四半期報告書-第90期第2四半期(平成26年7月1日-平成26年9月30日)

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2014/11/07 16:16
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33項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績の概況
当第2四半期連結累計期間の世界経済については、中国やその他新興国における成長ペースの鈍化が続いたものの、米国については好調な企業業績を背景に引き続き景気が改善し、全体として緩やかな成長が継続しました。
日本経済については、消費税増税影響等による個人消費の低迷は続いたものの、企業収益の持ち直しによる設備投資の復調や公共投資の前倒し発注等もあり、景気は緩やかながらも回復してきました。
(セグメント別の業績概況)
こうしたなか、当社グループは、各セグメントにおいて、各社がそれぞれの事業環境変化に対応しながら、収益改善に努めてまいりました。
当第2四半期連結累計期間における各セグメント別の業績の概況は以下のとおりです。
(単位:億円)
売上高経常利益
当第2四半期連結累計期間前第2四半期連結累計期間当第2四半期連結累計期間前第2四半期連結累計期間
製鉄24,66223,8361,5911,582
エンジニアリング1,5531,3434836
化学1,1221,1504370
新素材182192116
システムソリューション9488147248
合計28,46927,3361,7681,743
調整額△684△590△5△7
四半期連結損益計算書計上額27,78426,7451,7631,736

<製鉄>国内鉄鋼需要については、土木・建築部門での季節差等による減少や、一部製造業向けにおける消費税増税影響等はあったものの、これらの影響を除けば、復興需要の本格化や設備投資の回復等もあり、概ね堅調でした。また、輸出については、世界経済の緩やかな回復を背景に、概ね堅調に推移しましたが、国際市況は、中国鉄鋼メーカーによる高水準の生産が継続したこと等から、予断を許さない状況が継続しました。
こうした状況下、当社は収益改善に向けた取組みを継続し、製鉄セグメントとして、売上高は対前年同四半期連結累計期間で増収の2兆4,662億円、経常利益は対前年同四半期連結累計期間で増益の1,591億円となりました。
当社では、本年1月以降、名古屋製鐵所において、停電事故及び火災事故が計5件発生しました。株主及び関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をお掛けし、深くお詫び申しあげます。現在、社長を本部長とする危機管理本部の下に社外有識者を含めた事故対策委員会を設置し、個々の事故原因の究明と再発防止に向けた対策の検討及び実行に全社を挙げて取り組んでおります。
<エンジニアリング>新日鉄住金エンジニアリング㈱におきましては、ここ数年で新たに設立した東南アジアをはじめとする海外拠点の本格稼働、本年5月に買収した欧州のごみ処理施設設計・建設大手会社とのシナジー発揮等、海外戦略への積極的な取組みと、既存事業の競争力強化に努めております。
エンジニアリングセグメントとして、売上高は対前年同四半期連結累計期間で増収の1,553億円、経常利益は対前年同四半期連結累計期間で増益の48億円となりました。
<化学>新日鉄住金化学㈱におきましては、スマートフォン需要の拡大等により、回路基板材料、ディスプレイ材料、有機EL材料等の機能材料事業の業績が比較的堅調に推移した一方、ニードルコークス、エポキシ樹脂の需要・市況低迷が継続していることに加え、スチレンモノマー市況下落の影響により化学品事業が前期に対し減益となりました。
化学セグメントとして、売上高は対前年同四半期連結累計期間で減収の1,122億円、経常利益は対前年同四半期連結累計期間で減益の43億円となりました。
<新素材>新日鉄住金マテリアルズ㈱におきましては、電子材料部材分野では金ワイヤの代替品である表面処理銅ワイヤ等の製品の需要が堅調に推移するとともに、産業基礎部材分野における社会インフラ向け補修・補強材の需要及び環境・エネルギー分野における新興国向けメタル担体の需要が増加しました。
新素材セグメントとして、売上高は対前年同四半期連結累計期間で減収の182億円、経常利益は対前年同四半期連結累計期間で増益の11億円となりました。
<システムソリューション>新日鉄住金ソリューションズ㈱におきましては、受注力の強化及び収益力の向上に向けた諸施策に取り組み、クラウド事業等のサービスビジネスの強化・拡大を推進しております。また、アジア地域における一層の事業拡充を図るため、本年8月、インドネシアに現地法人を設立致しました。
システムソリューションセグメントとして、売上高は対前年同四半期連結累計期間で増収の948億円、経常利益は対前年同四半期連結累計期間で増益の72億円となりました。
(売上・損益)
当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は対前年同四半期連結累計期間で増収の2兆7,784億円、営業利益は対前年同四半期連結累計期間で減益の1,355億円、経常利益は対前年同四半期連結累計期間で増益の1,763億円及び四半期純利益は対前年同四半期連結累計期間で減益の1,122億円となりました。
(2)当第2四半期連結会計期間末の資産、負債及び純資産並びに当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の連結総資産は、受取手形及び売掛金の減少(258億円)や、有形固定資産の減少(289億円)、退職給付に係る資産の減少(136億円)があるものの、投資有価証券の増加(780億円)等により、前期末(7兆822億円)から70億円増加し7兆892億円となりました。
負債につきましては、支払手形及び買掛金の増加(174億円)や、退職給付に係る負債の増加(215億円)、固定負債のその他の増加(419億円)があるものの、有利子負債が2兆779億円と前期末(2兆2,963億円)から2,183億円減少したこと等により、前期末(3兆8,442億円)から1,287億円減少し3兆7,155億円となりました。
純資産につきましては、四半期純利益の1,122億円等により、前期末(3兆2,379億円)から1,357億円増加し3兆3,737億円となりました。なお、当期末の自己資本は2兆8,169億円となり、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.74となりました。
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益1,714億円に減価償却費(1,545億円)、売上債権の減少(372億円)、仕入債務の増加(191億円)等を加えた収入に対し、法人税等の支払い(473億円)等があり、3,775億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入(224億円)に対し、設備投資による支出(1,431億円)等があり、1,261億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前期末の配当(3.0円/株:274億円)に加え、有利子負債の減少等により2,718億円の支出となりました。以上により、当期末における現金及び現金同等物は855億円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
