有価証券報告書-第93期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中間の通商問題を巡る緊張が高まったほか、年度末にかけて世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済の減速が顕在化し、先行きへの不透明感が一段と高まりました。
当社グループを取り巻く事業環境は、半導体向け製品の需要が堅調に推移したほか、複眼化が進むスマートフォン用カメラレンズや車載カメラ向けなどの光学用途の需要拡大の動きもみられましたが、メタノール、ポリカーボネート、高純度イソフタル酸等の汎用品の市況が低水準で推移するなど厳しい状況が続きました。
このような環境下において、当社グループは、グループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」のもと、昨年度よりスタートした中期経営計画「MGC Advance2020」の基本方針に基づき、「中核事業を中心とした既存事業の収益力強化」、「新規事業の創出と育成」、「最適な事業ポートフォリオに向けた投資戦略の実行」等の施策を進めました。当期は、超純過酸化水素の北米新工場の建設や光学樹脂ポリマーの能力増強を進めたほか、日本ユピカ株式会社及び株式会社東邦アーステックの連結子会社化やグループ3商社の統合に向けた取り組みの進捗などにより、グループ経営の強化も進みました。
当社グループの売上高は、メタノールやポリカーボネートの市況が下落したことなどにより、減収となりました。
営業利益は、光学樹脂ポリマーや半導体パッケージ用BT材料の販売数量が増加したものの、ポリカーボネート、高純度イソフタル酸、メタノール等の市況が下落したことなどから、減益となりました。
経常利益は、営業利益の減少に加え、後述するサウジアラビア合弁事業での一過性費用の計上や市況下落等で海外メタノール生産会社の持分法損益が大幅に悪化したことなどから、減益となりました。
以上の結果、売上高6,133億円(前期比356億円減(5.5%減))、営業利益342億円(前期比71億円減(17.2%減))、持分法損失12億円(前期比296億円悪化)、経常利益311億円(前期比380億円減(55.0%減))、親会社株主に帰属する当期純利益211億円(前期比338億円減(61.5%減))となりました。
なお、既に公表いたしましたとおり、当連結会計年度より、当社の持分法適用関連会社である日本・サウジアラビアメタノール株式会社のSaudi Methanol Company(以下、「AR-RAZI」)への持分比率の減少、AR-RAZI合弁事業延長対価の償却費相当額が、持分法による投資損失に反映されております。加えて、一過性費用として、AR-RAZI株式売却に伴う損失や追加の税金費用など78億円が持分法による投資損失に含まれております。
[天然ガス系化学品]
メタノールは、市況が前期に比べ下落したことなどから、減収減益となりました。
メタノール・アンモニア系化学品は、MMAやネオペンチルグリコールの市況が下落したことなどから、前期を下回る損益となりました。
原油その他のエネルギー販売は、原油販売数量が増加したものの、原油価格が下落したことなどから前期並みの損益となりました。
以上の結果、売上高1,571億円(前期比233億円減(13.0%減))、営業利益1億円(前期比32億円減(96.4%減))となりました。また、海外メタノール生産会社を中心とする持分法損失を49億円計上した結果、経常損失は57億円(前期比283億円悪化)となりました。
[芳香族化学品]
特殊芳香族化学品は、芳香族アルデヒドの販売数量が増加したものの、メタキシレンジアミンの需要が当期末にかけてやや弱含みで推移したことなどから、前期を下回る損益となりました。
汎用芳香族化学品は、高純度イソフタル酸やメタキシレンの販売価格が前期に比べ下落したことなどから、減収減益となりました。
発泡プラスチック事業は、需要低迷の影響や新規需要へ向けた生産体制構築に伴う固定費の増加などにより減益となりました。
以上の結果、売上高2,001億円(前期比109億円減(5.2%減))、営業利益111億円(前期比35億円減(23.9%減))、経常利益104億円(前期比34億円減(25.0%減))となりました。
[機能化学品]
無機化学品は、半導体向け薬液の販売数量が増加したものの、北米新工場立ち上げに伴う固定費の増加に加え、過酸化水素の採算悪化や液晶向け薬液の販売数量減少などもあり、減益となりました。
エンジニアリングプラスチックスは、スマートフォン用カメラレンズの複眼化の進展や生産能力の増強等により光学樹脂ポリマーの販売数量が増加したものの、ポリカーボネートの市況が前期に比べ大幅に下落したことなどから、前期並みの損益となりました。
以上の結果、売上高2,003億円(前期比42億円減(2.1%減))、営業利益199億円(前期比13億円減(6.5%減))となりました。また、エンジニアリングプラスチックス関連会社を中心とする持分法利益を33億円計上した結果、経常利益は223億円(前期比58億円減(20.8%減))となりました。
[特殊機能材]
電子材料は、前年度下期に落ち込んだ需要が回復したことに加え、第3四半期以降、スマートフォンやメモリー向けの需要も増加し、主力の半導体パッケージ用BT材料の販売数量が増加したことなどから、増収増益となりました。
「エージレス®」等の脱酸素剤は、自然災害や新型コロナウイルスの影響により国内菓子用途が減少したことなどから、前期を下回る損益となりました。
