有価証券報告書-第19期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/24 13:57
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対処すべき課題

(1) 当社グループの対処すべき課題
平成28年度の世界経済は、中国において、景気減速の傾向がより鮮明になり、また、新興国においても中国経済や資源安の影響を受け停滞気味となることが見込まれますが、一方で、米国での良好な雇用・所得環境や原油安を追い風とした内需の自律的な成長等もあり、依然として不透明感は残るものの、世界全体では緩やかな成長が継続するものと想定されます。
日本経済は、雇用、所得環境の更なる改善に伴い、個人消費が回復し、緩やかな景気回復が継続するものと見込まれます。
化学工業界におきましては、世界景気の回復に伴う需要拡大はあるものの、ナフサ価格や為替の変動等を受け、先行き不透明な事業環境となることが見込まれます。
このような情勢のもと、平成28年度の当社グループの業績は、下表のとおりとなることを予想しております。
平成28年度連結業績予想平成27年度連結業績
売上高(億円)12,50013,439
営業利益(億円)700709
経常利益(億円)620632
親会社株主に帰属する
当期純利益
(億円)360230

当社は、平成28年度においては、平成26年度中期経営計画において定めた平成32年近傍の目標(連結業績で営業利益1,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益500億円)の早期実現と更なる成長基調を示すための取り組みを継続してまいります。
また、当社は、平成28年度においては、財務体質に留意しながらも、平成32年近傍の目標の達成に向けて、積極的に経営資源を投入してまいります。
以上を踏まえ、平成28年度は、特に次の点を重点課題として取り組んでまいります。
■成長を牽引する事業の更なる収益拡大
■成長投資の確実な回収、将来に向けた設備能力の確保
■新事業・新製品の創出の加速
■既存事業の収益力強化(合理化含めた更なる収益力改善)
■収益悪化事業における再構築の確実な実行による収益回復
■グループ・グローバル経営に向けた基盤の強化
■安全最優先の考えに基づいた取り組みの強化徹底、異常現象・事故・労災の撲滅
[平成26年度中期経営計画について]
当社グループは、平成26年度を初年度とする中期経営計画を策定し、自動車材料を中心とした「モビリティ」、メガネレンズ用材料、不織布、歯科材料等の「ヘルスケア」、食品包材、農薬等の「フード&パッケージング」を成長のターゲット事業領域と定め、集中的な拡大を図るとともに、石化・基礎化学品を中心とした汎用化学品を社会・産業を支える「基盤素材」領域として展開しております。
平成28年4月には、同中期経営計画の全社基本戦略の更なる推進のため、組織改正を実施し、同中期経営計画で掲げる重点事業領域に合わせた事業本部体制を確立いたしました。これにより、中期経営計画の戦略と開示セグメント、組織の整合を図り、各事業間の更なるシナジーを追求してまいります。
[平成28年度以降の目標について]
当社は、同中期経営計画の最終年度である平成28年度を、更なる成長に向け力を蓄える時期と捉えており財務体質に留意しながらも、積極的な投資を実施し、各ターゲット事業領域の拡大を図ってまいります。
当社がこれまで着手してきたPPコンパウンド、機能性コンパウンド、不織布、特殊イソシアネート等の成長投資が、平成29年度以降、順次、利益面で寄与してきます。さらに、コア事業の更なる強化、新事業・新製品の創出も加速させることにより、着実に収益を伸ばしつつ、平成31年度には平成32年近傍の目標値である連結営業利益1,000億円を前倒しで達成できるよう努めてまいります。
(2) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値ひ
いては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えてお
ります。
当社は、当社株式について大量買付がなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するも
のであれば、これを一概に否定するものではありません。また、当社の支配権の移転を伴う買付提案がなされた場
合、これに応じるべきか否かの判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。
しかしながら、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大量買付行為又はこれ
に類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切でないと考えております。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、「絶えず革新による成長を追求し、グローバルに存在感のある化学企業グループ」を「目指すべき企業グループ像」として、次に掲げる当社の企業価値の源泉を基に、企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を図っております。
a. 新技術、新製品を生み出す研究開発力
b. グローバルな生産、販売体制とマーケティング力
c. 社外ステークホルダーとの信頼関係
d. 高度な専門性とチャレンジ精神を有する多様な人材
