有価証券報告書-第131期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/24 13:15
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有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは『グループの総合力を最大限に高め、社会のニーズにタイムリーに応える事業活動を展開する。以て盤石な経営基盤を構築し社会的貢献を希求する』ことを経営理念としております。
当社の創業は、鉛含有の白粉(おしろい)による健康被害が問題視されていた中、無鉛白粉の原料である酸化亜鉛の製造法の開発に成功したことから始まります。以来、思いやりの心と技術革新で社会の快適と安心を支える素材(マテリアル)づくりにこだわってきました。
培った化学技術により生まれる素材(マテリアル)をベースとし、各ステークホルダーとともに持続可能なやさしい未来社会を実現する、この目的に向かって創造を続ける会社であることが私たちのミッションです。
このミッションを実現するために、社員が日々ワクワクして働いてこそ、価値ある創造が継続できるとの考えより、働く社員が能動的で躍動感に溢れる「わくわくカンパニー」を目指しています。
(2)経営環境
当社グループは、国内連結子会社7社、国内非連結子会社1社、海外連結子会社8社、海外非連結子会社1社からなります。堺商事および堺商事傘下の海外子会社(PT. S&S HYGIENE SOLUTIONを除く)5社以外は製造子会社です。堺化学および各製造子会社は、特徴のある製品・技術ノウハウを保有し、そのビジネスモデル・ビジネス領域も多種多様です。各社の特徴を伸ばしていくとともにグループガバナンスの強化を行い、グループ間シナジーの発現、業務の効率化など最大のパフォーマンスが発揮できるよう努めています。
成長事業においては、電子材料はAIサーバー関連・車載向けなど全体的に好調に推移した結果、収益が増加しました。
一方、UVケアおよびメイク関連向けの化粧品材料は、主要顧客向け及び中国向けを中心に出荷数量が大きく減少しました。
また、医薬品原薬・中間体、プラスチックレンズ向け製品などの有機化学品は、主力のレンズ向けや中国・欧州のセメント添加剤向けの販売数量の増加と価格是正により収益が増加しましたが、医薬品原薬・中間体の生産受託は、売上高は増加した一方、前連結会計年度途中に稼働した片山製薬所の新本社及び新研究所の減価償却費負担の増加により、利益は減少しました。
効率化検討事業においては、顔料級酸化チタン事業終了の影響もあり売上高は減少しましたが、触媒や無機材料の利益が増加し収益性については大きく改善しました。
医療事業においては、薬価改定や原燃料高騰の影響を受け、前連結会計年度同様の厳しい業績となりました。
当社グループ全体では、成長事業である化粧品材料での減益を、電子材料、触媒、無機材料、その他事業の増益でカバーし、前年から利益が増加しました。
(3)中期的な経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは上記経営環境を認識し、2024年にスタートさせたグループ中期経営計画『変革・BEYOND2030』において変革を通じて当社のミッションである「化学でやさしい未来づくり」 をこれまで以上に体現すべく、強い決意を以て取り組んでおります。
『変革・BEYOND2030』で重点的に取り組む項目は以下のとおりとし、中長期的には「Smart Materialで社会に貢献できるエクセレントカンパニー」を目指します。
①高付加価値品シフトを企図した事業ポートフォリオ入替え
顔料級酸化チタンの事業終了を皮切りに、他製品の安定・成長事業化も進め、「変革・BEYOND2030」において効率化を検討する事業はなくします。
1.顔料級酸化チタン事業終了と構造改革
・顔料級酸化チタンは設備投資効率が低く、生産工程における環境負荷も高い事業のため、2026年3月期に事業を終了します。
・顔料級酸化チタンの事業終了に向けて、構造改革(固定費削減、価格是正など)を進めます。
2.成長事業へのリソース集中、M&Aによる事業拡大
