有価証券報告書-第109期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善や、個人消費及び公共投資等の内需の底堅さを背景に、緩やかな回復基調で推移してまいりました。しかし、相次ぐ自然災害の発生や2019年10月の消費増税による消費者マインドの落込み、さらに新型コロナウイルスの世界的拡大が影響したことにより、景気の先行きは不透明な状況です。
このような状況の中で、当社グループは第3次中期事業計画「Move on 革進と飛翔」(2018年5月31日発表)の下、2020年度の経営目標達成に向けて、急激な外部環境変化に対応可能な強靭な企業体質への革進を図るとともに、長期ビジョンを見据えた成長戦略に全社一丸となって取り組んでいます。
紙・板紙事業については、消費増税の反動や新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、新聞・広告・出版物等の「メディア用途の紙」の国内需要減少がさらに進みました。当社においては、従前より需要構造の変化へ対応するため、洋紙から国内外での需要が比較的堅調な段ボール原紙等の「梱包・包装用途の紙」への構造転換を進めてきました。構造転換に向けた施策として、柔軟に生産品種を変更できる三島工場の特長を活かし、当期は洋紙の生産マシンである三島工場N7号抄紙機を板紙の生産マシンへ改造しました(2020年4月稼働開始)。洋紙の生産マシン数を減らすことで市況の維持に努め、また古紙処理技術を活かした難処理古紙の増集荷に取り組んだこと等により、紙・板紙事業全体では、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
ホーム&パーソナルケア事業については、2019年10月の消費増税、さらには大規模自然災害や新型コロナウイルスの発生等を受け、需要構造が大きく変動する状況下において、当社は衛生用紙・ウエットワイプを中心に、生産・物流体制の強化により安定供給に注力しました。また、前年度来の原燃料価格・物流コストの高騰が依然として続き、収益改善施策の早期実行が期初時点での課題となっていましたが、衛生用紙カテゴリーのトップメーカーとして価格修正に取り組み、第2四半期よりその効果を発現させています。これらの取組みにより、ホーム&パーソナルケア事業全体では、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
以上の結果、連結売上高、連結営業利益ともに前年同期を上回り、親会社株主に帰属する当期純利益については過去最高益を達成しました。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
① 売上高
売上高は、主にホーム&パーソナルケア事業の国内事業において、衛生用紙・ウエットワイプを中心に生産・物流体制の強化により安定供給に注力したこと、また衛生用紙の高付加価値商品へのシフト及び価格修正効果の発現等により、前連結会計年度に比べ12,543百万円増加(前年同期比 2.3%増)し、546,433百万円となりました。
② 営業利益
営業利益は、原燃料や物流コストの高騰の影響があったものの、主に紙・板紙事業において、洋紙の生産マシン数を減らすことで市況の維持に努めたこと、また古紙処理技術を活かした難処理古紙の増集荷に取り組んだこと等により、前連結会計年度に比べ18,507百万円増加(前年同期比 152.7%増)し、30,629百万円となりました。
この結果、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ3.3%上昇し、5.6%となりました。
③ 経常利益
経常利益は、主に営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ18,270百万円増加(前年同期比 185.6%増)し、28,112百万円となりました。
④ 特別損益
特別利益は、主に投資有価証券売却益の増加により、前連結会計年度に比べ5,168百万円増加し、7,568百万円となりました。特別損失は、主に減損損失の減少により、前連結会計年度に比べ843百万円減少し、4,429百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ14,502百万円増加(前年同期比 308.8%増)し、19,199百万円となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ96円21銭増加し、127円91銭となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 紙・板紙
新聞用紙は、新聞の発行部数及び頁数減少の影響により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
洋紙(新聞用紙を除く)は、チラシ・出版物の発行部数減少や電子媒体への移行が進んだこと、また新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済活動の低下に伴いイベント・広告需要が大きく減少したことから、販売数量は前年同期を下回りました。一方で販売金額については、前年度に実施した価格修正後の製品市況が維持されていることで、前年同期を上回りました。
板紙・段ボールは、米中貿易摩擦による工業製品向けをはじめとした輸出需要の落込みや、消費増税後の消費低迷、自然災害の影響等に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による影響も重なり、国内需要は低調に推移し、販売数量は前年同期を下回りました。一方で販売金額については、前年度に実施した価格修正後の製品市況が維持されていることで、前年同期を上回りました。
セグメント利益は、洋紙・板紙の価格修正が浸透したこと、原燃料価格が想定していたよりも安価となったこと、難処理古紙の増集荷と利用の拡大により、前年同期を上回りました。
② ホーム&パーソナルケア
