有価証券報告書-第82期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 14:22
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経営上の重要な契約等

(中国平安保険(集団)股份有限公司との資本業務提携)
当社は、2017年9月22日開催の取締役会において、中国平安保険(集団)股份有限公司(本社:中国広東省、以下、中国平安保険)との強固で長期戦略的なパートナーシップの構築に向け、資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)を行うことを決議いたしました。また、当社は中国平安保険の子会社である中国平安人寿保険股份有限公司(本社:中国広東省、以下、平安人寿)を割当予定先とする第三者割当による新株式発行及び自己株式の処分(以下、併せて「本第三者割当」という。)を行うことについても決議をしており、同日付で中国平安保険との間で本資本業務提携に係る資本業務提携契約を締結いたしました。
1. 本資本業務提携の目的及び理由
(1) 本資本業務提携の目的
① 中国における中薬産業の更なる発展及び中国国民の医療と健康への貢献
② 中薬(*)の品質標準及び生薬栽培から最終製品までを網羅するビジネスモデルの構築
③ 当社の生薬原料の安定確保
(*)中薬:中医学(中国の伝統医学)で用いる薬剤
(2) 本資本業務提携の理由
当社は、2016年5月に公表した「新中期経営計画(2016年度-2021年度)“漢方”のイノベーションによる新たな価値の創造」において、「中国における新規ビジネスへの挑戦」を戦略課題の一つとして定めております。当社は新中期経営計画の達成とともに、原料生薬の主要調達国である中国及び中国国民の健康にも貢献していくという思いから、今後も新規事業を通じて、中国との更なる良好な関係を構築・維持していきたいと考えております。
その取り組みの一環として、中国における日本の医療用漢方製剤向け原料生薬の調達・加工・保管基地である深セン津村薬業有限公司において、2016年度より中国市場向け刻み生薬事業を開始しております。また、それと同時期に、上海市薬材有限公司との合弁公司である上海上薬津村製薬有限公司を設立し、中国市場向け中薬配合顆粒の生産に向けて、研究開発等を進めております。
一方、中国平安保険は、中国の四大保険会社の一つで、中国A株市場に上場しており、主要業務である保険・銀行・投資に加えて、インターネット金融サービスを展開している総合金融企業集団です。同社は、「国際社会をリードする個人金融・生活のサービスプロバイダー」になるという戦略目標を掲げ、金融及び医療・ヘルスケア事業を戦略的注力分野と位置づけており、中国最大の民間健康保険会社である平安健康保険、中国最大のインターネット医療健康管理プラットフォームである平安Good Doctor、中国最大の診療所標準化管理サービスプラットフォームである平安万家医療等を傘下に持ち、医療健康科学分野での優位性を確立しつつあります。同社は、医療・ヘルスケア分野を更に発展させ、お客様への医療・ヘルスケアサービスをより一層向上させるため、中薬企業との協業機会を模索するとともに、ひいては中薬産業全体の発展への貢献を企図する中で、中国平安保険グループにおいて、海外投資を担当する中国平安保険海外(控股)有限公司(所在地:香港)及び平安ジャパン・インベストメント株式会社(所在地:東京)を中心に、日本企業との協業を検討した結果、高品質な漢方製剤を日本市場に供給している当社に対し協業の提案をするに至りました。
当社と中国平安保険が取り組もうとしている案件において、当社が有する生薬・漢方事業におけるノウハウと中国平安保険の有する経営資産や顧客基盤、医療・ヘルスケア事業の特徴及び強みを組み合わせることで、シナジー効果が発揮され、両社の企業価値の更なる向上を実現できると考えられます。当社及び中国平安保険は、中国における中薬産業の更なる発展を推進して中国国民の医療と健康に貢献するとともに、中薬の品質標準及び生薬栽培から最終製品までを網羅するビジネスモデルを構築することができ、また、それと同時に、中国国内の生薬の品質向上や生薬資源保護に寄与しながら、当社の生薬原料の安定確保にもつながると考え、業務提携を行うことといたしました。
さらに、当社及び中国平安保険は、業務提携に関わる協議の過程で、長期的かつ強固な戦略的パートナーシップを構築するためには、中国平安保険グループが当社の一定数の株式を保有することが重要であると判断し、業務提携と合わせて、第三者割当による資本提携を行うことといたしました。なお、本資本業務提携先である中国平安保険は金融持株会社であり、金融以外の事業を行う一般事業会社への直接の出資は実施していないため、本資本業務提携の趣旨や内容、出資規模等を勘案し協議した結果、出資機能を有する中国平安保険の主要子会社の一つである平安人寿を本第三者割当の割当予定先といたしました。
2. 本資本業務提携の内容
(1) 業務提携の内容
