有価証券報告書-第177期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 13:10
【資料】
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【項目】
123項目

研究開発活動

当企業グループは、独自性を有する技術の開発を基本理念とし、二大素材である顔料と樹脂の設計・合成に係わる要素技術と、分散・印刷・塗加工に係わる要素技術とを融合させることで、3つのドメインとその重点分野(①ライフサイエンスドメイン:パッケージ分野・ヘルスケア分野、②コミュニケーションサイエンスドメイン:エレクトロニクス分野・ファインイメージング分野、③サスティナビリティサイエンスドメイン:環境調和分野、エネルギー関連分野)に向けて、新規材料及び製品の開発から生産技術の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。
現在、研究開発は、当社のグループテクノロジーセンター(イノベーションラボ、マテリアルサイエンスラボ、ポリマーデザインラボ、解析技術ラボ)、生産・物流本部(プロセスイノベーション研究所)、国内外の各連結子会社の技術部門により推進しております。研究開発スタッフは、グループ全体で約600名です。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、73億40百万円であり、各セグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりです。
(1) 色材・機能材関連事業
当事業では、これまで培ってきたコア技術である合成技術、微粒子制御技術、分散技術を駆使し、さらに先端技術へのイノベーションに挑戦することで、新たな独自製品により多様・多彩な生活文化に貢献してゆきます。
カラーフィルター用材料では、従来まで市場で好評を頂いている高機能顔料群に加えて、更に省電力及び高画質に寄与することを目的に、独自設計による新規色材の開発に成功し、工業化段階に入りました。今後、市場展開を進めていく予定です。さらに次世代のモバイル・ウェアラブル端末及び4K解像度の高品位テレビ等に代表される多様化するパネル表示方式及びニーズに対応可能な製品群の充実を目指しております。また、顔料及び分散体生産のプロセス革新にも鋭意取り組んでおり、省エネ、環境負荷低減への寄与と、高機能分野への展開を視野に入れた生産プロセスの改革も進めてゆきます。
分散体技術の応用展開である機能性分散体製品群としては、リチウムイオン二次電池用分散体「LIOACCUMシリーズ」の工場生産が本格的に立ち上がると同時に、本シリーズの更なる事業拡大に向けて、海外展開も積極的に推進しております。また、次世代エネルギー源として有望視されている燃料電池に関する部材についても、引き続き開発を加速してゆきます。
プラスチック着色剤においては、配合するポリマー間の干渉により高輝性を発現可能としたPET樹脂用高輝性マスターバッチのサンプルワークを開始しました。従来からのPP樹脂用高輝性マスターバッチとともに、お客様への提案を進めてまいります。
当事業に係わる研究開発費は、29億50百万円です。
(2) ポリマー・塗加工関連事業
当事業では、塗加工材料・粘着剤・接着剤・ホットメルト・機能性コーティング剤等の事業の礎となるポリマー・塗加工テクノロジープラットフォームの拡大に取り組み、高付加価値製品の開発を通して豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献してゆきます。
スマートフォン、タブレット市場向け機能性シートは、独自の分散技術を駆使した導電材を用いた電磁波シールドシート、導電接着シート等の製品群が市場の高い評価を受けており、特に高速度通信に対応した新製品を開発・提案しております。さらに、耐熱粘着シートや研磨パッド用両面テープなど幅広い分野に向けた製品群が拡充してきております。
一方で、スマートフォンやタブレットの進化と共に印刷回路には更なる高精細化が求められてきていることから、導電性銀ペースト「REXALPHA」では、高精細化レーザープロセス対応品の開発、市場投入により実績の拡大が進みました。
