有価証券報告書-第169期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 15:08
【資料】
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【項目】
128項目

対処すべき課題

今後の当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻く経営環境を展望すると、わが国経済は、各種政策の効果が下支えするなか、緩やかな回復が続くことが予想されるが、米国の金融政策正常化に向けた動きの影響や欧州の政府債務問題、中国や新興国経済の先行きなどによっては、景気が下振れするリスクも懸念される。印刷業界においては、企業の広告宣伝費は引き続き回復傾向で推移すると見込まれるが、出版市場をはじめとする既存の印刷市場は依然として成熟傾向にある。また、円安に伴う原材料価格の上昇など収益面での下振れリスクも懸念され、引き続き厳しい経営環境が予想される。このような環境のなか、当社はグループ一体となり、「TOPPAN VISION 21」に基づき、さらなる発展を図っていく。
また、当社グループは、企業の社会的責任(CSR)を果たす取り組みを通じて、経済的側面の追求と同時に、社会的・環境的側面にもバランスよく取り組み、これまで以上に社会から信頼される強い企業グループへの成長を目指していく。中期的な経営課題としては、グループを含めた構造改革の遂行、新事業・新市場の創出、グローバルな事業展開の加速を重要な経営課題と位置づけ、次の施策を展開していく。
(1) グループを含めた構造改革の遂行
グループを含めた構造改革の遂行については、重複事業の再編、不採算事業の精査を行うとともに、間接部門を含めた生産性向上と人員の最適化を推進していく。
(2) 新事業・新市場の創出
新事業・新市場の創出については、新しいビジネスの創造に注力し、トッパングループの持続的な成長を図っていく。
平成27年4月にマテリアルソリューション事業本部から高機能・エネルギー関連事業及び建装材関連事業を切り出し、生活環境事業本部と統合させ、生活・産業事業本部を新設した。特に透明バリアフィルムにおいては、エレクトロニクスに関連した新規用途の開発や新市場の開拓を実現してきたが、今後はパッケージのコンバーティング技術を最大限に活用することで、生活資材と産業資材の新商品開発の加速と販売体制の強化を図っていく。
また、高セキュリティに対応したトッパングループ・データセンターを活用し、高度な情報保護が求められる各種セキュア関連の事業やBPO需要の獲得を目指すとともに、企画力やICTなどを駆使したトータルソリューションの提供により、お客さまの課題解決に貢献していく。その一例として、ICT教育支援システムの提供により教育現場の情報化対応と21世紀にふさわしい学びの場作りを支援していく。
さらに、平成26年4月に竣工した群馬センター工場は、包装材生産拠点の基幹工場として本格的に稼動を開始し、クリーンな生産環境や高度な品質管理体制などの特長を活かして、最先端の包装材を提供していく。
加えて、エネルギーソリューションや燃料電池部材、オーダーメイド医療用の遺伝子解析システムなど、「印刷テクノロジー」を応用した取り組みの早期事業化を目指す。
(3) グローバルな事業展開の加速
グローバルな事業展開の加速については、セキュアやパッケージ関連など技術優位性を持つ事業を中心に、旺盛な海外需要に対応していく。
セキュア関連においては、海外向け製品ラインアップの充実や、セキュア媒体とICTの組み合わせにより早期実績化を図っていく。
マーケティング関連においては、中国の広告市場をはじめとする海外需要の取り込みを図り、訪日観光客の増加に伴う新たな市場へのアプローチを強化していく。
パッケージ関連においては、平成28年3月に米国に透明バリアフィルムの生産拠点として新工場を竣工する予定であり、現地有力企業とのアライアンスなども視野に、グローバルな生産・販売体制の構築により事業の速やかな立ち上げを図っていく。
(4) 会社の支配に関する基本方針
① 株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社においては、当社の社会的使命を十分に理解し、専門性の高い業務知識や営業ノウハウを備えた者が取締役に就任し、法令及び定款の定めを遵守しつつ当社の財務及び事業の方針の決定に携わることが、当社及び当社株主共同の利益に資するものと考えている。
② 不適切な者による支配の防止のための取組みの概要
当社取締役会は、不適切な者による当社の支配を防止する観点から、当社の株式に対する買収提案がなされた場合、その内容が妥当か否かを当社株主が適切に判断できるよう、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であると考える。
そのため、平成19年6月28日開催の第161回定時株主総会の決議によって、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為を行おうとする者に対して、事前に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、当社取締役会が当該情報を検討するために必要である一定の評価期間が経過した後にのみ大規模買付行為を開始できることを要請する「大規模買付者による情報提供及び当社取締役会による対抗措置の発動に関するルール」の導入を決定している。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限に尊重したうえで、当社及び当社株主全体の利益を守ることを目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律及び当社定款により認められる対抗措置をとり、当該大規模買付行為に対抗する場合がある。
また、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当社取締役会の評価として当該大規模買付行為が当社及び当社株主全体の利益を著しく損なうと判断した場合には、同様に対抗措置をとることがある。
なお、当該ルールは、有効期限の到来に伴い、平成22年6月29日開催の第164回定時株主総会及び平成25年6月27日開催の第167回定時株主総会において、その更新を決議している。
③ 上記②の取組みについての取締役会の判断
当社取締役会は、上記②の取組みが上記①の基本方針に沿って策定され、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保するための取組みであり、当社株主全体の利益を損なうものではないと考える。
また、当社は、取締役会によって恣意的な判断がされることを防止し、判断の合理性及び公正性を担保するために、当社取締役会から独立した機関として特別委員会を設置している。上記②の取組みには、新株予約権無償割当等、会社法その他の法律及び定款により認められる対抗措置をとる場合には特別委員会の勧告を最大限尊重し、当社及び当社株主の共同の利益を守ることを目的とすることが定められており、取締役の地位の維持を目的とするものではない。