また、当社は、平成26年度中期経営計画を策定し、企業価値ひいては株主共同の利益のさらなる向上に努めております。その中で、当社グループの将来像を設定し、経済軸と環境軸・社会軸が結びついた社会課題解決への取組みにより、事業活動を通じた社会貢献を目指します。成長事業である「モビリティ」、「ヘルスケア」及び「フード&パッケージング」領域における集中的な拡大、新事業・新製品の創出を推進するとともに、石化・基礎化学品を中心とした「基盤素材」を事業・技術を確保しながら展開いたします。
平成26年度を初年度とする3年間では、次の方針で取り組んでおります。
■大型市況製品の再構築の確実な実行により収益力の回復を図る。
■平成23年度中期経営計画で具体化、実行した成長投資を確実に収益拡大へ繋げる。
■事業ポートフォリオ変革に向け、経営資源をモビリティ、ヘルスケア及びフード&パッケージング領域に集
中する。
■新事業・新製品創出を加速する。
■財務体質の改善、強化を図る。
さらに、企業としての社会的責任を全うし、広く社会からの信頼を確保していくために、コーポレート・ガバ
ナンスの充実は最も重要な課題と認識しており、社外取締役の選任、監査役機能の重視、内部統制システムの構
築・推進、リスク・コンプライアンス委員会活動の強化などの諸施策を推進しております。また、ステークホル
ダーからの信頼を一層高めるため、環境・安全・品質の確保、社会貢献活動、法令・ルール遵守の徹底等のCS
R活動の更なる充実・強化に努めております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための
取組みの概要
当社は、平成25年5月10日開催の当社取締役会及び平成25年6月25日開催の当社第16期定時株主総会の各決議に
基づき、平成22年6月24日に更新した「当社株券等の大量買付行為に関する対応策」(買収防衛策)の内容を一部
改定した上で更新いたしました(以下、改定後の買収防衛策を「本プラン」といいます。)。
本プランの具体的な内容の概要は以下のとおりです。
1) 本プランの目的
本プランは、当社株式に対する大量買付が行われた際に、かかる大量買付に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、株主のために買付者と交渉を
行うこと等を可能とすることで、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する買付行為を抑止するためのもの
です。
2) 対象となる買付等
本プランは、次の(a)又は(b)に該当する買付若しくはこれに類似する行為又はこれらの提案(当社取締役会が本
プランを適用しない旨別途認めたものを除くものとします。以下「買付等」と総称し、買付等を行う買付者又は買
付提案者を「買付者等」と総称します。)を適用対象とします。買付者等は、予め本プランに定められる手続に従
うものとし、当社取締役会において新株予約権の無償割当ての不実施に関する決議が行われるまでの間、買付等を
実行してはならないものとします。
(a) 当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付けその他の取得
(b) 当社が発行者である株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所
有割合の合計が20%以上となる公開買付け
3) 本プランの発動に係る手続及び発動要件等
上記に定める買付等を行う買付者等は、買付等の実行に先立ち、当社に対して、買付等の内容の検討に必要な
所定の情報(以下「本必要情報」といいます。)及び当該買付者等が買付等に際して本プランに定める手続を遵
守する旨の誓約文言等を記載した書面(以下「買付説明書」と総称します。)を提出していただきます。
なお、当社経営陣から独立した者のみで構成される独立委員会(以下「独立委員会」といいます。)は、当該
買付説明書の記載内容が本必要情報として不十分であると判断した場合には、買付者等に対し、本必要情報を追
加的に提出するよう求めることがあります。
独立委員会は、買付者等から買付説明書及び本必要情報が提出された場合、当社取締役会に対しても、独立委員
会が定める合理的な期間内(原則として60日以内とします。)に買付者等の買付等の内容に対する意見、その根拠
資料及び代替案等の提示を要求することがあります。
独立委員会は、買付者等及び当社取締役会から情報、資料等の提供を受けてから原則として最長60日間の検討期
間(ただし、一定の場合には原則として30日を上限として延長を行うことができます。)を設定し、買付等の内容
の検討、当社取締役会による代替案の検討、買付者等と当社取締役会の事業計画等に関する情報収集・比較検討、買付者等との協議・交渉等を行います。
独立委員会は、買付者等が本プランに定められた手続を遵守しなかった場合、又は、当社の企業価値ひいては
株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合等所定の要件のいずれかに該当
し、かつ、本新株予約権(下記4)に定義されます。以下同じ。)の無償割当てを実施することが相当である場合
には、当社取締役会に対して、本新株予約権の無償割当てを実施することを勧告します。なお、独立委員会は、予め当該実施に関して株主意思の確認を得るべき旨の留保を付すことができるものとします。
他方、独立委員会は、買付者等による買付等が所定の要件のいずれにも該当しないと判断した場合、又は当社取
締役会が独立委員会の要求にかかわらず上記に規定する意見又は独立委員会が要求する情報、資料等を所定期間内
に提示しなかった場合には、当社取締役会に対して、本新株予約権の無償割当てを実施しないことを勧告します。
当社取締役会は、独立委員会から上記勧告を受けた場合には、これを最大限尊重して速やかに、本新株予約権
