訂正有価証券報告書-第125期(2019/04/01-2020/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
当社の創業は、鉛含有の化粧白粉による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の改善に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材づくりにこだわってきました。
化学素材、化学技術で未来を切り開き、ステークホルダーや地球環境に寄り添って持続可能な社会を実現する「化学でやさしい未来づくり」。そこに向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値のある創造が生まれると考えており、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社9社、海外非連結子会社1社からなります。内、医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。堺商事及び堺商事傘下の海外子会社7社は販売会社ですが、その他は製造会社です。堺化学及び製造子会社は、各社で固有の製品・技術・顧客を有しており、そのビジネスモデルも多種多様です。事業領域も多種多様にわたりますが、電子材料に関連する事業は、5G(第5世代移動通信システム)やIoT(モノのインターネット)の普及等により、中長期的には伸長することが見込まれる分野と考えております。一方、医療事業は、過去数年低迷しておりましたが、近時新規事業が立ち上がってきたこと、医療用医薬品で後発品メーカーが撤退したこと、一部で海外売り上げが増加したこと等で収益力が回復しております。また、化粧品材料では数年来需給が逼迫するなか、新興国においてもUVケア化粧品の需要が拡大したことに加え、一部の国及び地域での有機系紫外線吸収剤の規制の動きにより、無機素材である酸化チタン、酸化亜鉛が注目されていること等が追い風となっております。海外展開についても、今後はアジア地域を中心に、製造及び販売両面での積極的な事業展開の可能性を探っていきます。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは上記経営環境を認識し、2019年4月にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。
堺化学グループ中期経営計画
① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現
5年先の数値目標達成に向けた既存事業を中心とした取組みとして、6つの事業領域を中心に収益向上を図ります。
1.電子材料事業
MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム等)を中心に開発及び拡販に注力します。MLCC用関連へは53億円(当初計画57億円)の投資を計画します。
2.酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)
化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)を中心に業容拡大を計画します。化粧品関連へは61億円(当初計画55億円)の投資を計画します。
3.樹脂添加剤事業
国内の事業基盤を強化しつつ、海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤及びハイドロタルサイトの海外展開を図り、海外売上高比率50%以上を目指します。
4.触媒事業
環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の増設等、触媒関連へは13億円の投資を計画しています。
5.その他の化学事業(高屈折材料)
前中期経営計画の最終年度(2018年度)で需要が増加してきた高屈折材料(酸化ジルコニウム分散液、酸化チタン分散体)は、開発及び拡販に注力し、21億円の投資を計画しています。
6.医療事業
積極的に新規事業を伸ばし、医療機器事業(粘膜下注入材、内視鏡洗浄消毒装置、骨充填材)、美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心に業容拡大を目指します。
② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現
働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。
③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む
1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。
2.研究開発の方向性
持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。
3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求
持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。
④ 総還元性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施
事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てるとともに、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。
目標とする経営指標
グループ全体での最重要課題を「稼ぐ力の向上」とし、堺化学並びにグループ各社において積極的な施策を展開しております。稼ぐ力は営業利益金額及び営業利益率で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてROEを選択しました。
