四半期報告書-第100期第1四半期(平成30年1月1日-平成30年3月31日)

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2018/05/11 9:32
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間である前連結会計年度は2017年4月1日から2017年12月31日までの9カ月間となっています。このため、以下の記述において、当第1四半期連結累計期間の業績は前年同一期間である2017年1月1日から2017年3月31日までの業績と比較しています。
(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるグローバル経済情勢を振り返りますと、アメリカでは個人消費や設備投資の増加などにより景気の回復が継続しました。欧州ではイギリスのEU離脱問題などに伴い先行きに不透明感があるものの、景気は緩やかに回復しました。中国をはじめとするアジア新興国の景気は持ち直しの動きがみられました。わが国の経済については、景気は緩やかな回復基調を続けていますが、海外経済の不確実性や為替変動リスクなどには引き続き留意が必要です。
当社グループは、2018年1月1日から運用を開始した第6次中期経営計画において、コンシューマー・エレクトロニクス(IT)、自動車、医療機器、高機能パッケージ資材の4市場を重点市場と定め、これまでに獲得・構築した事業基盤を最大限に活用したグローバルベースの成長戦略の実現により、事業ポートフォリオの組み換え・最適化をさらに発展させたバランス経営の完成を目指しています。当第1四半期連結累計期間の業績は、概ね想定通りに推移しました。産業資材やメディカルテクノロジー事業の製品需要は堅調に推移したものの、主力のディバイス事業では製品需要の低迷により、力強さに欠ける展開となりました。
これらの結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は363億14百万円(前年同期比6.9%増)、利益面ではEBITDAは5億15百万円(前年同期比12.7%減)、営業損失は18億29百万円(前年同期は22億73百万円の営業損失)、経常損失は36億63百万円(前年同期は26億42百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は36億12百万円(前年同期は40億53百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
(注) EBITDAは、営業利益+減価償却費+のれん償却額としています。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
なお、当第1四半期連結会計期間より、従来「ライフイノベーション」としていた報告セグメントの名称を「メディカルテクノロジー」に変更しています。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。なお、前第1四半期連結累計期間のセグメント情報についても変更後の名称で記載しています。
産業資材
産業資材は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾を行うIMDおよびIMLは、グローバル市場で自動車(内装)、家電製品、スマートフォンなどに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けの高機能パッケージ資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。
当第1四半期連結累計期間においては、主力の自動車向け加飾分野を中心として製品需要は概ね想定通りに推移しました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は117億75百万円(前年同期比2.9%減)となり、EBITDAは11億99百万円(前年同期比15.8%増)、セグメント利益(営業利益)は2億67百万円(前年同期比446.4%増)となりました。
ディバイス
ディバイスは、精密で機能性を追求したディバイスを提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でスマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、産業用機器、自動車などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。
当第1四半期連結累計期間においては、主力のスマートフォン向けの製品需要が急減したことなどにより、生産部門の稼働率が大きく低下、事業収益を圧迫しました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は156億87百万円(前年同期比13.0%増)となり、EBITDAは4億85百万円のマイナス(前年同期は4億23百万円のプラス)、セグメント損失(営業損失)は12億59百万円(前年同期は7億88百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
メディカルテクノロジー
メディカルテクノロジーは、医療機器やその関連分野において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。手術用器具や医療用電極などを主力製品としており、現在はグローバルベースで大手医療機器メーカー向けの受託生産事業を展開するとともに、病院向けに自社ブランド品を生産・販売しています。
当第1四半期連結累計期間においては、主力の受託生産分野を中心に製品需要は堅調に推移しました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は48億80百万円(前年同期比18.6%増)となり、EBITDAは4億60百万円(前年同期は3億57百万円のマイナス)、セグメント利益(営業利益)は41百万円(前年同期は7億45百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
情報コミュニケーション
情報コミュニケーションは、出版印刷、商業印刷、セールスプロモーションなど、さまざまな製品・サービスを提供し、お客さま企業のマーケティング戦略や広告宣伝・販売促進などのコミュニケーション戦略全般をサポートしています。
