訂正有価証券報告書-第126期(2020/04/01-2021/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
当社の創業は、鉛含有の化粧白粉による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の改善に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)つくりにこだわってきました。
培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーと共に持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。うち医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。また、堺商事および堺商事傘下の海外子会社6社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、各社特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばして行くとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパーフォーマンスが発揮できるよう努めています。
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の完全収束が見通せない状況でありますが、化学セグメントは、上期に大きな需要減となった自動車関連や建築関連向け製品などを中心に、下期から回復してまいりました。しかし、当初の計画から業績の進展に大きな遅れが生じたため、多額の減損損失による当期純損失を計上し、期末配当を無配とするなど、当社株主をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。
また、成長分野と見込んで積極的に設備投資した特定グレードの電子材料の拡販が、計画に対して大きく遅延したため減損損失を計上せざるを得ない状況となりましたが、下期以降は斑ながらも全体的に回復が進んでいます。
一方、日焼け止めやメイク関連向けの化粧品材料の需要は低調に推移しており、増販を見込んだ大型増強については上記電子材料と同様に減損損失を計上し、本格的な回復には今暫く時間を要する見込みです。
医薬中間体・原薬、プラスチックレンズ向け原料などの有機化成品はほとんど新型コロナの影響が見られず、順調に推移しました。
医療事業については、新型コロナの影響を大きく受け、下期には挽回を目指し積極的な営業活動を行いましたが、上期の落ち込みを補うまでには至らず、胃検診用バリウム造影剤など医家向け医薬品およびかぜ薬「改源」などの一般用医薬品ともに低調な業績となりました。
グループ全体で見ましても、上期は新型コロナの影響でビジネス環境は著しく悪化しましたが、下期から改善の方向で推移してきました。
今後も新型コロナが収束に向かうことを前提に考えて、当社グループ全体の経営環境も改善の方向で進むものと予測しています。
全グループ会社で新型コロナ予防対策に取り組み、従業員・家族への感染を最小限に抑えることができ、事業活動への影響はございませんでした。今後も状況判断を適切に行い、感染症予防対策に努めてまいります。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは上記経営環境を認識し、2019年4月にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。中期経営計画2年目に当たる2021年3月期は想定外の新型コロナに見舞われ、業績の進展に大きな遅れが生じました。中期経営計画につきましては、注力分野等大きな変更なく当初目標を達成すべく努力を続けます。
堺化学グループ中期経営計画
① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現
5年先の数値目標達成に向けた既存事業を中心とした取組みとして、6つの事業領域を中心に収益向上を図ります。
1.電子材料事業
MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム等)を中心に開発および拡販に注力します。MLCC用関連へは33億円(当初計画57億円)の投資を実施しました。一部稼働が遅れている製品もありますが、今年度中には当初計画された成長軌道に戻る予定です。
2.酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)
化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)を中心に業容拡大を計画します。化粧品関連へは40億円(当初計画55億円)の投資を実施しました。ただし、この分野は新型コロナの影響を最も強く受けている分野であり、本格回復には2~3年を要すると見ています。
3.樹脂添加剤事業
国内の事業基盤を強化しつつ、海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤およびハイドロタルサイトの海外展開を図り、海外売上高比率50%以上を目指します。
4.触媒事業
環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の収益化を目指します。
5.その他の化学事業(高屈折材料)
前中期経営計画の最終年度(2018年度)で需要が増加してきた高屈折材料(酸化ジルコニウム分散液、酸化チタン分散体)は、開発および拡販に注力します。
6.医療事業
積極的に新規事業を伸ばし、医療機器事業(粘膜下注入材、内視鏡洗浄消毒装置、骨充填材)、美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心に業容拡大を目指します。
② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現
働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。
③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む
1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。
2.研究開発の方向性
持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。
3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求
持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。
④ 総還元性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施
事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てるとともに、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。
目標とする経営指標
2021年3月期は新型コロナの影響により、業績は年度計画に対し大幅な未達に終わりましたが、翌期以降の回復を見据え、経営目標は当初目標を堅持することといたしました。「稼ぐ力の向上」は引続きグループ全体での最重要課題であるとし、堺化学ならびにグループ各社において積極的な施策を展開しております。稼ぐ力は営業利益金額で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてROEを選択しました。ただし、当初掲げておりました営業利益率7%以上という目標は、2022年3月期から適用される新収益基準により売上高の定義が変わるため、目標から削除します。
営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当社グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。また、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。当社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上に向けた戦略投資として190億円を計画しておりました。戦略投資以外の設備投資案件を延期するなど計画の見直しを行いましたが、2021年3月期までの2年間で設備投資総額189億円、うち戦略投資98億円と前倒しで設備投資を実行し、足元の需要に対して十分な生産体制を構築しました。
しかし、新型コロナの影響による市況の一時的な悪化や拡販活動の遅れにより、設備の減損処理を実施しました。化学事業においては、化粧品材料は本格回復までは時間がかかると見ておりますが、電子材料は市況もほぼ回復し、EV化や自動運転化が進行中の車載用途、5Gが普及しつつある通信用途ではハイエンド製品を中心に拡販が実り始めております。生産能力に対し、それに見合った販売実績を達成することが喫緊の課題です。医療事業においては、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益率)の向上に向け取り組んでおります。
なお、多額の減損処理、純損失計上後も十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、今期以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持してまいります。今期以降も続くであろう新型コロナに起因する非常事態に備えて、全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め適切な対応を実施してまいります。
また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、現在保有している政策保有株式を2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げ、持合株式の解合いを中心に縮減に努めております。この動きは今期以降も株式市場の動向を注視しつつ、精力的に推進してまいります。
新型コロナの収束がまだ見えない状況ですが、現時点ではグループ会社を含め、操業に影響を与えるような事案は発生しておりません。有機化学品や衛生材料は堅調を維持するものと見ておりますが、新型コロナによって景気低迷が継続する事態となった場合には、2021年3月期の上期同様、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がマイナスの影響を受ける恐れがあります。また、緊急事態宣言等に伴う外出自粛によって、日焼け止め向けの化粧品材料の需要減、集団検診の中止・延期によるバリウム造影剤の販売低下は避けられないものと考えております。事業運営に当たっては、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限、時差出勤やテレワークの実施など、引き続き顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続に向けた取組みを行ってまいります。
(化学事業)
電子材料
