有価証券報告書-第102期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/26 15:27
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境は、国際関係・政治・経済・環境問題・技術革新といったあらゆる面で、大転換期にあります。特に2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るい、生活や経済に大きな影響を与えました。また、地球温暖化対策への注目も高まりました。そして、100年に一度の大変革期といわれるモビリティ業界におけるMaaSやCASEの動きは、当社ビジネスにも大きなインパクトをもたらします。タイヤ業界は、全体として利益額が減少傾向にあります。変化に対応し、強くなければ生き残れません。一方、当社グループの近年の業績を振り返ると、営業利益低下の要因として、高コスト・高経費体質や価格マネジメントにおける課題などが見えてまいりました。
こうした中、当社グループは、2020年からを「第三の創業」(Bridgestone3.0)と位置付け、2050年にもサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供するために、中長期事業戦略を策定し、これに沿って経営を進めております。実行に向けて設定した中期事業計画(2021-2023)では、2023年には筋肉質で環境変化に対応できる、強いブリヂストンへ進化することを目指しております。中期事業計画の経営指標として、2023年に、売上収益33,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベルを計画しております。その後も、環境変化に対応しながら着実に成長し、よりレジリアントな高収益体質を目指します。2020年は、COVID-19の影響や兆候を慎重に見極めながら、危機管理を徹底し、キャッシュオリエンテッド経営を推進してまいりました。2021年も引き続き危機管理を行いながら、2020年から着手している、主にコア事業における生産拠点再編・事業再編をはじめとする経費・コスト構造改革や、オペレーションエクセレンスによる、「稼ぐ力の再構築」を推進してまいります。またそれにより創出されるリソースを、プレミアムビジネス戦略強化や、ソリューション事業拡大など、収益性の確かな事業に厳選して、戦略リソースとして集中投下する「戦略的成長投資」を実施してまいります。実行を支える体制として、財務戦略基盤強化や、ブリヂストン流のHRX(Human Resource Transformation)も、中長期事業戦略の一環として引き続き推進してまいります。
経営の中核に据えたサステナビリティについては、当社グループのサステナビリティビジネス構想を、2020年12月に発表しました。タイヤ・ゴム事業、ソリューション事業に、新たに探索事業としてリサイクル事業を加え、当社のバリューチェーン全体で、資源循環やCO2削減に貢献し、社会・お客様・当社がWin-Win-Winとなる、当社独自のサステナビリティビジネスモデルの構築を目指しております。特に環境面では、これまで、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために、2020年を目標とした環境中期目標「マイルストン2020」を定めて、取り組みを進めてまいりました。グローバルで活動を推進した結果、2019年に目標を前倒しで達成することができました。2005年対比、グローバルでの取水量を原単位で40%削減、資源生産性(原材料使用量当たりの売上収益)を33%向上、CO2排出量の原単位で34%削減しております。そして、新たに環境中期目標「マイルストン2030」を設定しました。CO2排出量削減について、2030年に2011年対比50%削減、2050年に向けてカーボンニュートラルへ、という明確なターゲットを掲げております。また、サーキュラーエコノミーへの貢献を促進していくために、使用する原材料に占める再生資源又は再生可能資源の割合を、2030年までに40%に向上することを目指してまいります。サステナビリティを経営の中核に据え、社会価値と顧客価値の創造を両立させ、競争優位を獲得することで、社会・お客様と共に持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。