・電子材料、化粧品材料に加えて、有機化学品を新たな成長ドライバーと位置づけ、既存事業の成長投資とM&A活用で、更なる利益成長を目指します。
電子材料は、収益性の高いハイエンド品の更なる拡販と収益拡大が見込めるミドルエンド品のシェアを取り込むことで市場成長を超えた成長を実現していきます。
化粧品材料は、サンスクリーン剤の増産投資は一巡したことから、超微粒子酸化亜鉛で海外(特に欧州化粧品メーカー)の需要を取り込み、利益成長を目指します。さらに将来における収益貢献に向けたメイク用途材料の先行投資を実施します。
有機化学品は、市場内でも特に高い成長率が見込まれる高屈折タイプのメガネレンズ材料に対し、トップシェアポジションの強化に向けたリソース投入を行います。また、医薬品原薬・中間体は、増設による既存受託品の更なる拡販で、利益成長を目指します。
3.ベストオーナーの見極め、将来への種蒔き
グループ会社を含め、各事業のベストオーナーが当社であるかを見極めます。また、将来に向けた種蒔きのため、R&D活動を積極的に進めます。
医療事業は、品質問題を受け、GQP・GMP体制の立て直し、組織文化の変革を目指します。また、薬価改定の影響を受けない新規事業の育成、推進を進めます。
4.研究開発活動
当社グループではSmart Material認定製品・サービスを2030年度までに5件上市することを目標としています。「自然を守る」、「高度情報化社会の発展を支える」、「人々の健康を支える」ために、環境・エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス・ヘルスケア分野において、Smart Material認定製品・サービスで社会に貢献することを目指します。そのために、継続的な研究開発への投資を行っていきます。
②資本コストを上回るROEの達成・PBR改善
2027年3月期のROE目標8%の達成に向けて、事業ポートフォリオ変革による高付加価値品へのシフト、資産の圧縮、資本効率の向上を進め、PBRの改善へつなげます。
1.事業ポートフォリオ変革により高付加価値品へのシフト
成長事業への展開を加速し、顔料級酸化チタンの事業を2026年3月期に終了します。
2.資産の圧縮(キャッシュ・フロー改善)
キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)の改善をすることで、中期経営計画期間(3年間)で運転資金70億円の圧縮を実現します。また、有効活用されていない固定資産の売却を実施します。
3.資本効率の向上
成長事業へのM&Aを含む積極投資を行います。また、DOE3%を目安として、安定的、継続的な配当を行うとともに、機動的な自己株買いを実施します。
③マテリアリティ推進・非財務面の取り組み加速
1.品質・安全問題の再発防止策の徹底
子会社のカイゲンファーマにおける薬機法違反、湯本工場の爆発火災事故、小名浜事業所の火災等、重大な品質・安全問題が発生したことを重く受け止め、現在グループ全体で再発防止に向けた取り組みを進めております。
2.人的資本経営の取り組みの推進
2024年4月にサスティナビリティ委員会の傘下に人的資本部会を設置しました。当社は、社員が個人・組織課題の解決に向けて主体的に動くことで、社員一人ひとりが自分・仲間を信頼し、持続的に成長できる強い企業になることを目指します。
④キャピタル・アロケーション
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⑤主要なKPI一覧
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(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「変革・BEYOND2030」を2024年にスタートさせました。当計画は、2030年から更にその先の将来に向けた「変革」のステージの3年間と位置づけております。今後は、収益性、投資効率が高い事業へ設備投資や人的資源を集中的に投下し、事業ポートフォリオを組み換え、高収益な企業へ変革するための構造改革を実施します。
