有価証券報告書-第104期(2022/01/01-2022/12/31)
有報資料
当社グループを取り巻く事業環境は、国際関係・政治・経済・環境問題・技術革新といったあらゆる面で変化のスピードが加速し、変化が常態化しています。COVID-19の影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した国際情勢の変化や原材料・エネルギー価格の変動、急激な物価上昇など、様々な変化が続き、世界経済や人々の生活に大きな影響を与えています。また、気候変動対策をはじめとしたサステナビリティへの取り組みは、より一層、グローバルでその重要性が高まっています。それらはモビリティ業界において、EV化、デジタル化の加速など、CASE(ケース)、MaaS(マース)の動きへもつながり、タイヤに求められる価値も大きく変化し続けています。
このような、予測困難な時代を生き抜くため、当社グループは2030年に実現したい姿を設定し、その道筋とする、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を発表いたしました。創立100周年となる2031年を見据えて、常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへの変革を加速してまいります。
その起点となる2023年は、変化に対応できる強いブリヂストンを目標とした中期事業計画(2021-2023:売上収益3兆3,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベル)の最終年として、実現したい姿に向けた成長の基盤を構築する重要な年であり、3つの軸を持って、課題に取り組んでまいります。その1つ目は、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、2つ目は、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、3つ目は2030年をマイルストンとした「将来への布石を打つ」であります。
「過去の課題」については、2022年までに中期事業計画(2021-2023)で計画した事業・生産拠点再編をほぼ完了しております。固定費の効率化など経費・コスト構造改革を継続して推進し、稼ぐ力の再構築の第一ステップを終了する計画です。前期より、企業カルチャーチェンジ・人財育成分野の課題解決に向けても本格的に着手いたしました。人財投資を強化し、付加価値を上げ、価値創造の好循環を生む人的創造性向上を、2023年中に具体化し、中期事業計画(2024-2026)からグローバル経営指標として設定する予定です。
「足元の課題」については、2022年の激動の事業環境を乗り越える過程で、PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善サイクル)を迅速に回し、実行と結果に拘る意識・姿勢を全社に浸透させております。プレミアムタイヤ事業においては、より一層、プレミアムタイヤ領域にフォーカスし、乗用車用高インチタイヤや、鉱山車両用タイヤなどプレミアム商品の更なる販売拡大、シェアアップに加え、厳しい事業環境下においてもお客様に商品・サービスの価値を認めていただくことを基本とした戦略的価格マネジメントを強化し、ビジネスの質の向上に努めてまいります。
そして、「将来への布石を打つ」については、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を道筋として、サステナビリティを経営の中核に据え、経営体制強化と、プレミアムタイヤ事業、ソリューション事業、化工品・多角化及び探索事業における戦略的成長投資を実行してまいります。プレミアムタイヤ事業では、プレミアム領域強化へ向け、グローバルでプレミアム商品に対応する生産能力増強など「創って売る」体制を強化してまいります。さらに、乗用車用、トラック・バス用タイヤそれぞれにおいて、革新的タイヤ基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」をビジネス戦略として、商品、ビジネスモデルに価値を拡大することや、鉱山車両用タイヤの断トツ商品「Bridgestone MASTERCORE(ブリヂストン マスターコア)」と鉱山ソリューションを連動させた新たな価値提供などを通じ、社会価値、顧客価値の創出を両立し、当社グループ独自の「新たなプレミアム」の創造に注力してまいります。「新たなプレミアム」の創造においては、当社グループが培ってきた強みである、素材・タイヤ開発における「ゴムを極める」、「接地を極める」、サステナビリティへの取り組みも含めたグリーン&スマート工場化推進を含めた「モノづくりを極める」の3つの「極める」を軸に、技術イノベーションも加速してまいります。成長事業であるソリューション事業については、リトレッドや当社グループ独自のリアル×デジタルプラットフォームを基盤として、お客様がタイヤを「使う」段階において、安心安全と生産性・経済価値を最大化し、断トツ商品の価値を増幅してまいります。また、モビリティ成熟市場である欧米を中心に成長へ向けた体制を構築し、各ソリューションにおけるプレミアムタイヤ事業とのシナジーや成長性、収益性などの見極めを行い、見極めた事業へリソースを投入し拡充を進めてまいります。化工品・多角化事業については、引き続きシャープにコアコンピタンスが活きる領域にフォーカスしてまいります。探索事業については共創をベースにリサイクル事業、ソフトロボティクス事業、グアユール事業の事業化を推進してまいります。
