有価証券報告書-第158期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/20 16:36
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文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
2023年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束し社会・経済活動の正常化が進んだものの、欧米各国の金融引き締めの長期化や、中国での不動産市況の低迷などに起因した景気回復の鈍化、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりなどにより、依然として先行き不透明な状況が継続しました。
帝人グループは、前中期経営計画での財務目標値が未達となったことを受け、2023年2月に「帝人グループ収益性改善に向けた改革」を公表し、成長回帰に向けて、2023年度は収益性改善を最優先課題として注力して参りました。経営判断・実行の迅速化を促すために変革した新経営体制のもと、課題3事業として掲げた複合成形材料、アラミド、ヘルスケアを中心に収益性改善に向けた取り組みを進めました。各収益性改善施策は概ね計画通り達成しましたが、複合成形材料事業では、工場の安定稼働化に苦戦し、この部分の通年での改善額は未達となりました。このような状況のもと、帝人グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
1)経営成績
帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高1兆328億円(前期対比1.4%増)、営業利益135億円(同5.3%増)、経常利益156億円(同71.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益106億円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失177億円)となりました。
(単位:億円)
157期
(2023年3月期)
158期
(2024年3月期)
増減額増減率
売上高10,18810,3281401.4%
営業利益12913575.3%
経常利益911566571.0%
親会社株主に帰属する
当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)
△177106283-


報告セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。 (単位:億円)
157期
(2023年3月期)
158期
(2024年3月期)
増減額増減率


マテリアル4,3874,397100.2%
繊維・製品3,2213,215△6△0.2%
ヘルスケア1,5061,447△59△3.9%
IT58072114024.2%
その他4945485511.1%
合計10,18810,3281401.4%



マテリアル△213△62151-
繊維・製品971212525.4%
ヘルスケア25273△178△70.9%
IT81951417.7%
その他△15△88-
消去又は全社△73△85△13-
合計12913575.3%

マテリアル事業領域:[売上高 4,397億円(前期比0.2%増)、営業損失 62億円(前期 営業損失213億円)]

売上高は4,397億円と前期比10億円の増収、営業損失は62億円と前期比151億円の損失の縮小となりました。
繊維・製品事業:[売上高 3,215億円(前期比0.2%減)、営業利益 121億円(同25.4%増)]

売上高は3,215億円と前期比6億円の減収、営業利益は121億円と前期比25億円の増益となりました。
ヘルスケア事業領域:[売上高 1,447億円(前期比3.9%減)、営業利益 73億円(同70.9%減)]

売上高は1,447億円と前期比59億円の減収、営業利益は73億円と前期比178億円の減益となりました。
IT事業:[売上高 721億円(前期比24.2%増)、営業利益 95億円(同17.7%増)]

売上高は721億円と前期比140億円の増収、営業利益は95億円と前期比14億円の増益となりました。
その他:[売上高 548億円(前期比11.1%増)、営業損失 8億円(前期 営業損失 15億円)]