営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。又、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。弊社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上に向けた戦略投資として190億円を計画しております。売上高の約90%を占める化学事業においては、特に市場拡大が期待できる電子材料、化粧品材料向け等の高機能材料を成長戦略の中核とし、生産設備増強等の戦略投資をほぼ計画どおり進めております。また、残り約10%の医療事業では、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益率)の向上に向け取り組んでおります。
また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、現在保有している政策保有株式を、2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げております。なお、縮減実行にあたりましては、株式市場の動向を見極めながら、慎重かつ着実に進めてまいる所存です。
さて、当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発する中国景気の減速等により、電子材料等で販売計画との乖離が大きくなっていますが、将来の需要増を見据え盤石な生産体制の構築に注力してまいります。また、新たなリスクとして新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続に向けた取組みを行っております。ちなみに現在までのところ工場の操業については関係会社を含め定常操業を行っております。
かつてない非常事態に備えて全社的なコスト削減、戦略投資以外の設備投資案件の計画見直し、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・サービス導入によるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めてまいります。同時に新型コロナウイルス感染症収束の時期も見えない状況ですが、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め適切な対応を実施してまいります。
なお、今年度業績見込みについては、現時点では業績予測が困難な状況であり、一定の見通しが立った時点で開示させていただくことにいたしました。
(*新型コロナウイルス感染症が各事業に及ぼす影響に関する定性的な予想:以下セグメント別に記載しておりますのでご参照願います)
(化学事業)
電子材料
誘電体(チタン酸バリウム)及び誘電体材料(高純度炭酸バリウム)に関する設備投資はほぼ計画どおり実施してまいりましたが、販売についてはセラミックコンデンサのビジネス環境悪化により投資計画時の見込みとの乖離が大きくなりました。セラミックコンデンサの主要向け先(スマートフォン、自動車、通信基地局等)のグローバル市場での需要回復が待たれる状況であります。当社としては需要回復を見据え、顧客の高度化する品質要求に確りと対応できるよう一段の生産技術・品質管理の強化など、より盤石な供給体制構築を図ってまいります。
また誘電体については、当社の製品特性を活かしたハイエンド分野向け差別化製品の開発と本格的な上市に向け一層注力してまいります。
*積極的な投資が期待される5Gなど通信基地局向けや、テレワークの整備・普及などによる需要が期待される機器分野向けについては軽微な影響と予想されますが、自動車向けについては世界的に生産台数の大幅な減少が予測されることから、当社製品の消費も大きな影響を受ける恐れがあります。
酸化チタン・亜鉛製品
顔料用酸化チタンは、国内市場の需給軟化を受け販売数量も減少し、採算性も厳しくなっておりますが、工場運営、他製品の中間体供給等において重要な役割を担っており、さらなる事業の効率化のため、最適な生産体制の検討を進めてまいります。
UVケア化粧品の紫外線遮蔽材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、需要の拡大に対応した安定供給に努め、販売を拡大するとともに、数年先の事業規模を見据え、積極的な投資を行います。また、UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、材料開発、処方開発に取り組みます。
*顔料用酸化チタンは主用途の塗料、インキ、製紙、繊維などの産業で停滞することが予測され、またUVケア化粧品用途では人々の屋外活動が制限されることによりマイナスの影響を受ける恐れがあります。
樹脂添加剤
国内においては、コスト低減に取り組むとともに、注力分野を絞った上で、技術力に一層磨きをかけ、競合他社との差異化を図ります。
海外については、成長力が高い東南アジア市場を主戦場と位置づけ、当社グループが保有する高い技術力を背景にベトナム・タイの現地法人をフル活用しシェア拡大を図ります。
*日本国内、アジア市場ともに顧客の生産活動が制限されること、主要エンドユーザーである住宅、自動車業界の停滞が予測されることから、マイナス影響を受ける恐れがあります。
衛生材料
紙おむつやその他衛生材料製品に使用される原材料の生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)において技術力の向上に取り組み、事業の安定的拡大を目指します。また、アジアを中心に拡大する市場において紙おむつ、生理ナプキン、ペットシート等の原材料のグローバル展開を加速します。
*原料確保に不透明な点はあるものの、日用品としての消費は必要とされることから、大きな落ち込みは想定しておりません。
有機化学品
チオ製品は、原価抑制に引き続き注力するほか、主力であるプラスチックレンズ用途向けの安定供給に努めるとともに、新たなニーズの収集と開発技術力の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け原薬製造ラインの増設を計画します。
*チオ製品、医薬品原薬・中間体受託のいずれも末端製品の需要の大きな落ち込みはないものと見込まれ、当社製品への影響は軽微なものと予想されます。
触 媒
樹脂の水素添加工程等で使用されるニッケル触媒は、生産効率向上のため、設備増強とともに販売を拡大します。
火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、外部委託先を新たに確保して供給能力を増やし、環境対策が進むと考えられる中国、東南アジア地域等で積極的な展開を図ります。
