有価証券報告書-第142期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
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- 2019/06/27 16:17
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注記事項-作成の基礎、連結財務諸表(IFRS)
2 作成の基礎
(1) 準拠する会計基準
当社グループの連結財務諸表は連結財務諸表規則第1条の2に規定する「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、連結財務諸表規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
(2) 財務諸表の承認
当社グループの連結財務諸表は、2019年6月27日に代表取締役社長CEO クリストフ ウェバーおよび取締役CFO コンスタンティン サルウコスによって承認されております。
(3) 測定の基礎
連結財務諸表は、投資、デリバティブおよび条件付対価等の公正価値で測定される特定の資産および負債を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(4) 機能通貨および表示通貨
当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示されており、特に記載のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しております。
(5) 適用された新たな基準書および解釈指針
2019年3月期において当社グループは以下の基準書を適用しております。
IFRS第9号「金融商品」
2014年7月にIFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」)の基準の最終確定が行われ、当社グループは2018年4月1日より適用を開始しております。IFRS第9号は、IAS第39号の要求事項を大幅に置き換え、金融資産および金融負債の認識、分類、測定、および認識の中止を規定しております。また、発生損失ではなく予想損失に基づく金融資産の新たな減損モデルならびに新たなヘッジ会計モデルを導入しています。当社グループへの主たる影響は、適用開始日である2018年4月1日において特定の売却可能金融商品を公正価値で再測定することであります。
当社グループは、一般的には将来に向かって適用されるヘッジ会計の影響を除き、分類および測定(減損を含む)に関して過年度の比較情報を修正再表示せずに遡及的にIFRS第9号を適用しております。適用による累積的な影響額はIFRS第9号の適用日(2018年4月1日)時点で資本に認識しております。この結果、当期首の利益剰余金およびその他の資本の構成要素がそれぞれ14,073百万円および10,257百万円増加しております。また、その他の金融資産(非流動)が32,809百万円、その他の金融資産(流動)が856百万円、繰延税金負債が9,345百万円それぞれ増加しており、非支配持分が10百万円減少しております。また、当社グループが選択した通り、2018年3月期の情報はIFRS第9号の要求事項を反映しておりません。IAS第39号およびIFRS第9号における会計方針の詳細な内容については、重要な会計方針(注記3)をご参照ください。
当社グループは資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類するという取消不能の選択をしております。この分類に関する指定は、予見し得る一定期間にわたってこれら金融商品を保有する当社グループの意図に基づいて行っております。公正価値の変動額はその他の包括利益として認識し、清算または売却等により資本性金融商品の認識を中止した場合はその他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。
また、IFRS第9号に基づく金融資産の分類は、原則として金融資産を管理している事業モデルおよび金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特徴に基づいて行われます。なお、事業モデルの判定は、適用開始日現在の事実および状況に基づいて行っております。
償却原価で測定される金融資産の減損損失は、以前は発生損失モデルを用いて測定しておりましたが、現在は予想信用損失モデルを用いて測定しています。新基準の適用により損失評価引当金および減損損失の金額に重要な影響はありません。
当社グループは、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債への指定を行っていません。IFRS第9号の適用後、当社グループの金融負債の分類および測定に変更はありません。
IFRS第9号の適用による、当社グループの金融負債およびデリバティブへの重要な影響はありません。
当該基準により導入された新たなヘッジ会計モデルは、ヘッジ関係が当社グループのリスク管理目的および戦略に基づいていること、ヘッジ有効性の評価にあたりより定性的かつ将来予測的なアプローチを適用すること、ヘッジ関係が適格要件を満たさなくなった場合にのみヘッジ会計を中止することを要求しています。なお、2018年3月31日時点においてIAS第39号に基づき指定されていたすべてのヘッジ関係は、2018年4月1日時点においてIFRS第9号のヘッジ会計の要件を満たしていたため、ヘッジ関係の継続とみなされております。
さらに、IAS第39号では通貨のベーシス・スプレッドはキャッシュ・フロー・ヘッジに含めてその他の資本の構成要素に計上しておりましたが、IFRS第9号ではヘッジコストとして区分して会計処理され、その結果、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。IFRS第9号適用によるヘッジ会計の影響は、一部の処理が遡及的に適用されるという例外を除き、一般的には将来に向かって適用されます。当社グループは、通貨のベーシス・スプレッドをヘッジコストとして会計処理するアプローチの遡及適用について比較期間を修正再表示しております。2018年3月31日において遡及修正によりヘッジコストが1,606百万円計上され、キャッシュ・フロー・ヘッジが同額減少しております。