売上高は548億円と前期比55億円の増収、営業損失は8億円と前期比8億円の損失の縮小となりました。
2)財政状態
0102010_013.png当期末の総資産は、前期末に比べて86億円増加し、12,510億円となりました。流動資産は、現金及び預金や売掛債権、たな卸資産、その他流動資産等の増減や主要通貨に対する円安の進行等により、前期末に比べて102億円増加しました。固定資産は、償却を上回る設備投資や主要通貨に対する円安の進行等により有形固定資産が222億円増加した一方で、主に武田薬品工業株式会社からの2型糖尿病治療剤の販売権の償却により販売権が150億円減少し、また、主に投資有価証券の売却により投資有価証券が139億円減少した結果、前期末に比べて16億円減少しました。
負債は、前期末に比べて223億円減少し、7,691億円となりました。主に長期借入金の返済により有利子負債が305億円減少しました。
純資産は、前期末に比べて308億円増加し、4,819億円となりました。主要通貨に対する円安の進行による為替換算調整勘定の増加や親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により増加しました。
これらの結果、D/Eレシオは1.1倍、自己資本比率は36.3%となりました。(前期末 D/Eレシオ1.2倍、自己資本比率34.2%)
なお、当期末のBS換算レートは、151円/米ドル、163円/ユーロ、1.08米ドル/ユーロ(前期末134円/米ドル、146円/ユーロ、1.09米ドル/ユーロ)となっています。
② キャッシュ・フローの状況
0102010_014.png
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資本の増加による支出等があった一方、税引前利益の計上や、減価償却費及びその他の償却費等の非資金費用、保険金受け取りによる収入により、合計で695億円の収入(前期は551億円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入があった一方、複合成形材料事業の生産性改善及び能力増強を目的とした設備投資の実施等により、461億円の支出(前期は524億円の支出)となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたフリー・キャッシュ・フローは234億円の収入(前期は27億円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出や配当の支払により、432億円の支出(前期は72億円の収入)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、当期における最終的な現金及び現金同等物の減少額は167億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による帝人グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
また、帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
1) 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
2) 棚卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
3) 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
4) のれんを含む固定資産の評価
帝人グループは、のれんを含む固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」、IFRS及び米国会計基準に基づき、減損処理の要否を検討しています。事業損益見込みの悪化や事業撤収の決定等があった場合には、将来キャッシュ・フローや回収可能価額を合理的に見積り、減損損失を計上しています。
5) 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績等
a. 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
帝人グループの当期の経営成績は、売上高が前期対比で1.4%増の1兆328億円となり、営業利益は同5.3%増の135億円となりました。経常利益は持分法による投資利益の増加等により前期対比71.0%増の156億円、親会社株主に帰属する当期純利益は106億円(前期は減損損失の計上等により、177億円の当期純損失)となりました。営業利益に関して、マテリアル事業領域では、一部用途で需要軟化影響を受けたものの、収益性改善策の効果や保険金収入等により損失は縮小しました。また繊維・製品事業は、販売が堅調に推移し増益となりました。ヘルスケア事業領域においては、医薬品導入一時金の支払いや痛風・高尿酸血症治療剤「フェブリク」の後発品参入による販売数量の減少、薬価改定影響等により減益となりました。またIT事業は、販売が好調に推移し増益となりました。
その結果、収益性を示すROEは2.4%、営業利益ROICは1.6%となり、キャッシュ創出力を示すEBITDAについては924億円となりました。
なお、当連結会計年度より、マテリアル事業統轄、ヘルスケア事業統轄で推進していた新事業組織につき、それぞれ「マテリアル」セグメント、「ヘルスケア」セグメントから「その他」セグメントへ変更しています。これは、2023年2月に公表した「帝人グループ収益性改善に向けた改革」に基づき、経営体制の見直しを行う中、将来に向けた協創によるイノベーション創出をコーポレートが管轄し横断的に実施することを目的に、新事業組織をコーポレート新事業本部に再編・集約したことに伴うものです。これにより前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
また、当連結会計年度より、セグメントの記載順序を変更しています。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりです。
マテリアル事業領域:[売上高 4,397億円(前期比 0.2%増)、営業損失 62億円(前期 営業損失213億円)、EBITDA 321億円(同 117.9%増)]

自動車関連用途を中心に需要は概ね堅調に推移するも一部用途での在庫調整や経済減速による需要減の影響を受けたほか、複合成形材料におけるUAW(全米自動車労働組合)のストライキ等の影響で販売量が減少しました。一方、販売価格改定などの収益性改善効果の発現や原燃料価格の低下、保険金収入等が利益に貢献しました。
売上高は4,397億円と前期対比10億円の増収(0.2%増)、営業損失は62億円と前期対比151億円の損失の縮小となりました。EBITDAは前期対比174億円増の321億円となり、営業利益ROICは-2%となりました。
アラミド事業分野では、主力のパラアラミド繊維「トワロン」において、労務費単価の高騰を含む工場固定費等の増加や前年度コスト増加に伴う期首在庫高などの影響を受けたものの、前年度の原燃料価格高騰に対応して進めてきた販売価格改定の効果や天然ガス価格の低下、前年度第3四半期に発生した原料工場火災事故に対する保険金収入が増益要因となりました。一方、上期前半に残った工場火災の影響、一部生産設備の特殊補修部品の調達制約、自動車や光ファイバー用途でのサプライチェーンにおける在庫調整により販売量が減少しました。これらを合わせた結果、前期対比微増収・増益となりました。
樹脂事業分野では、主力のポリカーボネート樹脂において、中国での景気低調や欧州での経済減速などにより需要の低迷が継続し、販売量は前期並みとなりました。また、原料価格の下落を受けた販売価格の低下および販売構成の悪化が収益に影響しました。結果、前期対比減収・微減益となりました。
炭素繊維事業分野では、航空機向け用途で旅客需要は回復したものの、サプライチェーン上での調達制約により、足元での炭素繊維需要は小幅な伸びとなり、またレクレーション用途等でのサプライチェーンにおける在庫調整等により販売量が減少しました。円安および原燃料価格低下が収益に貢献しましたが、前期対比微増収・減益となりました。
複合成形材料事業分野では、収益性改善に向けて進めた前年度の原材料価格高騰に対する販売価格改定、コスト削減などが、北米での一部プログラムでの需要減およびUAWのストライキ影響による販売減少をカバーし、前期対比増収・増益となりました。
マテリアル事業領域の営業利益の増減分析(前期対比)は以下のとおりです。
0102010_015.png
繊維・製品事業: [売上高 3,215億円(前期比 0.2%減)、営業利益 121億円(同 25.4%増)、EBITDA 197億円(同 18.4%増)]