粘接着剤は、特に海外での事業拡充が進展すると共に、環境対応製品でもありお客様のコストダウンに寄与できる高固形分粘着剤の実績が拡大しました。さらに新規開発した光学用接着剤も市場での評価が進みました。またヘルスケア関連では、経皮吸収剤に適用可能なメディカル用粘着剤を新たに開発しました。
太陽電池周辺材料は、「発電効率向上」「長寿命化」「コストダウン」を目標に開発を進め、バックシート用接着剤の高機能化製品のほか、お客様のコストダウンに貢献する密着性向上プライマーの採用が拡大しました。
機能性コーティング剤の製缶用塗料「Finishes」では、先進的な環境性能を有する新製品群が完成し、国内・海外への市場展開で実績拡大を推進中です。
当事業に係わる研究開発費は、16億41百万円です。
(3) パッケージ関連事業
当事業では、世界に広がる生活文化創造企業として、健やかな暮らしに貢献する環境対応型のパッケージ用製品群の開発に取り組んでおります。
作業環境や地球環境保護への関心の高まりと共にノントルエン・ノンMEK型グラビアインキ及びVOC削減可能な水性グラビアインキ・水性フレキソインキの実績が日本を含めたグローバル市場で拡大しております。具体例と致しましては、ノントルエン・ノンMEK型グラビアインキでは、独自の樹脂合成技術により開発した「リオアルファS」、特にグローバルマーケットにおいては「MULTISTAR」が国内外のお客様より高いご評価を頂いております。グラビアインキでは水性タイプの「AQUAECOL」、フレキソインキではレトルト対応可能な溶剤タイプの「REXTA」、業界初のレトルト対応可能な水性タイプの「AQUALIONA」などVOC削減に繋がる製品の開発を継続して進めております。
さらに、スイス条例など各種規制に対応した、より安全安心に配慮したパッケージ用インキのラインナップや、溶剤・樹脂などに天然物由来素材を活用した脱石化のインキ開発にも積極的に取り組んでおります。
また、東洋モートン株式会社のラミネート接着剤、東洋アドレ株式会社のホットメルト接着剤、東洋FPP株式会社の製版技術との組み合わせにより、お客様の様々なプロセスに対応できる多様なトータルソリューション提案を積極的に進めてまいります。
機能性製品分野においてはインモールド転写用材料や高濃度レーザーマーキング材料をシステムで提案し、市場より高い評価を頂いております。
当事業に係わる研究開発費は、9億34百万円です。
(4) 印刷・情報関連事業
当事業では、持続可能社会への実現に向けて省エネルギー/省材、限りある資源、地球温暖化、深刻化する食糧問題を考え、低炭素化社会の実現に向けた製品開発に取り組んでおります。
オフセットインキでは、業界初の溶剤型インキ性能を有するノンVOCインキ「TOYO KING NEX NV100シリーズ」の開発、インキ使用量が削減できる高濃度新聞カラーインキの開発など、原料調達・生産の地産地消でのカーボンフットプリント削減製品、非食用原料である再生植物油を採用した製品の開発・拡大を行い、石油系資源から再生可能資源へシフトする開発を継続して進めております。
UVインキでは、省エネルギー型高感度UV・LEDインキが、その特徴である瞬間硬化や無溶剤、パウダーレス、諸耐性を生かし、印刷現場での作業環境、短納期化、省エネルギーなどから大きく伸長しております。また油性印刷並みの品質、高速印刷適性の付与、多様性の向上から、クリアパッケージ及びファイル用途や、意匠性付与としての疑似エンボス加工、コールド箔、レンチキュラー等を用いた印刷など、多様な市場ニーズに対応するラインナップ拡充を行い、グローバル市場への展開も行っております。
インクジェットインキでは、情報の即時性とバリアブル性を活かし、プリントオンディマンド(POD)ニーズに応える水性、及びLED硬化型UVインキの開発によるコミュニケーションサイエンス市場での拡大に加え、建材、ラベル、紙器などのライフサイエンス市場への拡張を進めております。
当事業に係わる研究開発費は、17億98百万円です。
なお、上記の4つの事業に含まれない研究開発費は、15百万円であります。