有価証券報告書-第134期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/28 15:10
【資料】
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【項目】
119項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「経営理念」に従い、責任と熱意を持ってモノ造りに挑戦し、顧客の信頼を勝ち得ることに喜びを感じ、様々な社会的責任を果たすことで、21世紀に貢献できる企業グループを目指しております。
経営理念
心が触れ合うモノ造り 信頼と喜びの行動で 21世紀に貢献する。
・経営品質を高め、顧客・株主・社会から期待され、信頼されるグローバルな企業として発展する。
・お客様に喜んでいただける商品、もしくは価値を提供することで、社会に貢献する。
・自由闊達で、常に新しいことに挑戦する企業風土をつくる。
(2)経営戦略等
当社グループは、2015年より中期経営計画(NICHIRIN Growth Strategy 2020:NGS2020[2015年~2020年])に取り組んでおります。
中期経営計画では、創立100周年(2014年)を新たなスタートと位置づけ、オリンピックイヤーである2020年をゴールとして、「ビジョン(目指す姿)」と「2020年連結経営指針」を示すと同時に、中期経営計画期間(6年間)で取り組むべき「6つの全体戦略」と「重点施策」の確実な遂行により、「事業」「しくみ」「人」の変革と「企業価値」の向上に取り組んでおります。
・NGS2020における「6つの全体戦略」と改革領域
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画(NGS2020)では、「ビジョン(めざす姿)」を明確にし、「2020年連結経営指針」を次のとおり定めております。
・ビジョン(「NGS2020」のめざす姿)
目まぐるしく変化する時代のニーズを的確にとらえ、持続的に「新たな価値」を創造し、提供し続ける企業集団
・2020年連結経営指針
売上高30%増(2013年比)
営業利益率安定して8%以上を確保
親会社株主に帰属する当期純利益率安定して5%以上を確保
自己資本比率50%以上

中期経営計画期間(2015年~2020年)の最初の3年間(フェーズⅠ[2015年~2017年])の業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)2015年実績2016年実績2017年実績
売上高50,85150,99259,375
営業利益5,7646,6188,516
(率)11.3%13.0%14.3%
経常利益5,8496,3438,629
(率)11.5%12.4%14.5%
親会社株主に帰属する当期純利益
(率)
3,322
6.5%
3,644
7.1%
4,883
8.2%
自己資本比率48.8%50.3%53.0%

・2020年連結経営目標
本年よりフェーズⅡ(2018年~2020年)を迎えるにあたり、中期経営計画(NGS2020)策定時に設定した2020年連結経営指針での営業利益率(安定して8%以上を確保)、親会社株主に帰属する当期純利益率(安定して5%以上を確保)、自己資本比率50%以上についても既に達成していることも踏まえ、次のとおり、新たに最終年度である2020年の連結経営目標を設定しております。
(単位:百万円)
売上高60,500以上
営業利益8,700以上
経常利益8,700以上
親会社株主に帰属する当期純利益5,400以上

(4)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題
フェーズⅠでは、新規事業での拡販、既存商品の拡大、ロボットの活用等による生産性改善、ニチリングループ全体での世界最適生産活動に取り組むとともに、中長期的な視点での改革にチャレンジしてまいりました。
フェーズⅡにおける製品群の転換(電動化によるパワーステアリング用ホースの減少)の影響は連結売上高で48億円程度の減少と見込んでおります。この影響を最小限にするため、新規事業であるIHX(カーエアコン用熱交換パイプ)の拡販および国内および海外メーカーの新規受注活動等に取り組み、減少分を補完する目途はつきつつありますが、中国新会社の設立による工場建設と新会社への事業移転、ベトナム・インドネシア子会社の工場拡張、急速に進みつつある自動車のEV化への対応等利益圧迫要因もあり、これらの重要課題に集中的に対応していく必要があります。
このような環境下、フェーズⅡにおいては、規模の拡大をむやみに追い求めるのではなく、2017年の連結業績を基準に、これを後退させることなく、安定した利益の確保に注力してまいります。
グループ全体のクオリティを高め、その期待に応えられる企業集団に成長していくため、「6つの全体戦略」をブレークダウンした「重点施策」を年度ごとの短期経営計画に落とし込み、着実に遂行することで、「事業(Structure)」、「しくみ(System)」、「人(Skill)」の変革と「企業価値(Business Value)の向上」に取り組んでまいります。
・6つの全体戦略と重点施策(フェーズⅡ)
改革領域全体戦略重点施策
事業
Structure
1.成長分野の強化・拡大■重点拡販商品への注力(IHX・樹脂リキッド・成型ホースなど)
■既存・新規顧客への拡販強化
■欧米メーカー比率のアップ(スペイン子会社とのシナジー)
■市場拡大への適切な対応
2.新たな事業の創造■専門チームの設置による用途開発と確実な種まき
(次世代の柱となる商品の上市)
■環境分野等での開発案件への注力
■産業用設備分野(要素技術のビジネス化)
3.収益構造の改革・利益体質の強化■選択と集中による経営資源の最適活用
■工場・事務間接部門の効率化
(ルーチン業務の徹底した標準化)
■技術開発のスピードアップ
◎開発業務の重点集中
■モノ造り改革と内部コストの圧縮
◎内外製の分担見直しによる効率化、および設備投資のミニマイズ化(垂直立上げの推進)
◎次世代工法の確立
◎次世代製造設備の開発(要素技術開発による競争力強化)
◎材料革命
◎樹脂技術の蓄積と活用(樹脂メーカーとのコラボ)
■中期購買活動方針に基づく変動費比率の低減
◎ポテンシャルサプライヤーの優先
◎サプライヤー情報の一元化
◎海外調達・現地調達の拡大
■「きわだち品質」活動推進による顧客満足度向上
(グループQMS強化)
■戦略的活動による構造改革
(世界最適生産・拠点間シナジーの糾合)
◎北米・欧州拠点の戦略的改革
◎中国リスクへの対応(強まる環境リスクへの先手対応)
◎ベトナム新工場建設
しくみ
System
4.グローバルな経営管理改革■グローバルな経営管理システムの導入推進による間接部門の効率化と連結業績管理の強化
(生産管理、財務管理、スペイン子会社との統合システムの確立)
■連結資金管理の強化
■投資の効率性、財務の健全性、株主還元に留意した財務戦略

Skill
5.グローバル人材の確保と育成
・グループ社員能力の可能性を最大限に高める
・多様性のある人材登用による企業の活性化と競争力強化
■グループでの賃金・人事制度、育成制度、能力基準の統合志向
(人材情報の可視化による計画的な人材育成と戦略的人事対応)
■グループ各社での現地人役員・管理職の登用
■多様性に満ちた人材登用による企業の活性化と競争力強化
◎国内における外国人比率アップ(2022年 主要部門で 15%)
◎国内における女性の登用
(総合職の採用・海外出向の検討)
(女性の登用により、女性比率 2022年主要部門で 20%)
企業価値向上Business Value6.信頼される企業活動・社会への貢献により、企業価値を高める
・説明責任を果たし透明性のある信頼される企業
・環境保全やCSR活動を通じた社会的責任
■CSR「企業の社会的責任」、ESG「環境(Environment)・社会 (Society)・企業統治(Governance)」、BCP「事業継続計画」への取組強化を継続
■グループ各社のガバナンス・内部統制の継続的改善と強化
■女性管理職比率向上に向けた制度準備
■財務面での目標設定と株主還元