これらの施策の実行に向けて、各地域事業基盤や、モビリティ成熟度・市場特性に合わせた経営体制として「新グローカル・ポートフォリオ経営」の基盤を構築してまいります。その一環として、Joint Global COO体制を採用し、歴史のあるホームマーケットである日本・アジア事業を管轄するブリヂストンEASTシナジーエリアと、モビリティ成熟度の高い欧米事業他を管轄するブリヂストンWESTシナジーエリアに分け、それぞれの事業環境、ビジネスオペレーションに則した技術開発、サプライチェーン、管理機能、ソリューション事業組織などの連携・統合を推進し、これまで築いたグローカル経営の進化にも取り組んでまいります。
経営の中核であるサステナビリティについては、商品を「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現を推進する取り組みとビジネスモデルを連動する当社グループ独自のサステナビリティビジネスモデルの確立を進めております。特に環境面は、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために2030年を目標とした環境中期目標「マイルストン2030」を設定しております。
カーボンニュートラル化へ向けては、2030年にCO2の総量(Scope1、2)(注)1を2011年対比50%削減、2050年にカーボンニュートラル化という明確なターゲットを掲げ、2022年は約29%の削減を見込んでおり、2023年は、2011年対比30%削減を目標としております。その目標達成のため、グローバル各工場における太陽光発電パネル設置などを推進すると共に、外部から購入する電力を再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えることを進めております。
これらを通じ、当社グループの再生可能エネルギー(電力)比率の目標である2023年に50%、2030年に100%の達成へ向け取り組みを進めてまいります。バリューチェーン全体のCO2排出量(Scope3)(注)1については、2030年までに、商品・サービス・ソリューションのライフサイクルを通じて、Scope1、2における排出量の5倍以上のCO2削減に貢献(基準年:2020年)することを目標とし、活動を進めてまいります。サーキュラーエコノミーの実現に向けては、2030年までに再生資源・再生可能資源比率を40%に向上、2050年までにサステナブルマテリアル化を目標としております。再生資源・再生可能資源比率について、2022年は約37%を達成する見込みであり、2023年は再生資源・再生可能資源比率37%以上を目指しております。サステナブルマテリアル化へ向けて、ENLITENビジネス戦略、リトレッドを含む商品戦略を進化させると共に、リサイクル事業、天然ゴム事業、グアユール事業など再生可能資源の活用を推進してまいります。
また、事業環境が常に変化していく中、変化に動じないグローバル経営リスク管理を強化してまいります。各地域事業のトップマネジメントで構成されるグローバル経営リスクコミッティにおいて、経営リスクについての幅広い議論を実施し、3つの重点管理アイテムを設定しております。1つ目は、地政学リスクであります。リスク発生時のビジネス影響の分析と、その最小化に向けた対策の検討、取り組みを開始しております。2つ目は、TRWP(Tire Road Wear Particle(タイヤ ロード ウエア パーティクル))についての対応であります。TRWPは、タイヤが路面と摩擦することによって発生する粉塵で、タイヤの表面であるトレッドと道路舗装材の混合物です。TRWPは業界全体の課題であり、当社グループは業界のリーダーとして、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)傘下のタイヤ産業プロジェクトや、各地域業界団体での取り組みをリードし、他の業界関係者や学術機関などとも連携しながら、タイヤのライフサイクルにおける環境や健康への影響を調査しています。今後、ロングライフ商品などの訴求やソリューション事業との連携を含め、継続的なアプローチを進めてまいります。3つ目は、サイバー攻撃への対応です。当社グループでは2022年第1四半期に米国子会社においてサイバー攻撃が発生し、各地域においても緊急対策を実施致しました。
今後も、このような事態への対応を強化すべく、グローバルでサイバーセキュリティー対応チームを立ち上げ、抜本的な対策を進めてまいります。
当社グループは、「Bridgestone E8 Commitment(ブリヂストン イーエイト コミットメント)」(注)2を未来からの信任を得ながら経営を進める軸及びベクトルとして、サステナビリティとビジネスの成長を両立し、社会・パートナー・お客様といった様々なステークホルダーと共に価値を創出することで、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
