有価証券報告書-第140期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/23 15:27
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研究開発活動

当社グループ(当社および連結子会社)は、事業拡大と収益向上に寄与すべく、独自の優位性ある技術の確立を基本方針とし、各社が独自に研究開発活動を行っているほか、当社グループ全体としての効率性を念頭に置きながら、互いの研究開発部門が密接に連携して共同研究や研究開発業務の受委託等を積極的に推進しております。
当連結会計年度においては、2019年度から2021年度までの中期経営計画に従い、ヘルスケア、食糧、環境負荷低減、ICTの4分野に研究資源を重点投入するとともに、異分野技術融合による新規事業の芽の発掘とその育成に取り組んできました。
これに基づき、当連結会計年度に計上された研究開発費は、前連結会計年度に比べ43億円増加し、1,787億円となりました。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
石油化学分野では、事業のグローバル競争力強化のために、モノマー製品の触媒・プロセスの改良、合成樹脂の製造プロセスの改良、既存素材の高性能化や新規高付加価値製品の開発に取り組む一方で、環境負荷低減に資する資源循環技術の確立にも注力しております。
当連結会計年度において、プロピレンオキサイド単産法、塩酸酸化、気相法カプロラクタム等の環境負荷低減プロセスに用いる触媒の高性能・長寿命化を目指した改良研究を継続実施しました。ポリエチレン、ポリプロピレンでは、電気自動車(EV)用部材、食品用レトルトパウチ等の各種用途に最適な材料の開発を進めております。資源循環技術では、リサイクルが容易な包装用ポリオレフィン材料として、素材メーカーとして強みを生かした材料設計を駆使し、剛性と耐熱性を単一の樹脂で両立するモノマテリアル包材の開発を推進しております。新製品開発では、蓄熱性能を有する樹脂材料が大手寝具メーカーに採用され、商品化展開で大きな進展が見られましたが、更にその他の繊維用途や住宅建材への適用検討も進めております。また、新型コロナウイルス感染防止対策に貢献する技術として、飛沫防止パーテーションに用いられるアクリル板に抗菌・抗ウイルス機能を付与する開発も進め、早期の製品化を目指しております。
なお、石油化学部門における当連結会計年度の研究開発費は69億円であります。
エネルギー・機能材料分野では、環境・エネルギー関連事業を拡大させるため、リチウムイオン二次電池用部材、スーパーエンジニアリングプラスチックス、無機材料、合成ゴム材料、機能性樹脂材料などの幅広い製品領域で、既存製品の競争力強化や新規製品創出に向けた研究開発に取り組んでおります。 当連結会計年度において、リチウムイオン二次電池用各種部材は、自動車向けを中心に、性能向上の要請や需要拡大に応えるため、開発を鋭意進めました。耐熱セパレータでは、性能向上とコスト削減を両立させる技術開発が進捗し、正極材は独自技術を用いた高容量タイプの開発品の顧客評価が進んでおります。負極塗工やセパレータ塗工に用いられるアルミナについては、当連結会計年度に生産効率を高めた設備が完成し稼働を開始しました。また、2020年4月に開設した京都大学産学共同研究講座「固体型電池システムデザイン」では、固体型電池の実用化に向けた材料および要素技術の開発が進捗しております。 機能樹脂分野では、電気・電子部品分野向けや自動車部材向けにスーパーエンジニアリングプラスチックスの需要が増大しております。ポリエーテルサルホン(PES)では、自動車部材や高機能膜向けの開発・拡販を積極的に進めております。液晶ポリマー(LCP)では、高温耐久性や高剛性を活用した自動車用途向け射出成形材料に加えて、高周波特性に優れたグレードやフィルム用途グレードの開発を進めており、次世代移動通信(5G)用途で顧客採用が進んでおります。
また、無機材料分野では、半導体製造装置等向けの超微粒アルミナの開発を推進し、パイロット設備を用いた工業化検討や試作品の顧客評価を行い、いずれも良好な結果を得ました。強度や耐薬品性に優れるのが特長であり、実プラントへの適応を急ぐ予定です。
