有価証券報告書-第61期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:56
【資料】
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【項目】
116項目

対処すべき課題

当社グループの主力事業であるビジネスフォーム、DPSは、顧客業務のIT化・ネットワーク化による構造的な変化に伴い、市場の成熟化が進んできております。
こうした事業環境のなか、当社グループでは、持続的な成長の実現に向けて、「ペーパーメディアとITの融合の加速」「デジタル印刷の利用・活用の拡大・強化」「戦略的投資によりグループ化した企業の戦力化」に重点的に取り組み、以下に示す「成長戦略の推進」「経営基盤の強化」を進めてまいります。
1)成長戦略の推進
① 印刷事業
ビジネスフォーム、DPSで培った可変データの運用ノウハウと最高水準の情報セキュリティ体制をもとに、視線計測や脳科学を活用した科学的アプローチによる印刷物の改善コンサルティングや、デジタル印刷技術の強化によるパーソナルな印刷物の拡販を進めてまいります。また、顧客のコミュニケーションや業務プロセスをより効率的、効果的に改善する分析機能や企画提案力の強化などにより、自治体や金融機関などを中心にDPS、BPOの上・下流域へと事業領域の拡大を図ってまいります。さらに今年度施行のマイナンバー制度、来年度の電力小売完全自由化など法制度改正に伴い発生する需要の取り込みを推進してまいります。
② ICT事業
当社グループの強みである印刷とデジタルを組み合わせた独自ソリューションの開発を推進いたします。また、国内トップシェアであるIDカード分野ではカード発行を含めたコスト競争力強化と利便性を実現するサービスの開発などにより、シェア拡大を図ります。さらに、セキュリティ用途や製造・物流・金融業界での活用など、有望分野へのRFIDソリューションの展開を強化するとともに、決済プラットフォーム事業の推進を中心とした新たな収益基盤を確立してまいります。
③ 商品事業
当社が保有するウェブ購買システムの機能を拡張し、利用者の利便性の向上やサービスの拡充を図り、顧客の囲い込みを強化するとともに、サプライ品販売の効率化を進めます。また、付加価値の高い商品やサービスへの選択と集中を進めるとともに、競争力のあるオリジナル商品の企画・開発を推進します。さらに物流・環境・セキュリティ市場の開拓強化に加え、事務効率化機器の拡販など、法制度改正に対応した需要を取り込んでまいります。
加えてシステム運用受託事業につきましては、IT技術者の育成を強化し、高いスキルが求められる業務へと受託範囲を拡大してまいります。
④ 海外事業
大きな経済成長が見込まれるASEAN市場において、交通系カードを中心とする社会インフラビジネスの取り込みを図るなど、連結子会社化したデータ・プロダクツ・トッパン・フォームズ社(タイ)を拠点として、周辺国を含めた事業の拡大を進めてまいります。
また、香港・シンガポール市場においては、グループ各社の販売連携やパートナー連携の強化により、シェアを拡大してまいります。
さらに、中国市場においては、浙江茉織華印刷有限公司と当社グループ各社との製造・販売連携により、上海、広州地域を中心に市場の開拓を進めてまいります。
2)経営基盤の強化
個人情報取扱事業者として顧客からの信頼を揺るぎないものとするため、製品・サービスのさらなる品質向上を図るとともに、製造拠点の集約、生産性の向上、低コスト材料の開発、最適生産体制の確立などによる、製造コストのさらなる削減を推進し、収益力の強化を図ってまいります。
また、国内の取引所に上場する企業を対象として本年6月からの適用が予定されている「コーポレートガバナンス・コード」を適切に実践し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上につなげてまいります。
企業の社会的責任(CSR)につきましては、当社を取り巻く全てのステークホルダーに対して社会的責任を果たしていくという基本的な認識のもと、ダイバーシティ&インテグレーション(多様性とその集積による成果最大化)を推進し、積極的な女性の活躍推進など働きがいに満ちた企業風土づくりに取り組んでまいります。
地球環境の保全への取組みとしては、環境マネジメントシステム(EMS)を推進し、事業活動における環境負荷の低減を図るとともに、環境配慮型製品の開発・提供を通じて環境保全に貢献してまいります。加えて本年より、温室効果ガス排出量の新しい算定基準(スコープ3)を採用し、自社の企業活動だけではなく、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減に取り組んでまいります。
コンプライアンス、内部統制の強化などの課題につきましては、専門部署を中心とした全社的な内部統制システムの運用・整備により、法令の遵守はもとより、企業倫理を高める活動を継続的に推進してまいります。