無償割当ての実施又は不実施等に関する会社法上の機関としての決議を行います。ただし、独立委員会が当該実
施に関して株主意思の確認を得るべき旨の留保を付した場合又は株主総会の開催に要する時間等を勘案したう
え、取締役会が善管注意義務に照らし、株主の意思を確認することが適切と判断する場合には、当社取締役会
は、株主総会を招集し、株主の意思を確認することができるものとします。
4) 本新株予約権の概要
本プランにおいて無償割当てを行う新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)は、割当期日における当
社以外の当社の株主に対し、その保有する当社株式1株につき本新株予約権1個の割合で、割り当てられます。本
新株予約権の目的である株式は、原則として当社普通株式1株とします。本新株予約権の行使に際して出資される
財産の当社株式1株当たりの価額は、1円を下限とし当社株式1株の時価の2分の1の金額を上限とする金額の範
囲内で、当社取締役会が別途定める価額とします。
買付者等所定の要件に該当する者(以下「特定買付者等」と総称します。)は、原則として本新株予約権を行
使することができません。また、当社は、特定買付者等以外の者が有する本新株予約権の全てを取得し、これと
引換えに当社株式を交付することができます。
④ 上記各取組みに対する取締役会の判断及びその理由
1) 基本方針の実現に資する特別な取組み(上記②の取組み)
平成26年度中期経営計画に基づく戦略、コーポレート・ガバナンスの充実等の各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に資するものです。したがって、これらの各施策は基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
2) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための
取組み(上記③の取組み)
以下の理由から、本プランは基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役
員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(a) 経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための
買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株
主意思の原則、必要性・相当性の原則)を完全に充足していること。また、企業価値研究会が平成20年6月
30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえて運用できるよう設計され
ていること
(b) 当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入・更新されたもので
あること
(c) 株主総会において株主の承認を得て更新されたものであること、発動に際して一定の場合に株主の意思を確
認することとされていること、有効期間の満了前であっても株主総会において本プランを廃止することがで
きること等、株主の意思を重視するものであること
(d) 当社の業務執行を行う経営陣から独立した独立委員会の客観的な判断を最大限に尊重して対抗措置の発動・
不発動を決定すること
(e) 合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動しないように設定されており、当社取締役会による
恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されていること
(f) 独立した第三者の助言を得ることにより、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕
組みが確保されていること
(g) 当社取締役の任期は1年とされており、毎年の取締役の選任を通じて株主の意向を反映させることが可能で
あること
(h) デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛
策)でも、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発
動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもないこと
(ご参考)
本プランの有効期間は、平成28年6月24日開催の定時株主総会の終結の時までであり、同株主総会にて本プランの
更新を議案として上程しませんでしたので、本プランは同日付で終了しました。
当社は、本プランの有効期間満了を迎えるにあたり、今後の本プランの取扱いについて、企業価値ひいては株主共
同の利益の確保・向上の観点及び当社を取り巻く経営環境の変化等を踏まえて、慎重に検討してまいりました。その
結果、現時点においては、本プランを更新する必要性が相対的に低下していると判断し、本プランの有効期間満了を
もって本プランを更新しないこととしました。
当社は、本プランの非更新後も、当社株式に対する大量買付を行おうとする者に対し必要かつ十分な情報提供を要
求し、あわせて当社取締役会の意見等の情報開示を適時適切に行い、かかる大量買付の是非を株主の皆様が適切に判
断するために必要な情報や時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関連法令及び定款の許容する範囲
内において適切な措置を講じるとともに、企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。