有価証券報告書-第101期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/24 16:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
163項目

研究開発活動

当社グループは、「最高の品質で社会に貢献」という「使命」を果たすため、企業理念体系とグローバルCSR体系「Our Way to Serve」を基盤に、イノベーションを通じて新たな価値を創造し、社会課題の解決に向けたソリューションビジネスを展開することによって、持続可能な社会に貢献していくことを目指しております。その実現に向けて、断トツの「商品」と「サービス」を「サービスネットワーク」でつなぎ、これらの「リアル」の世界と「デジタル」を組み合わせて新たな社会づくりを支える独自のソリューションプラットフォーム「Bridgestone T&DPaaS(ブリヂストン ティーエンドディーパース)」に沿った研究開発活動に取り組んでおります。また、その実効性を更に高めるべく、研究開発体制についてはグローバルでの最適化やタイヤと多角化の技術の融合、社外との積極的な連携を推進しております。小平地区の技術センターについては、技術・ビジネスモデル・デザインのイノベーションを加速し、社会価値と顧客価値を社会・お客様・パートナーの皆様と共創していく複合エリアである「Bridgestone Innovation Park(ブリヂストン イノベーション パーク)」として再構築を進めております。
タイヤ部門では、高まる環境への配慮と要求性能を高次元で両立する技術として、革新的軽量タイヤ技術「Enliten(エンライトン)」を開発し、車両の運動性能とタイヤライフに繋がる摩耗性能を維持しながらタイヤ重量の軽量化を達成しております。次世代素材としては、当社独自の触媒技術を用いてゴムと樹脂を分子レベルで結び付けた革新的なポリマー「SUSYM(サシム)」を開発しました。ゴムのしなやかさと樹脂の強靭さを自在に引き出すことが可能で、軽量で高耐久、長寿命で低燃費という、従来の常識を覆す新しいタイヤの可能性にも繋がるほか、タイヤの枠組みを超えた多様な分野への貢献ができると考えております。また、更に迅速、高品質かつ効率的にタイヤをお客様へ提供すべく、工場での生産性向上の取組みとして、当社独自のICTを活用した解析・予測、高精度加工、センシング技術の開発を進めております。
多角化部門では、タイヤの空気充填を不要とする技術「エアフリーコンセプト」を採用した自転車用次世代タイヤの実用化に向けて開発を進めております。また、建物の水回りの配置の自由度を向上させる排水システム「スマートサイホン」や、施工現場の作業性を向上し耐傷性に優れた樹脂管「らく楽コルゲートパイプ」など、絶えず変化するニーズに的確にこたえ、お客様に満足いただける商品の提供や社会インフラを支える事業に関連する研究開発活動に取り組んでおります。
また、ICTや最先端技術の積極的な活用により既存事業の枠を超えた社会価値・顧客価値の創造にも取り組んでおります。運送ソリューションでは、オランダのTOM TOM N.V.より買収したデジタルフリートソリューション事業「Webfleet Solutions(ウェブフリート ソリューションズ)」と当社グループが持つタイヤに関する知見やデータを組み合わせることにより、ドライバーや運送業者の安全性・効率性・生産性の更なる向上につながる技術の開発を進めております。
さらに、当社グループでは、様々な領域の技術を融合させる産学官共創のプロジェクトに取り組んでおります。新たなモビリティでは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構、トヨタ自動車株式会社と共に国際宇宙探査ミッションへ参画し、月面での有人探査活動に必要なモビリティのタイヤ研究を開始しております。インホイールモータへのワイヤレス給電では、東京大学が推進する国立研究開発法人科学技術振興機構の研究プロジェクトに参画し、電気自動車の走行中ワイヤレス給電の実用化に向けて「ワイヤレス給電対応タイヤ」の研究を開始しております。バス輸送のバリアフリー化では、横浜国立大学、公益社団法人日本交通計画協会、株式会社アドヴァンスと共同で、バス停留所と乗降口の段差と隙間を小さくしてバス利用者のスムーズな乗降を可能にするバス停バリアレス縁石のシステム「PlusStop(プラスストップ)」の研究・開発を進めると同時に、縁石に対応するバリアレスコンセプトタイヤについても研究を進めております。バリアレス縁石は、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村にも設置されることが決まっており、アスリートや大会運営をサポートします。また、従来から進めている循環型経済の実現に貢献する施策の一つである、廃タイヤの熱分解により製造されるリサイクルカーボンブラックの活用や、天然ゴム資源多様化の取組みの一つである「グアユール」由来の天然ゴムの実用化に向けた生産性向上のための研究開発を進めております。
なお、当期におけるグループ全体の研究開発費は1,052億円であります。部門別には、タイヤ部門では878億円、多角化部門では174億円であります。