有価証券報告書-第97期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/25 13:40
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、中国経済の低迷が長期化し、その回復ペースは想定以上に遅く、欧米景気も長引くインフレと金融引き締め政策の継続等により減速し、経済活動の鈍化に伴って財需要が低迷するなどの厳しい状況が続きました。またウクライナ危機の長期化に加え、中東地域をめぐる情勢も緊迫の度合いを高め、地政学的な緊張感も増しており、景気の先行きが見通しにくい状況が継続しました。
当社グループにおいては、円安や、電子材料などの半導体関連製品の販売が回復基調であったことなどがプラスに寄与したものの、中国経済低迷の長期化や欧州等の景気減速に伴う製品市況の下落、基礎化学品の需要低迷などの影響が大きく、全体としては厳しい事業環境が続きました。
このような状況下、当社グループは当連結会計年度が最終年度であった中期経営計画「Grow UP 2023」の基本方針である「環境変化に強い収益構造への転換」を図るべく、「競争優位(“差異化”)事業の更なる強化」「新規事業の創出と育成の加速」「不採算事業の見直し・再構築」等の施策による事業ポートフォリオ改革を推進いたしました。
当社グループの売上高は、(株)JSPを第3四半期連結会計期間末をもって連結の範囲から除外したことや、メタノールやアンモニアの市況下落などが減収要因となりましたが、第1四半期連結会計期間より三菱エンジニアリングプラスチックス(株)を連結の範囲に含めたことや、円安の影響などが上回り、増収となりました。
営業利益は、円安に加え、ポリカーボネートの採算改善や電子材料の需要回復などが増益要因となったものの、前期に好調であったポリアセタールの市況下落や、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドなどの販売数量減少などにより減益となりました。
経常利益は、メタノール市況の下落や、トリニダード・トバゴのメタノール生産会社における減損損失の計上、ベネズエラのメタノール生産会社において前年同期に計上された繰延税金負債の取り崩しによる一過性利益の剥落などにより、持分法損益が悪化したことなどから、減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化に伴う段階取得差益の計上などが増益要因となりましたが、経常利益が減少したことなどから減益となりました。
以上の結果、売上高8,134億円(前期比322億円増(4.1%増))、営業利益473億円(前期比16億円減(3.5%減))、持分法損失56億円(前期比232億円悪化)、経常利益460億円(前期比237億円減(34.0%減))、親会社株主に帰属する当期純利益388億円(前期比102億円減(20.9%減))となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
[基礎化学品事業部門]
メタノールは、市況が前年同期に比べ下落したことや、持分法損益の悪化などにより減収減益となりました。
メタノール・アンモニア系化学品は、アンモニア等の市況下落などにより減収となりましたが、ホルマリン系事業の構造改革による採算改善などにより増益となりました。
エネルギー資源・環境事業は、発電用LNGの販売数量が減少したことなどが減収要因となりましたが、ヨウ素の販売数量増加及び市況上昇などにより前年同期並みの損益となりました。
ハイパフォーマンスプロダクツは、海外顧客の需要低迷により、メタキシレンジアミンや芳香族アルデヒドの販売数量が減少したことなどから減収減益となりました。
キシレン分離/誘導品は、高純度イソフタル酸(PIA)や無水フタル酸など製品全般の販売価格下落により減収減益となりました。
以上の結果、売上高4,045億円(前期比676億円減(14.3%減))、営業利益177億円(前期比10億円減(5.7%減))、経常利益101億円(前期比204億円減(66.8%減))となりました。
[機能化学品事業部門]
無機化学品は、半導体向け薬液において、原燃料価格や輸送費の上昇等を販売価格へ転嫁したことなどにより増収増益となりました。
エンジニアリングプラスチックスは、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の連結化により増収となったことに加え、高付加価値品の販売増等によりポリカーボネートの採算は改善しましたが、ポリアセタールの市況が下落したことなどから、全体では減益となりました。
光学材料は、光学樹脂ポリマーの主用途であるスマートフォンにおいて、新機種の生産が立ち上がった第2四半期以降、需要の回復基調が続いた結果、増収増益となりました。
電子材料は、主力の半導体パッケージ用BT材料において、スマートフォン向け材料やPC向け材料の需要が回復したことなどから増収増益となりました。
「エージレス®」等の脱酸素剤は、国内食品用途における巣ごもり需要の反動や、原材料価格の上昇等がありましたが、円安による輸出価格改善影響等もあり、前年同期並みの損益となりました。
以上の結果、売上高4,087億円(前期比998億円増(32.3%増))、営業利益330億円(前期比4億円増(1.3%増))、経常利益386億円(前期比0億円減(0.1%減))となりました。
[その他の事業]
その他の事業の売上高は1億円、営業利益は0億円、経常利益は1億円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ386億円増加し10,680億円となりました。
流動資産は、201億円減少し4,631億円となりました。減少の要因は、現金及び預金の減少などであります。
固定資産は、587億円増加し6,048億円となりました。増加の要因は、投資有価証券の増加などであります。
負債合計は、251億円増加し3,831億円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金の増加などにより、210億
円増加しました。固定負債は、社債の増加などにより、40億円増加しました。
純資産は、135億円増加し6,848億円となりました。増加の要因は、為替換算調整勘定の増加などであります。
この結果、自己資本比率は61.6%になりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ357億円減少し653億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ182億円収入が増加し734億円の収入となりました。増加の要因は、棚卸資産の増減額の減少などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ121億円支出が増加し761億円の支出となりました。増加の要因は、固定資産の取得による支出の増加などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ486億円支出が増加し406億円の支出となりました。増加の要因は、長期借入れによる収入の減少などであります。

