有価証券報告書-第163期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 11:02
【資料】
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【項目】
111項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

以下の内容には将来に関する事項が含まれているが、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
「1 業績等の概要 (1) 業績」を参照。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因
若者を中心とする新聞離れという業界全体の構造的な問題を抱えるなかで、全国の日刊新聞の総発行部数は減少傾向が続き、中でも、20~30代での無読層の増加は将来にわたって経営へのマイナス要因となる可能性がある。多メディア化が進む中で、新聞広告の比重は下がりつつあり、広告収入も今後大きな増収は期待できない。税率が10%に引き上げられることが予定されている消費税については、日刊新聞は軽減税率の対象になる見通しだが、増税による消費マインドの低迷や企業業績への影響から、さらなる部数や広告の減少につながることも予想され、収支を下ぶれさせる経営リスクとなるおそれがある。
(4) 経営戦略の現状と見通し
一昨年の一連の問題を踏まえ、全社を挙げて信頼回復と再生に向けた取り組みを続けてきた。15年4月、紙面に社外の声を反映させる仕組みとして、パブリックエディター(PE)制度を導入した。社外から3人のPEを迎え、社外から寄せられる声を紙面づくりに反映していく。15年春からは、多様な意見を載せるフォーラム面や訂正記事を集めるコーナーを新設するなど、紙面での改革も進めた。
営業面では、法人営業の横串化を進めるため、16年5月に、広告局をメディアビジネス局に改称した。また、総合プロデュース室を新設して、新商品の開発と統合営業を進めていく。
一方、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、15年4月に「オリンピックパラリンピック・スポーツ戦略室」を発足させた。16年1月には、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と、「東京2020オフィシャルパートナー」の契約を締結。様々なイベントや活動を通じて、大会の成功に貢献していく。
総合メディア企業として多様なサービスを迅速に提供していくため、技術部門の強化を図る。情報発信分野の技術開発に重点を置き、技術者の配置や運用、育成の一元化を進める。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末の総資産は605,226百万円で、前連結会計年度末比10,598百万円(1.8%)の増加となった。主な要因は、有形固定資産が9,657百万円(5.2%)増加したことなどである。
負債合計は288,806百万円で、前連結会計年度末比32,486百万円(12.7%)の増加となった。増加の主な要因は、退職給付に係る負債が28,664百万円(19.6%)増加したことなどである。
純資産合計は316,419百万円で、前連結会計年度末比21,887百万円(6.5%)の減少となった。減少の主な要因は、退職給付に係る調整累計額が25,154百万円(569.0%)減少したことなどである。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は50.59%となり、前連結会計年度末比で4.63ポイント減少した。
キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」を参照。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが独立した言論・報道機関として存続し続けるためには、確固たる経営基盤を築かなければならない。当社は16年度から20年度までの「中期経営計画2020」を策定し、16年1月に発表した。企業理念は「ともに考え、ともにつくる~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」とした。めざすべき2020年の姿を描き、実現に必要な戦略と行動計画をまとめた。既存事業の足場固めと成長事業の創出が柱となっている。成長事業の創出では、新たな収益源の確立に向けて、メディア、教育、シニアなど当社と親和性のある領域で新事業を開拓していく。また、メディアラボなどを中心に、他企業との提携などを通じて、新しい事業への展開も積極的に進めていく。