以上の結果、売上高547億円(前期比27億円増(5.3%増))、営業利益56億円(前期比17億円増(44.5%増))となりました。また、持分法利益を3億円計上した結果、経常利益は58億円(前期比13億円増(30.5%増))となりました。
[その他の事業]
その他の事業の売上高は8億円(前期比2億円増(30.8%増))、営業利益は0億円(前期比1億円減(81.3%減))、経常利益は0億円(前期比4億円減(98.1%減))となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ323億円減少し7,717億円となりました。
流動資産は、201億円減少し3,586億円となりました。減少の要因は、受取手形及び売掛金や現金及び預金の減少などであります。
固定資産は121億円減少し4,130億円となりました。減少の要因は、投資有価証券の減少などであります。
負債合計は、271億円減少し2,235億円となりました。流動負債は、短期借入金の減少などにより、248億円減少しました。固定負債は、社債の減少などにより、23億円減少しました。
純資産は、51億円減少し5,481億円となりました。減少の要因は、その他有価証券評価差額金の減少などであります。
この結果、自己資本比率は63.8%になりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ103億円減少し700億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ101億円収入が増加し742億円の収入となりました。増加の要因は、売掛金の回収がすすんだことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ88億円支出が減少し339億円の支出となりました。減少の要因は、投資有価証券の売却による収入の増加などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ181億円支出が増加し495億円の支出となりました。増加の要因は、自己株式の取得による支出の増加などであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.生産金額は、生産総量から自家消費分を差引いた販売向けの生産量に当連結会計年度の販売単価を乗じて算出しており、セグメント間の内部振替前の数値であります。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
中期経営計画「MGC Advance2020」2年目にあたる当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであり、最終年度(2020年度)の目標値と大きな乖離が発生しております。
※ 2019年5月13日修正値
乖離の発生には、メタノール、ポリカーボネート等の汎用化学品市況の市況の低迷など、外部環境の前提が当初計画策定時から相当変化したことが大きく影響しております。
今後も、新型コロナウイルス感染拡大による影響を含む経済状況の変化・市況の変動により経営成績が大きな影響を受けることも事実ではありますが、コロナウイルスの影響が限定的な事業もあり、残り1年弱の期間で目標に少しでも近づけるべく、挽回を図ってまいります。具体的な挽回策については、セグメント毎に後述いたします。
中長期的な課題への対処としては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は、2020年4月1日付で社内組織の再編を行いました。新体制の下、中期経営計画の2つの基本方針、5つの施策および3か年の投融資計画2,000億円、研究開発費計画660億円を維持し、既存事業基盤強化に資する戦略投資を積極的に実行するとともに、新たな研究開発部門体制のもとグループ内外の技術・人員を最大限活用し、特に最重要課題である、外部環境の変化に左右されにくい事業ポートフォリオの構築、並びに新規事業の創出と育成を加速に向け、グループ一体となり邁進していきます。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
[天然ガス系化学品事業]
天然ガス系化学品事業の経営成績は以下のとおりであります。
※1 2019年5月13日修正値
※2 セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の一過性費用の発生に加え、メタノール市況の低迷、トリニダード・トバコのメタノール新工場の稼働遅れなどにより、中期経営計画の目標値と乖離が発生しております。
今後、メタノールの製品調達価格の改善や物流・生産の効率化によるコスト削減、海外メタノール生産会社の安定運転の実現などにより、目標に近づけるべく挽回を図ってまいります。
[芳香族化学品事業]
芳香族化学品事業の経営成績は以下のとおりであります。
※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
需要低迷で発泡プラスチックおよび特殊芳香族化学品の販売数量が計画策定時の前提に及ばないことや、高純度イソフタル酸の市況低迷などにより、中期経営計画の目標値と乖離が発生しております。
今後、㈱JSPにおける差異化・成長戦略の推進、メタキシレンジアミン・MXナイロンの拡販などにより、目標に近づけるべく挽回を図ってまいります。
[機能化学品事業]
機能化学品事業の経営成績は以下のとおりであります。
※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