当第1四半期連結累計期間においては、主力の商業印刷分野で情報メディアの多様化における印刷物の減少などの影響があり、事業環境は厳しいものとなりました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は38億73百万円(前年同期比2.7%増)となり、EBITDAは31百万円(前年同期比50.0%減)、セグメント損失(営業損失)は34百万円(前年同期は14百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末における総資産は1,977億14百万円となり前連結会計年度末(2017年12月期末)に比べ274億45百万円減少しました。
流動資産は871億51百万円となり前連結会計年度末に比べ265億53百万円減少しました。主な要因は、商品及び製品が67億63百万円増加した一方、現金及び預金が120億26百万円、受取手形及び売掛金が184億92百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は1,105億63百万円となり前連結会計年度末に比べ8億91百万円減少しました。主な要因は、投資有価証券が15億12百万円増加した一方、商標権が2億54百万円、のれんが14億61百万円、顧客関係資産が4億36百万円減少したこと等によるものです。
当第1四半期連結会計期間末における負債は1,097億11百万円となり前連結会計年度末に比べ213億93百万円減少しました。
流動負債は767億65百万円となり前連結会計年度末に比べ204億25百万円減少しました。主な要因は、支払手形及び買掛金が146億11百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は329億46百万円となり前連結会計年度末に比べ9億68百万円減少しました。主な要因は、社債が1億円、長期借入金が8億8百万円減少したこと等によるものです。
当第1四半期連結会計期間末における純資産は880億3百万円となり前連結会計年度末に比べ60億51百万円減少しました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ120億6百万円減少し、172億84百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
なお、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、当第1四半期連結累計期間(2018年1月1日から2018年3月31日)と前第1四半期連結累計期間(2017年4月1日から2017年6月30日)の対象期間が異なるため、前年同四半期比については記載していません。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は46億38百万円となりました。これは主に売上債権の減少額として180億28百万円計上した一方、税金等調整前四半期純損失として31億62百万円、たな卸資産の増加額として49億85百万円、仕入債務の減少額として155億59百万円計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は43億29百万円となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得として43億77百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は16億82百万円となりました。これは主に自己株式の取得及び売却により7億16百万円、配当金の支払いにより7億58百万円支出したこと等によるものです。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
株式会社の支配に関する基本方針
Ⅰ. 基本方針の内容
上場会社・公開会社である当社の株式は、自由な取引が認められ、当社は、会社の支配権の移転を伴うような大規模な株式の買付提案またはこれに類似する行為に応じるか否かの判断は、最終的には、株主のみなさまのご意思に基づき行われるべきものであると考えています。従いまして、大規模な株式の買付提案であっても、当社グループの企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
当社では、企業価値や株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるためには、企業理念体系(Nissha Philosophy)を礎とし、未来志向型の企業として常に価値ある製品・サービスを提供することを通じて社会に貢献することが必要不可欠であると考えています。より具体的には、世界に広がる多様な人材能力と情熱を結集し、継続的にコア技術の拡充を図ること、グローバルベースで市場のニーズを捉え、他社にはできないものづくりを通じて付加価値の高い製品・サービスを提供すること、そして人々の豊かな社会を実現することが、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上につながるものと考えています。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、このような基本的な考え方を十分に理解し、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を中・長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えています。
従いまして、上記のような基本的な考え方を十分に理解せず、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資さない不適切な当社株式の大規模な買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考え、当社はそれを抑止するための取り組みが必要不可欠であると考えています。
Ⅱ. 基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、1929年の創業以来、印刷技術に積層、成膜、成形などの多様な技術要素を融合させながら常にコア技術の拡充を図り、製品と対象市場の多角化、グローバル市場への進出などを通じて事業領域の拡大による成長を実現してきました。当社グループでは3年の単位で中期経営計画を運用していますが、その基本戦略は事業領域の進化・拡大による事業ポートフォリオの最適化です。