国内事業については、衛生用紙は、高付加価値商品へのシフト及び価格修正に取り組みました。また新型コロナウイルスの感染拡大の影響による需要増加もあり、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
大人用紙おむつは、市販ルートでは当年度に上市した新商品、及び超うす型パンツタイプを中心に拡販が進みました。病院・施設等の業務ルートでは、地域包括ケアシステムにおける生活者の在宅復帰を支援する提案が評価され、新規案件獲得が進みました。この結果、市販ルート・業務ルートのいずれも販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
フェミニンケア用品は、吸水ライナー市場の伸長に対応した商品ラインナップの拡充、及びトライアルパックの販売等を通じて新規ユーザー獲得に注力し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
ベビー用紙おむつは、出生人口減少による市場縮小の影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
ウエットワイプは、エリエールブランド初となる無添加処方の「Puana(ピュアナ)ウエットティシュー」を2019年11月に新発売し、既存のウエット商品と合わせて販売が好調に推移しました。消費者の衛生意識の高まりもあって大幅な販売増加となり、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
海外事業については、中国では出生人口の減少に伴い、ベビー用紙おむつマーケットの成長が鈍化している中、他社との競争が激化していますが、高付加価値商品への販売シフトや衛生用紙の拡販による複合事業化を推進したことで、販売は堅調に推移しました。
インドネシアでは、前年度の流通体制の見直しに伴い立上げた各エリア代理店と協働し、各エリア特性に合わせた販売促進・マーケティング活動を展開したことで、販売が順調に推移し、収益が大幅に改善しました。
タイでは、流通体制の見直しを進める過程で販売が一時的に減少しましたが、各販売先への商流が整い、拡販に向けた新たな取組みを開始しました。
なお、中国、インドネシア、タイの海外子会社はいずれも12月決算であるため、当期の業績に新型コロナウイルスの感染拡大の影響はありませんでした。
日本からの主要輸出先であるロシアでは、流通体制の見直しに伴う在庫調整の影響があり販売が減少しました。
韓国では、日韓関係の悪化から発生した日本製品の不買運動の影響が継続していること等により販売が減少しました。
なお、ロシア・韓国においては、新型コロナウイルスの感染拡大への対策として外出制限等があったものの、業績への影響は軽微でした。
これらの結果、海外事業全体では、タイ・ロシア・韓国での販売減少の影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
セグメント利益は、海外事業での販売減少の影響を受けましたが、国内事業において衛生用紙を中心とした増販効果があったことで、前年同期を上回りました。
③ その他
主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、木材事業において海外でのチップの販売単価上昇及び外部への販売数量増加等により、セグメント利益は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、主に黒液発電設備設置工事や、三島工場N7号抄紙機の板紙生産設備化工事による固定資産の増加により、前連結会計年度末に比べ17,194百万円増加し、763,060百万円となりました。
負債は、主に税金等調整前当期純利益が増加したことに伴う未払法人税等の増加により、前連結会計年度末に比べ6,997百万円増加し、553,524百万円となりました。
純資産は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ10,197百万円増加し、209,536百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.2ポイント上昇し、26.1%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して5,978百万円増加し、109,385百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、68,013百万円の収入(前連結会計年度比27,726百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益31,251百万円、減価償却費31,843百万円、売上債権の増減額(収
入)5,448百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、47,870百万円の支出(前連結会計年度比14,240百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出49,096百万円、無形固定資産の取得による支出6,723百万円、投資有価証券の売却による収入8,142百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、14,050百万円の支出(前連結会計年度比79,948百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入45,110百万円、長期借入金の返済による支出49,879百万円、短期借入金の純増減額(支出)3,769百万円によるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と投資資金需要です。運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動における原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、事業戦略の遂行に必要な投資や品質改善・安全・環境のために必要な設備投資等です。