なお、エネルギー・機能材料部門における当連結会計年度の研究開発費は82億円であります。
情報電子化学分野では、日本国内に留まらずグローバルな技術・研究開発能力を結集し、IT関連の先端技術進化を支える新規材料・部材・デバイスに関する新製品の開発に、引き続き積極的に取り組んでおります。 まず、ディスプレイ材料分野においては、次世代ディスプレイの主流になりつつあるOLEDパネルに対し、当社独自のキーコンポーネントである「液晶塗布型位相差フィルム」を用いたOLED用偏光フィルムの適用範囲を大型テレビ用途から、中小型モバイル用途まで拡大いたしました。また、次世代端末として注目されているフォルダブルスマートフォンに対し、カバーガラス代替高機能フィルム出荷開始に次いで、折り曲げ特性に優れた「液晶塗布型偏光板」の開発・市場投入を進めております。
半導体材料分野においては、半導体集積度向上という命題に対し、微細加工分野において現在主流の液浸ArFレジストのラインナップ拡充に加え、次世代製品であるEUVレジストや多層配線用厚膜レジストの開発・市場投入を進めております。化合物半導体材料分野においては、高速・大容量通信、省エネ、自動運転等の技術を支え、より高度な社会の実現に貢献すべく、高周波デバイス用各種エピウェハの設計開発を行っております。
IoTの主要構成ツールとして拡大が見込まれるセンシングデバイス分野においても、既に事業確立しているディスプレイ用タッチセンサーのさらなる高機能化や複合化を進めるとともに、薄膜形成を中心とした要素技術を活用し、新規センサーの開発に取り組んでおります。また、モバイル端末等に使用されるイメージセンサー用途に対して、ディスプレイ(光学)・半導体双方の領域で蓄積した技術とノウハウを活用し、高解像度/高感度化に貢献する多様なプロセス材料の開発を行っております。
なお、情報電子化学部門における当連結会計年度の研究開発費は187億円であります。
健康・農業関連事業分野では、世界の食糧増産、健康・衛生や環境の改善といった課題解決を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するため、技術イノベーションが急速に進むIoTやバイオテクノロジー技術を活用し、新製品やアプリケーション、競争力のある製造プロセスの開発に取り組むことで、コア事業の強化と周辺事業への展開および川下化を推進しております。
当連結会計年度において、国内農業関連事業については、新規殺虫剤であるオキサゾスルフィルが農薬登録を取得しました。本剤を含有する水稲用製品の上市に向けて準備を進めております。また、コメ事業においては消費者や生産地のニーズにそって収量性や食味、熟期などで特徴のある新品種の開発を進めるなど、農薬や肥料製品、ならびにコメ品種のポートフォリオの更なる拡充を進めております。さらに、当社が開発した画像診断技術を活用した病害虫画像診断アプリを公開するなど、農業生産者への総合的ソリューションの提供に向けた研究開発を進めております。海外農業関連事業においては、新規殺菌剤であるインディフリンを米国およびカナダで上市しました。引き続き本剤を活用した新用途および新製品の開発を進めております。本剤は、南米における重要病害であるダイズさび病の防除にも有効であり、同地域でも上市に向けて準備を進めております。ニューファーム社南米子会社の買収完了に伴い刷新しました同地域での研究開発体制のもと、本剤を中心とした各種製品開発を加速していきます。また、欧州市場を中心とした展開が期待される当社新規殺菌剤メチルテトラプロールの開発、バイエル社との雑草防除体系の創出プロジェクト(当社が新規除草剤、バイエル社が耐性作物の開発を担当)およびコルテバ・アグリサイエンス社との種子処理技術の開発、商業化プロジェクトにも引き続き取り組んでおります。さらに、当社バイオラショナル事業の拡大を目的とした組織改編を行いました。新体制下で上市に向けて準備を進めております新規農業用植物生長調整剤を含む各種バイオラショナル製品開発を進めることでサステナブルな農業への貢献を一層加速します。