また、開発においては、重金属フリーのポリエステル重合用触媒など環境負荷低減やエネルギー問題に対応した新規触媒の開発にも注力しております。
*ニッケル触媒の主用途は食油関連、衛生材料向け部材、特殊フィルム等ですが大きな需要減はないと見込まれ、また脱硝触媒は触媒のライフサイクルから取り換え需要が必ず発生することから大きな影響はないものと予想されますが、海外の新規物件は遅れ等が発生する恐れがあります。
受託加工
受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様で高度なものとなっており、設備投資も含め積極的に対応していきます。また、安定的な受託案件の獲得に向け、人材の充実を図るとともに、工場の整備を進め、より強固な生産体制を構築します。
*顧客の試作、開発活動の停滞が予想されることから、新規案件の進捗が滞る恐れがあります。
(医療事業)
医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、美容医療向けの健康食品等、既存の販路・商流を活用できるラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業の探索と、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化し、一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図ります。
*集団検診の延期または中止により、バリウム造影剤の販売低下の恐れがあります。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、販売台数はほぼ横這いで推移する一方、メンテナンス契約獲得や消耗品の販売は伸長しており、今後、洗浄消毒器未使用機関の開拓に取り組みます。
アルギン酸ナトリウムを原料とする内視鏡手術用粘膜下注入材「リフタルK」及び注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、大規模病院から中小クリニックまで営業強化を図り、早期に30%のシェアを目指して拡販に注力していきます。
*短期的には内視鏡検査、または手術数の減少が予測されるものの、一定期間で需要が回復するものと予想されます。
一般用医薬品・その他
事業拡大・収益力強化のため、一般用医薬品事業の組織体制の見直し、販路・商品整理、新商品・新商流開拓等の活動を展開します。また、台湾での一般用医薬品の販売が軌道に乗りつつあり、新商品を投入していきます。
新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上が伸長しており、今後も新製品を投入し、拡大を図ります。
*かぜ薬「改源」等一般医薬品の一時的な増販は見られるものの、美容医療向け紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズにおいては、消費者の外出機会減少等により需要減の恐れがあります。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
当社の創業は、鉛含有の化粧白粉による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の改善に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材づくりにこだわってきました。
化学素材、化学技術で未来を切り開き、ステークホルダーや地球環境に寄り添って持続可能な社会を実現する「化学でやさしい未来づくり」。そこに向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値のある創造が生まれると考えており、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社9社、海外非連結子会社1社からなります。内、医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。堺商事及び堺商事傘下の海外子会社7社は販売会社ですが、その他は製造会社です。堺化学及び製造子会社は、各社で固有の製品・技術・顧客を有しており、そのビジネスモデルも多種多様です。事業領域も多種多様にわたりますが、電子材料に関連する事業は、5G(第5世代移動通信システム)やIoT(モノのインターネット)の普及等により、中長期的には伸長することが見込まれる分野と考えております。一方、医療事業は、過去数年低迷しておりましたが、近時新規事業が立ち上がってきたこと、医療用医薬品で後発品メーカーが撤退したこと、一部で海外売り上げが増加したこと等で収益力が回復しております。また、化粧品材料では数年来需給が逼迫するなか、新興国においてもUVケア化粧品の需要が拡大したことに加え、一部の国及び地域での有機系紫外線吸収剤の規制の動きにより、無機素材である酸化チタン、酸化亜鉛が注目されていること等が追い風となっております。海外展開についても、今後はアジア地域を中心に、製造及び販売両面での積極的な事業展開の可能性を探っていきます。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは上記経営環境を認識し、2019年4月にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。
堺化学グループ中期経営計画
① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現
5年先の数値目標達成に向けた既存事業を中心とした取組みとして、6つの事業領域を中心に収益向上を図ります。
1.電子材料事業
MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム等)を中心に開発及び拡販に注力します。MLCC用関連へは53億円(当初計画57億円)の投資を計画します。
2.酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)
化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)を中心に業容拡大を計画します。化粧品関連へは61億円(当初計画55億円)の投資を計画します。