運転資金につきましては主に金融機関からの短期借入金で調達し、投資資金につきましては主に長期社債及び金融機関からの長期借入金により調達しています。また、今後の資金需要や金利動向等の調達環境、既存借入金や長期社債の償還時期等を総合的に考慮し、調達額及び調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
なお、当社は国内子会社との間で導入しているキャッシュマネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化により、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めています。
当連結会計年度において、2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2015年9月17日発行)の権利行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ590百万円増加しています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は世界経済や国内外での企業活動に影響を与える事象であり、現時点で当社グループに及ぼす影響及び当感染症の収束時期を予測することは困難であるものの、当感染症の拡大による業績予想及び会計上の見積り(固定資産減損の兆候判定等)への影響については、世界的な経済低迷やオリンピックの延期、イベントの自粛、テレワークの拡大による洋紙需要の減退に伴い、生産・販売数量の減少が2020年度上期を中心に現れるものと見込んでいます。その後徐々に回復には向かうものの、世界的な経済低迷や景気の回復には相当の時間を要するという前提で見通しを立てています。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、それぞれ独立したキャッシュ・フローまたは損益の取得が可能であり、また管理会計上も個別の事業計画を策定している単位を基礎として、資産のグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき合理的に算定しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フローや正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件が変更された場合、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。
(6) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)金額は製造原価によっています。
(7) 受注状況
紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。
(8) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。
(9) 次期の見通し
米中貿易摩擦等により、国際情勢が不透明さを増す中、新型コロナウイルス感染拡大は世界経済全体にマイナス影響を与えており、国内経済についても先行きは依然として不透明な状態が継続すると予測します。また、紙パルプ業界においては、洋紙の需要減少等により引き続き厳しい状況が続くものと予想します。
このような状況の中、当社グループは、紙・板紙事業では三島工場N7号抄紙機の板紙マシンへの転抄、脱プラスチック需要の高まりに合わせたプラスチック代替品や梱包用途の紙の拡販等の需要構造の変化に対応する構造改革を継続していきます。三島工場のコスト競争力のあるパルプを最大限に活用し、より高付加価値の紙製品に生産シフトする構造改革をさらに推進することで、収益性を高めていきます。また、業界トップクラスの古紙処理技術を活用した難処理古紙の有効利用を進めることにより、競争優位性を強化していきます。
ホーム&パーソナルケア事業については、国内では2021年度に川之江工場へ最新鋭の衛生用紙生産設備を増設することにより、高付加価値商品の需要伸長に対応できる安定供給体制の構築を進めます。また、日本国内におけるマスク不足の状況を踏まえ、安定的な供給に貢献するため、子会社(エリエールプロダクト株式会社)に最新鋭の生産設備を導入し生産を開始しました。海外では、新たな生産拠点を増やすことにより、主力であるベビー用紙おむつに加え、大人用紙おむつ、フェミニンケア用品、ウエットワイプの各カテゴリーで拡販に取り組み、複合事業化を進めます。なお、2020年2月に公表しましたブラジルのサンテルS.A.及びトルコのエリエールインターナショナルターキー・キシセル・バクム・ウルンレリ・ウレティムA.S.(旧ウゼンA.S.)については、新型コロナウイルス感染拡大による衛生意識の高まりを受け、両社の足元の損益は当初想定以上に堅調に推移しています。サンテルS.A.については株式取得前ではありますが、2021年3月期の業績予想には両社で通期200億円程度の売上高を織り込んでいます。
2021年3月期の連結業績については、売上高565,000百万円、営業利益28,000百万円、経常利益25,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益13,000百万円を予想しています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、次期の見通しについては、不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と乖離する可能性があります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善や、個人消費及び公共投資等の内需の底堅さを背景に、緩やかな回復基調で推移してまいりました。しかし、相次ぐ自然災害の発生や2019年10月の消費増税による消費者マインドの落込み、さらに新型コロナウイルスの世界的拡大が影響したことにより、景気の先行きは不透明な状況です。