当社と中国平安保険との間で現時点において合意している業務提携の概要は、以下のとおりです。
① 合弁会社の設立
中国平安保険との間で中国にて合弁会社を設立し、当該合弁会社が主として下記②~④の事業を展開する予定です。
② 生薬調達体制の強化に関する事業
現在、日本国内の漢方製剤及び中国国内における中薬等の市場が拡大していることから、原料生薬の需要が高まり、一部の原料生薬の価格に著しい変動が生じております。安定した価格で、かつ、ツムラの品質要求を満たす原料生薬を安定確保するためには、原料生薬を栽培・加工調製する産地会社の供給能力を高める必要があると考えております。その施策として、栽培用地の確保や栽培技術の開発(野生生薬の栽培化、機械化による効率化等)、生薬の加工場の建設・整備、加工技術の開発(乾燥方法の改善、機械化による効率化等)等を行います。
③ 中薬を主とした分析研究に関する事業
下記④における中薬等の製造販売事業に参入するにあたり、高品質な製品の提供を図るためには、生薬栽培から最終製品までの品質管理を行い、品質標準を確立することが必要となります。その実現のために、中薬を主とした分析研究センターを設立し、分析研究技術の開発及び分析試験の受託等を実施いたします。
④ 中薬、健康食品、ヘルスケア関連日用品及びその他業務分野に関する事業
中国では中医学が広く浸透しており、そこで使用される中薬の需要も高まっております。今後も拡大していくことが見込まれる中薬産業の更なる発展及び中国国民の医療と健康に貢献するために、当社の漢方製剤の製造ノウハウを活用し、中薬等の製造販売事業を展開することを計画しております。
(2) 資本提携の内容
当社は、本第三者割当により、平安人寿に当社普通株式7,675,900株(本第三者割当後の総議決権に対する所有議決権割合10.04%、本第三者割当後の発行済株式総数に対する株式所有割合10.00%)を割り当てます。
(中国における合弁会社設立の合弁契約の締結)
当社は、2017年11月30日開催の当社取締役会において、連結子会社である津村(中国)有限公司(以下、津村中国)と、天津盛実百草中薬科技股份有限公司(以下、盛実百草)の2社による合弁会社設立に関する契約及び、津村中国と中国平安保険(集団)股份有限公司(本社:中国広東省、以下、中国平安保険)の子会社である上海平浦投資有限公司(本社:中国上海市、以下、上海平浦)の2社の出資による合弁会社設立に関する契約の締結について決議し、締結いたしました。
1. 津村盛実製薬有限公司
(1) 合弁会社設立の目的
盛実百草は、当社漢方製剤用原料生薬の中国における主要調達先として、2011年の開業当初から当社グループと取引をしております。同社とは2016年5月11日に包括的な業務提携契約を締結し、原料生薬の供給・調達、生薬栽培・加工に関する研究、生薬品質管理、生薬産地の統括管理及び中国刻み生薬(飲片)事業を協力して推進してまいりました。
日本国内における当社漢方製剤の使用量増加に対応するため、今後の増産体制を検討する中で、原料生薬の調達等の機能を有し、当社との取引実績及び信頼関係のある盛実百草と連携することが合理的であると判断し、このたび、盛実百草と漢方製剤の中間体である漢方エキス粉末の製造を担当する合弁会社を中国天津市に設立することについて、合意いたしました。
なお、2017年12月20日に合弁契約を締結し、2018年3月1日に合弁会社を設立いたしました。
(2) 合弁会社の概要
(1)名称津村盛実製薬有限公司
(英文社名:TSUMURA SHENGSHI PHARMACEUTICALS CO., LTD.)
(2)所在地中国天津市
(3)代表者の役職・氏名董事長 李剛
(4)事業内容漢方製剤の中間体である漢方エキス粉末、中成薬、中薬エキス粉末の製造
(5)資本金400百万人民元
(6)決算期毎年12月31日
(7)出資比率津村中国70% 盛実百草30%

2. 平安津村有限公司
(1) 合弁会社設立の目的
当社と中国平安保険は、生薬調達体制の強化に関する事業、中薬(*)を主とした分析研究に関する事業、中薬、健康食品、ヘルスケア関連日用品及びその他業務分野に関する事業の展開を目的とした合弁会社の設立について合意し、津村中国が56%、中国平安保険の子会社である上海平浦が44%出資することによって、投資性公司(持株会社)である平安津村有限公司を設立することについて、合意いたしました。
なお、2017年12月22日に合弁契約を締結し、2018年6月8日に合弁会社を設立いたしました。
(*)中薬:中医学(中国の伝統医学)で用いる薬剤
(2) 合弁会社の概要
(1)名称平安津村有限公司(英文社名:Ping An Tsumura Inc.)
(2)所在地中国広東省深セン市
(3)代表者の役職・氏名董事長 トン・ホイ(Tung Hoi)
(4)事業内容生薬調達体制の強化に関する事業、中薬を主とした分析研究に関する事業、中薬、健康食品、ヘルスケア関連日用品及びその他業務分野に関する事業
(5)資本金1,000百万人民元
(6)決算期毎年12月31日
(7)出資比率津村中国56% 上海平浦44%