当社グループの人財戦略については、事業戦略と連動した人財戦略の推進に向けて、事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図ると共に個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝ける様になることを軸としております。レジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへ変革するためには、その原動力である「人財」一人ひとりの「人的創造性」の向上が不可欠であります。人財投資を強化し、付加価値を上げる、この価値創造の好循環を生むことが必要であり、そのための取り組みを進めてまいります。
・当社グループにおける人財育成方針
当社グループは事業戦略と連動した人財戦略に基づく人財育成を推進しております。「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」で掲げている「常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント”ブリヂストン」への変革には、当社のDNAである「品質へのこだわり」、「現物現場」、「お客様の困りごとに寄り添う」、「挑戦」が不可欠であると考えております。会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現が両輪をなすものであるよう、成長を支える様々な取り組みを加速させております。
「品質へのこだわり」は当社グループ共通の強みとして表れており、今後も当社の事業戦略の基盤として更に伸長させていきたいと考えております。「現物現場」に関しては、特に日本において、各業務における現場での挑戦を後押しする「現場100日チャレンジプログラム」を通じ、意識と行動変革を進めております。また、当社グループの「断トツ」商品とソリューション事業との連携を深化させ、「創って売る」「使う」バリューチェーン全体でタイヤの価値を増幅させるためには、「お客様の困りごとに寄り添う」ことがより求められ、多様化する社会やお客様のニーズへ対応するため、多様な人財が輝けるよう、DE&Iの推進にも積極的に取り組んでおります。具体的には、多様な価値観を尊重し、組織としての意思決定の多様化を進めるべく、女性リーダーの育成・登用促進にますます注力するとともに、日本では高度な専門性を有した人財の中途採用およびリテンションの強化などを進めております。「挑戦」に関しては、特に探索事業において、他社とのアライアンスに加え、新たに社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を立ち上げ、新しい事業をゼロから創り出したいという起業家精神を持った多様な人財が集結、早期の事業化に「挑戦」しております。デジタル領域に関しては、グローバルで高度デジタル人財の育成・獲得を図るとともに、日本では幅広いレベルをカバーした「デジタル100日研修」を導入しております。経営人財の育成に関しては、次世代経営リーダー育成を目的とした「Bridgestone NEXT100」を通じて、グローバルで毎年約100人を選抜し、各経営報告会議体への参画、海外ビジネススクール研修への参加などを通じた重点育成も進めております。
・当社グループの人財に関する社内環境整備方針
当社グループは、多様な人財の活躍こそが「Bridgestone E8 Commitment」に表される価値の創出につながるという考えの下、従業員一人ひとりが活躍できる職場環境を整備しております。「Bridgestone E8 Commitment」と連動したグローバルカルチャーチェンジを推進するうえで、従業員エンゲージメントの向上を重要課題のひとつと位置付け、エンゲージメントサーベイによりモニタリングを行い、各地域の事例を共有し合う取り組みも始めております。具体的には、日本において、新任基幹職研修や入社時研修において創業の地である久留米へ訪問するプログラムを導入し、創業者の想いやDNA、企業理念を一層体感できるような機会を提供していることが挙げられます。また、同じく日本では、多様な人財の活躍基盤を整備するため、全管理職を対象としたDE&Iマネジメントワークショップの実施や、女性特有の健康課題をテクノロジーを活用し解決するフェムテック活用支援など、ブリヂストンらしい取り組みを様々な形で進めております。生産現場においても、現場最前線の声を反映した即効性のある投資を実施し、福利厚生の充実化、職場環境改善、労働負荷軽減策に取り組んでおります。
(注)1 Scope1は企業が直接排出するCO2(自社工場のボイラーなどからの排出)、Scope2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)、Scope3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量等を指します。