このような状況の中で、当社グループは第3次中期事業計画「Move on 革進と飛翔」(2018年5月31日発表)の下、2020年度の経営目標達成に向けて、急激な外部環境変化に対応可能な強靭な企業体質への革進を図るとともに、長期ビジョンを見据えた成長戦略に全社一丸となって取り組んでいます。
紙・板紙事業については、消費増税の反動や新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、新聞・広告・出版物等の「メディア用途の紙」の国内需要減少がさらに進みました。当社においては、従前より需要構造の変化へ対応するため、洋紙から国内外での需要が比較的堅調な段ボール原紙等の「梱包・包装用途の紙」への構造転換を進めてきました。構造転換に向けた施策として、柔軟に生産品種を変更できる三島工場の特長を活かし、当期は洋紙の生産マシンである三島工場N7号抄紙機を板紙の生産マシンへ改造しました(2020年4月稼働開始)。洋紙の生産マシン数を減らすことで市況の維持に努め、また古紙処理技術を活かした難処理古紙の増集荷に取り組んだこと等により、紙・板紙事業全体では、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
ホーム&パーソナルケア事業については、2019年10月の消費増税、さらには大規模自然災害や新型コロナウイルスの発生等を受け、需要構造が大きく変動する状況下において、当社は衛生用紙・ウエットワイプを中心に、生産・物流体制の強化により安定供給に注力しました。また、前年度来の原燃料価格・物流コストの高騰が依然として続き、収益改善施策の早期実行が期初時点での課題となっていましたが、衛生用紙カテゴリーのトップメーカーとして価格修正に取り組み、第2四半期よりその効果を発現させています。これらの取組みにより、ホーム&パーソナルケア事業全体では、売上高・営業利益ともに前年同期を上回りました。
以上の結果、連結売上高、連結営業利益ともに前年同期を上回り、親会社株主に帰属する当期純利益については過去最高益を達成しました。
当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりです。
① 売上高
売上高は、主にホーム&パーソナルケア事業の国内事業において、衛生用紙・ウエットワイプを中心に生産・物流体制の強化により安定供給に注力したこと、また衛生用紙の高付加価値商品へのシフト及び価格修正効果の発現等により、前連結会計年度に比べ12,543百万円増加(前年同期比 2.3%増)し、546,433百万円となりました。
② 営業利益
営業利益は、原燃料や物流コストの高騰の影響があったものの、主に紙・板紙事業において、洋紙の生産マシン数を減らすことで市況の維持に努めたこと、また古紙処理技術を活かした難処理古紙の増集荷に取り組んだこと等により、前連結会計年度に比べ18,507百万円増加(前年同期比 152.7%増)し、30,629百万円となりました。
この結果、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ3.3%上昇し、5.6%となりました。
③ 経常利益
経常利益は、主に営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ18,270百万円増加(前年同期比 185.6%増)し、28,112百万円となりました。
④ 特別損益
特別利益は、主に投資有価証券売却益の増加により、前連結会計年度に比べ5,168百万円増加し、7,568百万円となりました。特別損失は、主に減損損失の減少により、前連結会計年度に比べ843百万円減少し、4,429百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ14,502百万円増加(前年同期比 308.8%増)し、19,199百万円となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は前連結会計年度に比べ96円21銭増加し、127円91銭となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりです。
① 紙・板紙
| 売上高 | 317,825 | 百万円 | (前年同期比 | 0.4%増 | ) |
| セグメント利益 | 19,936 | 百万円 | (前年同期比 | 145.2%増 | ) |
新聞用紙は、新聞の発行部数及び頁数減少の影響により、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
洋紙(新聞用紙を除く)は、チラシ・出版物の発行部数減少や電子媒体への移行が進んだこと、また新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済活動の低下に伴いイベント・広告需要が大きく減少したことから、販売数量は前年同期を下回りました。一方で販売金額については、前年度に実施した価格修正後の製品市況が維持されていることで、前年同期を上回りました。
板紙・段ボールは、米中貿易摩擦による工業製品向けをはじめとした輸出需要の落込みや、消費増税後の消費低迷、自然災害の影響等に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による影響も重なり、国内需要は低調に推移し、販売数量は前年同期を下回りました。一方で販売金額については、前年度に実施した価格修正後の製品市況が維持されていることで、前年同期を上回りました。
セグメント利益は、洋紙・板紙の価格修正が浸透したこと、原燃料価格が想定していたよりも安価となったこと、難処理古紙の増集荷と利用の拡大により、前年同期を上回りました。
② ホーム&パーソナルケア
| 売上高 | 204,732 | 百万円 | (前年同期比 | 4.9%増 | ) |
| セグメント利益 | 7,964 | 百万円 | (前年同期比 | 86.4%増 | ) |
国内事業については、衛生用紙は、高付加価値商品へのシフト及び価格修正に取り組みました。また新型コロナウイルスの感染拡大の影響による需要増加もあり、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