生活環境事業については、重点強化領域の市場セグメントにおける新製品の開発と製品群の拡充を推進しております。引き続き強い市場ニーズのある天然物由来製品に対応すべく、グループ会社と共同で、新規ボタニカル殺虫剤の登録申請に向けたデータ取得を順調に進めております。業務用殺虫剤分野では、アメリカ市場で主要対象害虫の一つであるアリ用の新製品を、インド市場では難防除害虫であるトコジラミ用の新製品を上市し、さらなる製品の開発に取り組んでおります。熱帯感染症対策資材分野では、抵抗性を持つ蚊へ卓効を示す室内残留散布剤の登録国を増やすと同時に、蚊の発生源対策として幼虫防除用新製品の開発・登録を引き続き進めていくことで、長期残効性蚊帳と併せて熱帯感染症を媒介する蚊に対して総合的な防除を可能とする製品拡充に取り組んでおります。また、新たな取り組みとして感染症拡大防止へ向けた天然抽出物由来の抗ウイルス剤の開発も進めております。
アニマルニュートリション事業については、競争力強化のためメチオニンの合理化製法の開発やプロセス改善に加え、機能性飼料添加物分野における製品ラインナップ拡充のため、飼料効率の改善と安心・安全な畜産生産に貢献できる新規製品の開発を一層加速する計画です。また、近年問題となっている家畜排泄物由来の温室効果ガスの低減を目的として、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構や国内大学などとの共同研究プロジェクトに参画し、引き続きメチオニンを含むアミノ酸バランス改善飼料の技術普及を推進しております。
医薬化学品事業については、当社の有機合成プロセスの技術力を駆使したジェネリック原薬の製法開発、および新薬の受託製造品目の拡充に取り組んでおり、有望な複数の開発品・新製品に対して商業生産へ向けた準備を進めております。また、将来の成長が見込まれる核酸医薬原薬の製造において、長鎖RNAを中心にオリゴ核酸のGMP(Good Manufacturing Practice)管理下での生産実績を積むとともに有望な開発品の製造を受託し、競争力のある要素技術の獲得、独自技術の拡張を目的とした研究開発を推進しております。
なお、健康・農業関連事業部門における当連結会計年度の研究開発費は286億円であります。
医薬品分野では、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域とし、また、感染症領域にも取り組み、グローバルヘルスへの貢献を目指し、大日本住友製薬および日本メジフィジックス株式会社が有する自社技術を活かした研究開発に加え、技術ライセンス、ベンチャー企業やアカデミアとの共同研究などによる最先端の外部技術の導入にも取り組み、優れた医薬品の継続的な創製を目指しております。さらに、医薬品以外のヘルスケア領域において、社会課題の解決のための新たなソリューションを提供することを目的として、フロンティア事業の立ち上げを目指しています。 当連結会計年度においては、精神神経領域で次の進展がありました。①「キンモビ」(一般名:アポモルヒネ塩酸塩水和物) について、2020年5月、米国において成人のパーキンソン病に伴うオフ症状の改善を適応症とした承認を取得し、同年9月に発売しました。②「ロナセン」(一般名:ブロナンセリン)について、2021年3月、日本において統合失調症における小児の用法・用量を追加する一部変更承認を取得しました。本剤は日本で初めての統合失調症の小児適応を持つ非定型抗精神病薬となりました。③SEP-363856について、日本および中国において統合失調症を対象とした国際共同フェーズ2/3試験を開始しました。 がん領域では、①「オルゴビクス」(一般名:レルゴリクス)について、2020年12月に、米国において成人の進行性前立腺がんを適応症とした承認を取得しました。また、2021年3月に、欧州において進行性前立腺がんを対象とした承認申請を行いました。②ナパブカシン(開発コード:BBI608)について、米国、日本等において、結腸直腸がんを対象とした国際共同フェーズ3試験を実施していましたが、同試験の解析結果において主要評価項目を達成しませんでした。この結果を受けて、実施中の臨床試験を順次中止しました。③alvocidib(開発コード:DSP-2033)について、米国において急性骨髄性白血病(AML)を対象としたフェーズ2試験等を実施していましたが、競合状況およびこれまでに得られた知見を踏まえ、これらの試験を中止することにしました。 再生・細胞医薬分野では、引き続き、産学の連携先と、加齢黄斑変性、パーキンソン病、網膜色素変性、脊髄損傷などを対象に、他家iPS細胞を用いた再生・細胞医薬事業を推進します。当連結会計年度の進捗は以下のとおりです。