誘電体材料(高純度炭酸バリウム)および誘電体(チタン酸バリウム)に関する設備投資はほぼ計画どおり実施してまいりましたが、販売について投資計画時の見込みとの乖離が大きくなり、減損処理を実施しました。積極的な投資が期待される5Gなど通信基地局向けや自動車向けの回復など、積層セラミックコンデンサの市場環境は改善されてきており、当社の販売も昨年10月以降回復基調にあることから、この回復と今後の市場の伸びに対応すべく、顧客の高度化する品質要求にしっかりと対応できるよう一段の生産技術・品質管理の強化など、より盤石な供給体制構築を図ってまいります。
また、誘電体については、当社の製品特性を活かしたハイエンド分野向け差別化製品の開発と販売に一層注力してまいります。
酸化チタン・亜鉛製品
酸化チタンは、新型コロナによる世界的な需要低迷と原料鉱石の値上がりもあり、採算性が厳しくなっておりますが、工場運営、他製品の中間体供給等において重要な役割を担っているため、さらなる事業の効率化、最適な生産体制の検討を進めてまいります。
UVケア化粧品材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、事業規模拡大を見据え積極的な投資を行いましたが、新型コロナで出荷が大きく落ち込み、減損処理を実施しました。当面、人々の屋外活動が制限されることでマイナスの影響は残ると考えておりますが、引き続き、UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、材料開発、処方開発に取り組みます。
樹脂添加剤
塩ビ安定剤は、国内市場の縮小傾向は変わらず、当社としては注力する分野を絞り、品種の統合や配合コストの低減に取り組み、競合他社との差別化で安定したシェアおよび利益の維持に努めます。
一方、塩ビ需要の拡大が期待できる海外(特に東南アジア地域)へは、当社の国内で培ってきた配合技術を駆使し、ベトナム、タイの現地法人と協力してシェア拡大に努めます。
その他、金属石鹸やハイドロタルサイト等の機能性添加剤については、それらの特徴・機能をより高め、高付加価値分野への用途展開を図り、利益の確保に努めます。
衛生材料
衛生材料製品に使用される通気性フィルムの生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)において、品質の安定とコスト競争力向上に取り組み、事業の安定的拡大を目指します。また、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート等の原材料について信頼できる供給元との関係を一層強化し、グローバルに販売活動を展開します。さらには、今後需要が見込まれる脱プラ素材の開発もメーカーと協力しユーザーへの提案を進めます。
有機化学品
チオおよびリン製品は、原価抑制と安定供給に努めるとともに、伸長が予想される用途への積極的な展開、新たなニーズの収集と開発技術力の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け原薬製造ラインの増強を計画します。
触 媒
水添石油樹脂が衛生材料向け部材等の分野で需要拡大が期待できる中で、その製造工程で使用するニッケル触媒は、生産効率を上げるべく準備を進めるとともに、シェア拡大に努めます。
火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、環境対策が進み需要が増えると期待される中国、東南アジア地域等への積極的な営業活動を推進するとともに、生産・供給体制の強化を進めてまいります。
その他、重金属フリーのポリエステル重合用触媒など環境負荷低減やカーボンニュートラルに関連した新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。
受託加工
受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様でより高度なものになり、それらニーズに対して迅速かつ確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、人材育成等を図り、より信頼される受託体制を構築して発展に努めてまいります。
(医療事業)
医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、ならびに健康食品等、これまで培った販路・商流を活用できる商品ラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業を探索し、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化する一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図っております。新型コロナで集団検診の延期または中止により販売量が減少しましたが、胃がん検診自体は必要なものであるため、減少は一時的なものと予想しております。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、新型コロナで施術数の停滞により関連する消耗品の販売は一時的に減少しましたが、コロナ支援キャンペーンを打つなど営業活動を進めた結果、需要は徐々に回復してきております。
2019年6月に上市した内視鏡治療用粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、大規模病院から中小クリニックまで営業強化を図り、早期に30%のシェアを目指して拡販に注力しております。
また、スタートアップ企業が開発した医療機器プログラムである胸部X線診断支援AIシステムの販売を開始しました。当社の顧客である健診施設で一定の需要が見込めるため、販売に注力してまいります。
一般用医薬品・その他
一般医薬品の事業拡大・収益力強化のため、ヘルスケア事業の組織体制の見直しを行い、販売ルートおよび商品ラインアップの整理、新商品と新商流の開拓などの活動を積極的に展開します。