大人用紙おむつは、市販ルートでは当年度に上市した新商品、及び超うす型パンツタイプを中心に拡販が進みました。病院・施設等の業務ルートでは、地域包括ケアシステムにおける生活者の在宅復帰を支援する提案が評価され、新規案件獲得が進みました。この結果、市販ルート・業務ルートのいずれも販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
フェミニンケア用品は、吸水ライナー市場の伸長に対応した商品ラインナップの拡充、及びトライアルパックの販売等を通じて新規ユーザー獲得に注力し、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
ベビー用紙おむつは、出生人口減少による市場縮小の影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
ウエットワイプは、エリエールブランド初となる無添加処方の「Puana(ピュアナ)ウエットティシュー」を2019年11月に新発売し、既存のウエット商品と合わせて販売が好調に推移しました。消費者の衛生意識の高まりもあって大幅な販売増加となり、販売数量・金額ともに前年同期を上回りました。
海外事業については、中国では出生人口の減少に伴い、ベビー用紙おむつマーケットの成長が鈍化している中、他社との競争が激化していますが、高付加価値商品への販売シフトや衛生用紙の拡販による複合事業化を推進したことで、販売は堅調に推移しました。
インドネシアでは、前年度の流通体制の見直しに伴い立上げた各エリア代理店と協働し、各エリア特性に合わせた販売促進・マーケティング活動を展開したことで、販売が順調に推移し、収益が大幅に改善しました。
タイでは、流通体制の見直しを進める過程で販売が一時的に減少しましたが、各販売先への商流が整い、拡販に向けた新たな取組みを開始しました。
なお、中国、インドネシア、タイの海外子会社はいずれも12月決算であるため、当期の業績に新型コロナウイルスの感染拡大の影響はありませんでした。
日本からの主要輸出先であるロシアでは、流通体制の見直しに伴う在庫調整の影響があり販売が減少しました。
韓国では、日韓関係の悪化から発生した日本製品の不買運動の影響が継続していること等により販売が減少しました。
なお、ロシア・韓国においては、新型コロナウイルスの感染拡大への対策として外出制限等があったものの、業績への影響は軽微でした。
これらの結果、海外事業全体では、タイ・ロシア・韓国での販売減少の影響を受け、販売数量・金額ともに前年同期を下回りました。
セグメント利益は、海外事業での販売減少の影響を受けましたが、国内事業において衛生用紙を中心とした増販効果があったことで、前年同期を上回りました。
③ その他
| 売上高 | 23,876 | 百万円 | (前年同期比 | 7.0%増 | ) |
| セグメント利益 | 2,687 | 百万円 | (前年同期比は△331百万円の損失) | ||
主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、木材事業において海外でのチップの販売単価上昇及び外部への販売数量増加等により、セグメント利益は前年同期を上回りました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、主に黒液発電設備設置工事や、三島工場N7号抄紙機の板紙生産設備化工事による固定資産の増加により、前連結会計年度末に比べ17,194百万円増加し、763,060百万円となりました。
負債は、主に税金等調整前当期純利益が増加したことに伴う未払法人税等の増加により、前連結会計年度末に比べ6,997百万円増加し、553,524百万円となりました。
純資産は、主に利益剰余金の増加により、前連結会計年度末に比べ10,197百万円増加し、209,536百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて1.2ポイント上昇し、26.1%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して5,978百万円増加し、109,385百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、68,013百万円の収入(前連結会計年度比27,726百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益31,251百万円、減価償却費31,843百万円、売上債権の増減額(収
入)5,448百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、47,870百万円の支出(前連結会計年度比14,240百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出49,096百万円、無形固定資産の取得による支出6,723百万円、投資有価証券の売却による収入8,142百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、14,050百万円の支出(前連結会計年度比79,948百万円の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入45,110百万円、長期借入金の返済による支出49,879百万円、短期借入金の純増減額(支出)3,769百万円によるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
事業活動における資金需要の主なものは、運転資金需要と投資資金需要です。運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動における原材料及び商品仕入れ、製造費や販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、事業戦略の遂行に必要な投資や品質改善・安全・環境のために必要な設備投資等です。
