有価証券報告書-第152期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、北朝鮮等を巡る地政学リスクの高まりがみられたものの、米国では好調な企業業績の牽引もあり株価が過去最高値を更新し、欧州も海外景気の持ち直しを受けて輸出が増加する等、全体として回復傾向が続きました。国内経済は、堅調な海外需要及び内需の高まりにも支えられ、企業業績が改善し設備投資が持ち直す等、緩やかな回復基調が継続しました。
このような状況のもと、帝人グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
1)経営成績
帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高8,350億円(前期比12.6%増)、営業利益698億円(同23.6%増)、経常利益678億円(同21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益456億円(同9.1%減)となりました。1株当たり当期純利益は、231円26銭(同23円65銭減)となりました。
当連結会計年度における報告セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「高機能繊維・複合材料」「電子材料・化成品」「ヘルスケア」「製品」の4区分から、「マテリアル」「ヘルスケア」の2区分に変更しています。これは、平成29年2月に公表した中期経営計画に基づき、成長戦略・発展戦略の加速を促す組織体へと体制を再編したことに伴うものです。なお、前期比較は、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
売上高は6,248億円と前期比850億円の増収となり、営業利益も336億円と同24億円の増益となりました。
当セグメントの生産規模は、3,464億円(前期比 25.4%増、販売価格ベース)でした。
当連結会計年度において生産規模が著しく増加していますが、これは昨年1月に買収した米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationが加わった影響等によるものです。
売上高は1,554億円と前期比47億円の増収となり、営業利益も359億円と同112億円の増益となりました。
当セグメントの生産規模は、694億円(前期比 5.9%増、販売価格ベース)でした。
売上高は548億円と前期比40億円の増収となり、営業利益も61億円と同8億円の増益となりました。
2)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ221億円増加し、9,862億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ343億円減少し、5,779億円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ564億円増加し、4,082億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に、減価償却費や事業構造改善引当金といった非資金項目の増減を加え、合計で801億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、成長戦略及び発展戦略向けを含む設備投資を行った結果、513億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたキャッシュ・フローは288億円の資金収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済や配当の支払い等により315億円の資金支出となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の減少額は14億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による帝人グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
1) 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
2) たな卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
3) 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
4) 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績等
a) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、複合成形材料事業で昨年1月に買収した米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationが加わった影響等もあり、売上高は前期比で12.6%増の8,350億円となりました。営業利益は、各事業における販売増に加え、アルツハイマー治療薬の候補化合物の導出対価計上の影響もあり、同23.6%増の698億円となり、経常利益は同21.3%増の678億円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に税金費用減少等の一時的要因もあったことから、前期比9.1%減の456億円となりました。1株当たり当期純利益は、231円26銭(同23円65銭減)となりました。
事業全体としては、営業利益が前期比23.6%増の698億円となりましたが、これは、平成26年からの約3年間にわたり実行してきた、素材分野における汎用品ビジネスの縮小と成長分野への投資、医薬医療分野における米国在宅医療からの撤退等を中心とした構造改革の成果が表れてきたものと捉えています。