新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、新型コロナにあっても紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上を伸ばしており、今後も新製品を投入し拡大を図ります。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
当社の創業は、鉛含有の化粧白粉による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の改善に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)つくりにこだわってきました。
培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーと共に持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
当社グループは、国内連結子会社8社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。うち医療セグメントに分類される子会社は1社、その他は全て化学セグメントに属します。また、堺商事および堺商事傘下の海外子会社6社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、各社特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばして行くとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパーフォーマンスが発揮できるよう努めています。
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の完全収束が見通せない状況でありますが、化学セグメントは、上期に大きな需要減となった自動車関連や建築関連向け製品などを中心に、下期から回復してまいりました。しかし、当初の計画から業績の進展に大きな遅れが生じたため、多額の減損損失による当期純損失を計上し、期末配当を無配とするなど、当社株主をはじめとするステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。
また、成長分野と見込んで積極的に設備投資した特定グレードの電子材料の拡販が、計画に対して大きく遅延したため減損損失を計上せざるを得ない状況となりましたが、下期以降は斑ながらも全体的に回復が進んでいます。
一方、日焼け止めやメイク関連向けの化粧品材料の需要は低調に推移しており、増販を見込んだ大型増強については上記電子材料と同様に減損損失を計上し、本格的な回復には今暫く時間を要する見込みです。
医薬中間体・原薬、プラスチックレンズ向け原料などの有機化成品はほとんど新型コロナの影響が見られず、順調に推移しました。
医療事業については、新型コロナの影響を大きく受け、下期には挽回を目指し積極的な営業活動を行いましたが、上期の落ち込みを補うまでには至らず、胃検診用バリウム造影剤など医家向け医薬品およびかぜ薬「改源」などの一般用医薬品ともに低調な業績となりました。
グループ全体で見ましても、上期は新型コロナの影響でビジネス環境は著しく悪化しましたが、下期から改善の方向で推移してきました。
今後も新型コロナが収束に向かうことを前提に考えて、当社グループ全体の経営環境も改善の方向で進むものと予測しています。
全グループ会社で新型コロナ予防対策に取り組み、従業員・家族への感染を最小限に抑えることができ、事業活動への影響はございませんでした。今後も状況判断を適切に行い、感染症予防対策に努めてまいります。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは上記経営環境を認識し、2019年4月にスタートさせたグループ中期経営計画『SAKAINNOVATION 2023』の数値目標達成と持続的成長を目指して取り組んでおります。中期経営計画2年目に当たる2021年3月期は想定外の新型コロナに見舞われ、業績の進展に大きな遅れが生じました。中期経営計画につきましては、注力分野等大きな変更なく当初目標を達成すべく努力を続けます。
堺化学グループ中期経営計画
① 稼ぐ力へ再挑戦し確実な増益体質を実現
5年先の数値目標達成に向けた既存事業を中心とした取組みとして、6つの事業領域を中心に収益向上を図ります。
1.電子材料事業
MLCC用材料(チタン酸バリウム、高純度炭酸バリウム等)を中心に開発および拡販に注力します。MLCC用関連へは33億円(当初計画57億円)の投資を実施しました。一部稼働が遅れている製品もありますが、今年度中には当初計画された成長軌道に戻る予定です。
2.酸化チタン・亜鉛製品事業(化粧品材料)
化粧品材料(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等)を中心に業容拡大を計画します。化粧品関連へは40億円(当初計画55億円)の投資を実施しました。ただし、この分野は新型コロナの影響を最も強く受けている分野であり、本格回復には2~3年を要すると見ています。
3.樹脂添加剤事業
国内の事業基盤を強化しつつ、海外子会社と連携をとりながら、東南アジアを中心に塩ビ樹脂安定剤およびハイドロタルサイトの海外展開を図り、海外売上高比率50%以上を目指します。
4.触媒事業
環境配慮型触媒であるクロムフリーの銅触媒、アンチモンフリーのPET重合触媒への注力と、ニッケル触媒の収益化を目指します。
5.その他の化学事業(高屈折材料)
前中期経営計画の最終年度(2018年度)で需要が増加してきた高屈折材料(酸化ジルコニウム分散液、酸化チタン分散体)は、開発および拡販に注力します。
