有価証券報告書-第101期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/24 16:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
163項目

対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境は、国際関係・政治・経済・環境問題・技術革新といったあらゆる面で大転換期にあり、社会構造や消費者意識も大きく変化していると認識しております。
こうした中、当社グループは、「最高の品質で社会に貢献」という「使命」を果たすため、「誠実協調」「進取独創」「現物現場」「熟慮断行」という4つの「心構え」から構成される企業理念に、「安全宣言」「品質宣言」「環境宣言」を加えた企業理念体系とグローバルCSR体系「Our Way to Serve」を基本軸とし、さらにこれを支えるグローバル方針類である「グローバルサステナブル調達ポリシー」、「グローバル人権方針」、及び「行動規範」を展開し、経営の最終目標である「真のグローバル企業」「業界において全てに『断トツ』」の達成を目指しております。
この目標を達成するため、「Lean & Strategic」「グループ・グローバル最適」という基本姿勢を堅持して、すなわち、短期的にはLean(無駄のない)に、中長期的にはStrategic(戦略的)に、短期及び中長期の施策のバランスをとりながら、グループ・グローバル最適を最優先に経営改革を継続し、継続的に確保すべき目標である「成長:業界平均を上回る」「全体:ROA 6%、OP率 10%、ROE 12%」「各SBU:それぞれOP率 10%」の達成に向けて取り組んでまいります。
これにあたっては、「SBU(戦略的事業ユニット)組織体制」及び「中期経営計画」をツールとし、「グローバル企業文化の育成」「グローバル経営人材の育成」「グローバル経営体制の整備」という3つの重点課題に引き続き注力することで、経営改革の質とスピードを向上させてまいります。
重点課題の1点目である「グローバル企業文化の育成」につきましては、グループ・グローバルでの全体整合性を確保し、かつ、統合されたマーケティング戦略の一部としてブランド戦略を継続してまいります。オリンピック及びパラリンピックのワールドワイドパートナーとして、「CHASE YOUR DREAM」をテーマとした「Team Bridgestone」を地域や国ごとに結成し活動を行っています。また、東京2020オリンピック・パラリンピックにおいてアスリートや大会運営を支えるとともに、この機会を通じて、多様な人々がより共生できる社会づくりへの貢献を目指して当社の技術・ビジネスモデル・デザインのイノベーションを全世界に発信し、一層のブランド強化を図ってまいります。
また、CASEやMaaSに代表される自動車業界が迎える大変革期の中で、ICTの活用や全社バリューチェーンを通じたイノベーションを加速してまいります。モビリティ社会を支える当社独自のソリューションプラットフォームであるBridgestone T&DPaaS(Bridgestone Tire & Diversified Products as a Solution)を柱として、グローバル研究開発体制の最適化等、技術・ビジネスモデル・デザインのイノベーションを推進する体制の更なる整備を図り、グローバルで高い競争力を持つ商品・サービスの拡充やソリューションビジネスの強化・展開を進めてまいります。さらに、経営の全ての面において継続的改善に取り組んでまいります。これらにより、社会価値・顧客価値を創造し、当社グループの更なる競争優位性を確保してまいります。
2点目の「グローバル経営人材の育成」につきましては、グローバルリーダー創出に向けたプログラム等の施策を展開してまいります。また、当社グループでは、グローバルでの業務執行に関する最高位の会議体であるGlobal EXCO(グローバル経営執行会議体)を始めとしたグローバル会議体における英語の公用化を進める等、多様な人材が一層活躍できる環境と体制の整備を更に進めてまいります。
3点目の「グローバル経営体制の整備」につきましては、「ガバナンス体制の整備」及び「多角化事業の拡充」を中心に進めてまいります。
「ガバナンス体制の整備」では、創業以来、当社がグローバルに事業拡大をしていく中でその時代時代における様々な経営上の優先課題を見極めながら、経営の質の向上と意思決定の透明化を継続的に図るために、着実な積み重ねを続けて現在に至っております。引き続き当社は、「内部統制のより一層の強化」と「執行の更なるスピードアップ」を共に実現し、経営と執行の効率と効果の両面で「更に上」を目指してまいります。
「多角化事業の拡充」では、化工品事業について、「化工品」の組織名称のもとで、一体となった事業活動を開始してから50年の節目となる2021年に向けて、事業拠点の整備や、国内タイヤ事業と化工品事業を統括管理するSBUの発足等、抜本的な事業再構築を進めております。加えて、海外多角化事業や、スポーツ・サイクル・AHL(Active and Healthy Lifestyle)関連事業についても、着実に経営改革を進めております。
この経営改革を次のステージへと進めるため、①経営改革の促進・継続強化、②オリンピック・パラリンピックを最大限活用した企業価値の更なる向上を目的として、2020年3月より、新たなグローバル経営体制のもとで、これまでのチーム経営を一層深化させてまいります。引き続き、経営の最終目標である「真のグローバル企業」「業界において全てに『断トツ』」の達成を目指して、経営改革を進めてまいります。
最後に、当社グループのブリヂストンサイクル株式会社において、同社が2003年9月から2015年5月に製造しましたハンドルロック「一発二錠」を搭載した自転車・電動アシスト自転車について、ハンドルロックケースの破損などが原因で錠が誤作動し、走行時にハンドル操作が出来なくなることによる事故が発生しています。対象製品については、2019年6月より無償点検・改修を実施しております。当社グループは今回の件を真摯に受け止め、引き続き安心・安全をお客様にご提供してまいります。
(注)「一発二錠」とは、ハンドルロック(前錠)と後輪錠(サークロック)を組み合わせた錠前システムで、後輪錠(サークロック)の施錠・開錠と連動してハンドルロック(前錠)も施錠・開錠します。