売上高は3,215億円と前期対比6億円の微減収(0.2%減)、営業利益は121億円と前期対比25億円の増益(25.4%増)となりました。EBITDAは前期対比31億円増の197億円となり、営業利益ROICは8%となりました。
衣料繊維は、北米や中国向けのテキスタイル・衣料品の販売が堅調に推移し、国内向けも衣料品の販売好調が継続しました。産業資材では、水処理フィルター向けのポリエステル短繊維、人工皮革、インフラ補強材の販売が好調を維持するとともに、自動車関連の海外事業が一部用途を除き好調に推移しました。また、原燃料価格高騰や円安影響により仕入れコストが上昇しましたが、生産効率改善や販売価格改定を進めました。
繊維・製品事業の営業利益の増減分析(前期対比)は以下のとおりです。
0102010_016.png
ヘルスケア事業領域:[売上高 1,447億円(前期比 3.9%減)、営業利益 73億円(同 70.9%減)、EBITDA 333億円(同 34.8%減)]

在宅医療機器のレンタルは堅調に推移し、医薬品「オスタバロ」は投薬期間制限解除に伴い販売量を拡大しました。一方で、医薬品導入一時金の支払いおよび医薬品「フェブリク」の後発品参入による販売量減少および薬価改定が収益に影響しました。
売上高は1,447億円と前期対比59億円の減収(3.9%減)、営業利益は73億円と前期対比178億円の減益(70.9%減)となりました。EBITDAは前期対比178億円減の333億円となり、営業利益ROICは4%となりました。
医薬品分野では、2023年11月に、Ascendis Pharma, A/Sが希少内分泌疾患治療剤として開発中の3剤について、日本における研究、開発、製造、販売に関する独占的ライセンス契約を締結し、契約一時金70百万ドルを研究開発費に計上しました。また、2022年6月からの「フェブリク」の後発品参入による販売量の減少、および長期収載品を中心とした2023年4月の薬価改定が収益に影響しました。一方で、2023年1月に上市した骨粗鬆症治療剤「オスタバロ」の採用活動を進めており、2023年12月の投薬期間制限解除に伴い販売量は拡大しました。また、「ソマチュリン*1」や「ゼオマイン*2」は順調に販売量を拡大しました。さらに、2024年3月には、自社創生のナルコレプシー治療薬の候補化合物に関してBioprojet社に全世界における独占的開発・製造・販売の権利を供与するライセンス契約を締結し、契約一時金として30百万ドルを収益計上しました。
*1 先端巨大症・下垂体性巨人症/甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍/膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤 ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
*2 上肢・下肢痙縮治療剤 ゼオマイン®/Xeomin®は、Merz Pharma GmbH &Co, KGaA(独)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場において、検査数が回復基調となり、レンタル台数の増加が継続し(前期末対比約7%増)、検査数/新規処方件数ともに過去最高値を達成しました。一方、在宅酸素療法(HOT)市場では、COVID-19に伴う呼吸器疾患患者増が収束し、レンタル台数は微減となりました。新機種開発では従来品からさらに小型・軽量化した携帯型酸素濃縮装置「ハイサンソポータブルαⅢ」を2023年7月に上市し投入を拡大しています。
ヘルスケア事業領域の営業利益の増減分析(前期対比)は以下のとおりです。
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IT事業:[売上高 721億円(前期比 24.2%増)、営業利益 95億円(同 17.7%増)、EBITDA 106億円(同 20.0%増)]

売上高は721億円と前期対比140億円の増収(24.2%増)、営業利益は95億円と前期対比14億円の増益(17.7%増)となりました。EBITDAは前期対比18億円増の106億円となり、営業利益ROICは66%となりました。
ネットビジネス分野では、電子コミックサービスにおいて効果的な広告投資を継続した結果、販売が好調に推移しました。ITサービス分野では、病院向けを中心に堅調に推移しました。
その他: [売上高 548億円(前期比 11.1%増)、営業損失 8億円(前期 営業損失15億円)]