当期は中期経営計画の初年度にあたりますが、マテリアル領域においては、航空機や自動車を中心としたモビリティの軽量化の流れの中で、アラミド繊維やポリカーボネート樹脂、炭素繊維の需要が堅調に推移しました。また、発展戦略と位置付けている米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationの自動車向け複合材料において、米国自動車メーカーの新モデルへ採用が進む等、総じて事業環境は良好に推移しました。
ヘルスケア領域においては、医薬分野ではアルツハイマー治療薬の候補化合物を米国メルク社に導出したことにより30億円の対価を得たほか、主力の高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」の販売が伸長しました。在宅医療分野においても、睡眠評価装置の活用等により、睡眠時無呼吸症候群の治療器のレンタル台数が増加しました。これらの既存領域に加え、埋め込み型医療機器などの新たな領域での製品・サービスの品揃えの拡充を図っています。
セグメントごとの経営成績等の詳細は、3) セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析に記載しています。
b) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況
総資産は、各事業の成長・拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加、保有株式の時価上昇に伴う投資有価証券の含み益が増加したこと等により、前期末対比221億円増加の9,862億円となりました。
負債は、長期借入金を返済したことや、米国在宅医療事業の撤退に備えて計上していた事業構造改善引当金を取り崩したこと等により、前期末対比343億円減少の5,779億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益456億円があったことに加え、為替換算調整勘定が円安に伴って増加したことや、保有株式の時価上昇に伴いその他有価証券評価差額金が増加したこと等により、前期末対比564億円増加の4,082億円となりました。この結果、自己資本比率は39.8%、D/Eレシオは0.9倍となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フ
ローの状況」に記載のとおりです。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業の販売拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加、複合成形材料分野や医薬品分野を中心とした研究開発活動費等があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、航空機向けの需要増を見据えて、成長素材である炭素繊維の新たな生産拠点を米国サウスカロライナ州に建設中です。平成32年度の稼働を予定しており、総投資額は日本の三島事業所におけるプリカーサ*の生産能力の増強も合わせて350億円を予定しています。
* 炭素繊維の原料として用いる特殊なアクリル繊維。
帝人グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入および社債の発行等により資金調達をおこなっており、自己資本比率やD/Eレシオ等の財務健全性指標やROEを注視しながら、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。
なお、当期末の有利子負債残高は3,442億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップなどの手段を活用しています。
また、金融機関には十分な借入枠を有しており、高水準で維持している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。
2) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
平成29年2月に公表した中期経営計画において、投資効率を測るための指標としてROEと営業利益ROICを、効率だけでは無く稼ぐ力を測るための指標としてEBITDAも重視することとしており、社内での浸透も進んでいます。中期経営計画の期間においては、ROEは10%以上、営業利益ROICは8%以上、また平成31年度でのEBITDAは1,200億円超という目標を掲げていますが、中期経営計画の初年度にあたる当期はROEが12.5%、営業利益ROICが11.2%、EBITDAが1,155億円となり、順調に進捗しています。
また、各種指標の推移は以下のとおりです。
(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
・営業利益ROIC:営業利益/期首・期末平均投下資本
※投下資本・・・自己資本+非支配株主持分+有利子負債-現金及び預金
・EBITDA:営業利益+減価償却費
3) セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析
売上高は6,248億円と前期比850億円の増収となり、営業利益も336億円と同24億円の増益となりました。
資産は6,171億円となり、各事業の成長・拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加等により、前期末対比312億円増加となりました。
◆マテリアル事業:アラミドが自動車向け中心に販売拡大、樹脂も高付加価値品の販売が好調
アラミド分野では、パラ系アラミド繊維「トワロン」が摩擦材、ゴム補強材等の自動車用途や光ファイバー用途の販売を中心に、総じて順調に拡大しました。パラ系アラミド繊維「テクノーラ」は、国内の自動車関連用途と海外のインフラ関連用途向け販売が堅調に推移しました。メタ系アラミド繊維「コーネックス」は、ターボチャージャーホース等の自動車関連、防護衣料及び産業資材用途の販売が堅調に推移しました。
