有価証券報告書-第68期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 11:03
【資料】
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【項目】
108項目

対処すべき課題

企業業績に回復の兆しが見える中、国内景気はやや足踏み状態にあり引き続き不透明な状況が続くものと思われます。消費者ニーズの多様化、技術革新、製造業拠点のグローバル化、安全や環境問題、ガバナンスへの取り組み強化等、当社を取り巻く中長期的事業環境につきましてはその基本的構図は大きく変わらないものと予想されます。
この様な経営環境の下、中長期的な経営の基本方針に基づき引き続き以下の課題に取り組んでまいります。
(1) 技術力の強化、新製品の開発
各事業の枠を超えた新技術、新製品の開発は当社の生命線と考えております。医療機器事業はコンドームの国内市場では新たな素材の製品を中心に展開するなどの環境変化が見られる中、海外も含め新たなマーケットを創造すべく、新素材の開発、革新的製法への転換、斬新な発想に基づく新しいジャンル・カテゴリーの製品開発を進めてまいります。精密機器事業ではハイレベルでユニークな技術力をバックに、高度化・多様化するニーズに的確に対応し、素材と高機能を睨んだ製品開発力・企画力をベースとしてニッチトップ企業を目指し事業基盤を強化してまいります。生産工場においては、技術・研究開発部門を強化すべくテクニカルセンターを設置し、人材の投入と新製品開発に資する設備の拡充を継続的に推進してまいります。加えて、永年培ってきた技術・技能を受け継ぐべき人材の育成に取り組んでまいります。特に、中核となる戦略製品群につきましては、革新的な生産技術の開発にチャレンジし、競合他社との差別化とリーディングカンパニーとしての揺るぎ無い地位を確立してまいります。
これらの新技術、新製品を武器にコンドーム、ショックアブソーバとも、国内はもとより海外の市場を視野に入れて積極的に営業を展開いたします。
(2) 新分野・新商材・新規事業への取り組み
当社の中核事業に加え、既存の技術力・営業基盤を生かし新たなコア事業の発掘、創造は必須であり、戦略的M&Aの手法の活用や新規アライアンスを推進いたします。同時に積極的に新分野を開拓し、事業領域の拡大と成長分野への進出を実現してまいります。
(3) 生産性向上と合理化、効率的な設備投資
生産革新によるQCDの追求を基本方針に、全社を挙げてコスト意識の徹底を図ると同時にISOをベースとした管理体制の強化に注力し、生販一体となった業務運営により生産性の向上・合理化を推進いたします。自動化設備の開発と積極的な導入を柱とした生産能力の拡大だけでなく、既存設備の更新等にあたっては抜本的な生産システムの再構築を視野に、ローコスト運営に資するシステム化を図りつつ投資効率の高い設備改革に取り組んでまいります。その一環として、生産能力の増強と開発力の強化を狙いに新栃木工場の増設を決定しました。また、生産拠点の防災対策に取り組み事業継続計画の策定を進めてまいります。
(4) 海外市場の開拓、ネットワークの拡大
医療機器事業、精密機器事業、SP事業とも既存の海外ルートに加え、販売ネットワークの拡大に取り組んでまいります。中国に有する販売・生産拠点の人員配置も含めた拡充を進め、中国拠点を足掛かりとして中国、欧米、東南アジアへの展開を図り高度な技術に裏付けされた当社ブランドを前面に掲げた多面的な取り組みを推進いたします。また、徐々に取引ウェイトが高くなる海外の顧客に対する対応力強化を目指し、欧州に営業拠点の設置を検討し営業および技術面のサポート体制を構築いたします。
(5) 人材の確保と育成
海外の経営基盤を拡充し事業規模の拡大、事業収益力を向上させるうえでは組織体制の強化は不可欠であり、優れた人材の確保と育成は最重要課題の一つとして認識しております。個々の能力とモチベーション、女性の活躍推進、さらには新たな創意工夫を引き出す働きがいのある職場環境の整備を行い、引き続き優秀な人材の採用と育成に注力いたします。
(6) 財務体質の強化
製造業としてその根幹をなす生産設備および研究開発関連への投資資金を確保するために、収益の増大を図ります。さらに、課題のひとつに掲げた生産性向上と合理化の推進により総合的なモノづくりシステムの改善を図り、受注から出荷に至る一連の生産サイクルにおける適正棚卸資産の維持と製造コストの削減に努めます。同時に、自己資本の増強と有利子負債の削減により経営環境の変化に柔軟に対応できる財務体質の強化に努めてまいります。
(7) 経営管理体制の整備と拡充
コーポレート・ガバナンスを最重要課題のひとつと位置付け、経営統治機能の拡充を図るとともに、コンプライアンスの徹底を始めとしてリスク管理、情報管理、情報開示体制等、内部統制システムの一層の整備と強化を進めてまいります。また、業容の拡大を支え成長戦略を推進する中で、変化に強くかつ柔軟な対応ができる全社的レベルのITシステム構築を中核とした経営インフラの整備と再構築に取り組んでまいります。