運転資金につきましては主に金融機関からの短期借入金で調達し、投資資金につきましては主に長期社債及び金融機関からの長期借入金により調達しています。また、今後の資金需要や金利動向等の調達環境、既存借入金や長期社債の償還時期等を総合的に考慮し、調達額及び調達手段等を適宜判断して実施することとしています。
なお、当社は国内子会社との間で導入しているキャッシュマネジメント・システムの一層の機能充実による資金効率化により、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めています。
当連結会計年度において、2020年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2015年9月17日発行)の権利行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ590百万円増加しています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大は世界経済や国内外での企業活動に影響を与える事象であり、現時点で当社グループに及ぼす影響及び当感染症の収束時期を予測することは困難であるものの、当感染症の拡大による業績予想及び会計上の見積り(固定資産減損の兆候判定等)への影響については、世界的な経済低迷やオリンピックの延期、イベントの自粛、テレワークの拡大による洋紙需要の減退に伴い、生産・販売数量の減少が2020年度上期を中心に現れるものと見込んでいます。その後徐々に回復には向かうものの、世界的な経済低迷や景気の回復には相当の時間を要するという前提で見通しを立てています。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、それぞれ独立したキャッシュ・フローまたは損益の取得が可能であり、また管理会計上も個別の事業計画を策定している単位を基礎として、資産のグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき合理的に算定しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フローや正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件が変更された場合、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。
(6) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 紙・板紙 | 269,834 | 97.6 |
| ホーム&パーソナルケア | 139,075 | 99.3 |
| 報告セグメント計 | 408,909 | 98.2 |
| その他 | 23,279 | 114.1 |
| 合計 | 432,188 | 98.9 |
(注)金額は製造原価によっています。
(7) 受注状況
紙・板紙事業及びホーム&パーソナルケア事業の製品については、需要を予測して見込生産を行っており、特に受注生産は行っていません。
(8) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| 紙・板紙 | 317,825 | 100.4 |
| ホーム&パーソナルケア | 204,732 | 104.9 |
| 報告セグメント計 | 522,557 | 102.1 |
| その他 | 23,876 | 107.0 |
| 合計 | 546,433 | 102.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。
なお、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がないため、「相手先別の販売実績」は記載していません。
(9) 次期の見通し
米中貿易摩擦等により、国際情勢が不透明さを増す中、新型コロナウイルス感染拡大は世界経済全体にマイナス影響を与えており、国内経済についても先行きは依然として不透明な状態が継続すると予測します。また、紙パルプ業界においては、洋紙の需要減少等により引き続き厳しい状況が続くものと予想します。
このような状況の中、当社グループは、紙・板紙事業では三島工場N7号抄紙機の板紙マシンへの転抄、脱プラスチック需要の高まりに合わせたプラスチック代替品や梱包用途の紙の拡販等の需要構造の変化に対応する構造改革を継続していきます。三島工場のコスト競争力のあるパルプを最大限に活用し、より高付加価値の紙製品に生産シフトする構造改革をさらに推進することで、収益性を高めていきます。また、業界トップクラスの古紙処理技術を活用した難処理古紙の有効利用を進めることにより、競争優位性を強化していきます。
ホーム&パーソナルケア事業については、国内では2021年度に川之江工場へ最新鋭の衛生用紙生産設備を増設することにより、高付加価値商品の需要伸長に対応できる安定供給体制の構築を進めます。また、日本国内におけるマスク不足の状況を踏まえ、安定的な供給に貢献するため、子会社(エリエールプロダクト株式会社)に最新鋭の生産設備を導入し生産を開始しました。海外では、新たな生産拠点を増やすことにより、主力であるベビー用紙おむつに加え、大人用紙おむつ、フェミニンケア用品、ウエットワイプの各カテゴリーで拡販に取り組み、複合事業化を進めます。なお、2020年2月に公表しましたブラジルのサンテルS.A.及びトルコのエリエールインターナショナルターキー・キシセル・バクム・ウルンレリ・ウレティムA.S.(旧ウゼンA.S.)については、新型コロナウイルス感染拡大による衛生意識の高まりを受け、両社の足元の損益は当初想定以上に堅調に推移しています。サンテルS.A.については株式取得前ではありますが、2021年3月期の業績予想には両社で通期200億円程度の売上高を織り込んでいます。
2021年3月期の連結業績については、売上高565,000百万円、営業利益28,000百万円、経常利益25,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益13,000百万円を予想しています。