有価証券報告書-第153期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/20 15:16
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文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については当該会計基準等を遡及処理した後の前連結会計年度末の数値で比較をしています。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、米中貿易摩擦等の先行き不透明な状況を背景に、米国においては緩やかな成長が持続したものの、欧州や中国では景気の減速がみられました。国内経済は、堅調な企業収益と雇用環境の改善等を背景に、緩やかな回復基調が続きましたが、今後の世界経済の先行きに注意が必要です。
このような状況のもと、帝人グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
1)経営成績
帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高8,886億円(前期比6.4%増)、営業利益600億円(同14.1%減)、経常利益603億円(同11.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益451億円(同1.1%減)となりました。
(単位:億円)
152期
(2018年3月期)
153期
(2019年3月期)
増減額増減率
売上高8,3508,886+536+6.4%
営業利益698600△98△14.1%
経常利益678603△76△11.1%
親会社株主に帰属する
当期純利益
456451△5△1.1%

当連結会計年度における報告セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。
(単位:億円)
152期
(2018年3月期)
153期
(2019年3月期)
増減額増減率


マテリアル6,2486,716+467+7.5%
ヘルスケア1,5541,575+21+1.4%
その他548595+47+8.6%
合計8,3508,886+536+6.4%



マテリアル336235△101△30.1%
ヘルスケア359355△5△1.4%
その他6172+10+16.7%
消去又は全社△59△61△2-
合計698600△98△14.1%

マテリアル領域:[売上高 6,716億円(前期比 7.5%増)、営業利益 235億円(同 30.1%減)]

売上高は6,716億円と前期比467億円の増収となりましたが、営業利益は235億円と前期比101億円の減益となりました。
当セグメントの生産規模は、3,802億円(前期比 9.8%増、販売価格ベース)でした。
ヘルスケア領域:[売上高 1,575億円(前期比 1.4%増)、営業利益 355億円(同 1.4%減)]

売上高は1,575億円と前期比21億円の増収となりましたが、営業利益は355億円と前期比5億円の微減益となりました。
当セグメントの生産規模は、704億円(前期比 1.4%増、販売価格ベース)でした。
その他:[売上高 595億円(前期比 8.6%増)、営業利益 72億円(同 16.7%増)]

売上高は595億円と前期比47億円の増収となり、営業利益も72億円と前期比10億円の増益となりました。
2)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ387億円増加し、10,207億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ197億円増加し、5,934億円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ190億円増加し、4,272億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等により、合計で809億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、成長戦略及び発展戦略向けを含む設備投資実施の一方で、保有意義が希薄化した株式を売却した結果413億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたキャッシュ・フローは396億円の資金収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済や配当の支払い等により154億円の資金支出となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の増加額は243億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による帝人グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
1) 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
2) たな卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
3) 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
4) 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績等
a) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
売上高は前期比で6.4%増の8,886億円となり、営業利益は同14.1%減の600億円となりました。その要因をセグメント別に分析すると、マテリアル領域では販売が堅調に推移した一方、原料価格上昇や複合成形材料事業の新規受注に伴うプロジェクト立上げ費用増の影響により増収減益となり、ヘルスケア領域では薬価・診療報酬改定や前期の導出対価(30億円)がなくなった影響を販売増でカバーした結果、増収微減益となりました。
営業外損益は、デリバティブ評価益を含む為替差損益の改善等により、前期比23億円増益となりました。この結果、経常利益は同11.1%減の603億円となりました。
特別損益は、特別利益は投資有価証券売却益48億円や受取和解金45億円等を計上したことにより、99億円と前期比32億円増加しましたが、一方、特別損失は、固定資産除売却損23億円、減損損失60億円等を計上したことにより98億円と同32億円の増加となり、前期並みとなりました。この結果、税金等調整前当期純利益は同11.1%減の604億円となりました。
税金等調整前当期純利益から税金費用136億円及び非支配株主に帰属する当期純利益17億円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比1.1%減の451億円となりました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりです。
マテリアル領域:[売上高 6,716億円(前期比 7.5%増)、営業利益 235億円(同 30.1%減)]