2017年度で終了した先の第5次中期経営計画では、主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)市場向けへの製品開発、設備投資により新たな大型受注を獲得したほか、積極的なM&A戦略により自動車市場における事業拠点の拡充、医療機器分野・高機能パッケージ資材分野への新規事業参入を実現しました。国内外の事業拠点は50カ所を超え、海外に勤務する社員の割合は半数を超えるに至りました。
2018年度から運用を開始した第6次中期経営計画では、こうした事業基盤を最大限に活用したグローバルベースの成長戦略の実現により、事業ポートフォリオの組み換え、最適化をさらに発展させた「バランス経営の完成」を目指し、売上高・EBITDA・営業利益のすべてにおいて過去最高を更新するビジョンを掲げています。
当社は創業以来、経営者の強いリーダーシップのもと、経営環境の変化に的確に対応した戦略を実践してきました。当社はこのリーダーシップとともにコーポレートガバナンスを強化することにより、迅速かつ果断な意思決定が促進され、同時に経営の透明性、公正性を確保することができると考え、コーポレートガバナンスを重要な経営課題と認識しています。
当社は、執行役員制度を導入し、取締役会が担うべき戦略策定および経営監視機能と、執行役員が担うべき業務執行機能との分化を図っています。また、取締役会のダイバーシティーを推進し、現在の取締役会は、独立性の高い社外取締役4名を含む取締役9名(社外取締役比率44.4%、女性比率11.1%)で構成されています。社外取締役は他社での企業経営の経験や製造業での事業経営の経験、事業戦略、IT、金融経済全般に関する高い見識などから有益な指摘、意見を述べ、取締役会の議論は活性化しています。また、2015年10月には、当社はコーポレートガバナンス基本方針を制定しました。当社はその基本方針に基づき、社外取締役が過半数を占めかつ委員長を務める指名・報酬委員会を設置し、社外取締役の知見を活用することで役員の選任や報酬に関して客観性と公正性の確保を図るとともに、取締役会の実効性評価を年1回実施し、取締役会の機能のさらなる向上に努めています。
当社は、以上の取り組みを継続して実行することによって、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上を実現できるものと考えています。
Ⅲ. 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2016年5月12日開催の当社取締役会において、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益のより一層の確保・向上を目的として、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の一部改定(以下、「本プラン」といいます。)を決議し、2016年6月17日開催の第97期定時株主総会において株主のみなさまにご承認いただきました。
本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け、もしくは、当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けに該当する行為もしくはこれに類似する行為(以下、「買付等」といいます。)を行うまたは行うことを提案する者(以下、「買付者等」といいます。)が現れた場合に、当該買付等に応じるべきか否かを株主のみなさまが判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保すること、株主のみなさまのために買付者等との交渉を行うこと等を可能とすることを目的とし、その実現のために必要な手続を定めています。買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う場合、または、買付者等による買付等が当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を著しく損なうと判断される場合は、一定の対抗措置を実施することがあります。
(ご参考)
本プランの詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。
Ⅳ. 上記の取り組みについての取締役会の判断
上記Ⅱの取り組みは、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための施策であり、その結果が株主および投資家のみなさまによる当社株式の評価に適正に反映されることにより、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を著しく損なうおそれのある買付等は困難になるものと考えられます。
上記Ⅲの取り組みは、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための手続を定めるものです。また、本プランにおいては、(ⅰ)株主総会において株主のみなさまのご承認を得て導入されたものであることに加え、一定の場合には対抗措置の実施または不実施につき株主のみなさまのご意思を確認する仕組みが設けられていること、(ⅱ)株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によりいつでも本プランを廃することができること、(ⅲ)当社取締役会の恣意的判断を排除するため、独立委員会を設置し、取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重して意思決定を行うものとしていること、(ⅳ)本プランの発動に関する合理的な客観的要件が設定されていること等が定められています。
従いまして、上記ⅡおよびⅢの取り組みは、いずれも、基本方針に沿うものであり、株主のみなさまの共同の利益の確保・向上に資するものであり、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は9億33百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。