有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 13:03
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「バイオから宇宙まで幅広い分野で新しい価値を創造し、人と社会に貢献する」ことを経営理念としております。具体的には、「環境との調和」および「製品と事業活動における安全」を前提として「総合力を発揮し、未来を拓く先端技術と優れた商品を開発」し、「カスタマーニーズに応えた最高の品質とサービスのグローバルな提供」により「適切な利益水準を維持」し、株主、社員、取引先、地域社会などのステークホルダーに「公正に還元」してまいります。
また、社員に挑戦と成長を求め、「意欲ある挑戦を支援する」こと等により、事業の継続的な発展を目指しております。
(2)経営戦略等
当社グループは、新たな事業環境に対応したコスト構造の実現に向け、生産性の向上とコストダウンの徹底を図るとともに、当社が目指す方向であるライフ・ヘルスケア、電子・情報、環境・エネルギーの3分野へ積極的に経営資源を投入し、持続的成長のための収益基盤の確立を進めてまいります。また、事業の基盤をなす安全の確保、環境の保全、品質管理の徹底、コンプライアンスの強化および内部統制システムの一層の充実を図り、企業の社会的責任を果たしてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営の主たる指標については、グループの業績評価における重要指標である営業利益のほか、株主重視の視点から個別事業における業績管理など経営効率の評価基準として、自己資本当期純利益率(ROE)、総資産経常利益率(ROA)および売上高営業利益率を活用しております。
(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
国内経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立が図られることで雇用や所得環境の改善が進み、感染症拡大前の経済水準に回復しつつあります。世界経済においても、感染症に対するワクチン普及や各国の経済政策の効果により、国や地域による差はあるものの、徐々に回復に向かうと見込まれます。しかしながら、変異株の影響に加え、米中対立長期化によるサプライチェーンの不安定化や原燃料価格の上昇への懸念もあり、先行きは不透明な状況が継続するものと想定されます。
このような情勢下、当社グループは、目指す3分野「ライフ・ヘルスケア」「電子・情報」「環境・エネルギー」において、市場ニーズの変化に柔軟に対応し、独創性のある製品を国内外の市場に提供できる機能材メーカーとして、人と化学の力で新たな価値を創造し、すべてのステークホルダーの皆様の信頼にお応えし続けることで、安心で豊かな社会の実現に向けて挑戦してまいります。
本年度も引き続き、2020年度を初年度とする3ヵ年計画「2022中期経営計画」における基本方針「挑戦と協創」に沿って、「成長市場への事業拡大」「新製品・新技術開発の加速」「社内外との連携強化」「生産性の向上」「CSR活動の推進」の各課題に取り組んでまいります。
成長市場への事業拡大においては、目指す3分野における積極的な戦略投資を実行してまいります。新製品・新技術開発の加速においては、昨年、研究本部内に設置した新規事業開発室において、再生医療など先端医薬医療関連素材の事業化に取り組むとともに、新規事業領域の拡大に努めてまいります。
生産性向上の取り組みでは、高機能・高付加価値製品の製造能力増強や、AI技術などを応用した材料開発手法であるマテリアルズ・インフォマティクスによる研究開発の促進などへの効率化投資にも積極的に取り組みます。
CSR活動の推進においては、SDGsを含むESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からCSR活動を見直し、外部ステークホルダーのご意見・評価をもとに、最終的に11項目のマテリアリティを特定いたしました。これを「豊かで持続可能な社会実現のための新たな価値の提供」「事業基盤の強化」「レスポンシブル・ケア活動の推進」の3つに大別して主管部門を決めるとともに、項目毎に目標(KPI)を設定し、取り組みを推進しております。「豊かで持続可能な社会実現のための新たな価値の提供」では、先進医療・医薬、人の健康・アンチエイジング、環境負荷の低減、資源循環、スマート社会など、さまざまな要請に貢献するため、目指す3分野に当社の独自技術・素材を活かした製品供給を目指してまいります。「事業基盤の強化」では、低採算事業の見直しなどによる収益力の強化、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指した働き方改革の推進、価値観の多様性を受け入れる企業風土作り、レジリエンスを向上させる事業継続計画の充実などを図ってまいります。「レスポンシブル・ケア活動の推進」では、地球温暖化対応に向けた施策の検討、化学物質の管理などの取り組みを一層深化してまいります。
当社グループは、持続可能な社会実現へ貢献するため、これらの課題への取り組みを遂行し、さらなる事業革新を進め、国際競争力のある強靭な企業体質を築いてまいります。
新型コロナウイルス感染症に対しては、グループ社員ならびに関係者の皆様の安全確保を最優先に、感染拡大の防止に努めてゆくとともに、収束後の社会・経済情勢を見極めながら適切な事業運営に最大限努力してまいります。