ポリカーボネートの市況が低迷していることなどにより、中期経営計画の目標値と乖離が発生しております。
今後、ポリカーボネートの高付加価値品比率の上昇、北米超純過酸化水素の稼働開始、半導体向け薬液の研究開発の海外シフトによる成長市場の顧客に密着した開発の強化などにより、目標に近づけるべく挽回を図ってまいります。また、堅調に推移してきた光学樹脂ポリマーについては、さらなる拡販を目指していきます。
[特殊機能材事業]
特殊機能材事業の経営成績は以下のとおりであります。
※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
脱酸素剤における、台風・水害・猛暑といった自然災害の影響、競合との価格競争、大口案件の採用遅れなどにより、目標値と乖離が発生しております。一方、電子材料は、半導体パッケージ用BT材料の販売が堅調に推移しております。
今後、電子材料において、海外製造子会社の生産能力増強等を進めBT材料のさらなる拡販を目指すとともに、脱酸素剤における価格競争力ある開発品の強化などにより、目標に近づけてまいります。
② 経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
今後の経済情勢については、新型コロナウイルスの世界・日本での感染拡大による経済活動への影響とその収束に関して、先行き不透明感が極めて強い状況です。
次期の業績見通しは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、上半期中は世界経済の低迷が続くものの、下半期から回復軌道に乗る前提で算定しております。当社グループの業績への影響も懸念されますが、当期の需要が堅調であった半導体パッケージ用BT材料、光学樹脂ポリマーへの影響は限定的とみております。一方で、自動車関連、住宅・インフラ、電気・電子機器など幅広い分野で需要が減退し、それらの製品の原材料となる発泡プラスチック、エンジニアリングプラスチックス、特殊芳香族化学品などの当社グループ製品への悪影響が懸念されます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入、社債等を基本としております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、当連結会計年度末における有利子負債の残高は747億円、現金及び現金同等物の残高は700億円となっております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。事業に対する投資や撤退判断等、経営の意思決定を迅速に行うため、売上規模や利益額に加え、資本効率を分析値に加えております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度における経営成績等の状況に影響を与える見積りが必要となります。当社グループは、過去の実績やその他の合理的と考えられる様々な要素に基づき、見積りを行っております。新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、「② 経営成績等に重要な影響を与える要因」に記載の前提に基づいております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。特に次の会計方針が、連結財務諸表作成における見積りの判断に重要な影響を及ぼすと考えております。
[固定資産]
当社グループの保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、適時かつ厳格な処理を実施しております。
減損の測定に至った場合に見積ることになる回収可能価額は、事業に供している資産については経済的残存使用年数における将来キャッシュ・フローもしくは正味売却価額を使用し、遊休及び休止資産については主として正味売却価額を使用しております。将来キャッシュ・フローについては、社内における管理会計の計画数値を基に見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から見積っております。また当社グループにおいては、減損リスクの管理として、新たな案件発生の可能性の把握と対応及び既に減損処理した案件についての定期的な回収可能価額の見直しを行っております。
事業損益見込の悪化、新たな遊休及び休止資産の発生、並びに正味売却価額の変更等があった場合には、回収可能価額を見積ることになり、減損損失を計上する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中間の通商問題を巡る緊張が高まったほか、年度末にかけて世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済の減速が顕在化し、先行きへの不透明感が一段と高まりました。
当社グループを取り巻く事業環境は、半導体向け製品の需要が堅調に推移したほか、複眼化が進むスマートフォン用カメラレンズや車載カメラ向けなどの光学用途の需要拡大の動きもみられましたが、メタノール、ポリカーボネート、高純度イソフタル酸等の汎用品の市況が低水準で推移するなど厳しい状況が続きました。
このような環境下において、当社グループは、グループビジョン「社会と分かち合える価値の創造」のもと、昨年度よりスタートした中期経営計画「MGC Advance2020」の基本方針に基づき、「中核事業を中心とした既存事業の収益力強化」、「新規事業の創出と育成」、「最適な事業ポートフォリオに向けた投資戦略の実行」等の施策を進めました。当期は、超純過酸化水素の北米新工場の建設や光学樹脂ポリマーの能力増強を進めたほか、日本ユピカ株式会社及び株式会社東邦アーステックの連結子会社化やグループ3商社の統合に向けた取り組みの進捗などにより、グループ経営の強化も進みました。
