有価証券報告書-第140期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/23 15:27
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有報資料

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1) 住友化学の目指す姿
当社は、別子銅山の煙害という環境問題の克服と、農産物の増産をともに図ることから誕生した起源を持ち、創業以来100年以上にわたり、絶えざる技術革新と事業の変革を遂げながら、事業を通じて人々の豊かな生活を支えてまいりました。
住友には「自利利他公私一如」(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない)という言葉がありますが、当社はその事業精神を体現し、経済価値と社会価値を一体的に創出してまいりました。
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症により全世界が大きな影響を受ける中、社会の様々な要請に応えられる化学産業の間口の広さ、社会インフラを支える役割がより明確になりました。また、サステナビリティ意識が高まり、世界的にカーボンニュートラルを目指す動きも加速する中で、その達成に必要とされる革新的な技術の担い手として、化学産業への期待が大きくなっています。
そのような環境下で、当社グループは環境負荷の低減や、食糧問題、ヘルスケア、ICTの技術革新等の社会課題に対し、事業を通じて貢献することで、当社グループの持続的な成長とサステナブルな社会の実現を目指します。

(2) 2019年度~2021年度中期経営計画
当社グループは、2019年度を初年度とする中期経営計画に取り組んでおります。本計画は、2013年度から取り組んでいる「Change & Innovation」の第3段階であり、「Change & Innovation 3.0 ~For a Sustainable Future~」をスローガンに掲げ、デジタル革新により生産性を飛躍的に向上させるとともに、イノベーションの加速に取り組みます。
この中期経営計画は、以下を基本方針としております。
① 次世代事業の創出加速
「環境負荷低減」「食糧」「ヘルスケア」「ICT」の4つを重点分野とし、サステナブルな社会の実現に向けた次世代技術の開発、新規事業の創出に取り組みます。その中でも、社会の気候変動問題に対する関心の広がりや、コロナ禍による人々の健康意識の高まりを受け、「環境負荷低減」と「ヘルスケア」の2分野には、特に注力してまいります。
② デジタル革新による生産性の向上
デジタル技術(AI・IoT)の活用により、研究開発・製造・サプライチェーン・営業・間接部門における飛躍的な生産性の向上に取り組みます。また、コロナ禍による世界でのデジタル革新の加速を受け、当社での取り組みについても計画を前倒して進めております。
③ 事業ポートフォリオの高度化
持続的な市場の成長が予想され、かつ技術を競争力の源泉として展開可能な事業に対し、集中的に経営資源を投入することで、事業ポートフォリオのさらなる高度化を進めます。
④ 強靭な財務体質の実現
規律ある運営によるコストと資産の統制により、強靭な財務体質を実現します。
これらの4点とともに、 ⑤持続的成長を支える人材の確保と育成・活用 ⑥コンプライアンスの徹底と安全・安定操業の継続に取り組みます。

各事業部門の戦略と取り組み
各事業部門における、本中期経営計画での主な取り組みは、以下のとおりであります。
(石油化学部門)
石油化学部門は、日本・シンガポール・サウジアラビアに製造拠点を有し、それぞれの拠点の強みを活かしたポリエチレン・ポリプロピレン・メタアクリルなどを製造し、自動車・家電・食品など幅広い産業に供給しております。
日本およびシンガポールの拠点では、顧客の要望を先取りした高付加価値製品を開発するとともに、高品質な製品を安定供給しております。このようにして、アジア市場の優良顧客と長年かけて培ってきた信頼関係は当社グループの大きな強みとなっております。また、サウジアラビアの拠点は安価な原燃料を活用し、コスト競争力のある製品を製造しております。
現在は、日本およびシンガポールでの高付加価値製品によるソリューション提供力の強化、サウジアラビアのプラントの安定稼働の継続を目指しております。
本中期経営計画においては、国内事業はグローバル展開の基盤として強化に取り組むほか、シンガポール事業はさらなる収益力強化を行います。また、ラービグ第1期計画の安定稼働の継続と、第2期計画の早期の収益貢献を図ります。