また、成長事業として位置づけております化粧品材料事業につきましては、海外、特に欧州を中心に化粧品トップメーカーに対し販売を強化するとともに、UVケア商材だけではなくメイクアップ商材への先行投資を行ってまいります。また電子材料事業につきましては誘電体のハイエンド品やミドルエンド品のシェアアップによって、電子材料市場の市場成長を超える成長を目指します。
なお、2026年3月期末時点においても十分な自己資本を維持しております。加えて、長期借入やコミットメントライン等、金融機関から十分な支援を受けられていることから、当連結会計年度以降の営業キャッシュ・フローを含め、当面の資金繰りについても盤石な体制を維持できると考えております。経営環境の激変に備え全社的なコスト削減、棚卸資産の圧縮、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ資金の運用効率化等の対策を打ち、財務の健全性確保に努めると同時に、今後のビジネス環境の変化を注意深く見極め、適切に対応してまいります。
中国における景気低迷に加え、中東情勢の悪化に端を発した、原油関連製品をはじめとするサプライチェーンの断絶により一部原料の調達が厳しくなっております。当社でも、衛生材料等がこれらの影響を大きく受けております。加えて、原燃料高騰と円安がもたらす製造コストの上昇は、主要な原燃料を海外からの輸入に依存している当社にとって免れ得ないものと認識しており、適正な販売価格の設定、収率の改善等、更なる製造コスト削減により業績の維持向上に努めてまいります。
電子材料(成長事業)
積層セラミックコンデンサ(MLCC)市場は、中国の景気低迷やレアアース不足による影響はあるものの、市場全体としては車載向けの堅調な推移や生成AI市場の急成長により、今後も伸長が期待されます。当連結会計年度は、誘電体はハイエンド品の採用が決まったことで下期より販売数量が増加し、誘電体材料はハイエンド品およびミドルエンド品での販売数量が増加しました。
今後は、原材料の安定調達、継続した価格改定による採算是正に取り組むとともに、収益性の高いハイエンド品の更なる拡販と、収益拡大が見込めるミドルエンド品のシェアを取り込むことで市場成長を超えた成長を実現してまいります。
化粧品材料(成長事業)
日焼け止め製品市場は、全体としては成長基調にありますが想定よりも緩やかであり、また継続して中国景気の低迷や世界的なインフレの影響を受けております。そのため、消費者の購買行動はコスト重視へと変化し、比較的安価な有機系紫外線吸収剤を使用した製品が伸長する一方、当社の得意とする高品質な無機系材料は伸び悩んだため、販売数量が大きく減少しました。
足元では販売数量増加に向けた取り組みや、コストダウングレードの販売による収益改善策を推進しており、中長期的には、海外大手化粧品メーカーに採用された高透明超微粒子酸化亜鉛を中心に、高付加価値製品の開発・拡販に努め、収益構造の転換を図ってまいります。また、メイクアップ、スキンケア市場進出のための新工場の早期収益貢献も併せて、黒字回復に向けて鋭意取り組んでまいります。
有機化学品(成長事業)
有機イオウ製品は、伸長が予想されるレンズ市場への投資戦略の最適化、新製品の電子デバイス用接着剤等の高付加価値用途への拡販と増産に注力してまいります。
医薬品原薬・中間体の生産受託は、製薬会社がプロセス開発を含め外部機関に委託するケースが増えており、製薬会社と協働できるような開発体制が必要となっております。数年来、CDMO(開発製造受託)の体制整備、人員、装置、ソフト面の強化を進めてきましたが、2024年9月に新研究所が稼働し、本格的に活動を開始しました。当連結会計年度は湿式粉砕機を導入する等、増加する開発案件の引き合いを確実に受託するための設備投資を行いました。来年度以降も設備の充実を進めてまいります。
衛生材料(安定事業)
消費低迷とインフレにより国内外の顧客の状況は依然厳しく、また継続する円安と安価な中国品の流入の影響を受けております。またインドネシアで製造販売している通気性フィルムについても、主要顧客である日系企業と地元企業との競争激化の影響を受けております。さらに、中東情勢の悪化に端を発した石油樹脂製品の価格高騰による採算悪化が懸念されます。足元は資材確保を最優先に、サプライヤーとしての責任を果たしつつ、従来から進めていた大人用おむつやフェミニンケア向け新規商材、インドネシアで製造する新規製品に注力し、成長軌道に乗せてまいります。またインドネシアでは原料の内製化を開始しており、引き続き最適な資材選択と安定生産を実施し、更なるコストダウンと拡販による収益の増加に向けて取り組んでまいります。