(注)2 ブリヂストングループは、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンの実現に向けて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」を制定しました。これを未来からの信任を得ながら経営を進める軸とし、ブリヂストンらしい「E」で始まる8つの価値(Energy、Ecology、Efficiency、Extension、Economy、Emotion、Ease、Empowerment)を、ブリヂストンらしい目的と手段で、従業員・社会・パートナー・お客様と共に創出し、持続可能な社会を支えることにコミットしていきます。
このような、予測困難な時代を生き抜くため、当社グループは2030年に実現したい姿を設定し、その道筋とする、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を発表いたしました。創立100周年となる2031年を見据えて、常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへの変革を加速してまいります。
その起点となる2023年は、変化に対応できる強いブリヂストンを目標とした中期事業計画(2021-2023:売上収益3兆3,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベル)の最終年として、実現したい姿に向けた成長の基盤を構築する重要な年であり、3つの軸を持って、課題に取り組んでまいります。その1つ目は、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、2つ目は、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、3つ目は2030年をマイルストンとした「将来への布石を打つ」であります。
「過去の課題」については、2022年までに中期事業計画(2021-2023)で計画した事業・生産拠点再編をほぼ完了しております。固定費の効率化など経費・コスト構造改革を継続して推進し、稼ぐ力の再構築の第一ステップを終了する計画です。前期より、企業カルチャーチェンジ・人財育成分野の課題解決に向けても本格的に着手いたしました。人財投資を強化し、付加価値を上げ、価値創造の好循環を生む人的創造性向上を、2023年中に具体化し、中期事業計画(2024-2026)からグローバル経営指標として設定する予定です。
「足元の課題」については、2022年の激動の事業環境を乗り越える過程で、PDCAサイクル(計画、実行、評価、改善サイクル)を迅速に回し、実行と結果に拘る意識・姿勢を全社に浸透させております。プレミアムタイヤ事業においては、より一層、プレミアムタイヤ領域にフォーカスし、乗用車用高インチタイヤや、鉱山車両用タイヤなどプレミアム商品の更なる販売拡大、シェアアップに加え、厳しい事業環境下においてもお客様に商品・サービスの価値を認めていただくことを基本とした戦略的価格マネジメントを強化し、ビジネスの質の向上に努めてまいります。
そして、「将来への布石を打つ」については、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」を道筋として、サステナビリティを経営の中核に据え、経営体制強化と、プレミアムタイヤ事業、ソリューション事業、化工品・多角化及び探索事業における戦略的成長投資を実行してまいります。プレミアムタイヤ事業では、プレミアム領域強化へ向け、グローバルでプレミアム商品に対応する生産能力増強など「創って売る」体制を強化してまいります。さらに、乗用車用、トラック・バス用タイヤそれぞれにおいて、革新的タイヤ基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」をビジネス戦略として、商品、ビジネスモデルに価値を拡大することや、鉱山車両用タイヤの断トツ商品「Bridgestone MASTERCORE(ブリヂストン マスターコア)」と鉱山ソリューションを連動させた新たな価値提供などを通じ、社会価値、顧客価値の創出を両立し、当社グループ独自の「新たなプレミアム」の創造に注力してまいります。「新たなプレミアム」の創造においては、当社グループが培ってきた強みである、素材・タイヤ開発における「ゴムを極める」、「接地を極める」、サステナビリティへの取り組みも含めたグリーン&スマート工場化推進を含めた「モノづくりを極める」の3つの「極める」を軸に、技術イノベーションも加速してまいります。成長事業であるソリューション事業については、リトレッドや当社グループ独自のリアル×デジタルプラットフォームを基盤として、お客様がタイヤを「使う」段階において、安心安全と生産性・経済価値を最大化し、断トツ商品の価値を増幅してまいります。また、モビリティ成熟市場である欧米を中心に成長へ向けた体制を構築し、各ソリューションにおけるプレミアムタイヤ事業とのシナジーや成長性、収益性などの見極めを行い、見極めた事業へリソースを投入し拡充を進めてまいります。化工品・多角化事業については、引き続きシャープにコアコンピタンスが活きる領域にフォーカスしてまいります。探索事業については共創をベースにリサイクル事業、ソフトロボティクス事業、グアユール事業の事業化を推進してまいります。
