有価証券報告書-第86期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 13:26
【資料】
PDFをみる
【項目】
113項目

研究開発活動

2013年6月4日に、ウエムラグループが安定して成長し続けるための中核となる新研究所が竣工し、この優れた環境のもと、難易度の高いテーマに積極的に取り組み、最先端技術を追求するとともに、将来技術を探索しました。すなわち、シミュレーション技術を利用しながら、めっき薬品・機械設備・管理装置の三位一体開発を継続しております。また、台湾・マレーシア・中国・米国を中心とした海外開発拠点との技術連携も一層深めました。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は19億47百万円であります。
(1)表面処理用資材事業
① プリント配線板(PWB)/半導体パッケージ(PKG)対応技術の強化
イ. 最終表面処理関連
PWB/PKG関連の最終表面処理は当社の最も得意とする分野であり、無電解ニッケル/無電解金(ENIG及びENAG)より更に進んだ、無電解ニッケル/無電解パラジウム/無電解金(ENEPIG及びENEPAG)に関する技術を一層深めました。前処理を中心にプロセスとしての改良にも取り組み、一層進むファインパターン化に対応しています。
また、低コスト要求に応えた低濃度金置換浴の開発や無電解銀めっき浴の改良にも取り組みました。さらに、ウェハへのめっきプロセスについては、密着性とスパイクレスを両立できるアルカリジンケート、微小パッドへ対応した無電解ニッケル浴などを開発しました。
なお、電気貴金属めっきにも注力し、電気パラジウム浴を開発するなど、実績を挙げております。
ロ. 銅めっき関連
無電解銅浴を使用せず、基材へのダメージの少ない、組成的にも環境に優しい独自技術であるダイレクトめっき法(PDMT)の量産管理条件を既に確立しておりますが、その他の銅めっき関連技術全般に対しても一層注力しております。
前処理関係では、ファインパターン対応酸性クリーナーやロープロファイル樹脂対応デスミアエッチング剤に続き、廉価版アクチベーターを開発しました。また、デスミア関係では、大幅に省スペース化した流通管式デスミア再生装置も実績を挙げております。
無電解銅めっき関係では、次世代セミアディティブプロセス(SAP)向け低応力浴、フィリング浴、中性浴等で実績を挙げております。
電気銅めっき関係では、スマートフォン用基板のビアフィリングに適応させた浴等で実績を挙げるとともに、ウェハ対応浴の開発も進めております。
② 環境・資源問題への配慮
有害重金属を含まない各種めっき液の開発を推進し、環境対応が可能な製品の品揃えを一段と広げました。特に、汎用無電解ニッケル浴関連で品揃えと改良を進めました。また、ノーシアンタイプの金めっき浴の品揃えの充実にも努めております。
一方、ローズ(RoHS)指令等による鉛規制とウィスカ問題へ対応するため、鉛フリー電気錫めっき浴として、ウィスカ制御浴及び高速浴を並行して品揃えしております。今後は、変色防止後処理剤も含めたプロセスを提案してまいります。
③ 海外開発拠点との技術協力推進
現在、海外の主な研究開発拠点は台湾桃園・マレーシアジョホール・中国深圳等にあり、営業技術拠点も中国蘇州・米国コネチカット等にあります。台湾で開発された電気錫めっき製品は日本での生産も始まり、更なる市場展開をしており、これに続いてマレーシアで開発した3価クロムめっき製品等の市場展開も進めております。これからも、海外拠点を活用し地域に密着したグローバルな研究開発体制を推進してまいります。
④ 基礎研究分野における産官学の連携
大阪大学産業技術研究所及び大手企業とともに、はんだ接合に関する理論的解析等を行い、製品開発方向を定める一助としています。また、京都大学とともに、めっきの結晶成長(光沢剤、レベリング剤の作用機構)を解明するために、分子動力学及びモンテカルロ法によるシミュレーションも研究しております。このように、基礎技術研究においても、大学や公的研究機関及び大手企業との連携を深めて、学会発表もしながら、業界トップの技術力を維持強化してまいります。
⑤ プロパテント政策
当連結会計年度末時点で当社が保有する特許は、400件(国内153件、海外247件、出願中含む)です。保有する商標は265件(国内81件、海外184件、出願中含む)です。当社は知的財産権を重視した開発戦略を進めており、特許・商標ともに、特に海外での権利化に注力しております。
表面処理用資材事業に係る研究開発費は18億45百万円であります。
(2)表面処理用機械事業
装置及び浴管理装置の開発
SAP対応縦型連続搬送装置(U-VCP及びU-VCPS)を実機にて展開し、膜厚均一性と薄板の安定搬送を達成することができました。また、微粒子対応電気めっき装置(RPシリーズ)を改良し、10µm以下の微粒子にも対応できる自公転式電気めっき装置のデータも積み重ねております。
設備設計に関しては、3D図面への展開を進めて3DCADデータを複数のPCと共有化するための操作方法を構築しました。また、液管理装置として、ウェハ用薬液の管理法及びプログラムを新規開発しました。
表面処理用機械事業に係る研究開発費は1億1百万円であります。
今後も、投資対効果を常に意識し、無駄のないメリハリの利いた重要テーマへの積極的投資を続けてまいります。