炭素繊維分野では、炭素繊維「テナックス」の航空機用途向けの販売が堅調に推移しました。その他の用途では、コンパウンド用途や、アジアにおけるスポーツ・レジャー向け用途で販売量を伸ばしました。しかしながら、原燃料価格の上昇が収益の押し下げ要因となりました。
樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂が、需給の引き締まりにより市況価格が上昇する中、国内外のポリカーボネートレジン及びコンパウンドの自社生産拠点は高稼働を継続しました。また、近年注力している自動車・半導体製造関連・光学レンズ分野等への高付加価値品の販売を大きく拡大しました。
フィルム分野では、国内生産拠点の集約の影響により全体の売上高は減少したものの、スマートフォン、自動車電子化の関連部品であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の工程用離型フィルム「ピューレックス」の販売が拡大しました。
◆繊維・製品事業:欧米向けスポーツ・アウトドア用機能素材は堅調も土木資材向けが減退
衣料繊維分野では、機能性生地において、欧米のスポーツ・アウトドア向けの販売が引き続き好調であり、ユニフォーム向け販売も堅調に推移しました。衣料製品は、国内市場の低迷が続く中、主要顧客の在庫調整局面を受けて低調に推移しました。
産業資材分野では、伝動ベルト・自動車ホースをはじめとする自動車関連補強材や合皮カーシート地の販売が堅調に推移しました。繊維資材においては、復興需要及びインフラ新設工事の受注が一段落し、土木資材の販売が落ち込みました。
◆複合成形材料事業ほか:北米での自動車向け量産部品の販売堅調
複合成形材料分野では、昨年1月に買収し、昨年度第4四半期より連結子会社とした米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationを中心とする自動車向け複合材料の販売が、北米で好調なピックアップトラックやSUV向け、及び市場が回復傾向にある大型トラック向けに堅調に推移しました。
電池部材分野では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」の民生用途において既存顧客向け販売が低調に推移し、新規顧客向けの販売拡大に遅れが出ました。
売上高は1,554億円と前期比47億円の増収となり、営業利益も359億円と同112億円の増益となりました。
資産は1,684億円となり、各事業の成長・拡大等に伴う運転資本の増加等により、前期末対比140億円増加となりました。
医薬品分野では、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」、経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコア」、昨年7月に新たな適応症として「膵・消化管神経内分泌腫瘍」を追加取得した「ソマチュリン*」において、順調に販売を拡大しました。海外市場においても同様に高尿酸血症・痛風治療剤の販売を拡大しました。また、昨年5月には米国メルク社と、新規アルツハイマー病治療薬候補化合物について、全世界における独占的開発・製造・販売権を供与するライセンス契約を締結し、導出対価の一時金を計上しました。
* ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)市場において、患者さんの行動範囲拡大を目指した携帯型酸素濃縮器(「ハイサンソポータブルα」「ハイサンソポータブルαⅡ」)の品揃えを充実させ、積極的な展開を行うことで、高い水準のレンタル台数を維持しました。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療器である在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場においても、携帯電話網を活用して治療状況をモニタリングする「ネムリンク」の訴求、睡眠評価装置「SAS-2100」の活用等により、レンタル台数を順調に伸長させました。
新規ヘルスケア分野では、人工関節事業を展開している埋め込み型医療機器分野において、本年度新たに骨接合材及び脊椎領域の整形外科事業を加えました。
売上高は548億円と前期比40億円の増収となり、営業利益も61億円と同8億円の増益となりました。
IT事業は、ネットビジネス分野において電子コミック配信サービス「めちゃコミック」の売上が順調に拡大する等、順調に推移しました。特に、大手出版社とのコラボ企画による独占先行配信等を行い、新規読者を獲得する等、売上増に貢献しました。ITサービス分野では、ヘルスケア事業における病院領域での業績回復が売上増に寄与しました。
① 財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、北朝鮮等を巡る地政学リスクの高まりがみられたものの、米国では好調な企業業績の牽引もあり株価が過去最高値を更新し、欧州も海外景気の持ち直しを受けて輸出が増加する等、全体として回復傾向が続きました。国内経済は、堅調な海外需要及び内需の高まりにも支えられ、企業業績が改善し設備投資が持ち直す等、緩やかな回復基調が継続しました。
このような状況のもと、帝人グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は以下のとおりとなりました。
1)経営成績
帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高8,350億円(前期比12.6%増)、営業利益698億円(同23.6%増)、経常利益678億円(同21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益456億円(同9.1%減)となりました。1株当たり当期純利益は、231円26銭(同23円65銭減)となりました。