適用開始日におけるIAS第39号およびIFRS第9号に従った金融資産の測定区分および帳簿価額は以下の通りです。
適用開始日における金融資産の帳簿価額の変動は以下の通りです。
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
当社グループはIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IFRS第15号」)の適用を2018年4月1日に開始しております。IFRS第15号は、顧客とのあらゆる契約から生じる収益の認識について、原則に基づく単一のアプローチを定めております。IFRS第15号は契約上の履行義務の識別に重点を置いており、履行義務が充足された時点で、または充足されるにつれて、収益を認識することを要求しています。また、IFRS第15号はより詳細な収益の開示要求を定めています。IFRS第15号の適用が収益認識の金額および時点に与える重要な影響はありません。
医薬品の販売から生じる収益に関連する収益認識の金額および時点、ならびに売上控除の見積りの基礎に変更はありません。
従前の基準では、導出契約から生じる売上収益に関連して受け取った対価を権利の移転に伴い収益認識すること、および関連するロイヤルティ収益を契約の実質および残存する履行義務に従って発生主義で認識することが求められていました。新基準適用の結果、受取対価の配分の基礎、残存履行義務への収益の配分および収益認識時点に変更がありましたが、その影響に重要性はありません。
当社グループは修正遡及アプローチを選択しております。修正遡及アプローチを適用する場合のIFRS第15号の要求事項に従い、2018年4月1日現在の資本に対して累積的影響額を調整し、過年度実績の修正再表示は行いません。
IFRS第15号の適用により、導出契約に関連する受取対価の履行義務への収益配分の基礎が異なることから、適用日時点のその他の非流動負債、その他の流動負債、および繰延税金資産がそれぞれ1,247百万円、495百万円、および414百万円減少し、当期首の利益剰余金が1,328百万円増加しております。
なお、当年度において、IAS第18号を適用した場合と比較し、IFRS第15号の適用が連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
(6) 未適用の新たな基準書および解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書の新設または改訂は次のとおりであります。これらの基準書の新設または改訂は未発効であり、当年度において当社グループはこれらを早期適用しておりません。
IFRS第16号「リース」
IFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」)は、ほとんどすべてのリース取引についてリース負債および使用権資産を財政状態計算書において認識することを要求しております。これにより、現在、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費、およびその他の営業費用に計上されているオペレーティング・リースに係る費用のうち、財務的要素は金融費用として報告されることとなります。また、連結キャッシュ・フロー計算書において、現在、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれていたリース料の支払は、財務活動によるキャッシュ・フローに含めて報告されることとなります。当社グループは2019年4月1日よりIFRS第16号を適用します。
借手側の会計処理は、各報告期間を遡及的に修正する方法(遡及アプローチ)か遡及修正による累積的影響額を適用日時点で認識する方法(修正遡及アプローチ)かを選択することができます。当社グループは修正遡及アプローチを選択することを決定しております。修正遡及アプローチにおいては、リース負債は適用日時点の残存リース料を同時点の追加借入利子率で割り引いた現在価値で測定されます。また、使用権資産はリース負債の測定額に前払リース料、未払リース料、不利なリース契約、および企業結合にかかる公正価値の修正を調整した金額で認識されます。
IFRS第16号適用により、当社グループは、既存のファイナンス・リースを除いて、リース負債がおよそ2,200億円、使用権資産がおよそ2,000億円、それぞれ増加すると見込んでおります。これらの資産総額および負債総額は、Shire社買収により取得したリース取引の影響額を含んでおります。
IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」
IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」(以下、「IFRIC第23号」)は、税務当局が不確実な税務処理を認める可能性が高いと考えられる場合には、その税務処理に基づいて税額を算定することを明確化しています。税務処理が認められる可能性が高くないと結論付けた場合には、不確実性の影響を見積り、税金費用に反映する必要があります。不確実性の評価においては、税務当局が報告金額に関連性のあるすべての情報を把握していることを仮定することが要求されます。当社グループは2019年4月1日よりIFRIC第23号を適用します。
その他の基準書
上記に加え、以下の基準書の改訂および適用指針が公表されております。
・IFRS第10号およびIAS第28号の改訂「投資者とその関連会社または共同支配企業の間での資産の売却または拠出」。
IASBは当該改訂の発行日の延期を決定しております。
・IFRS第9号の改訂「負の補償を伴う期限前償還要素」
