有価証券報告書-第96期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 15:58
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【項目】
184項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、個人消費の持ち直しや企業収益の改善がみられ、一部に足踏みもみられますが緩やかに回復しました。一方で、物価上昇の継続等、景気の下振れ懸念があり、先行きは不透明な状況が続いております。
このような中、山村グループでは3ヵ年の中期経営計画の2年目を迎えました。これからも様々な課題に長期的に挑戦していく事業基盤が肝要であるとの思いをこめて中期経営計画は「成長に向けた事業基盤の整備」をテーマとし、「財務基盤の整備」「既存事業を強化する仕組みづくり」「新しい事業を構築する準備」「循環型社会の実現に向けた開発」「従業員が誇りを持って働き続けたいと思える会社づくり」という5つの経営方針を推進し、グループ一体となって業績向上に取り組んでおります。
こうした環境の下、セグメント売上高は、ガラスびん関連事業が減収となりましたが、プラスチック容器関連事業、物流関連事業、ニューガラス関連事業、その他事業においては増収となり、当連結会計年度の連結売上高は73,337百万円(前期比0.6%増)と増収となりました。
利益につきましては、連結営業利益は3,108百万円(前期比30.2%減)と減益となりました。前連結会計年度は、米国の関連会社からの貸付金が全額返済されたこと等により、持分法による投資利益1,148百万円を計上しましたが、当連結会計年度はそのような特殊要因がなく、持分法による投資利益は111百万円(前期比90.3%減)となり、連結経常利益は3,215百万円(前期比46.9%減)と減益となりました。さらに前連結会計年度に計上した固定資産売却益や関係会社出資金売却益等の特殊要因がなく特別利益が減少し、減損損失等を計上したことにより特別損失が増加しました。また、当社および一部の連結子会社は翌連結会計年度よりグループ通算制度を適用することとしており、繰延税金資産を追加計上したことにより法人税等調整額△626百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,772百万円(前期比77.4%減)と減益となりました。
事業セグメント別の業績は以下のとおりです。
(ガラスびん関連事業)
ガラスびん関連事業では、価格改定や品種構成の影響で販売単価が上昇したものの、国内ガラスびん業界の出荷量は前期比94.4%となり当社においても減少し、セグメント売上高は47,043百万円(前期比1.5%減)と減収となりました。セグメント利益は、当社における出荷量・生産量の減少、燃料・動力価格の高止まりに加え、減価償却費や物流費、労務費等の増加により、2,143百万円の利益(前期比42.3%減)と減益となりました。
(プラスチック容器関連事業)
プラスチック容器関連事業では、国内における飲料用キャップの出荷の増加や中国の子会社の販売が好調なことに加え、当社における価格改定による飲料用キャップの販売単価の上昇等により、セグメント売上高は8,269百万円(前期比9.4%増)と増収となりました。セグメント利益は、主に中国の子会社において、販売量が増加したことに伴い生産量増となったこと等により、563百万円(前期比30.9%増)と増益となりました。
(物流関連事業)
物流関連事業では、新規営業所開設等による取扱い物量の増加があり、セグメント売上高は14,744百万円(前期比0.6%増)と増収となりました。セグメント利益は、作業・配送効率の改善や不採算案件の取引条件改定等による損益改善により、769百万円(前期比18.1%増)と増益となりました。
(ニューガラス関連事業)
ニューガラス関連事業では、当社における電子部品用ガラスの出荷が堅調に推移し、国内子会社における光通信用キャップ部品の出荷の増加もあり、セグメント売上高は3,107百万円(前期比13.0%増)と増収となりました。セグメント利益は、国内子会社における出荷や生産量の増加、コスト削減等の損益改善により、186百万円(前期は△197百万円の損失)となりました。
その他事業では植物事業を含み、セグメント売上高は172百万円(前期比12.5%増)、セグメント利益は△269百万円の損失(前期は△90百万円の損失)となりました。なお、当連結会計年度より重要性が増したため、山村JR貨物きらベジステーション株式会社を連結の範囲に含めております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ709百万円増加し、94,853百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が1,082百万円減少したものの、関係会社株式が1,203百万円、繰延税金資産が673百万円増加したこと等が主な要因です。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,074百万円減少し、40,476百万円となりました。これは、有利子負債が775百万円増加したものの、未払金が2,266百万円、支払手形及び買掛金が880百万円減少したこと等が主な要因です。
純資産については、前連結会計年度末に比べ2,783百万円増加し、54,377百万円となりました。これは、利益剰余金が1,820百万円、為替換算調整勘定が1,669百万円増加したこと等が主な要因です。自己資本比率は3.2ポイント上昇して57.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度末より99百万円減少し、10,791百万円となりました。
各活動における資金増減の内容は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
法人税等の支払額(967百万円)や仕入債務の減少(799百万円)等があったものの、税金等調整前当期純利益(2,254百万円)や減価償却費(3,948百万円)、売上債権の減少(1,297百万円)等により、6,652百万円の資金増加(前期は5,663百万円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出(5,713百万円)等により、5,559百万円の資金流出(前期は7,722百万円の資金増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の発行による収入(987百万円)等があったものの、配当金の支払額(814百万円)や長期借入金の減少(純額で669百万円)、リース債務の返済(416百万円)等により、1,484百万円の資金流出(前期は10,119百万円の資金流出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
ガラスびん関連事業38,38194.3
プラスチック容器関連事業7,876107.4
ニューガラス関連事業3,152115.1
報告セグメント計49,41097.3
その他事業178-
合計49,58897.6