3.樹脂添加剤事業
国内の事業基盤を強化しつつ、海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤及びハイドロタルサイトの海外展開を図り、海外売上高比率50%以上を目指します。
4.触媒事業
環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の増設等、触媒関連へは13億円の投資を計画しています。
5.その他の化学事業(高屈折材料)
前中期経営計画の最終年度(2018年度)で需要が増加してきた高屈折材料(酸化ジルコニウム分散液、酸化チタン分散体)は、開発及び拡販に注力し、21億円の投資を計画しています。
6.医療事業
積極的に新規事業を伸ばし、医療機器事業(粘膜下注入材、内視鏡洗浄消毒装置、骨充填材)、美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心に業容拡大を目指します。
② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現
働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。
③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む
1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。
2.研究開発の方向性
持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。
3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求
持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。
④ 総還元性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施
事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てるとともに、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。
目標とする経営指標
| 2024年3月期目標 | |
| 営業利益 | 80億円以上 |
| 営業利益率 | 7%以上 |
| ROE | 6%以上 |
グループ全体での最重要課題を「稼ぐ力の向上」とし、堺化学並びにグループ各社において積極的な施策を展開しております。稼ぐ力は営業利益金額及び営業利益率で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてROEを選択しました。
営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。又、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。弊社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上に向けた戦略投資として190億円を計画しております。売上高の約90%を占める化学事業においては、特に市場拡大が期待できる電子材料、化粧品材料向け等の高機能材料を成長戦略の中核とし、生産設備増強等の戦略投資をほぼ計画どおり進めております。また、残り約10%の医療事業では、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益率)の向上に向け取り組んでおります。
また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、現在保有している政策保有株式を、2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げております。なお、縮減実行にあたりましては、株式市場の動向を見極めながら、慎重かつ着実に進めてまいる所存です。
さて、当連結会計年度においては、米中貿易摩擦に端を発する中国景気の減速等により、電子材料等で販売計画との乖離が大きくなっていますが、将来の需要増を見据え盤石な生産体制の構築に注力してまいります。また、新たなリスクとして新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限、時差出勤やテレワークの実施など、顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続に向けた取組みを行っております。ちなみに現在までのところ工場の操業については関係会社を含め定常操業を行っております。
かつてない非常事態に備えて全社的なコスト削減、戦略投資以外の設備投資案件の計画見直し、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・サービス導入によるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めてまいります。同時に新型コロナウイルス感染症収束の時期も見えない状況ですが、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め適切な対応を実施してまいります。
なお、今年度業績見込みについては、現時点では業績予測が困難な状況であり、一定の見通しが立った時点で開示させていただくことにいたしました。
(*新型コロナウイルス感染症が各事業に及ぼす影響に関する定性的な予想:以下セグメント別に記載しておりますのでご参照願います)
(化学事業)
電子材料
誘電体(チタン酸バリウム)及び誘電体材料(高純度炭酸バリウム)に関する設備投資はほぼ計画どおり実施してまいりましたが、販売についてはセラミックコンデンサのビジネス環境悪化により投資計画時の見込みとの乖離が大きくなりました。セラミックコンデンサの主要向け先(スマートフォン、自動車、通信基地局等)のグローバル市場での需要回復が待たれる状況であります。当社としては需要回復を見据え、顧客の高度化する品質要求に確りと対応できるよう一段の生産技術・品質管理の強化など、より盤石な供給体制構築を図ってまいります。