当連結会計年度における報告セグメントごとの経営成績の概況は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「高機能繊維・複合材料」「電子材料・化成品」「ヘルスケア」「製品」の4区分から、「マテリアル」「ヘルスケア」の2区分に変更しています。これは、平成29年2月に公表した中期経営計画に基づき、成長戦略・発展戦略の加速を促す組織体へと体制を再編したことに伴うものです。なお、前期比較は、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
| マテリアル領域 | :[売上高 6,248億円(前期比 15.7%増)、営業利益 336億円(同 7.7%増)] |
売上高は6,248億円と前期比850億円の増収となり、営業利益も336億円と同24億円の増益となりました。
当セグメントの生産規模は、3,464億円(前期比 25.4%増、販売価格ベース)でした。
当連結会計年度において生産規模が著しく増加していますが、これは昨年1月に買収した米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationが加わった影響等によるものです。
| ヘルスケア領域 | :[売上高 1,554億円(前期比 3.1%増)、営業利益 359億円(同 45.1%増)] |
売上高は1,554億円と前期比47億円の増収となり、営業利益も359億円と同112億円の増益となりました。
当セグメントの生産規模は、694億円(前期比 5.9%増、販売価格ベース)でした。
| その他 | :[売上高 548億円(前期比 7.9%増)、営業利益 61億円(同 15.9%増)] |
売上高は548億円と前期比40億円の増収となり、営業利益も61億円と同8億円の増益となりました。
2)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ221億円増加し、9,862億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ343億円減少し、5,779億円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ564億円増加し、4,082億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に、減価償却費や事業構造改善引当金といった非資金項目の増減を加え、合計で801億円の資金収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、成長戦略及び発展戦略向けを含む設備投資を行った結果、513億円の資金支出となりました。
この結果、営業活動に投資活動を加えたキャッシュ・フローは288億円の資金収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済や配当の支払い等により315億円の資金支出となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物に係る換算差額等も加え、最終的な現金及び現金同等物の減少額は14億円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
帝人グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による帝人グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
帝人グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
帝人グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
1) 貸倒引当金の計上基準
帝人グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を繰入計上しています。将来、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
2) たな卸資産の評価基準
帝人グループの販売する製品の価格は、市場相場変動の影響を強く受ける傾向にあるので、その評価基準として主に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しています。)を採用しています。
3) 投資有価証券の減損処理
帝人グループは、金融機関や、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、合理的な基準に基づき、投資有価証券の減損処理を行っています。
4) 繰延税金資産の回収可能性
帝人グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するので、課税所得の見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績等
a) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
帝人グループの当連結会計年度の経営成績は、複合成形材料事業で昨年1月に買収した米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationが加わった影響等もあり、売上高は前期比で12.6%増の8,350億円となりました。営業利益は、各事業における販売増に加え、アルツハイマー治療薬の候補化合物の導出対価計上の影響もあり、同23.6%増の698億円となり、経常利益は同21.3%増の678億円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に税金費用減少等の一時的要因もあったことから、前期比9.1%減の456億円となりました。1株当たり当期純利益は、231円26銭(同23円65銭減)となりました。