当社グループの売上高は、メタノールやポリカーボネートの市況が下落したことなどにより、減収となりました。
営業利益は、光学樹脂ポリマーや半導体パッケージ用BT材料の販売数量が増加したものの、ポリカーボネート、高純度イソフタル酸、メタノール等の市況が下落したことなどから、減益となりました。
経常利益は、営業利益の減少に加え、後述するサウジアラビア合弁事業での一過性費用の計上や市況下落等で海外メタノール生産会社の持分法損益が大幅に悪化したことなどから、減益となりました。
以上の結果、売上高6,133億円(前期比356億円減(5.5%減))、営業利益342億円(前期比71億円減(17.2%減))、持分法損失12億円(前期比296億円悪化)、経常利益311億円(前期比380億円減(55.0%減))、親会社株主に帰属する当期純利益211億円(前期比338億円減(61.5%減))となりました。
なお、既に公表いたしましたとおり、当連結会計年度より、当社の持分法適用関連会社である日本・サウジアラビアメタノール株式会社のSaudi Methanol Company(以下、「AR-RAZI」)への持分比率の減少、AR-RAZI合弁事業延長対価の償却費相当額が、持分法による投資損失に反映されております。加えて、一過性費用として、AR-RAZI株式売却に伴う損失や追加の税金費用など78億円が持分法による投資損失に含まれております。
[天然ガス系化学品]
メタノールは、市況が前期に比べ下落したことなどから、減収減益となりました。
メタノール・アンモニア系化学品は、MMAやネオペンチルグリコールの市況が下落したことなどから、前期を下回る損益となりました。
原油その他のエネルギー販売は、原油販売数量が増加したものの、原油価格が下落したことなどから前期並みの損益となりました。
以上の結果、売上高1,571億円(前期比233億円減(13.0%減))、営業利益1億円(前期比32億円減(96.4%減))となりました。また、海外メタノール生産会社を中心とする持分法損失を49億円計上した結果、経常損失は57億円(前期比283億円悪化)となりました。
[芳香族化学品]
特殊芳香族化学品は、芳香族アルデヒドの販売数量が増加したものの、メタキシレンジアミンの需要が当期末にかけてやや弱含みで推移したことなどから、前期を下回る損益となりました。
汎用芳香族化学品は、高純度イソフタル酸やメタキシレンの販売価格が前期に比べ下落したことなどから、減収減益となりました。
発泡プラスチック事業は、需要低迷の影響や新規需要へ向けた生産体制構築に伴う固定費の増加などにより減益となりました。
以上の結果、売上高2,001億円(前期比109億円減(5.2%減))、営業利益111億円(前期比35億円減(23.9%減))、経常利益104億円(前期比34億円減(25.0%減))となりました。
[機能化学品]
無機化学品は、半導体向け薬液の販売数量が増加したものの、北米新工場立ち上げに伴う固定費の増加に加え、過酸化水素の採算悪化や液晶向け薬液の販売数量減少などもあり、減益となりました。
エンジニアリングプラスチックスは、スマートフォン用カメラレンズの複眼化の進展や生産能力の増強等により光学樹脂ポリマーの販売数量が増加したものの、ポリカーボネートの市況が前期に比べ大幅に下落したことなどから、前期並みの損益となりました。
以上の結果、売上高2,003億円(前期比42億円減(2.1%減))、営業利益199億円(前期比13億円減(6.5%減))となりました。また、エンジニアリングプラスチックス関連会社を中心とする持分法利益を33億円計上した結果、経常利益は223億円(前期比58億円減(20.8%減))となりました。
[特殊機能材]
電子材料は、前年度下期に落ち込んだ需要が回復したことに加え、第3四半期以降、スマートフォンやメモリー向けの需要も増加し、主力の半導体パッケージ用BT材料の販売数量が増加したことなどから、増収増益となりました。
「エージレス®」等の脱酸素剤は、自然災害や新型コロナウイルスの影響により国内菓子用途が減少したことなどから、前期を下回る損益となりました。
以上の結果、売上高547億円(前期比27億円増(5.3%増))、営業利益56億円(前期比17億円増(44.5%増))となりました。また、持分法利益を3億円計上した結果、経常利益は58億円(前期比13億円増(30.5%増))となりました。
[その他の事業]
その他の事業の売上高は8億円(前期比2億円増(30.8%増))、営業利益は0億円(前期比1億円減(81.3%減))、経常利益は0億円(前期比4億円減(98.1%減))となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ323億円減少し7,717億円となりました。
流動資産は、201億円減少し3,586億円となりました。減少の要因は、受取手形及び売掛金や現金及び預金の減少などであります。
固定資産は121億円減少し4,130億円となりました。減少の要因は、投資有価証券の減少などであります。
負債合計は、271億円減少し2,235億円となりました。流動負債は、短期借入金の減少などにより、248億円減少しました。固定負債は、社債の減少などにより、23億円減少しました。
純資産は、51億円減少し5,481億円となりました。減少の要因は、その他有価証券評価差額金の減少などであります。
