南アジア諸国では、コロナ禍によりベビー用紙おむつの販売数量が減少しましたが、複合事業化が進んでいるタイでは除菌ウエットやフェミニンケア用品の拡販で補い、インドネシアではEC(イーコマース)での販売が伸長したこと等により、販売金額は前年同期を上回りました。
輸出販売国については、韓国において日本製品不買運動の影響からの回復が進んでいないこと等により、販売は減少しました。
また、第2四半期より、ブラジルのサンテル及びトルコのエリエール・インターナショナル・ターキーを連結の範囲に含めており、海外事業の売上高の増加等に寄与しています。
これらの結果、国内事業・海外事業ともに前年同期を上回る売上高となり、セグメント利益も前年同期を上回りました。
③ その他
売上高22,484百万円(前年同期比5.8%減)
セグメント利益2,520百万円(前年同期比6.2%減)

主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、昨年7月よりバイオマス発電設備が営業運転を開始したことによる売電事業の売上増加が収益にも寄与しましたが、コロナ禍の影響で機械事業及びゴルフ事業の売上が減少したこと等により、売上高及びセグメント利益はいずれも前年同期を下回りました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、新規連結によるのれんの増加や機械装置及び運搬具の増加等により、前連結会計年度末に比べ86,741百万円増加し、849,801百万円となりました。
負債は、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ49,488百万円増加し、603,012百万円となりました。
純資産は、転換社債の転換による株式の発行等により、前連結会計年度末に比べ37,252百万円増加し、246,788百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて2.1ポイント上昇し、28.2%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して20,916百万円増加し、130,301百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、64,210百万円の収入(前連結会計年度比3,802百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益32,717百万円、減価償却費34,137百万円、法人税等の支払額16,206百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、103,702百万円の支出(前連結会計年度比55,832百万円の増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出54,137百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出48,370百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、63,589百万円の収入(前連結会計年度比77,638百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入105,278百万円、長期借入金の返済による支出59,040百万円、非支配株主への株式の発行による収入25,011百万円、配当金の支払額2,447百万円によるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と投資資金需要です。運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動における原材料及び商品仕入、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、事業戦略の遂行に必要な投資や品質改善・安全・環境のために必要な設備投資等です。
運転資金につきましては主に金融機関からの短期借入金で調達し、投資資金につきましては主に長期社債及び金融機関からの長期借入金により調達しています。また、今後の資金需要や金利動向等の調達環境、既存借入金や長期社債の償還時期等を総合的に考慮し、調達額及び調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
なお、当社は国内子会社との間で導入しているキャッシュマネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化により、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めています。
当連結会計年度において、2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2015年9月17日発行)の権利行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ10,435百万円増加しています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、コロナ禍は世界経済や国内外での企業活動に影響を与える事象であり、国内においては一部でワクチン接種が開始されたものの、経済活動や日常生活への制限は依然として続いています。また、感染力の強い変異株の流行が拡大傾向にあり、現時点でコロナ禍の収束時期を予測することは困難な状況です。コロナ禍の拡大による業績予想及び会計上の見積りへの影響については、世界的な経済低迷やイベントの自粛、テレワークの拡大等によって洋紙の需要は縮小しているものの、一方では生活者の衛生意識の向上によりマスクやウエットティシューの需要は拡大しており、コロナ禍が一時的な拡大と収束を繰り返すことと連動して各製品の需要も変化しながら、状況は徐々に回復に向かうと仮定した見積りに基づき、固定資産の減損等の会計上の見積りを行っています。ただし、世界的な景気の回復には相当の時間を要する見込であること、また、コロナ禍の拡大による経済活動への影響は不確定要素が多いことから、上記の仮定に変化が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、前連結会計年度の有価証券報告書で記載した内容から重要な変更はありません。
(6) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
紙・板紙250,45992.8
ホーム&パーソナルケア161,872116.4
報告セグメント計412,332100.8
その他22,17095.2
合計434,502100.5

(注)金額は製造原価によっています。
(7) 受注状況
紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。
(8) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
紙・板紙302,45395.2
ホーム&パーソナルケア237,990116.2
報告セグメント計540,444103.4
その他22,48494.2
合計562,928103.0

(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。
(9) 次期の見通し
国内外でのコロナ禍が依然として収束に向かわない中、中国経済の回復の影響等を受け国内経済は回復基調となるものの、米中貿易摩擦の長期化やコロナワクチンの普及遅れ等により、国内経済の先行きは不透明な状態が継続すると予測します。紙パルプ業界においても、洋紙の需要減少等により引き続き厳しい状況が続くものと予想します。
このような状況において、当社グループは、紙・板紙事業については三島工場のコスト競争力のあるパルプを最大限に活用した高付加価値品への生産シフトや、紙・板紙事業とホーム&パーソナルケア事業を横断した抜本的な構造改革を進めます。コロナ禍でも堅調な板紙の拡販、アジアをワンマーケットとした輸出増加、脱プラスチック需要に対応したプラスチック代替品や梱包用途の紙の拡販等、需要構造の変化に対応していきます。
ホーム&パーソナルケア事業については、2021年10月には川之江工場で2台目となる衛生用紙生産マシンを増設し、高付加価値品の安定供給体制を構築することで、トップブランドとしての地位をさらに高めていきます。また、コロナ禍での新たな生活様式に対応したマスク、除菌ウエット、ペーパータオルの生産体制を強化します。海外では、主力であるベビー用紙おむつをはじめ、大人用紙おむつ、フェミニンケア用品、紙製品やウエットワイプ等の各カテゴリーでの拡販に継続して取り組み、複合事業化を推進します。2020年に株式を取得したブラジルのサンテル、及びトルコのエリエール・インターナショナル・ターキーを新たな生産拠点とした事業拡大を進め、海外売上高の構成比を高めていきます。
2022年3月期の連結業績については、売上高600,000百万円、営業利益38,000百万円、経常利益35,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益21,000百万円を予想しています。

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