訂正有価証券報告書-第117期(平成28年1月1日-平成28年12月31日)

【提出】
2017/08/10 14:36
【資料】
PDFをみる
【項目】
137項目

対処すべき課題

文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2017年3月28日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(ブランドの強化と積極的なマーケティング投資)
当社は強いブランドづくりをめざし、プレステージ領域を中心に重点ブランドのイノベーションを行うとともに、絞り込んだブランドへの集中的なマーケティング投資を実施しています。2015年度から2017年度の3カ年では累計1,000億円超のマーケティング投資強化を計画しています。
また、“世界で勝てるグローバルビューティーカンパニー”をめざし、必要な場合にはM&Aやアライアンスなどによるブランドポートフォリオの強化を実施します。
(イノベーション領域の強化とオープンイノベーションの推進)
研究開発力の最大化に向け、5カ国計9カ所の研究開発拠点の規模を拡大し、お客さまインサイトに基づく研究開発を世界各地で行う体制を引き続き整備し、今まで以上に現地ニーズを捉えた製品開発の実現や現地でのマーケティングとの連携も強化していきます。
将来の成長を支えるための基礎基盤研究においては、ライフサイエンス研究、マテリアルサイエンス研究、お客さま研究、美容機器、毛髪再生医療、ICT(インフォメーション&コミュニケーションテクノロジー)技術の6つの領域を強化し、新たな価値の創出に取り組んでいきます。
2014年度の連結売上高に占める研究開発費の比率は1.8%でしたが、2020年度には、これを2.5%へと拡大します。現在進めている各研究開発拠点の強化に加え、2018年末に、「グローバルイノベーションセンター」を稼働させ、全世界の研究所の人員を1,500名にまで増員します。
また、当社は、自社以外の技術やアイデアを組み合わせることによって、“美”に関する革新的な商品・サービスを創造し、新たな価値や市場を生み出すオープンイノベーションを推進しています。その目的は、グローバルな競争での優位性を保ち、業界をリードする存在であり続けることにあります。先進的な事業を展開しているベンチャー企業の当社にない発想や技術をM&Aや出資により取り込んでいきます。
(成長への礎を築き、投資原資を生み出すための構造改革)
2014年度から着手した構造改革をより強力に世界全地域で推進していきます。原価、マーケティングコスト、在庫・サプライチェーンマネジメント、バックオフィスコスト、人件費・生産性の各項目の合計で2017年度までに3カ年累計で600億円超の投資原資を捻出します。この構造改革で得られた投資原資は、店頭の整備や化粧品サンプル、広告宣伝など、お客さまに直接届くマーケティング投資や研究開発投資などに振り向け、売上成長の加速につなげていきます。
(サスティナビリティ戦略)
経済活動が地球規模で拡大し、豊かな生活水準が実現されるようになった一方で、環境問題や貧困、保健衛生など地球規模で解決すべき社会課題が年々増大し、人類社会の持続可能性(サステナビリティ)が懸念されるようになっています。当社は、事業活動における強みを生かして、環境・社会課題に対して当社事業の成長に結びつけながら積極的に取り組むことが、極めて重要であると考えています。
私たちのサステナビリティの活動領域としては、当社のミッションである“美しい生活文化の創造”に関わるバリューチェーンと、社会からの期待という観点から、“Person(お客さま)”“Community(地域社会)”“Planet(地球環境)”を設定しました。特にお客さま一人ひとりに健康で幸福な生活を提供すること、多様性を認め合う社会の実現、持続可能な商品設計と生産を重点項目として活動を進めていきます。
(環境問題への取り組み)
当社は化粧品の商品開発においても環境負荷低減に向けた取り組みを行っています。例えば、「クレ・ド・ポー ボーテ」のクリームである「ラ・クレームn」のリニューアルにおいて、誰もが簡単に交換作業ができるように新しいレフィル機構を開発し採用しました。
レフィルの発売により本体容器が再活用できるため、従来に比べプラスチック使用量を約73%削減したこと、また本体容器に内面蒸着と多面体との相乗効果で内面から輝く肌を表現したことなどが評価され2016年8月、「2016日本パッケージングコンテスト(※1)」において、「アクセシブルデザイン包装賞(※2)」を受賞しました。
※1 「日本パッケージングコンテスト(主催:公益社団法人 日本包装技術協会) 」は、優れたパッケージデザインや包装技術を表彰する国内最大のコンテストで、「ジャパンスター賞(計12賞)」「包装技術賞(計6賞)」「包装部門賞(計13賞)」の3つの部門があります。今回受賞した「アクセシブルデザイン包装賞」は、「包装技術賞」の一つで、「ジャパンスター賞」に次いで2番目に高い賞になります。
※2 高齢者・障がい者向けのユニバーサルデザインからさらに健常者の利便性も確保することを目的としてパッケージがデザインされている事を評価する賞。
(ダイバーシティのさらなる推進と女性活躍支援)
消費者の価値観の多様化が進展するなか、単一的文化の企業では競争には勝ち残れません。当社は、国籍、性別、年齢などの多様性(ダイバーシティ)を推進し、多様な考え方や価値観を持った従業員が混じりあうことで、新たな価値を創造し、持続的成長につなげていきたいと考えています。
なかでも、女性の社会的地位の向上や活躍支援について主導的な役割を果たしていくことが重要な使命の一つと捉えており、女性活躍を推進するための様々な施策に取り組んできました。その結果、2017年1月には、日本国内における目標であった女性管理職比率30%を達成しました。今後も引き続き、女性の活躍支援を一段と進め、2020年までに、この比率を40%に高めることをめざします。
また、子育て支援については、自社において事業所内保育所を運営してきましたが、2016年11月には、総合的な保育サービスを展開している株式会社JPホールディングスとの間で合弁会社設立について基本合意し、2017年2月に、事業所内保育所の運営受託などを事業の柱とした合弁会社「KODOMOLOGY(コドモロジー)株式会社」を設立しました。当社掛川工場の敷地内に事業所内保育所を新設するとともに、事業所内保育所に関心を寄せる企業にも子育て支援事業の知見を活かしたサービスを提供し、日本の大きな社会問題の一つである保育所不足に対して向き合っていきます。
(文化・スポーツ支援活動への貢献)
当社は、創業から現在に至るあゆみを、“企業文化”という知的かつ感性的な資産と捉え、次世代の新たな価値創造に活かし続けています。1937年創刊の企業文化誌「花椿」は、時を経ても色あせない本質的なモノやコトを見つけることに主眼をおき、本当に良いものを見つけ出し、読者に紹介していくことをめざしています。若い世代へのアプローチのため、2016年6月には先行してウェブ版をリニューアルし、11月より、紙版の季刊誌を新たにスタートしました。
また、世界共通言語であり、人々に感動と共感を与えるスポーツへの様々なサポートを通じて、世界中の人々のアクティブで美しい生き方を応援しています。1979年より女子陸上部「資生堂ランニングクラブ」を運営し、同年国際陸上競技連盟が世界で初めて公認した女子マラソン「東京国際女子マラソン」の協賛を行うなど、長年走ることに対するサポートを行ってきました。加えてランニングフォームやトレーニング方法を研究するとともに、屋外スポーツ時も美しい肌を守るための日やけ止めや美白商品及び関連美容情報を開発してきました。こうしたさまざまな知見を、ランナーのための当社情報サイト「RUN、RUN、BEAUTY」において紹介し、多くのランナーに活用いただき、より楽しくより美しいランニングライフをバックアップしています。