有価証券報告書-第72期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/20 13:22
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研究開発活動

当社グループは、専門分野としている糖質科学に研究開発の焦点を絞って、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献する『グローバル・カテゴリー・ファーマ』として発展することを目指しています。今後の事業成長の鍵を握る新薬の早期かつ継続的な上市を実現するために、研究開発機能を強化するとともに、内外の糖質研究ネットワークの拡充に努めています。
当期における研究開発費の総額は、84億8百万円(対売上高比率27.9%)、2018年3月末時点の研究開発要員数は総従業員数の32.5%にあたる233名となっています。
研究開発活動の主な進捗状況は、以下のとおりです。
・SI-6603(腰椎椎間板ヘルニア治療剤、開発地域:日本、米国)
国内では、2018年3月23日に厚生労働省より「ヘルニコア椎間板注用1.25単位」の製造販売承認を取得しました。国内初となる腰椎椎間板ヘルニア治療剤であり、販売開始の準備が整い次第、販売提携先である科研製薬株式会社から発売する予定です。
米国では、第Ⅲ相臨床試験において薬理効果が認められた一方、主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められませんでした。この結果を受け、2018年2月に米国における第Ⅲ相臨床試験の追加試験を開始しました。本追加試験では、前回試験の結果から得られた知見を反映させ、成功確度を高めてまいります。
SI-6603は、コンドリアーゼを有効成分とし、椎間板内に直接注射する治療剤です。全身麻酔の必要もなく、手術療法と比較して患者の方々への身体的侵襲が小さいという特徴を有しています。1回の投与で腰椎椎間板ヘルニアの症状改善効果が期待できることから、新たな治療選択肢として、患者の方々の生活の質の向上に貢献できるものと考えています。
・SI-613(変形性関節症及び腱・靭帯付着部症治療剤、開発地域:日本、米国)
国内では、2017年2月より変形性関節症を対象とした第Ⅲ相臨床試験として、膝関節を対象とした検証的試験、他関節部位(股、足首、肘、肩)を対象とした臨床試験、及び安全性評価を主目的とした長期投与試験の3試験を実施しています。また、2017年9月に腱・靱帯付着部症を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験を開始しました。なお、2017年9月にSI-613の日本における共同開発及び販売提携に関する契約を小野薬品工業株式会社と締結しました。
米国では、2017年6月に変形性膝関節症を対象とした第Ⅱ相臨床試験を開始しました。
SI-613は、当社独自の薬剤結合技術を用いてヒアルロン酸とジクロフェナク(抗炎症薬)を化学結合した薬剤です。ヒアルロン酸による関節機能改善効果に加え、徐放されるように設計されたジクロフェナクの鎮痛・抗炎症作用を併せ持つことから、変形性関節症や腱・靭帯付着部症に見られる痛みや炎症を速やかかつ持続的に改善することが期待されています。
・SI-614(ドライアイ治療剤、開発地域:米国)
2015年1月に第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験が終了し、現在、取得したデータをもとに第Ⅲ相臨床試験について検討を行うとともに、販売提携先の選定を進めています。
SI-614は、ヒアルロン酸を独自の技術を用いて修飾した物質で、同剤を点眼することにより、ドライアイ患者の眼表面保護作用と角膜創傷治癒促進作用が期待されています。