有価証券報告書-第109期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/23 15:42
【資料】
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【項目】
133項目

対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、わが国経済は、米国経済の改善を背景とした世界的な経済成長が期待される中、原油安と賃金の上昇による個人消費の増加、法人税などの減税による企業の設備投資の増加などを背景として、自律的な回復が見込まれます。石油業界につきましては、原油安により一定の需要回復が期待できるものの、省エネルギー・環境問題への対応としての燃費改善・燃料転換による国内需要の減少とアジアを中心として増加する海外需要の獲得競争への対応などの中長期的な課題もあり、厳しい経営環境が続くものと予想されます。
このような経営環境を踏まえて、第5次連結中期経営計画の4つの基本方針と6つの施策を着実に実行し、収益力を強化するとともに引き続き有利子負債を削減して財務体質の改善を図ってまいります。
[4つの基本方針と6つの施策]
Ⅰ.石油精製販売事業における収益力の回復
施策:①製油所の安全操業・安定供給に関する取り組み強化
②供給部門を中心とした徹底的な合理化
③リテールビジネスの強化
Ⅱ.前中期経営計画で実施した戦略投資の確実な回収
施策:④石油化学事業
⑤石油開発事業
⑥再生可能エネルギー事業
Ⅲ.International Petroleum Investment Company(IPIC)、Hyundai Oilbank Co., Ltd.(HDO)とのアライアンス強化
Ⅳ.CSR経営の推進
「Ⅰ.石油精製販売事業における収益力の回復」につきましては、生産面では3製油所による効率的な供給体制を確立して安全操業・安定供給を継続していくことに加え、東燃ゼネラル石油㈱との千葉製油所共同事業により製油所競争力の強化を図ってまいります。販売面では「カーライフ価値提供業」への業態変革を実行し、イオングループなどとの異業種提携と「コスモ・ザ・カード」発行のさらなる拡大により顧客の創造を図るとともに、個人向けカーリース事業を核としたリテールビジネスを強化してまいります。管理部門につきましては、コスモビジネスアソシエイツ㈱を中心に当社グループの間接業務の集約化による効率化・機能強化を図ってまいります。
このほか、LPガス事業につきましては、パートナー各社との協力の下、本年4月に発足した元売会社(ジクシス㈱)と小売販売会社を通じてLPガスの供給・販売体制の合理化・効率化を進めるとともに、引き続き様々なパートナーと事業ごと・地域ごとに協業・共同・統合を図ってまいります。
「Ⅱ.前中期経営計画で実施した戦略投資の確実な回収」につきましては、中東地域において、原油生産と原油開発を安定的に推進するとともに、ヘイル鉱区での平成28年度の生産開始に向け、開発作業の早期化を図るなど、石油開発事業の拡大を推進してまいります。再生可能エネルギー事業であります風力発電につきましては、運営、補修などの一貫体制の構築により、風力発電設備の高稼働を継続し、開発中の三重県の度会サイトの建設を着実に実行するとともに、さらに新規風力発電設備の建設を検討してまいります。また、太陽光発電につきましても、霞(三重県四日市市)、扇島(神奈川県横浜市)、大三島(愛媛県今治市)の3拠点において建設工事を着実に進め、早期の営業運転開始を目指します。
「Ⅲ.International Petroleum Investment Company(IPIC)、Hyundai Oilbank Co., Ltd.(HDO)とのアライアンス強化」につきましては、当社の子会社であるコスモアブダビエネルギー開発㈱の株式を一部譲渡したことにより強化されたCompañía Española de Petróleos, S.A.U.(CEPSA社:スペインの総合エネルギー企業)との戦略的包括パートナーシップをさらに深めるとともに、当社・CEPSA社・アブダビ国営石油公社の3社が連携したワークショップでは、最重要検討事項である新規権益獲得に加えて、硫黄取引、原油マーケティング、石油化学事業に関する営業支援などについて集中的に取り組んでまいります。
「Ⅳ.CSR経営の推進」につきましては、CSR経営の推進が当社グループの持続的成長と企業価値の向上にとって不可欠であるという認識の下、「コスモ石油グループ経営理念」および「CSR活動方針」に基づき、積極的な環境貢献活動を継続するなど、「信頼に応え、継続して社会に貢献できるコスモ石油グループとなる」の実現に取り組んでまいります。
第5次連結中期経営計画の中間年にあたり、当社グループといたしましては、引き続き石油精製販売事業の収益回復を目指すとともに、資源開発・リテール・風力発電などの各事業を成長ドライバーとした経営資源のシフトによる事業ポートフォリオの転換に取り組み、これを加速するため持株会社体制へ移行し、トップクラスの「グローバルな垂直型一貫総合エネルギー企業」を目指してまいります。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成27年6月23日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、計画と異なる場合があります。