①デューク大学と連携して開発中のRVT-802について、米国において、小児先天性無胸腺症を対象とした再申請の準備を行いました。(注:2021年4月に、米国において小児先天性無胸腺症を対象とした再申請を行いました。)②他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞について、京都大学において実施されているパーキンソン病を対象とした医師主導治験の4例目から、大日本住友製薬で製造したドパミン神経前駆細胞を提供し、移植されています。③他家iPS細胞由来網膜シートについて、神戸市立神戸アイセンター病院において網膜色素変性に対する臨床研究が開始され、予定されていた全2例に対して、大日本住友製薬が製造した網膜シートが移植されました。 感染症領域では、アカデミアなどとの共同研究により、薬剤耐性菌感染症治療薬ならびに大日本住友製薬のワクチンアジュバントを基盤としたマラリアワクチンおよびユニバーサルインフルエンザワクチン(ほとんどの型のインフルエンザウイルスに対し幅広い効力を持つインフルエンザワクチン)の創薬研究を展開しています。当連結会計年度の進捗は以下のとおりです。①薬剤耐性菌感染症治療薬については、北里研究所との共同研究を推進しました。なお、本共同研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に係る研究開発課題として採択されており、AMEDからの委託研究開発費を活用しています。②マラリアワクチンについては、愛媛大学とのマラリア発病阻止ワクチンの共同研究ならびに愛媛大学および米国PATHとのマラリア伝搬阻止ワクチンおよびマラリア感染阻止ワクチンの共同研究を推進しました。なお、これら3つのプロジェクトについては、2019年度から3年連続で公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の助成案件に選定されました。③ユニバーサルインフルエンザワクチンについては、医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究を推進しました。 その他の領域では、①「ジェムテサ」(一般名:ビベグロン)について、2020年12月に、米国において成人の切迫性尿失禁、尿意切迫感および頻尿の症状を伴う過活動膀胱(OAB)を適応症とした承認を取得しました。②レルゴリクス配合剤について、2020年5月に、米国において子宮筋腫を対象とした承認申請を行いました。また、子宮内膜症を対象とした2本のフェーズ3試験において良好な解析結果を得ました。③イメグリミン塩酸塩(開発コード:PXL008)について、2020年7月に、日本において2型糖尿病を対象とした承認申請を行いました。 フロンティア事業においては、①2020年6月に、サノビオン ファーマシューティカルズ インコーポレーテッドとBehaVR LLCとの間で、社交不安障害を緩和するVR機器のコンテンツに関する共同研究開発契約を締結しました。②2020年7月に、日本において損害保険ジャパン株式会社および株式会社Aikomiとの間で、認知症・介護関連のデジタル機器の研究開発および事業化に向けた連携を開始しました。③2020年8月に、日本において株式会社Save Medicalとの間で、2型糖尿病管理指導用モバイルアプリケーション(開発コード:SMC-01)の共同開発契約を締結し、フェーズ3試験を開始しました。④2020年10月に、日本においてドローブリッジ・ヘルス・インコーポレーテッドとの間で、生活習慣病を対象とした自動採血・保存機器に関する共同研究開発契約を締結しました。 