世界経済については、中国やその他新興国の成長ペースの鈍化が続くものの、米国経済は引き続き堅調に推移すると見込まれます。日本経済については、消費税増税の影響はあるものの、緩やかに回復し、総じて堅調に推移すると見込まれます。
国内鉄鋼需要については、消費税増税影響による需要減はあるものの、底堅い公共投資や設備投資の増加により、全体として堅調に推移すると見込まれます。輸出についても、堅調な米国経済を背景に、世界鉄鋼需要は概ね順調に推移することが見込まれますが、国際市況については、中国鉄鋼メーカーによる高水準の生産が継続することが懸念されるなか、鋼材需給やアジア市況の動向等について予断を許さない状況が継続すると見込まれます。
こうしたなか、当社としては、中期経営計画の完遂に向けて、計画に掲げた各種施策を引き続き強力に推進していくなど、最大限の経営努力を継続するとともに、適正な販売価格を確保すべく、需要家の皆様に御理解いただけるよう丁寧な対応を図っていく所存です。
平成26年度通期としては、名古屋製鐵所のコークス炉火災事故の影響等はあるものの、国内を中心とした堅調な需要動向への着実な対応、コスト改善の継続等により、前回公表の連結経常利益4,000億円を目指したいと考えております。
(注)上記の見通しには、平成26年10月30日の平成26年度第2四半期決算発表時点の将来見通し・計画に基づく予測が含まれている。実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。
(利益配分に関する基本方針及び当第2四半期末の剰余金配当)
当社は、業績に応じた利益の配分を基本として、企業価値向上に向けた投資等に必要な資金所要、先行きの業績見通し、連結及び単独の財務体質等を勘案しつつ、第2四半期末及び期末の剰余金の配当を実施する方針と致しております。「業績に応じた利益の配分」の指標としては、連結配当性向年間20%程度を基準と致します。なお、第2四半期末の剰余金の配当は、中間期業績及び年度業績見通しを踏まえて判断することとしております。
当第2四半期末の剰余金の配当につきましては、上記方針に従い、1株につき2円(連結配当性向16%)とさせていただくことと致しました。
なお、期末の配当方針につきましては、第3四半期決算発表時に判断し、公表する予定です。
(財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に関する事項)
当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次のとおり定めております。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容>当社グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献することを企業理念に掲げ、この理念に基づき具体的経営戦略を立案・遂行し、競争力・収益力を向上させることにより、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指しております。
この企業理念、経営戦略が当社株式の大量買付け行為等によってゆがめられ、結果として株主共同の利益が損なわれることのないよう、当社は、必要な措置を講じることと致します。即ち、第三者から当社株式の大量買付け行為等の提案(以下、「買収提案」)がなされた場合、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における株主の皆様に委ねられるべきものと考えており、株主の皆様が買収提案について必要な情報に基づき相当な検討期間をもって適切な判断を行えるよう、必要なルール及び手続きを定めております。
<基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要>当社は、平成18年3月開催の取締役会において全会一致で決議し、「当社株式の大量買付け等」を行おうとする者が具体的買付行為を行う前に経るべき手続きを明確かつ具体的に示した『株式の大量買付けに関する適正ルール(買収防衛策)』(以下、「適正ルール」)を導入しており、この適正ルールの更新条項に基づき、平成24年3月開催の取締役会において当該ルールの更新を全会一致で決議しております。また、当社は、適正ルールに基づく新株予約権について発行登録を行っております。なお、平成26年3月開催の取締役会において、適正ルールの規定に従い当該ルールの見直し検討を行い、特段の変更を行わないことを全会一致で決議しております。
適正ルールは、当社取締役会が買収提案を検討するために必要な情報と相当な期間を確保することにより、株主の皆様が買収提案に関し、インフォームド・ジャッジメント(必要な情報と相当な検討期間に基づいた適切な判断)を行えるようにすること、加えて、当社の企業価値及び株主共同の利益を損なうこととなる悪質な株券等の大量買付けを阻止することを目的としております。
当社の株券等を15%以上取得しようとする者(以下、「買収提案者」)がいる場合に、買収提案が適正ルールに定める要件(買収提案者による必要情報の提出及び検討期間の満了)を満たすときは、その時点における株主の皆様が、対抗措置である新株予約権の無償割当ての可否に関し直接判断を下す仕組みとなっております。新株予約権の無償割当ては、①買収提案者が適正ルールに定める手続きを無視した場合、②買収提案者が裁判例上悪質と特定されている4類型のいずれかに該当し、その買収提案が株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるものと判断される場合(当該判断は、国際的評価を得ている法律事務所及び投資銀行の助言等に基づいて行われます。)、及び③株主の皆様が新株予約権の無償割当てに賛同した場合に限られます。
なお、当社の適正ルールは、当社ホームページに掲載しております。
<上記取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由>適正ルールは、買収提案がなされた場合に、対抗措置(新株予約権の無償割当て)を発動するか否かを、株主の皆様に、必要な情報と相当な検討期間に基づき判断していただくためのルール及び手続きを定めたものです。適正ルールは、買収提案を受け入れるか否かの最終的な判断を当社株主の皆様に委ねることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図る目的のものであり、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。以上から、当社取締役会は、適正ルールが上記「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」に沿うものであると判断しております。
(4)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社及び連結子会社全体の研究開発費は308億円であります。