この結果、自己資本比率は63.8%になりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ103億円減少し700億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ101億円収入が増加し742億円の収入となりました。増加の要因は、売掛金の回収がすすんだことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ88億円支出が減少し339億円の支出となりました。減少の要因は、投資有価証券の売却による収入の増加などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ181億円支出が増加し495億円の支出となりました。増加の要因は、自己株式の取得による支出の増加などであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 天然ガス系化学品事業(百万円) | 63,312 | 10.1 |
| 芳香族化学品事業(百万円) | 171,838 | 0.1 |
| 機能化学品事業(百万円) | 177,475 | △5.6 |
| 特殊機能材事業(百万円) | 35,131 | 23.1 |
| その他の事業(百万円) | 3 | - |
| 合計(百万円) | 447,760 | 0.4 |
(注)1.生産金額は、生産総量から自家消費分を差引いた販売向けの生産量に当連結会計年度の販売単価を乗じて算出しており、セグメント間の内部振替前の数値であります。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 天然ガス系化学品事業(百万円) | 157,158 | △13.0 |
| 芳香族化学品事業(百万円) | 200,174 | △5.2 |
| 機能化学品事業(百万円) | 200,396 | △2.1 |
| 特殊機能材事業(百万円) | 54,716 | 5.3 |
| その他の事業(百万円) | 898 | 30.8 |
| 合計(百万円) | 613,344 | △5.5 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
中期経営計画「MGC Advance2020」2年目にあたる当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであり、最終年度(2020年度)の目標値と大きな乖離が発生しております。
| 連結指標 | 2019年度実績 | 2020年度目標 ※ |
| 売上高 | 6,133億円 | 7,500億円 |
| 営業利益 | 342億円 | 650億円 |
| 経常利益 | 311億円 | 800億円 |
| ROE(自己資本利益率) | 4.3% | 12%以上 |
※ 2019年5月13日修正値
乖離の発生には、メタノール、ポリカーボネート等の汎用化学品市況の市況の低迷など、外部環境の前提が当初計画策定時から相当変化したことが大きく影響しております。
今後も、新型コロナウイルス感染拡大による影響を含む経済状況の変化・市況の変動により経営成績が大きな影響を受けることも事実ではありますが、コロナウイルスの影響が限定的な事業もあり、残り1年弱の期間で目標に少しでも近づけるべく、挽回を図ってまいります。具体的な挽回策については、セグメント毎に後述いたします。
中長期的な課題への対処としては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は、2020年4月1日付で社内組織の再編を行いました。新体制の下、中期経営計画の2つの基本方針、5つの施策および3か年の投融資計画2,000億円、研究開発費計画660億円を維持し、既存事業基盤強化に資する戦略投資を積極的に実行するとともに、新たな研究開発部門体制のもとグループ内外の技術・人員を最大限活用し、特に最重要課題である、外部環境の変化に左右されにくい事業ポートフォリオの構築、並びに新規事業の創出と育成を加速に向け、グループ一体となり邁進していきます。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
[天然ガス系化学品事業]
天然ガス系化学品事業の経営成績は以下のとおりであります。
| 連結指標 | 2019年度実績 | 2020年度目標 ※1 |
| 売上高 ※2 | 1,637億円 | 2,100億円 |
| 営業利益 | 1億円 | 70億円 |
| 経常利益 | △57億円 | 150億円 |
※1 2019年5月13日修正値
※2 セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の一過性費用の発生に加え、メタノール市況の低迷、トリニダード・トバコのメタノール新工場の稼働遅れなどにより、中期経営計画の目標値と乖離が発生しております。
今後、メタノールの製品調達価格の改善や物流・生産の効率化によるコスト削減、海外メタノール生産会社の安定運転の実現などにより、目標に近づけるべく挽回を図ってまいります。
[芳香族化学品事業]
芳香族化学品事業の経営成績は以下のとおりであります。
| 連結指標 | 2019年度実績 | 2020年度目標 |
| 売上高 ※ | 2,011億円 | 2,400億円 |
| 営業利益 | 111億円 | 230億円 |
| 経常利益 | 104億円 | 220億円 |
※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