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
基礎化学品事業部門(百万円)250,084△13.4
機能化学品事業部門(百万円)319,74527.9
その他の事業(百万円)-△100.0
合計(百万円)569,8305.7

(注)生産金額は、生産総量から自家消費分を差引いた販売向けの生産量に当連結会計年度の販売単価を乗じて算出しており、セグメント間の内部振替前の数値であります。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
基礎化学品事業部門(百万円)404,562△14.3
機能化学品事業部門(百万円)408,72432.3
その他の事業(百万円)130△5.9
合計(百万円)813,4174.1

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
前中期経営計画「Grow UP 2023」最終年度にあたる当連結会計年度の経営成績は以下のとおりであります。目標値に対しては、売上高は計画達成も、営業利益、経常利益、ROIC、ROEは未達となりました。
連結指標2023年度実績2023年度目標差異
売上高8,134億円7,300億円834億円
営業利益473億円700億円△227億円
経常利益460億円800億円△340億円
ROIC ※5.4%10%以上△4.6%
ROE6.1%9%以上△2.9%

※ ROIC=経常利益/投下資本
計画の未達には、全般的な販売数量の減少のほか、原燃料価格の上昇や、光学材料の需要予測の下振れ、メタノール生産会社での減損損失計上等が影響しております。
中長期的な課題への対処としては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「Grow UP 2026」において、「事業ポートフォリオの強靭化」と「サステナビリティ経営の推進」の2つの目標を掲げ、成長が期待されるICT分野を中心に「Uniqueness & Presence」(U&P)事業へ2,500億円、3ヵ年の累計で3,000億円の投融資を計画しております。研究開発投資や、人的資本経営の充実に資する投資も継続し、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた企業価値向上策を推進していきます。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
[基礎化学品事業部門]
基礎化学品事業部門の経営成績は以下のとおりであります。
連結指標2023年度実績2023年度目標差異
売上高 ※4,128億円4,100億円28億円
営業利益177億円250億円△73億円
経常利益101億円310億円△209億円

※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
エネルギー資源・環境事業は計画を達成したものの、その他の製品での全般的な販売数量の減少や、原燃料価格の上昇、トリニダード・トバゴのメタノール生産会社での減損損失計上などにより、前中期経営計画の利益目標は未達となりました。
今後は、メタキシレンジアミンの欧州製造設備の確実な立ち上げや、環境循環型メタノール構想 CarbopathTM の推進、CCS実用化に向けた取り組みなど、U&P事業の強化を進めてまいります。また、重点管理事業に位置付けるキシレン分離/誘導品については、オルソキシレン系チェーンの撤退を決定いたしました。今後も、各種コストの削減を含め、更なる構造改革に取り組んでまいります。
[機能化学品事業部門]
機能化学品事業部門の経営成績は以下のとおりであります。
連結指標2023年度実績2023年度目標差異
売上高 ※4,092億円3,300億円792億円
営業利益330億円490億円△160億円
経常利益386億円530億円△144億円

※ セグメント間の内部売上高又は振替高を含む
ポリアセタール、電子材料は計画を達成したものの、光学材料の需要予測の下振れや、エレクトロニクスケミカルズの販売数量減少、ポリカーボネートの不振などにより、利益目標は未達となりました。
今後は、エレクトロニクスケミカルズの国内外での生産体制の強化、電子材料の海外製造子会社の生産能力増強、レンズモノマープラントの新設など、成長が期待されるICT分野を中心に、U&P事業の成長に向けた各種施策を進めてまいります。また、厳しい市場環境が継続しているポリカーボネート系事業については、重点管理事業に位置付けます。シートフィルム生産拠点の集約化を進めるとともに、ポリカーボネートについては、事業環境に合わせた生産能力の見直しや、差別化できる高付加価値分野へのシフトを加速することで、収益性・資本効率性の改善を図ってまいります。
② 経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入、社債等を基本としております。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
また、当連結会計年度末における有利子負債の残高は1,730億円、現金及び現金同等物の残高は653億円となっております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。事業に対する投資や撤退判断等、経営の意思決定を迅速に行うため、売上規模や利益額に加え、資本効率を分析値に加えております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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