・IAS第19号の改定「制度改訂、縮小または清算」
・IAS第28号の改訂「関連会社または共同支配企業に対する長期持分」
・IFRS年次改善2015-2017年サイクル(2017年12月公表) IFRS第3号「企業結合」、IFRS第11号「共同支配の取決め」、IAS第12号「法人所得税」、およびIAS第23号「借入費用」の改善を含む
IFRIC第23号ならびに上記の基準書の改訂および適用指針の適用による連結財務諸表への重要な影響は見込んでおりません。また、これらの基準書の改訂および適用指針は、早期適用も認められておりますが、当社グループは早期適用を予定しておりません。
(7) 会計上の判断、見積りおよび仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の金額、ならびに偶発資産および偶発負債の開示に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行うことが義務付けられております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は、継続的に見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りを変更した会計期間および影響を受ける将来の会計期間に認識されます。
会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、ならびに会計上の見積りおよび仮定のうち、連結財務諸表に報告された金額に重大な影響を及ぼすものに関する情報は以下のとおりであります。
・不確実な税務上のポジションに基づく税金の認識および測定(注記7)
・繰延税金資産の回収可能性(注記7)
・有形固定資産、のれんおよび無形資産の減損(注記10、11、12)
・企業結合により取得した資産および引き受けた負債ならびに条件付対価の公正価値の測定(注記21、31)
・確定給付債務の測定(注記22)
・当社グループの製品販売に伴う割戻および返品に対する見積りを含む引当金の測定(注記23)
・株式報酬に関する評価における仮定(注記28)
・偶発負債の将来の経済的便益の流出の可能性(注記32)
(1) 準拠する会計基準
当社グループの連結財務諸表は連結財務諸表規則第1条の2に規定する「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、連結財務諸表規則第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。
(2) 財務諸表の承認
当社グループの連結財務諸表は、2019年6月27日に代表取締役社長CEO クリストフ ウェバーおよび取締役CFO コンスタンティン サルウコスによって承認されております。
(3) 測定の基礎
連結財務諸表は、投資、デリバティブおよび条件付対価等の公正価値で測定される特定の資産および負債を除き、取得原価を基礎として作成しております。
(4) 機能通貨および表示通貨
当社グループの連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円で表示されており、特に記載のない限り、百万円未満を四捨五入して表示しております。
(5) 適用された新たな基準書および解釈指針
2019年3月期において当社グループは以下の基準書を適用しております。
IFRS第9号「金融商品」
2014年7月にIFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」)の基準の最終確定が行われ、当社グループは2018年4月1日より適用を開始しております。IFRS第9号は、IAS第39号の要求事項を大幅に置き換え、金融資産および金融負債の認識、分類、測定、および認識の中止を規定しております。また、発生損失ではなく予想損失に基づく金融資産の新たな減損モデルならびに新たなヘッジ会計モデルを導入しています。当社グループへの主たる影響は、適用開始日である2018年4月1日において特定の売却可能金融商品を公正価値で再測定することであります。
当社グループは、一般的には将来に向かって適用されるヘッジ会計の影響を除き、分類および測定(減損を含む)に関して過年度の比較情報を修正再表示せずに遡及的にIFRS第9号を適用しております。適用による累積的な影響額はIFRS第9号の適用日(2018年4月1日)時点で資本に認識しております。この結果、当期首の利益剰余金およびその他の資本の構成要素がそれぞれ14,073百万円および10,257百万円増加しております。また、その他の金融資産(非流動)が32,809百万円、その他の金融資産(流動)が856百万円、繰延税金負債が9,345百万円それぞれ増加しており、非支配持分が10百万円減少しております。また、当社グループが選択した通り、2018年3月期の情報はIFRS第9号の要求事項を反映しておりません。IAS第39号およびIFRS第9号における会計方針の詳細な内容については、重要な会計方針(注記3)をご参照ください。
当社グループは資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産として分類するという取消不能の選択をしております。この分類に関する指定は、予見し得る一定期間にわたってこれら金融商品を保有する当社グループの意図に基づいて行っております。公正価値の変動額はその他の包括利益として認識し、清算または売却等により資本性金融商品の認識を中止した場合はその他の包括利益の累計額を利益剰余金に振り替えております。
また、IFRS第9号に基づく金融資産の分類は、原則として金融資産を管理している事業モデルおよび金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特徴に基づいて行われます。なお、事業モデルの判定は、適用開始日現在の事実および状況に基づいて行っております。
償却原価で測定される金融資産の減損損失は、以前は発生損失モデルを用いて測定しておりましたが、現在は予想信用損失モデルを用いて測定しています。新基準の適用により損失評価引当金および減損損失の金額に重要な影響はありません。