受託加工(安定事業)
顧客からのニーズは多種多様で、より高度なものになってきており、かつ要求事項を超える提案も求められています。これらに確実に対応できるよう、保有設備の拡充、生産管理の高度化、技術力の向上を図り、より信頼される受託体制を構築しております。また、新規案件獲得に向け、高い技術力を訴求する製品群をラインアップし、展示会への出展など知名度を高めるべく、営業活動を進めております。
混合、ろ過水洗、乾燥、焼成等の工程受託においても、研究開発から事業化への加速、投資リスク低減のため、多様な分野においてニーズが高まっており、潜在的な顧客も多数存在すると考えられます。ウェブサイトやオウンドメディア(自社媒体)の活用、各種展示会への出展により、設備や技術力を幅広くアピールしており、さらにウェブマーケティングを強化し、生産技術をPRすることで新規顧客の開拓を図ってまいります。
酸化チタン・亜鉛製品(効率化検討事業)
顔料級酸化チタンについては、国内需要が低下する中で、輸入品、特に安価な中国品の流入により、販売数量が大きく低下しました。また当初の計画通り2026年3月期に事業を終了いたしました。
亜鉛製品については、一定程度、堅調な市場環境が継続しているものの、主要用途であるタイヤゴム市場において安価な輸入品の流入や環境配慮型仕様製品への移行が進むと想定されます。引き続き安定操業とコストダウン等に取り組んでまいります。
樹脂添加剤(効率化検討事業)
当社製品の主要用途である塩化ビニール樹脂の国内需要は年々減少している一方、輸出については増加していることから、需要の拡大が期待できる海外市場に注力してまいります。ベトナム、タイに生産・販売拠点を有する優位性を活かし、より競争力のある場所で生産・販売を行うため構造改革を実施しております。また、高騰しているアンチモンの代替材料として、ハイドロタルサイトや複合難燃剤の生産・販売に注力しております。
触 媒(効率化検討事業)
光学フィルムや紙おむつ向け接着剤等で用いられる水素添加石油樹脂は、引き続き堅調な需要が見込まれており、その製造工程で使用されるニッケル触媒は、拠点の集約化が終了し、更なる生産体制の効率化を図っております。今後は、さらに高品質な製品の販売割合を増やしながら、収益確保に努めてまいります。
脱硝触媒は、火力発電所やごみ焼却施設で長年使用されており、クリーンな環境の実現に貢献しております。積み上げてきた実績や知見を活かし、国内外での営業活動を進めてまいります。
その他、低炭素化社会の実現のためカーボンニュートラル関連事業に取り組む企業と協業し、新規触媒の開発と拡販にも注力してまいります。
無機材料(効率化検討事業)
塗料やインキなどに使用される硫酸バリウム製品は、安価な中国品の価格攻勢を受けています。当社は国内唯一の硫酸バリウムメーカーであることを活かし、特徴のある機能的なバリウム化合物を提供してまいります。また、収益の最大化を図るべく、中国をはじめとした海外からの輸入原材料の安定調達に努めてまいります。
戦略製品としては、高屈折材料向け酸化ジルコニウム分散液、放熱材料向け酸化亜鉛等に注力してまいります。
医療事業
品質問題を受け、最優先課題と位置づけて推進してきた業務改善計画を完遂し、今後は全社で再発防止を誓い持続的な品質改善に取り組んでまいります。
医療用医薬品については、治療薬の大幅な薬価引き下げのトレンド、原材料価格の高騰による利益の減少が続いておりますが、価格転嫁や業務の効率化により利益確保を図りつつ、抜本的な構造改革を加速してまいります。
内視鏡洗浄消毒器は、市場での周知を図るための講演等の啓発活動に取り組むとともに、耳鼻咽喉科領域等の新たな領域へ展開いたします。その他、協業先の医療機器の拡販、診断支援AIの取り扱いを開始しました。
美容医療向け製品においても、さらなる利益確保と業務効率化のため、特定の医薬品卸を経由した販売ルート構築の検討、「ソルプロ」ブランドで展開する紫外線対策サプリメント等の商品ラインアップ拡充を目指した開発に注力しております。
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