事業全体としては、営業利益が前期比23.6%増の698億円となりましたが、これは、平成26年からの約3年間にわたり実行してきた、素材分野における汎用品ビジネスの縮小と成長分野への投資、医薬医療分野における米国在宅医療からの撤退等を中心とした構造改革の成果が表れてきたものと捉えています。
当期は中期経営計画の初年度にあたりますが、マテリアル領域においては、航空機や自動車を中心としたモビリティの軽量化の流れの中で、アラミド繊維やポリカーボネート樹脂、炭素繊維の需要が堅調に推移しました。また、発展戦略と位置付けている米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationの自動車向け複合材料において、米国自動車メーカーの新モデルへ採用が進む等、総じて事業環境は良好に推移しました。
ヘルスケア領域においては、医薬分野ではアルツハイマー治療薬の候補化合物を米国メルク社に導出したことにより30億円の対価を得たほか、主力の高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」の販売が伸長しました。在宅医療分野においても、睡眠評価装置の活用等により、睡眠時無呼吸症候群の治療器のレンタル台数が増加しました。これらの既存領域に加え、埋め込み型医療機器などの新たな領域での製品・サービスの品揃えの拡充を図っています。
セグメントごとの経営成績等の詳細は、3) セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析に記載しています。
b) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況
総資産は、各事業の成長・拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加、保有株式の時価上昇に伴う投資有価証券の含み益が増加したこと等により、前期末対比221億円増加の9,862億円となりました。
負債は、長期借入金を返済したことや、米国在宅医療事業の撤退に備えて計上していた事業構造改善引当金を取り崩したこと等により、前期末対比343億円減少の5,779億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益456億円があったことに加え、為替換算調整勘定が円安に伴って増加したことや、保有株式の時価上昇に伴いその他有価証券評価差額金が増加したこと等により、前期末対比564億円増加の4,082億円となりました。この結果、自己資本比率は39.8%、D/Eレシオは0.9倍となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フ
ローの状況」に記載のとおりです。
(帝人グループの資本の財源及び資金の流動性について)
帝人グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業の販売拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加、複合成形材料分野や医薬品分野を中心とした研究開発活動費等があります。また、設備投資資金需要の主なものとしては、航空機向けの需要増を見据えて、成長素材である炭素繊維の新たな生産拠点を米国サウスカロライナ州に建設中です。平成32年度の稼働を予定しており、総投資額は日本の三島事業所におけるプリカーサ*の生産能力の増強も合わせて350億円を予定しています。
* 炭素繊維の原料として用いる特殊なアクリル繊維。
帝人グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用、金融機関からの借入および社債の発行等により資金調達をおこなっており、自己資本比率やD/Eレシオ等の財務健全性指標やROEを注視しながら、最適な選択を実施していきます。また、日米欧中の各拠点においては、グループ内余剰資金を活用するためにキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、資金効率の向上に努めています。
なお、当期末の有利子負債残高は3,442億円となりました。資金調達コストの低減に努める一方、設備投資に対応する借入の大部分については、長期調達するとともに過度に金利変動リスクに晒されないよう金利スワップなどの手段を活用しています。
また、金融機関には十分な借入枠を有しており、高水準で維持している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。
2) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
平成29年2月に公表した中期経営計画において、投資効率を測るための指標としてROEと営業利益ROICを、効率だけでは無く稼ぐ力を測るための指標としてEBITDAも重視することとしており、社内での浸透も進んでいます。中期経営計画の期間においては、ROEは10%以上、営業利益ROICは8%以上、また平成31年度でのEBITDAは1,200億円超という目標を掲げていますが、中期経営計画の初年度にあたる当期はROEが12.5%、営業利益ROICが11.2%、EBITDAが1,155億円となり、順調に進捗しています。
また、各種指標の推移は以下のとおりです。
| 第148期 | 第149期 | 第150期 | 第151期 | 第152期 | |
| ROE(%) | 3.0 | △2.8 | 10.6 | 15.7 | 12.5 |
| 営業利益ROIC(%) | 3.4 | 7.1 | 12.7 | 10.0 | 11.2 |
| EBITDA | 637 | 821 | 1,060 | 958 | 1,155 |