当社グループは、純損益を通じて公正価値で測定される金融負債への指定を行っていません。IFRS第9号の適用後、当社グループの金融負債の分類および測定に変更はありません。
IFRS第9号の適用による、当社グループの金融負債およびデリバティブへの重要な影響はありません。
当該基準により導入された新たなヘッジ会計モデルは、ヘッジ関係が当社グループのリスク管理目的および戦略に基づいていること、ヘッジ有効性の評価にあたりより定性的かつ将来予測的なアプローチを適用すること、ヘッジ関係が適格要件を満たさなくなった場合にのみヘッジ会計を中止することを要求しています。なお、2018年3月31日時点においてIAS第39号に基づき指定されていたすべてのヘッジ関係は、2018年4月1日時点においてIFRS第9号のヘッジ会計の要件を満たしていたため、ヘッジ関係の継続とみなされております。
さらに、IAS第39号では通貨のベーシス・スプレッドはキャッシュ・フロー・ヘッジに含めてその他の資本の構成要素に計上しておりましたが、IFRS第9号ではヘッジコストとして区分して会計処理され、その結果、その他の資本の構成要素の独立項目であるヘッジコストに計上されます。IFRS第9号適用によるヘッジ会計の影響は、一部の処理が遡及的に適用されるという例外を除き、一般的には将来に向かって適用されます。当社グループは、通貨のベーシス・スプレッドをヘッジコストとして会計処理するアプローチの遡及適用について比較期間を修正再表示しております。2018年3月31日において遡及修正によりヘッジコストが1,606百万円計上され、キャッシュ・フロー・ヘッジが同額減少しております。
適用開始日におけるIAS第39号およびIFRS第9号に従った金融資産の測定区分および帳簿価額は以下の通りです。
(単位:百万円) | ||||
IAS第39号 | 帳簿価額 | IFRS第9号 | 帳簿価額 | |
現金及び現金同等物 | 貸付金および債権 | 294,522 | 償却原価で測定される金融資産 | 294,522 |
デリバティブ | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 762 | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 762 |
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 | ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 |
売上債権およびその他の債権、その他の金融資産 | 貸付金および債権 | 516,853 | 償却原価で測定される金融資産 | 516,853 |
資本性金融商品 | 売却可能金融資産 | 169,814 | その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 203,276 |
転換社債 | 貸付金および債権 | 5,303 | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 7,576 |
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 2,070 | |||
合計 | 991,851 | 1,025,516 |
適用開始日における金融資産の帳簿価額の変動は以下の通りです。
(単位:百万円) | |||||
IAS第39号 | 帳簿価額 | 分類変更 | 再測定 | IFRS第9号 | 帳簿価額 |
貸付金および債権 | 816,678 | △ 5,303 | ― | 償却原価で測定される金融資産 | 811,375 |
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 2,832 | 5,303 | 203 | 純損益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 8,338 |
ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 | ― | ― | ヘッジ会計を適用しているデリバティブ | 2,527 |
売却可能金融資産 | 169,814 | ― | 33,462 | その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産 | 203,276 |
合計 | 991,851 | ― | 33,665 | 1,025,516 |
IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
当社グループはIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」(以下、「IFRS第15号」)の適用を2018年4月1日に開始しております。IFRS第15号は、顧客とのあらゆる契約から生じる収益の認識について、原則に基づく単一のアプローチを定めております。IFRS第15号は契約上の履行義務の識別に重点を置いており、履行義務が充足された時点で、または充足されるにつれて、収益を認識することを要求しています。また、IFRS第15号はより詳細な収益の開示要求を定めています。IFRS第15号の適用が収益認識の金額および時点に与える重要な影響はありません。
医薬品の販売から生じる収益に関連する収益認識の金額および時点、ならびに売上控除の見積りの基礎に変更はありません。
従前の基準では、導出契約から生じる売上収益に関連して受け取った対価を権利の移転に伴い収益認識すること、および関連するロイヤルティ収益を契約の実質および残存する履行義務に従って発生主義で認識することが求められていました。新基準適用の結果、受取対価の配分の基礎、残存履行義務への収益の配分および収益認識時点に変更がありましたが、その影響に重要性はありません。