これらの施策の実行に向けて、各地域事業基盤や、モビリティ成熟度・市場特性に合わせた経営体制として「新グローカル・ポートフォリオ経営」の基盤を構築してまいります。その一環として、Joint Global COO体制を採用し、歴史のあるホームマーケットである日本・アジア事業を管轄するブリヂストンEASTシナジーエリアと、モビリティ成熟度の高い欧米事業他を管轄するブリヂストンWESTシナジーエリアに分け、それぞれの事業環境、ビジネスオペレーションに則した技術開発、サプライチェーン、管理機能、ソリューション事業組織などの連携・統合を推進し、これまで築いたグローカル経営の進化にも取り組んでまいります。
経営の中核であるサステナビリティについては、商品を「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現を推進する取り組みとビジネスモデルを連動する当社グループ独自のサステナビリティビジネスモデルの確立を進めております。特に環境面は、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために2030年を目標とした環境中期目標「マイルストン2030」を設定しております。
カーボンニュートラル化へ向けては、2030年にCO2の総量(Scope1、2)(注)1を2011年対比50%削減、2050年にカーボンニュートラル化という明確なターゲットを掲げ、2022年は約29%の削減を見込んでおり、2023年は、2011年対比30%削減を目標としております。その目標達成のため、グローバル各工場における太陽光発電パネル設置などを推進すると共に、外部から購入する電力を再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えることを進めております。
これらを通じ、当社グループの再生可能エネルギー(電力)比率の目標である2023年に50%、2030年に100%の達成へ向け取り組みを進めてまいります。バリューチェーン全体のCO2排出量(Scope3)(注)1については、2030年までに、商品・サービス・ソリューションのライフサイクルを通じて、Scope1、2における排出量の5倍以上のCO2削減に貢献(基準年:2020年)することを目標とし、活動を進めてまいります。サーキュラーエコノミーの実現に向けては、2030年までに再生資源・再生可能資源比率を40%に向上、2050年までにサステナブルマテリアル化を目標としております。再生資源・再生可能資源比率について、2022年は約37%を達成する見込みであり、2023年は再生資源・再生可能資源比率37%以上を目指しております。サステナブルマテリアル化へ向けて、ENLITENビジネス戦略、リトレッドを含む商品戦略を進化させると共に、リサイクル事業、天然ゴム事業、グアユール事業など再生可能資源の活用を推進してまいります。
また、事業環境が常に変化していく中、変化に動じないグローバル経営リスク管理を強化してまいります。各地域事業のトップマネジメントで構成されるグローバル経営リスクコミッティにおいて、経営リスクについての幅広い議論を実施し、3つの重点管理アイテムを設定しております。1つ目は、地政学リスクであります。リスク発生時のビジネス影響の分析と、その最小化に向けた対策の検討、取り組みを開始しております。2つ目は、TRWP(Tire Road Wear Particle(タイヤ ロード ウエア パーティクル))についての対応であります。TRWPは、タイヤが路面と摩擦することによって発生する粉塵で、タイヤの表面であるトレッドと道路舗装材の混合物です。TRWPは業界全体の課題であり、当社グループは業界のリーダーとして、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)傘下のタイヤ産業プロジェクトや、各地域業界団体での取り組みをリードし、他の業界関係者や学術機関などとも連携しながら、タイヤのライフサイクルにおける環境や健康への影響を調査しています。今後、ロングライフ商品などの訴求やソリューション事業との連携を含め、継続的なアプローチを進めてまいります。3つ目は、サイバー攻撃への対応です。当社グループでは2022年第1四半期に米国子会社においてサイバー攻撃が発生し、各地域においても緊急対策を実施致しました。
今後も、このような事態への対応を強化すべく、グローバルでサイバーセキュリティー対応チームを立ち上げ、抜本的な対策を進めてまいります。
当社グループは、「Bridgestone E8 Commitment(ブリヂストン イーエイト コミットメント)」(注)2を未来からの信任を得ながら経営を進める軸及びベクトルとして、サステナビリティとビジネスの成長を両立し、社会・パートナー・お客様といった様々なステークホルダーと共に価値を創出することで、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
当社グループの人財戦略については、事業戦略と連動した人財戦略の推進に向けて、事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図ると共に個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝ける様になることを軸としております。レジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへ変革するためには、その原動力である「人財」一人ひとりの「人的創造性」の向上が不可欠であります。人財投資を強化し、付加価値を上げる、この価値創造の好循環を生むことが必要であり、そのための取り組みを進めてまいります。
