有価証券報告書-第144期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 13:36
【資料】
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【項目】
95項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループでは、以下を経営方針とし、基本理念である「心と技術をこめたモノづくりにより幸せと豊かさに貢献します」の実現を目指しております。
・技術の先端に挑戦し、新しい価値を創り出す
・独自の領域を切り拓き、事業の広がりを追及する
・人を大切にし、人を磨き、人が活躍する場をつくる
・社会に対する公正さと、環境との調和を大切にする
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、2020年度に売上収益7,000億円、営業利益700億円、営業利益率10.0%の達成に向けて取り組んでまいります。
(3) 経営環境及び経営戦略・対処すべき課題
当社グループは、2018年から2020年までの3カ年計画として、中期経営計画 GD2020(ジーディーニイゼロニイゼロ)の取り組みを2018年度より開始しており、2019年度はその中間年となります。
当社グループの強みを再定義し、独自路線を強めた各事業の成長戦略を通じて経営基盤を強化し、2020年代のさらなる飛躍に備えることを GD2020 の位置づけとしています。
各分野の戦略と取り組み内容は、次のとおりです。
■タイヤ消費財事業
拡大の見込まれるプレミアムタイヤ市場をターゲットに、横浜ゴムの存在感をさらに向上すべく4つの戦略を推進していきます。
①プレミアムカー戦略
技術と品質で選ばれるタイヤメーカーを目指しており、2019年度は、ポルシェをはじめとしたプレミアムカーへの装着を推進しました。
②ウィンタータイヤ戦略
国内、欧州、ロシア・北欧向けウィンタータイヤで性能 No.1 を目指してレベルアップを図っていきます。2019年度は乗用車用オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」の一部地域での試行販売を実施し好評を得たことから、2020年1月からの全国販売を決定しました。また、北米においては、乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD iG53」、SUV向けスタッドレスタイヤ「iceGUARD G075」を投入し、いずれも市場から好評を得ております。
③ホビータイヤ戦略
レースやカスタマイズなどあらゆる自動車趣味に対応する商品ラインアップの拡充を進めています。
2019年度はSUV・ピックアップトラック向けオフロードタイヤ「GEOLANDAR X-AT G016」を発売、また「GEOLANDAR M/T G003」のサイズを拡大しました。
スポーツタイヤでは北米向けに高性能スポーツタイヤ「ADVAN APEX V601」、日本向けに「ADVAN A08B SPEC G」を発売しました。
ヒストリックカー向けには新たにクラシカルなデザインを採用した「G.T.SPECIAL CLASSIC Y350」並びに、パターンが特徴的なクラシックスポーツタイヤ「A539」を発売しました。
「GEOLANDAR M/T G003」がドイツの権威ある「Red dot Design Award」を受賞、また「ADVAN APEX V601」、「GEOLANDAR X-AT G016」、「GEOLANDAR X-CV G057」が、世界最大規模の自動車用品ショー「2019 SEMA Show」内で行われた「New Products Award」においてタイヤ関連部門における3つの賞を独占、「GEOLANDAR X-AT G016」、「GEOLANDAR X-CV G057」については「シカゴ・アテネウムグッドデザイン賞 2019」も受賞するなど、各地で非常に高い評価を受けました。
④お客様とのコミュニケーション活性化
「クルマのある生活をもっと楽しく!」を体現するタイヤメーカーを目指しています。開発段階の製品をお客様と共有し、より魅力的な新商品開発に取り組む活動をはじめ、様々なユーザー参加型イベントを積極的に実施するなど実績を重ねており、今後もSNSの活用やイベントを通しユーザーとのコミュニケーション強化を図って参ります。