売上高は6,716億円と前期比467億円の増収となりましたが、営業利益は235億円と前期比101億円の減益となりました。
資産は6,814億円となり、各事業の成長・拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加等により、前期末対比643億円増加となりました。
◆マテリアル事業:アラミド繊維は販売堅調、樹脂や炭素繊維での原料価格上昇が利益押し下げ
アラミド繊維分野では、パラアラミド繊維「トワロン」のタイヤ補強材等の自動車用途や光ファイバー用途の販売が堅調に推移しました。メタアラミド繊維「コーネックス」は、ターボチャージャーホース等の自動車関連、防護衣料及び産業資材用途の販売が堅調に推移しました。
炭素繊維分野では、炭素繊維「テナックス」の航空機用途向けの販売が順調に推移するとともに圧力容器用途等で販売量を伸ばしましたが、コンパウンド用途で市況影響によりやや停滞がみられたほか、原燃料価格の上昇が利益を押し下げました。
樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂において、高付加価値品への販売シフトを進めたものの、第2四半期以降急速に進んだポリカーボネート樹脂の需要低迷及び市況価格の下落が利益を押し下げました。
フィルム分野では、スマートフォンや自動車用電子部品の関連部材であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の工程用離型フィルム「ピューレックス」の販売が引き続き拡大しました。自動車や電子部品用PENフィルムは好調を維持しました。
◆繊維・製品事業:衣料機能性素材等の販売が好調も、原材料価格上昇が利益押し下げ
衣料繊維分野では、スポーツ・アウトドア向けの生地販売が好調で、「ソロテックス」等戦略素材を活用した製品ビジネスも伸長しましたが、天候不順により冬物重衣料が苦戦し、また原料費・物流費上昇が利益を押し下げました。
産業資材分野では、構造改革によってタイへ移管したポリエステル原糸・原綿の生産が本格化するとともに、短繊維原綿の販売が好調に推移しましたが、中国の成長鈍化の影響により、エアバッグ地等自動車関連部材の販売が低調に推移しました。
◆複合成形材料事業ほか:北米での自動車向け部品販売好調により増販も一時費用が増加
複合成形材料分野では、米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationを中心とし、北米で堅調なピックアップトラックやSUV向け、及び市場が回復傾向を示す大型トラック向けの量産部品の販売が堅調に推移しました。一方で原料価格の上昇及び新規受注に伴うプロジェクト立上げの一時費用増が利益を押し下げました。
電池部材分野では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」の民生用途において、スマートフォンの需要が低調に推移した結果等により、販売が伸び悩みました。
ヘルスケア領域:[売上高 1,575億円(前期比 1.4%増)、営業利益 355億円(同 1.4%減)]

売上高は1,575億円と前期比21億円の増収となりましたが、営業利益は355億円と前期比5億円の微減益となりました。
資産は1,327億円となり、各事業の成長・拡大等に伴い運転資本等は増加したものの、保有株式の売却により前期末対比357億円の減少となりました。
医薬品分野では、国内市場において薬価改定の影響を受けたものの、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」、経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコア」、先端巨大症、下垂体性巨人症及び神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン*」において、順調に販売を拡大しました。
* ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)市場において、携帯型酸素濃縮器(「ハイサンソポータブルα」「ハイサンソポータブルαⅡ」)の品揃え充実を図り、高い水準のレンタル台数を維持しました。また、睡眠時無呼吸症候群治療における在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場においても、携帯電話網を活用して機器の運転状況をモニタリングする「ネムリンク」の訴求、睡眠評価装置「SAS-2100」の活用等により、レンタル台数が順調に伸長しました。
新規ヘルスケア分野では、埋め込み型医療機器の分野において人工関節及び脊椎領域で事業展開している帝人ナカシマメディカル㈱の業績が順調に推移しました。
その他:[売上高 595億円(前期比 8.6%増)、営業利益 72億円(同 16.7%増)]

売上高は595億円と前期比47億円の増収となり、営業利益も72億円と前期比10億円の増益となりました。
IT事業は、ネットビジネス分野の電子コミック配信サービス「めちゃコミック」が好調でした。独占先行配信やコラボ雑誌の販売等出版社との連携強化に加え、データ分析による広告効果の最大化を進めた結果、「めちゃコミック」は過去最高の売上となりました。ITサービス分野では、働き方改革への対応に伴い病院向け就業管理システムの販売が順調に推移しました。
b) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況
総資産は、運転資本等が増加したこと等により、前期末対比387億円増加の10,207億円となりました。
負債は、短期借入金が増加したこと等により、前期末対比197億円増加の5,934億円となりました。
純資産は、自己株式を取得したこと等による減少がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加等により、前期末対比190億円増加の4,272億円となりました。この結果、自己資本比率は40.2%、D/Eレシオは0.9倍となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フ
ローの状況」に記載のとおりです。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業の販売拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加、複合成形材料分野や医薬品分野を中心とした研究開発活動費等があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、航空機向けの需要増を見据えて、成長素材である炭素繊維の新たな生産拠点を米国サウスカロライナ州に建設中です。2020年度の稼働を予定しており、総投資額は日本の三島事業所におけるプリカーサ*の生産能力の増強も合わせて350億円を予定しています。その他にも複合成形材料事業の新規受注に伴う生産能力増強投資等に積極的に取り組んでいます。
* 炭素繊維の原料として用いる特殊なアクリル繊維。
帝人グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債の発行等により資金調達をおこなっており、自己資本比率やD/Eレシオ等の財務健全性指標やROEを注視しながら、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。
なお、当期末の有利子負債残高は3,692億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。
また、金融機関には十分な借入枠を有しており、高水準で維持している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。
2) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2017年2月に公表した中期経営計画において、投資効率を測るための指標としてROEと営業利益ROICを、効率だけでは無く稼ぐ力を測るための指標としてEBITDAも重視することとしており、社内での浸透も進んでいます。中期経営計画の期間においては、ROEは10%以上、営業利益ROICは8%以上、また2019年度でのEBITDAは1,200億円超という目標を掲げていますが、当期はROEが11.2%、営業利益ROICが9.3%、EBITDAが1,076億円となりました。
また、各種指標の推移は以下のとおりです。
第149期第150期第151期第152期第153期
ROE(%)△2.810.615.712.511.2
営業利益ROIC(%)7.112.710.011.29.3
EBITDA(億円)8211,0609581,1551,076

(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
・営業利益ROIC:営業利益/期首・期末平均投下資本
※投下資本・・・純資産+有利子負債-現金及び預金
・EBITDA:営業利益+減価償却費(のれんを含む)

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