6.医療事業
積極的に新規事業を伸ばし、医療機器事業(粘膜下注入材、内視鏡洗浄消毒装置、骨充填材)、美容医療機関向け製品、がんスクリーニング検査事業を中心に業容拡大を目指します。
② 再構築投資による環境と人にやさしい工場・オフィスの実現
働く人や環境にやさしい、災害に強い工場、本社、技術棟の整備と、将来の工場建設スペースを確保します。
③ 10年先の社会を見据えた新事業へ取り組む
1.既存事業を通して、人と環境にやさしい製品づくりで社会的貢献を希求します。
2.研究開発の方向性
持続可能な開発目標(SDGs)における、7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を重視し、それに沿った研究テーマを継続して取り組んでいきます。
3.化学の力で新しい事業創造の可能性を追求
持続可能な開発目標(SDGs)における、2「飢餓をゼロに」6「安全な水とトイレを世界中に」7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」9「産業と技術革新の基盤をつくろう」13「気候変動に具体的な対策を」14「海の豊かさを守ろう」15「陸の豊かさも守ろう」を重視し、将来に向けた新しいビジネスモデルの可能性を追求します。
④ 総還元性向30%以上を目標とした安定的・継続的な株主還元を実施
事業活動で得たキャッシュを主に将来の成長に向けた投資に充てるとともに、安定的・継続的な配当を基本とする株主還元を実施し、持続的な成長と企業価値の向上に努めます。
目標とする経営指標
| 2024年3月期目標 | |
| 営業利益 | 80億円以上 |
| ROE | 6%以上 |
2021年3月期は新型コロナの影響により、業績は年度計画に対し大幅な未達に終わりましたが、翌期以降の回復を見据え、経営目標は当初目標を堅持することといたしました。「稼ぐ力の向上」は引続きグループ全体での最重要課題であるとし、堺化学ならびにグループ各社において積極的な施策を展開しております。稼ぐ力は営業利益金額で評価し、株主資本に対するリターンを測る指標としてROEを選択しました。ただし、当初掲げておりました営業利益率7%以上という目標は、2022年3月期から適用される新収益基準により売上高の定義が変わるため、目標から削除します。
営業利益は為替差損益、利息・配当等の影響を含まず、製造業を主体とする当社グループの業績、努力の結果を的確に反映する指標と判断しております。また、ROEは株主資本に対してのリターンを反映する指標として、資本市場にて広く認識されている指標です。当社におきましても、ROEが株主資本に対するリターン目標として的確なものと判断しました。ROEの数値目標につきましては、営業利益目標に株主還元目標を加味し設定しました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2024年3月期までの5ヵ年においては、設備投資総額400億円、そのうち収益向上に向けた戦略投資として190億円を計画しておりました。戦略投資以外の設備投資案件を延期するなど計画の見直しを行いましたが、2021年3月期までの2年間で設備投資総額189億円、うち戦略投資98億円と前倒しで設備投資を実行し、足元の需要に対して十分な生産体制を構築しました。
しかし、新型コロナの影響による市況の一時的な悪化や拡販活動の遅れにより、設備の減損処理を実施しました。化学事業においては、化粧品材料は本格回復までは時間がかかると見ておりますが、電子材料は市況もほぼ回復し、EV化や自動運転化が進行中の車載用途、5Gが普及しつつある通信用途ではハイエンド製品を中心に拡販が実り始めております。生産能力に対し、それに見合った販売実績を達成することが喫緊の課題です。医療事業においては、薬価改定に影響されない医療機器関連や有望な新規ビジネスの開拓・育成に注力し、稼ぐ力(営業利益率)の向上に向け取り組んでおります。
なお、多額の減損処理、純損失計上後も十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、今期以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持してまいります。今期以降も続くであろう新型コロナに起因する非常事態に備えて、全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め適切な対応を実施してまいります。
また、戦略投資に要する資金確保と資本効率向上のため、現在保有している政策保有株式を2024年3月末までに株主資本の5%以下に縮減することを目標に掲げ、持合株式の解合いを中心に縮減に努めております。この動きは今期以降も株式市場の動向を注視しつつ、精力的に推進してまいります。
新型コロナの収束がまだ見えない状況ですが、現時点ではグループ会社を含め、操業に影響を与えるような事案は発生しておりません。有機化学品や衛生材料は堅調を維持するものと見ておりますが、新型コロナによって景気低迷が継続する事態となった場合には、2021年3月期の上期同様、幅広い用途に使用されている酸化チタンやバリウム製品等がマイナスの影響を受ける恐れがあります。また、緊急事態宣言等に伴う外出自粛によって、日焼け止め向けの化粧品材料の需要減、集団検診の中止・延期によるバリウム造影剤の販売低下は避けられないものと考えております。事業運営に当たっては、工場や建物への出入管理の厳格化、出張や会議の制限、時差出勤やテレワークの実施など、引き続き顧客、調達先、社員とその家族の安全確保ならびに感染予防と拡大防止に努め、事業継続に向けた取組みを行ってまいります。
(化学事業)
電子材料