売上高は548億円と前期対比55億円の増収(11.1%増)、営業損失は8億円と前期対比8億円の損失の縮小となりました。
電池部材事業分野では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」が前期に引き続き、好調な販売を維持しました。また、高機能メンブレン「ミライム」は、最先端の半導体用途向けの販売が伸長しました。
人工関節・吸収性骨接合材等の埋込医療機器事業は、COVID-19の5類感染症移行後、手術件数が回復傾向にあり、販売量は堅調に推移しました。また、2023年7月に、心・血管修復パッチ「シンフォリウム」が製造販売承認を取得しました。
再生医療事業では、(株)ジャパン・ティッシュエンジニアリングは再生医療受託事業および研究開発支援事業の売上が順調に伸長し、前期対比増収となりました。またCDMO*事業の立ち上げも順調に進捗しました。
* Contract Development and Manufacturing Organization 製品の開発・製造を受託する機関
b. 財政状態及びキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の財政状態、キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 2)財政状態、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループの資金需要の主なものは、製品製造のための原材料等の購入、製造費、販売費やサービス提供費用等の運転資金需要に加え、設備投資や研究開発活動費等の投資があります。これらに必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入及び社債発行等により資金調達を行っているほか、複数の金融機関とのコミットメントライン契約や当座貸越枠を含む十分な借入枠を有しています。このように、帝人グループの事業運営に必要な運転資金や投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しており、高水準で維持している現預金も含め、緊急時の流動性を確保しています。
また、帝人グループではグループ内余剰資金を活用するため、日米欧中の各拠点においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。資金調達にあたっては、D/Eレシオ0.9を目安に財務体質の健全性を維持しながら、資金需要の見通しや金融情勢に応じて最適な手段を選択しています。なお、資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については長期調達するとともに、過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップ等の手段を活用し、固定化しています。
2) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2023年度は、2023年2月に公表した「帝人グループ 収益性改善に向けた改革」のとおり、2023年度までに300億円以上の収益改善を目指し、将来の成長回帰に向けて、収益性改善を最優先課題として取り組んでまいりました。経営判断・実行の迅速化を促すために変革した新経営体制のもと、課題3事業として掲げた複合成形材料、アラミド、ヘルスケアを中心に収益性改善に向けた取り組みを進め、2023年度の経営指標は、ROE3%、営業利益ROIC4%、営業利益350億円を見通し、全社として収益性改善に注力いたしました。
しかしながら「帝人グループ 収益性改善に向けた改革」は概ね達成するも、複合成形材料、アラミドの生産安定化に課題を残し、2023年度のROEは2.4%、営業利益ROICは1.6%、営業利益は135億円となり、すべての指標が計画未達となりました。このような状況を背景とし、当社経営に対する市場評価の一つであるPBR(Price Book-value Ratio: 株価純資産倍率)が1倍割れの状況にあります。
また、各種指標の推移は以下のとおりです。
第154期
(2020年3月期)
第155期
(2021年3月期)
第156期
(2022年3月期)
第157期
(2023年3月期)
第158期
(2024年3月期)
ROE(%)6.3△1.75.5△4.12.4
営業利益ROIC(%)8.78.65.51.61.6
営業利益(億円)562549442129135

(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
・営業利益ROIC:営業利益/期首・期末平均投下資本
※投下資本・・・純資産+有利子負債-現金及び預金
2024年度は、2024年5月に公表した「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」のとおり、2023年度で積み残した収益性改善施策を完遂し、本社費を含む固定費削減を計画通り実行していくほか、新たに構築した事業ポートフォリオ戦略を実現するため、不採算・非注力事業の戦略的オプションの実行によるキャッシュ創出を原資に、成長投資と追加的株主還元を積極的に実施してまいります。また、目標達成に向けた実行力を強化するため、ガバナンス・人的資本等のグローバル経営基盤を強化してまいります。2024年度の通期の連結業績見通しは、2024年6月18日公表の「連結子会社の異動(株式譲渡)及び業績予想の修正に関するお知らせ」の通り、売上収益は9,750億円、事業利益は200億円と予想しています。帝人グループは2025年3月期第1四半期よりIFRSを任意適用するため、連結業績見通しはIFRSに基づき算出しています。なお、親会社の所有者に帰属する当期利益、重要経営指標としているROE、ROICの予想については、精査中であり未定です。また、「帝人グループ 中期経営計画2024-2025」を着実に実行することで、本中期経営計画以降早期にPBR1倍以上を目指します。

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