当連結会計年度における主な進捗として、ラービグ第2期計画において2020年9月に完工保証が終了し、現在第1期、第2期ともに安定稼働を継続しております。また、「脱炭素社会」「循環経済」の実現に貢献すべく、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルに関する技術開発を進めるとともに、その成果の社会実装に向けた取り組みを推進しております。
(エネルギー・機能材料部門)
エネルギー・機能材料部門は、複数の事業部門にまたがっていた関連事業を集約し、環境・エネルギー分野における事業の育成と強化を図るべく、2015年に発足しました。電池部材やスーパーエンジニアリングプラスチックスなどの高機能材料の販売により、エコカーなどの環境調和製品の性能向上に貢献するソリューションを提供しております。
高純度アルミナやレゾルシンのように世界トップシェアを維持する製品や世界最高水準の高耐熱性を持つリチウムイオン二次電池用セパレータに見られるように、グローバルな事業展開力とともにこれらの製品群を生み出す研究・開発力や評価・製造・プロセス技術が当社の強みであると考えております。
当部門では中期的な戦略として、当社が技術などの面で優位性を持ち成長が期待できる事業の選別と育成に取り組んでおります。同時に、不採算な一部の事業については、その再構築に取り組んでおります。
本中期経営計画においては、セパレータなどの電池部材やスーパーエンジニアリングプラスチックスなどの販売拡大、その他製品についても高付加価値製品へのシフトによる収益力強化に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、2020年4月から、次世代二次電池として注目されている固体型電池の分野において、京都大学と産学共同研究講座を開設しました。その中で、サンプル合成や性能評価を通じた固体型電池の材料および要素技術の共同開発を行っております。
(情報電子化学部門)
情報電子化学部門では、高性能なディスプレイ関連材料や高品質な半導体材料を提供することで、ディスプレイや半導体の性能および生産性の向上に貢献しております。
当社グループはこれまで、マーケットインのグローバルサプライチェーン構築に努め、製品の開発・供給に活かしてまいりました。こうした開発供給体制と、総合化学メーカーとしての素材開発力とディスプレイ関連材料事業で培った製品開発力・加工技術が強みとなっております。
現在は、ディスプレイ技術の液晶から有機ELへの世代交代に対応すべく、有機ELディスプレイ関連材料事業の拡大と液晶ディスプレイ関連材料事業の競争力強化に取り組んでおります。また、高度化する半導体製造技術に対応した新しい半導体材料の開発と生産能力の拡大にも注力しております。
本中期経営計画においては、前中期経営計画で実施した先行投資からのリターン確保、既存事業の継続的な競争力強化、将来のコア事業・高収益製品となる製品群の育成を中心に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、半導体材料事業では、フォトレジストの新工場が稼働開始するとともに、さらなる生産能力増強も決定しました。また、最先端プロセス向けフォトレジストの開発・評価体制強化のため、新棟を建設することとしました。光学機能性フィルム事業では、有機ELディスプレイの高画質化に寄与する、塗布型位相差付偏光フィルムの販売が本格化しました。
(健康・農業関連事業部門)
健康・農業関連事業部門では、特長ある農薬・農業資材やメチオニン(飼料添加物)などをグローバルに提供することで、食糧の生産性向上に寄与しております。
当社グループは、自社開発の優れた化学農薬に加え、バイオラショナルやポストハーベストなど高いシェアを持つユニークな農薬や農業資材を品揃えし、グローバルに販売しております。当社グループの農薬事業の強みは、特長ある農薬の品揃えとそれを生み出す研究開発力、グローバルな販売網です。また、メチオニン事業では、高い生産技術を活かし、製品を原料から一貫生産し安定供給しております。
現在は、農薬・農業資材の製品力のさらなる強化、グローバルフットプリント(自社の販売網)の拡大、新規農薬の着実な開発・上市に取り組んでおります。加えて、メチオニンの競争力強化により、同事業のアジアでのリーダーとしての地位を確固たるものにすべく取り組んでおります。
本中期経営計画では、微生物農薬などのバイオラショナル事業の強化や新規農薬の上市に向けた開発を着実に進め、農薬事業を拡大してまいります。また生産能力を増強したメチオニンや、生活環境製品のグローバルな販売拡大に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、買収した南米農薬事業は順調に統合プロセスが進んだほか、新規殺菌剤インディフリンの日本と北米での上市も行いました。また、天然物由来の成分を活用した微生物農薬、植物生長調整剤などのバイオラショナル事業に特化した販売組織「サステナブル・ソリューション・ビジネスユニット」をグローバル展開することで、同事業の強化を図ることとしました。これにより安全・安心な食糧供給に一層貢献してまいります。