誘電体材料(高純度炭酸バリウム)および誘電体(チタン酸バリウム)に関する設備投資はほぼ計画どおり実施してまいりましたが、販売について投資計画時の見込みとの乖離が大きくなり、減損処理を実施しました。積極的な投資が期待される5Gなど通信基地局向けや自動車向けの回復など、積層セラミックコンデンサの市場環境は改善されてきており、当社の販売も昨年10月以降回復基調にあることから、この回復と今後の市場の伸びに対応すべく、顧客の高度化する品質要求にしっかりと対応できるよう一段の生産技術・品質管理の強化など、より盤石な供給体制構築を図ってまいります。
また、誘電体については、当社の製品特性を活かしたハイエンド分野向け差別化製品の開発と販売に一層注力してまいります。
酸化チタン・亜鉛製品
酸化チタンは、新型コロナによる世界的な需要低迷と原料鉱石の値上がりもあり、採算性が厳しくなっておりますが、工場運営、他製品の中間体供給等において重要な役割を担っているため、さらなる事業の効率化、最適な生産体制の検討を進めてまいります。
UVケア化粧品材料として使用される超微粒子酸化チタン・酸化亜鉛は、事業規模拡大を見据え積極的な投資を行いましたが、新型コロナで出荷が大きく落ち込み、減損処理を実施しました。当面、人々の屋外活動が制限されることでマイナスの影響は残ると考えておりますが、引き続き、UVケア化粧品のみならず、メイクアップ、スキンケア化粧品全般に、機能性、意匠性等に優れた無機材料を提供すべく、材料開発、処方開発に取り組みます。
樹脂添加剤
塩ビ安定剤は、国内市場の縮小傾向は変わらず、当社としては注力する分野を絞り、品種の統合や配合コストの低減に取り組み、競合他社との差別化で安定したシェアおよび利益の維持に努めます。
一方、塩ビ需要の拡大が期待できる海外(特に東南アジア地域)へは、当社の国内で培ってきた配合技術を駆使し、ベトナム、タイの現地法人と協力してシェア拡大に努めます。
その他、金属石鹸やハイドロタルサイト等の機能性添加剤については、それらの特徴・機能をより高め、高付加価値分野への用途展開を図り、利益の確保に努めます。
衛生材料
衛生材料製品に使用される通気性フィルムの生産拠点であるPT.S&S HYGIENE SOLUTION(インドネシア)において、品質の安定とコスト競争力向上に取り組み、事業の安定的拡大を目指します。また、紙おむつ、生理用ナプキン、ペットシート等の原材料について信頼できる供給元との関係を一層強化し、グローバルに販売活動を展開します。さらには、今後需要が見込まれる脱プラ素材の開発もメーカーと協力しユーザーへの提案を進めます。
有機化学品
チオおよびリン製品は、原価抑制と安定供給に努めるとともに、伸長が予想される用途への積極的な展開、新たなニーズの収集と開発技術力の強化により次の収益の柱になる製品育成に取り組みます。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、受託品目、受託数量増加を視野に入れ、生産要員確保、品質管理等の体制整備を進めるとともに、将来の新規案件獲得に向け原薬製造ラインの増強を計画します。
触 媒
水添石油樹脂が衛生材料向け部材等の分野で需要拡大が期待できる中で、その製造工程で使用するニッケル触媒は、生産効率を上げるべく準備を進めるとともに、シェア拡大に努めます。
火力発電所やごみ焼却施設で使用される脱硝触媒は、環境対策が進み需要が増えると期待される中国、東南アジア地域等への積極的な営業活動を推進するとともに、生産・供給体制の強化を進めてまいります。
その他、重金属フリーのポリエステル重合用触媒など環境負荷低減やカーボンニュートラルに関連した新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。
受託加工
受託加工事業に対する顧客からのニーズは、近年多種多様でより高度なものになり、それらニーズに対して迅速かつ確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、人材育成等を図り、より信頼される受託体制を構築して発展に努めてまいります。
(医療事業)
医療用医薬品、医療機器、一般用医薬品、ならびに健康食品等、これまで培った販路・商流を活用できる商品ラインアップの拡充に注力します。また、産学連携の枠組みを活用した大学との共同研究を積極的に推進するほか、新素材、新技術、新プラットフォームを有するスタートアップ企業を探索し、業務・資本提携を含めたビジネス協業関係の構築を図ります。
医療用医薬品
バリウム造影剤は、需要が漸減する国内においては顧客ニーズへの対応力を強化する一方、輸出については韓国、台湾等への拡販に努め、国内・輸出の販売合計で事業規模維持を図っております。新型コロナで集団検診の延期または中止により販売量が減少しましたが、胃がん検診自体は必要なものであるため、減少は一時的なものと予想しております。
医療機器
内視鏡洗浄消毒器は、新型コロナで施術数の停滞により関連する消耗品の販売は一時的に減少しましたが、コロナ支援キャンペーンを打つなど営業活動を進めた結果、需要は徐々に回復してきております。
2019年6月に上市した内視鏡治療用粘膜下注入材「リフタルK」および注入材用穿刺針「リフテインニードル」は、大学病院、大規模病院から中小クリニックまで営業強化を図り、早期に30%のシェアを目指して拡販に注力しております。
また、スタートアップ企業が開発した医療機器プログラムである胸部X線診断支援AIシステムの販売を開始しました。当社の顧客である健診施設で一定の需要が見込めるため、販売に注力してまいります。
一般用医薬品・その他
一般医薬品の事業拡大・収益力強化のため、ヘルスケア事業の組織体制の見直しを行い、販売ルートおよび商品ラインアップの整理、新商品と新商流の開拓などの活動を積極的に展開します。
新事業領域として取り組んできた美容医療向け事業は、新型コロナにあっても紫外線対策サプリ「ソルプロ」シリーズを中心に順調に売上を伸ばしており、今後も新製品を投入し拡大を図ります。