需要低迷で発泡プラスチックおよび特殊芳香族化学品の販売数量が計画策定時の前提に及ばないことや、高純度イソフタル酸の市況低迷などにより、中期経営計画の目標値と乖離が発生しております。
今後、㈱JSPにおける差異化・成長戦略の推進、メタキシレンジアミン・MXナイロンの拡販などにより、目標に近づけるべく挽回を図ってまいります。
[機能化学品事業]
機能化学品事業の経営成績は以下のとおりであります。
| 連結指標 | 2019年度実績 | 2020年度目標 |
| 売上高 ※ | 2,020億円 | 2,400億円 |
| 営業利益 | 199億円 | 300億円 |
| 経常利益 | 223億円 | 370億円 |
※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
ポリカーボネートの市況が低迷していることなどにより、中期経営計画の目標値と乖離が発生しております。
今後、ポリカーボネートの高付加価値品比率の上昇、北米超純過酸化水素の稼働開始、半導体向け薬液の研究開発の海外シフトによる成長市場の顧客に密着した開発の強化などにより、目標に近づけるべく挽回を図ってまいります。また、堅調に推移してきた光学樹脂ポリマーについては、さらなる拡販を目指していきます。
[特殊機能材事業]
特殊機能材事業の経営成績は以下のとおりであります。
| 連結指標 | 2019年度実績 | 2020年度目標 |
| 売上高 ※ | 548億円 | 600億円 |
| 営業利益 | 56億円 | 60億円 |
| 経常利益 | 58億円 | 70億円 |
※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
脱酸素剤における、台風・水害・猛暑といった自然災害の影響、競合との価格競争、大口案件の採用遅れなどにより、目標値と乖離が発生しております。一方、電子材料は、半導体パッケージ用BT材料の販売が堅調に推移しております。
今後、電子材料において、海外製造子会社の生産能力増強等を進めBT材料のさらなる拡販を目指すとともに、脱酸素剤における価格競争力ある開発品の強化などにより、目標に近づけてまいります。
② 経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
今後の経済情勢については、新型コロナウイルスの世界・日本での感染拡大による経済活動への影響とその収束に関して、先行き不透明感が極めて強い状況です。
次期の業績見通しは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、上半期中は世界経済の低迷が続くものの、下半期から回復軌道に乗る前提で算定しております。当社グループの業績への影響も懸念されますが、当期の需要が堅調であった半導体パッケージ用BT材料、光学樹脂ポリマーへの影響は限定的とみております。一方で、自動車関連、住宅・インフラ、電気・電子機器など幅広い分野で需要が減退し、それらの製品の原材料となる発泡プラスチック、エンジニアリングプラスチックス、特殊芳香族化学品などの当社グループ製品への悪影響が懸念されます。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入、社債等を基本としております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、当連結会計年度末における有利子負債の残高は747億円、現金及び現金同等物の残高は700億円となっております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。事業に対する投資や撤退判断等、経営の意思決定を迅速に行うため、売上規模や利益額に加え、資本効率を分析値に加えております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度における経営成績等の状況に影響を与える見積りが必要となります。当社グループは、過去の実績やその他の合理的と考えられる様々な要素に基づき、見積りを行っております。新型コロナウイルス感染拡大の影響につきましては、「② 経営成績等に重要な影響を与える要因」に記載の前提に基づいております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。特に次の会計方針が、連結財務諸表作成における見積りの判断に重要な影響を及ぼすと考えております。
[固定資産]
当社グループの保有する固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、適時かつ厳格な処理を実施しております。
減損の測定に至った場合に見積ることになる回収可能価額は、事業に供している資産については経済的残存使用年数における将来キャッシュ・フローもしくは正味売却価額を使用し、遊休及び休止資産については主として正味売却価額を使用しております。将来キャッシュ・フローについては、社内における管理会計の計画数値を基に見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から見積っております。また当社グループにおいては、減損リスクの管理として、新たな案件発生の可能性の把握と対応及び既に減損処理した案件についての定期的な回収可能価額の見直しを行っております。
事業損益見込の悪化、新たな遊休及び休止資産の発生、並びに正味売却価額の変更等があった場合には、回収可能価額を見積ることになり、減損損失を計上する可能性があります。