■タイヤ生産財事業
オフハイウェイタイヤを成長ドライバーとした事業拡大と北米事業基盤を生かしたトラック・バス用タイヤの拡大に取り組んでいます。
①オフハイウェイタイヤ
・ATGの農業機械用・林業機械用タイヤ、愛知タイヤ工業株式会社の産業車両用タイヤ及び横浜ゴムの建設車両用タイヤを最大限に活用し、事業ポートフォリオのさらなる拡充を図ります。
・インドを拠点としたATGの持つ圧倒的なコスト競争力を強みに拡販します。
・競争優位な特殊用途タイヤをさらに強化します。
2019年末には、2018年に開始したATGインド・ダヘジ工場の拡張工事が完了し、当初計画どおり1.6倍の能力増強を実施しました。また11月には、農場や舗装路など路面状況に合わせて空気圧を自動で調整できるシステムに対応した、農業機械用タイヤ「Alliance 398 MPT」が、ドイツの農業機械展において銀賞を受賞しました。
②トラック・バス用タイヤ
・米国ミシシッピ州に建設した最新鋭の設備を持つトラック・バス用タイヤ工場の高い品質と柔軟な供給体制を強みに、世界最大級の北米市場での拡販を図ります。
・独自技術 SpiraLoop® (スパイラループ)を採用した超偏平シングルタイヤを積極的に展開していきます。
2019年は、北米・日本市場向け商品ラインナップの拡充を図りました。北米市場向けには、超偏平シングルタイヤ「114R」を発売、日本市場向けには、オールシーズンウルトラワイドベースタイヤ「902L」の本格発売をはじめ、ダンプトラック用「302C」、低床バス用「507U」、コミュニティバス用「LT751R」を発売しました。
またヨコハマタイヤマニュファクチャリングミシシッピ(YTMM)では、3月にIATF16949認証を取得し、継続的なOE納入を実施しております。
■MB事業
得意分野への資源集中をテーマに掲げ、自動車部品ビジネスの拡大と海洋事業での確固たる世界 No.1 を目指していきます。
①自動車部品ビジネス
・自動車用ホース配管や接着剤などのグローバル展開をさらに加速します。
・次世代技術・商品の開発を推進します。
②海洋事業
・日本、インドネシア、イタリアの3拠点生産体制を最大限に活用し、世界的に高評価を得ているマリンホースや空気式防舷材などを拡販します。
・独自技術による商品開発をさらに推進します。
2019年6月には、世界最大の超大型空気式防舷材の納入を開始しました。
■技術戦略
強みである独自の特性コントロール技術とグローバル開発体制により、卓越した性能と品質の商品を作り出し、GD2020 の事業戦略を支えます。また、先行技術開発として重要なモータースポーツ活動を今後も積極的に進め、最高レベルの技術を追求していきます。
2019年度は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)との共同研究により、インフォマティクス(情報科学)を活用しバイオエタノールからブタジエンを生成する世界最高の生産性を有する触媒システムを開発しました。また、生成したブタジエンを使ったブタジエンゴムの合成に成功しました。
■ブランド戦略
2015 年より開始した英国プレミアリーグ「チェルシーFC」とのパートナー契約を最大限活用し、グローバルでのブランド強化を図ってきました。
今後も同チームのパートナーとして、販売促進・拡大に活用していきます。
■経営基盤強化
「CSR」、「人事施策」、「コーポレート・ガバナンス」、「リスクマネジメント」、「財務戦略」に取り組んでいます。中でも「財務戦略」では、成長戦略の着実な推進によって創出されたキャッシュ・フローとグループ資金の有効活用により、有利子負債削減等の財務基盤の強化と適正な株主還元の両立を目指します。
2019年度の財務戦略への取り組みの結果、有利子負債を前年比で205億円減らすことができ、12月末でのD/Eレシオは前年の0.70倍から0.57倍まで改善することが出来ました。またROEを前年の9.5%から10.6%まで改善することが出来ました。
また、人事施策においては、ダイバーシティ推進タスクの立ち上げ、研修制度拡充による社員育成の強化、育児関連制度の拡充などに取り組みました。2019年の「育児休業取得率」は女性で100%、男性で62%を達成しております。