放射性医薬品については、AMEDによるCiCLE事業の研究開発課題として採択されたセラノスティクス(治療と診断の融合)薬剤開発プロジェクト「CRADLE(Consortium for Radiolabeled Drug Leadership)」を日本メジフィジックス株式会社が中心となって推進しています。初期段階の研究については、高性能コンピュータを駆使したインシリコ創薬技術、iPS細胞などの最先端のサイエンスを取り入れた創薬に取り組んでいます。また、国内外の大学を含む研究機関等との研究提携も積極的に推進しております。 なお、医薬品部門における当連結会計年度の研究開発費は998億円であります。
全社共通およびその他の研究分野においては、上記5事業分野の事業領域を外縁部へ積極拡大するための研究およびマテリアルズ・インフォマティクス等の計算機科学をはじめとする共通基盤技術開発の強化により、ヘルスケア、食糧、環境負荷低減、ICTの重点4分野における次世代事業の創出加速を進め、社会的課題の解決の実現を推進しております。当連結会計年度においては、次の進展がありました。
ヘルスケアおよび食糧分野では、当社の保有技術を活かすことが可能と思われる核酸医薬、機能性食品、体調可視化などの先進医療・予防・診断、食糧の品質・収量向上に関する技術の開発に引き続き取り組んでおります。体調可視化による次世代ヘルスケアプラットフォームの基盤技術を共同開発しておりますイスラエルのナノセント社に、新型コロナウイルス感染症の迅速診断センサー開発のために資金提供いたしました。また、株式会社理研鼎業と共創契約を締結し、同社のライフサイエンス分野およびデータサイエンス分野の知見と当社の技術を融合させることにより、新しい事業の創出を目指しております。
環境負荷低減分野では、炭素循環や温室効果ガス排出削減に関する環境負荷低減の技術開発を加速するために、2020年4月に、複数の研究所に分散していた研究テーマを石油化学品研究所に集約し、約30名体制の「研究グループ(環境負荷低減技術開発)」を新設しました。国立大学法人室蘭工業大学とは、ゼオライト触媒を用いて廃プラスチックを化学的に分解してモノマーに戻すケミカルリサイクル技術の共同開発に取り組んでおります。また、積水化学工業株式会社が開発した“ごみ”を原料としてエタノールを生産する技術と、当社が有するポリオレフィンの製造技術・ノウハウを組み合わせたサーキュラーエコノミーの取り組みも行っております。さらに、二酸化炭素を原料としたメタノールを高効率に合成する実用化に向けて国立大学法人島根大学との共同研究に取り組んでおります。
ICT分野では、当社の高分子有機EL材料が、中型パネル用途において国内外の主要セットメーカーによる認定・採用の動きが活発となり、大型サイズにおいて主要大型パネルメーカーとの間で第8世代以上の大型基板を用いた印刷法パネル量産の共同開発が大きく進捗して実証段階にあります。フランスのイゾルグ社とは、有機光ダイオードを用いた近赤外用高性能カメラに応用可能な有機CMOSイメージセンサーの材料開発をより強化し推進しております。
また、研究開発活動の効率化や大規模データの分析・解析技術の高度化を推進するため、高度なデータ解析技術を持つデータサイエンティストと研究開発や生産プロセスの現場における高度なドメイン知識を持ちながらデータ解析も行えるデータエンジニアの双方の育成にも引き続き取り組んでおります。 さらに、当社の連結子会社であるベーラント バイオサイエンス LLCのバイオラショナルリサーチセンター内に設置された新組織「シンバイオハブ」は、オープンイノベーションはもとより、米欧のイノベーション探索拠点であるコーポレート・ベンチャーリング&イノベーションオフィス(CVI)や、当社のバイオサイエンス研究所、工業化技術研究所などの国内拠点とも連携し、住友化学グループ全体で合成生物学を利用した基盤技術の早期構築を進めております。
なお、全社共通部門における当連結会計年度の研究開発費は165億円であります。
このように、事業拡大および競争力強化を図るべく、新製品・新技術の研究開発および既存製品の高機能化・既存技術の一層の向上に取り組み、各事業分野におきまして着実に成果を挙げつつあります。