(医薬品部門)
医薬品部門では、医療用医薬品や診断用医薬品等の開発・販売を行うことで、人々の健康で豊かな暮らしを支えております。現在、医療用医薬品は大日本住友製薬株式会社(以下「大日本住友製薬」という。)、診断用医薬品は日本メジフィジックス株式会社(いずれも当社の連結子会社)で事業を展開しております。
大日本住友製薬では、「ポスト・ラツーダ」(米国での「ラツーダ(非定型抗精神病薬)」の独占販売期間終了後)を見据えつつ、変革の時に対応するため、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」により、事業基盤の再構築に取り組んでおります。重点3領域とする精神神経領域、がん領域、再生・細胞医薬分野は、アンメット・メディカル・ニーズが高く大日本住友製薬の経験と知識を生かせる領域であり、引き続き注力してまいります。また価値にフォーカスしたベストインクラス(既存薬はあるが、その既存薬に対して明確な優位性を持つ新薬)や感染症領域にも取り組み、グローバルヘルスに貢献してまいります。日本メジフィジックス株式会社は、核医学という極めて専門性の高い医療分野における日本のリーディングカンパニーとして、新たな診断薬の開発に取り組んでおります。
当部門の中期的な戦略としては、積極的な研究開発およびパイプラインの拡充により、主力製品の独占販売期間終了後の業績の早期回復を図るとともに、再生・細胞医薬品、フロンティア領域、感染症領域、セラノティクスなどの次世代事業を推進してまいります。
本中期経営計画では、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、自社研究に加え、技術導入、アカデミアやスタートアップ企業との共同研究など、あらゆる方法で最先端の技術を取り入れ、研究開発活動に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、大日本住友製薬によるロイバント サイエンシズ リミテッド(以下「ロイバント社」という。)との戦略的提携に伴い獲得したレルゴリクス、ビベグロンについて上市を行いました。レルゴリクスについては、ファイザー社との開発および販売提携により、同剤の順調な立上げを図ります。今後の飛躍的な市場拡大が見込まれる再生・細胞医薬分野でのCDMO事業(製法開発、製造などの受託事業)において、当社と大日本住友製薬との合弁会社であるS-RACMO株式会社を設立しました。
事業環境及び今後の業績の見通しについて
(2020年度実績)
2020年度の当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う経済活動の落ち込みにより、自動車関連用途などを中心とした需要の減少などの影響を受けました。
一方で、南米農薬事業の買収などにより農薬販売が増加したことや、巣ごもり需要等による情報電子化学関連の需要拡大などにより、2020年度のコア営業利益は前年度を上回る1,476億円となりました。
(2021年度見通し)
新型コロナウイルス感染症の影響による出荷減少からの回復や、農薬の出荷増加などにより、コア営業利益は2,000億円と2020年度比で増益を見込んでおります。
今後は、大型買収や事業ポートフォリオ高度化の成果を早期に発現することにより、業績水準および財務体質を改善し、現在検討中の次期中期経営計画最終年度である2024年度には、コア営業利益2,800億円程度の達成を目指す考えであります。
そして、中長期的には、ROE10%以上、ROI7%以上、D/Eレシオ(有利子負債/純資産)0.7倍程度などの財務指標を安定的に達成することを目指します。当社の財務KPIであるROE10%は、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するという考えのもと、社会課題の解決に重要な貢献ができると判断した事業を一定の収益性が見込める限り実施していくという方針に基づき設定したものであります。またROIについては、WACC(加重平均資本コスト)を上回るレベルを求め、7%をハードルとしております。D/Eレシオについては、フレキシブルな資金調達が可能な現在の当社格付を維持することを考慮し、0.7倍程度を目安としております。

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