(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
・営業利益ROIC:営業利益/期首・期末平均投下資本
※投下資本・・・自己資本+非支配株主持分+有利子負債-現金及び預金
・EBITDA:営業利益+減価償却費
3) セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析
| マテリアル領域 | :[売上高 6,248億円(前期比 15.7%増)、営業利益 336億円(同 7.7%増)] |
売上高は6,248億円と前期比850億円の増収となり、営業利益も336億円と同24億円の増益となりました。
資産は6,171億円となり、各事業の成長・拡大や原燃料価格上昇等に伴う運転資本の増加等により、前期末対比312億円増加となりました。
◆マテリアル事業:アラミドが自動車向け中心に販売拡大、樹脂も高付加価値品の販売が好調
アラミド分野では、パラ系アラミド繊維「トワロン」が摩擦材、ゴム補強材等の自動車用途や光ファイバー用途の販売を中心に、総じて順調に拡大しました。パラ系アラミド繊維「テクノーラ」は、国内の自動車関連用途と海外のインフラ関連用途向け販売が堅調に推移しました。メタ系アラミド繊維「コーネックス」は、ターボチャージャーホース等の自動車関連、防護衣料及び産業資材用途の販売が堅調に推移しました。
炭素繊維分野では、炭素繊維「テナックス」の航空機用途向けの販売が堅調に推移しました。その他の用途では、コンパウンド用途や、アジアにおけるスポーツ・レジャー向け用途で販売量を伸ばしました。しかしながら、原燃料価格の上昇が収益の押し下げ要因となりました。
樹脂分野では、主力のポリカーボネート樹脂が、需給の引き締まりにより市況価格が上昇する中、国内外のポリカーボネートレジン及びコンパウンドの自社生産拠点は高稼働を継続しました。また、近年注力している自動車・半導体製造関連・光学レンズ分野等への高付加価値品の販売を大きく拡大しました。
フィルム分野では、国内生産拠点の集約の影響により全体の売上高は減少したものの、スマートフォン、自動車電子化の関連部品であるMLCC(積層セラミックコンデンサ)等の工程用離型フィルム「ピューレックス」の販売が拡大しました。
◆繊維・製品事業:欧米向けスポーツ・アウトドア用機能素材は堅調も土木資材向けが減退
衣料繊維分野では、機能性生地において、欧米のスポーツ・アウトドア向けの販売が引き続き好調であり、ユニフォーム向け販売も堅調に推移しました。衣料製品は、国内市場の低迷が続く中、主要顧客の在庫調整局面を受けて低調に推移しました。
産業資材分野では、伝動ベルト・自動車ホースをはじめとする自動車関連補強材や合皮カーシート地の販売が堅調に推移しました。繊維資材においては、復興需要及びインフラ新設工事の受注が一段落し、土木資材の販売が落ち込みました。
◆複合成形材料事業ほか:北米での自動車向け量産部品の販売堅調
複合成形材料分野では、昨年1月に買収し、昨年度第4四半期より連結子会社とした米国Continental Structural Plastics Holdings Corporationを中心とする自動車向け複合材料の販売が、北米で好調なピックアップトラックやSUV向け、及び市場が回復傾向にある大型トラック向けに堅調に推移しました。
電池部材分野では、リチウムイオンバッテリー用セパレータ「リエルソート」の民生用途において既存顧客向け販売が低調に推移し、新規顧客向けの販売拡大に遅れが出ました。
| ヘルスケア領域 | :[売上高 1,554億円(前期比 3.1%増)、営業利益 359億円(同 45.1%増)] |
売上高は1,554億円と前期比47億円の増収となり、営業利益も359億円と同112億円の増益となりました。
資産は1,684億円となり、各事業の成長・拡大等に伴う運転資本の増加等により、前期末対比140億円増加となりました。
医薬品分野では、高尿酸血症・痛風治療剤「フェブリク」、経皮吸収型鎮痛消炎剤「ロコア」、昨年7月に新たな適応症として「膵・消化管神経内分泌腫瘍」を追加取得した「ソマチュリン*」において、順調に販売を拡大しました。海外市場においても同様に高尿酸血症・痛風治療剤の販売を拡大しました。また、昨年5月には米国メルク社と、新規アルツハイマー病治療薬候補化合物について、全世界における独占的開発・製造・販売権を供与するライセンス契約を締結し、導出対価の一時金を計上しました。
* ソマチュリン®/Somatuline®は、Ipsen Pharma(仏)の登録商標です。
在宅医療分野では、在宅酸素療法(HOT)市場において、患者さんの行動範囲拡大を目指した携帯型酸素濃縮器(「ハイサンソポータブルα」「ハイサンソポータブルαⅡ」)の品揃えを充実させ、積極的な展開を行うことで、高い水準のレンタル台数を維持しました。また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療器である在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場においても、携帯電話網を活用して治療状況をモニタリングする「ネムリンク」の訴求、睡眠評価装置「SAS-2100」の活用等により、レンタル台数を順調に伸長させました。
新規ヘルスケア分野では、人工関節事業を展開している埋め込み型医療機器分野において、本年度新たに骨接合材及び脊椎領域の整形外科事業を加えました。
| その他 | :[売上高 548億円(前期比 7.9%増)、営業利益 61億円(同 15.9%増)] |
売上高は548億円と前期比40億円の増収となり、営業利益も61億円と同8億円の増益となりました。
IT事業は、ネットビジネス分野において電子コミック配信サービス「めちゃコミック」の売上が順調に拡大する等、順調に推移しました。特に、大手出版社とのコラボ企画による独占先行配信等を行い、新規読者を獲得する等、売上増に貢献しました。ITサービス分野では、ヘルスケア事業における病院領域での業績回復が売上増に寄与しました。