また誘電体については、当社の製品特性を活かしたハイエンド分野向け差別化製品の開発と本格的な上市に向け一層注力してまいります。
*積極的な投資が期待される5Gなど通信基地局向けや、テレワークの整備・普及などによる需要が期待される機器分野向けについては軽微な影響と予想されますが、自動車向けについては世界的に生産台数の大幅な減少が予測されることから、当社製品の消費も大きな影響を受ける恐れがあります。
酸化チタン・亜鉛製品
顔料用酸化チタンは、国内市場の需給軟化を受け販売数量も減少し、採算性も厳しくなっておりますが、工場運営、他製品の中間体供給等において重要な役割を担っており、さらなる事業の効率化のため、最適な生産体制の検討を進めてまいります。
UVケア化粧品の紫外線遮蔽材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、需要の拡大に対応した安定供給に努め、販売を拡大するとともに、数年先の事業規模を見据え、積極的な投資を行います。また、UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、材料開発、処方開発に取り組みます。
*顔料用酸化チタンは主用途の塗料、インキ、製紙、繊維などの産業で停滞することが予測され、またUVケア化粧品用途では人々の屋外活動が制限されることによりマイナスの影響を受ける恐れがあります。
樹脂添加剤
国内においては、コスト低減に取り組むとともに、注力分野を絞った上で、技術力に一層磨きをかけ、競合他社との差異化を図ります。
海外については、成長力が高い東南アジア市場を主戦場と位置づけ、当社グループが保有する高い技術力を背景にベトナム・タイの現地法人をフル活用しシェア拡大を図ります。
*日本国内、アジア市場ともに顧客の生産活動が制限されること、主要エンドユーザーである住宅、自動車業界の停滞が予測されることから、マイナス影響を受ける恐れがあります。
衛生材料
紙おむつやその他衛生材料製品に使用される原材料の生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)において技術力の向上に取り組み、事業の安定的拡大を目指します。また、アジアを中心に拡大する市場において紙おむつ、生理ナプキン、ペットシート等の原材料のグローバル展開を加速します。
*原料確保に不透明な点はあるものの、日用品としての消費は必要とされることから、大きな落ち込みは想定しておりません。
有機化学品
チオ製品は、原価抑制に引き続き注力するほか、主力であるプラスチックレンズ用途向けの安定供給に努めるとともに、新たなニーズの収集と開発技術力の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け原薬製造ラインの増設を計画します。
*チオ製品、医薬品原薬・中間体受託のいずれも末端製品の需要の大きな落ち込みはないものと見込まれ、当社製品への影響は軽微なものと予想されます。
触 媒
樹脂の水素添加工程等で使用されるニッケル触媒は、生産効率向上のため、設備増強とともに販売を拡大します。
火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、外部委託先を新たに確保して供給能力を増やし、環境対策が進むと考えられる中国、東南アジア地域等で積極的な展開を図ります。
また、開発においては、重金属フリーのポリエステル重合用触媒など環境負荷低減やエネルギー問題に対応した新規触媒の開発にも注力しております。
*ニッケル触媒の主用途は食油関連、衛生材料向け部材、特殊フィルム等ですが大きな需要減はないと見込まれ、また脱硝触媒は触媒のライフサイクルから取り換え需要が必ず発生することから大きな影響はないものと予想されますが、海外の新規物件は遅れ等が発生する恐れがあります。
受託加工
受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様で高度なものとなっており、設備投資も含め積極的に対応していきます。また、安定的な受託案件の獲得に向け、人材の充実を図るとともに、工場の整備を進め、より強固な生産体制を構築します。
*顧客の試作、開発活動の停滞が予想されることから、新規案件の進捗が滞る恐れがあります。
(医療事業)
医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、美容医療向けの健康食品等、既存の販路・商流を活用できるラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業の探索と、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化し、一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図ります。
*集団検診の延期または中止により、バリウム造影剤の販売低下の恐れがあります。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、販売台数はほぼ横這いで推移する一方、メンテナンス契約獲得や消耗品の販売は伸長しており、今後、洗浄消毒器未使用機関の開拓に取り組みます。
アルギン酸ナトリウムを原料とする内視鏡手術用粘膜下注入材「リフタルK」及び注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、大規模病院から中小クリニックまで営業強化を図り、早期に30%のシェアを目指して拡販に注力していきます。
*短期的には内視鏡検査、または手術数の減少が予測されるものの、一定期間で需要が回復するものと予想されます。
一般用医薬品・その他
事業拡大・収益力強化のため、一般用医薬品事業の組織体制の見直し、販路・商品整理、新商品・新商流開拓等の活動を展開します。また、台湾での一般用医薬品の販売が軌道に乗りつつあり、新商品を投入していきます。
新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上が伸長しており、今後も新製品を投入し、拡大を図ります。
*かぜ薬「改源」等一般医薬品の一時的な増販は見られるものの、美容医療向け紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズにおいては、消費者の外出機会減少等により需要減の恐れがあります。