当社グループは修正遡及アプローチを選択しております。修正遡及アプローチを適用する場合のIFRS第15号の要求事項に従い、2018年4月1日現在の資本に対して累積的影響額を調整し、過年度実績の修正再表示は行いません。
IFRS第15号の適用により、導出契約に関連する受取対価の履行義務への収益配分の基礎が異なることから、適用日時点のその他の非流動負債、その他の流動負債、および繰延税金資産がそれぞれ1,247百万円、495百万円、および414百万円減少し、当期首の利益剰余金が1,328百万円増加しております。
なお、当年度において、IAS第18号を適用した場合と比較し、IFRS第15号の適用が連結財務諸表に与える影響は軽微であります。
(6) 未適用の新たな基準書および解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書の新設または改訂は次のとおりであります。これらの基準書の新設または改訂は未発効であり、当年度において当社グループはこれらを早期適用しておりません。
IFRS第16号「リース」
IFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」)は、ほとんどすべてのリース取引についてリース負債および使用権資産を財政状態計算書において認識することを要求しております。これにより、現在、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費、およびその他の営業費用に計上されているオペレーティング・リースに係る費用のうち、財務的要素は金融費用として報告されることとなります。また、連結キャッシュ・フロー計算書において、現在、営業活動によるキャッシュ・フローに含まれていたリース料の支払は、財務活動によるキャッシュ・フローに含めて報告されることとなります。当社グループは2019年4月1日よりIFRS第16号を適用します。
借手側の会計処理は、各報告期間を遡及的に修正する方法(遡及アプローチ)か遡及修正による累積的影響額を適用日時点で認識する方法(修正遡及アプローチ)かを選択することができます。当社グループは修正遡及アプローチを選択することを決定しております。修正遡及アプローチにおいては、リース負債は適用日時点の残存リース料を同時点の追加借入利子率で割り引いた現在価値で測定されます。また、使用権資産はリース負債の測定額に前払リース料、未払リース料、不利なリース契約、および企業結合にかかる公正価値の修正を調整した金額で認識されます。
IFRS第16号適用により、当社グループは、既存のファイナンス・リースを除いて、リース負債がおよそ2,200億円、使用権資産がおよそ2,000億円、それぞれ増加すると見込んでおります。これらの資産総額および負債総額は、Shire社買収により取得したリース取引の影響額を含んでおります。
IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」
IFRIC第23号「法人所得税務処理に関する不確実性」(以下、「IFRIC第23号」)は、税務当局が不確実な税務処理を認める可能性が高いと考えられる場合には、その税務処理に基づいて税額を算定することを明確化しています。税務処理が認められる可能性が高くないと結論付けた場合には、不確実性の影響を見積り、税金費用に反映する必要があります。不確実性の評価においては、税務当局が報告金額に関連性のあるすべての情報を把握していることを仮定することが要求されます。当社グループは2019年4月1日よりIFRIC第23号を適用します。
その他の基準書
上記に加え、以下の基準書の改訂および適用指針が公表されております。
・IFRS第10号およびIAS第28号の改訂「投資者とその関連会社または共同支配企業の間での資産の売却または拠出」。
IASBは当該改訂の発行日の延期を決定しております。
・IFRS第9号の改訂「負の補償を伴う期限前償還要素」
・IAS第19号の改定「制度改訂、縮小または清算」
・IAS第28号の改訂「関連会社または共同支配企業に対する長期持分」
・IFRS年次改善2015-2017年サイクル(2017年12月公表) IFRS第3号「企業結合」、IFRS第11号「共同支配の取決め」、IAS第12号「法人所得税」、およびIAS第23号「借入費用」の改善を含む
IFRIC第23号ならびに上記の基準書の改訂および適用指針の適用による連結財務諸表への重要な影響は見込んでおりません。また、これらの基準書の改訂および適用指針は、早期適用も認められておりますが、当社グループは早期適用を予定しておりません。
(7) 会計上の判断、見積りおよび仮定
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の金額、ならびに偶発資産および偶発負債の開示に影響を及ぼす判断、見積りおよび仮定の設定を行うことが義務付けられております。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。
見積りおよびその基礎となる仮定は、継続的に見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りを変更した会計期間および影響を受ける将来の会計期間に認識されます。
会計方針を適用する過程で行われた判断および見積り、ならびに会計上の見積りおよび仮定のうち、連結財務諸表に報告された金額に重大な影響を及ぼすものに関する情報は以下のとおりであります。
・不確実な税務上のポジションに基づく税金の認識および測定(注記7)
・繰延税金資産の回収可能性(注記7)
・有形固定資産、のれんおよび無形資産の減損(注記10、11、12)
・企業結合により取得した資産および引き受けた負債ならびに条件付対価の公正価値の測定(注記21、31)
・確定給付債務の測定(注記22)
・当社グループの製品販売に伴う割戻および返品に対する見積りを含む引当金の測定(注記23)
・株式報酬に関する評価における仮定(注記28)
・偶発負債の将来の経済的便益の流出の可能性(注記32)