(注)1.セグメント間の内部振替後の数値によっております。
2.生産実績金額の算定基礎は販売価格です。
商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
ガラスびん関連事業6,573104.5
プラスチック容器関連事業101110.7
ニューガラス関連事業0371.4
報告セグメント計6,675104.6
その他事業21.4
合計6,677102.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は仕入価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
ガラスびん関連事業37,09799.19,312105.9
プラスチック容器関連事業8,314109.61,621105.9
ニューガラス関連事業3,199115.2550119.9
報告セグメント計48,611101.711,483106.5
その他事業193-20-
合計48,804102.111,504106.7

(注)生産は受注生産によるものがほとんどですが、一部見込生産もあります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
ガラスびん関連事業47,04398.5
プラスチック容器関連事業8,269109.4
物流関連事業14,744100.6
ニューガラス関連事業3,107113.0
報告セグメント計73,164100.6
その他事業172112.5
合計73,337100.6

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりです。
翌連結会計年度(2026年3月期)においては、原燃料価格については高止まりが続いており、原油価格や為替レートにより変動が大きくなる可能性があるものの、ガラスびん製品の価格改定の効果や持分法適用関連会社の増益を織り込み、2025年6月6日付『2025年3月期 決算説明会』にて開示のとおり、上方修正した利益計画を達成する見込みです。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、原材料費、燃料・動力費、人件費、運搬費などがあり、特に原材料、燃料・動力費についてはその価格変動によって資金支出が大きく増減する可能性があります。また、投資活動に係る資金支出では、老朽化設備の更新や品質・生産性向上のための生産設備への投資などがあります。
c. 資金調達の方法及び状況
営業活動によるキャッシュ・フローの他、外部からの調達としては金融機関からの長期借入金を中心に、短期借入金、社債発行等により資金調達を行っております。当社の子会社については、原則として当社からの貸付により資金調達を行っております。
資金の流動性については、臨時的な資金流出により資金繰りが悪化する場合に備え、資金流出入の動向を踏まえて流動性資産を十分に保有し、適切な資金繰りを行っております。
d. 利益配分に関する基本方針
利益配分に関する基本方針は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表で認識した金額に特に重要な影響を与える見積りおよび仮定は、以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社および連結子会社では、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得見積り額の変更や税制改正による税率変更等が実施された場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社および一部の連結子会社は翌連結会計年度よりグループ通算制度を適用することとしており、グループ通算制度を適用する場合の税効果会計により会計処理を行っております。繰延税金資産の回収可能性については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。