・当社グループにおける人財育成方針
当社グループは事業戦略と連動した人財戦略に基づく人財育成を推進しております。「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」で掲げている「常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント”ブリヂストン」への変革には、当社のDNAである「品質へのこだわり」、「現物現場」、「お客様の困りごとに寄り添う」、「挑戦」が不可欠であると考えております。会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現が両輪をなすものであるよう、成長を支える様々な取り組みを加速させております。
「品質へのこだわり」は当社グループ共通の強みとして表れており、今後も当社の事業戦略の基盤として更に伸長させていきたいと考えております。「現物現場」に関しては、特に日本において、各業務における現場での挑戦を後押しする「現場100日チャレンジプログラム」を通じ、意識と行動変革を進めております。また、当社グループの「断トツ」商品とソリューション事業との連携を深化させ、「創って売る」「使う」バリューチェーン全体でタイヤの価値を増幅させるためには、「お客様の困りごとに寄り添う」ことがより求められ、多様化する社会やお客様のニーズへ対応するため、多様な人財が輝けるよう、DE&Iの推進にも積極的に取り組んでおります。具体的には、多様な価値観を尊重し、組織としての意思決定の多様化を進めるべく、女性リーダーの育成・登用促進にますます注力するとともに、日本では高度な専門性を有した人財の中途採用およびリテンションの強化などを進めております。「挑戦」に関しては、特に探索事業において、他社とのアライアンスに加え、新たに社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を立ち上げ、新しい事業をゼロから創り出したいという起業家精神を持った多様な人財が集結、早期の事業化に「挑戦」しております。デジタル領域に関しては、グローバルで高度デジタル人財の育成・獲得を図るとともに、日本では幅広いレベルをカバーした「デジタル100日研修」を導入しております。経営人財の育成に関しては、次世代経営リーダー育成を目的とした「Bridgestone NEXT100」を通じて、グローバルで毎年約100人を選抜し、各経営報告会議体への参画、海外ビジネススクール研修への参加などを通じた重点育成も進めております。
・当社グループの人財に関する社内環境整備方針
当社グループは、多様な人財の活躍こそが「Bridgestone E8 Commitment」に表される価値の創出につながるという考えの下、従業員一人ひとりが活躍できる職場環境を整備しております。「Bridgestone E8 Commitment」と連動したグローバルカルチャーチェンジを推進するうえで、従業員エンゲージメントの向上を重要課題のひとつと位置付け、エンゲージメントサーベイによりモニタリングを行い、各地域の事例を共有し合う取り組みも始めております。具体的には、日本において、新任基幹職研修や入社時研修において創業の地である久留米へ訪問するプログラムを導入し、創業者の想いやDNA、企業理念を一層体感できるような機会を提供していることが挙げられます。また、同じく日本では、多様な人財の活躍基盤を整備するため、全管理職を対象としたDE&Iマネジメントワークショップの実施や、女性特有の健康課題をテクノロジーを活用し解決するフェムテック活用支援など、ブリヂストンらしい取り組みを様々な形で進めております。生産現場においても、現場最前線の声を反映した即効性のある投資を実施し、福利厚生の充実化、職場環境改善、労働負荷軽減策に取り組んでおります。
(注)1 Scope1は企業が直接排出するCO2(自社工場のボイラーなどからの排出)、Scope2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)、Scope3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量等を指します。
(注)2 ブリヂストングループは、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンの実現に向けて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」を制定しました。これを未来からの信任を得ながら経営を進める軸とし、ブリヂストンらしい「E」で始まる8つの価値(Energy、Ecology、Efficiency、Extension、Economy、Emotion、Ease、Empowerment)を、ブリヂストンらしい目的と手段で、従業員・社会・パートナー・お客様と共に創出し、持続可能な社会を支えることにコミットしていきます。