有価証券報告書-第122期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/25 15:30
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163項目

有報資料


文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は上下水道、ガス、情報通信を中心とした地域インフラ整備に対して、鋳鉄管、鉄蓋、樹脂管及び関連資材の供給を中心とした事業展開を図ってまいりました。インフラに携わる企業として、その機能の維持継続が使命と考えております。2025年1月の埼玉県八潮市での下水管路の老朽化を原因とした道路陥没事故など、深刻な被害をもたらす上下水道の漏水・陥没事故も発生しており、上下水道の管路老朽化は多くの水道事業体において喫緊の課題となっています。ガス管路においても同様に老朽化が進み、事故の発生も報道されるところであり、水道・ガスともに年々進行する管路老朽化に対し、更新の潜在需要は増大していると認識しています。
一方で人口減少や節水の浸透により給水量が減少し、水道事業体の水道料金収入が減少することで十分な管路更新予算が確保できないこと、水道事業体の管路設計技術者や工事の担い手である施工事業者の人手不足等による工事施工量の制約を背景として、水道管やガス管といった資材そのものの需要は回復しているとはいいがたい状況です。
2025年7月に発表した中期経営計画において、水事業では、「水道管路の変革を先進し、世界随一の水道インフラを持続させる」、ガス事業では「技術と知識で、安心・安全なガスインフラに責任を果たす」を指針としています。これに基づき、従来の原料調達・製造・販売を中心とする事業展開にとどまらず、工事施工、管路の診断・データベース化、設計など、管路整備サイクル全般への関与をさらに進めてまいります。製造基盤の強化においては、株式会社クボタ(以下、クボタ)との製造合弁子会社の設立により、上下水道管路市場において主要な母材供給元としての地位を確立します。
管路更新の好循環をつくることで潜在需要を顕在化させ、安定的な収益を確保するとともに、環境変化に俊敏かつ柔軟に対応できる組織能力を獲得し、企業体質を強化します。
今後も、継続的に株主様等のステークホルダーの皆様のご期待に沿えるよう努めてまいります。
(2)対処すべき課題(主要施策)
経済性の追求
・製造合弁会社設立による 生産性の向上、収益の拡大
・安定生産、品質向上およびコスト競争力向上の実現
・品種戦略のアップデートによる経営資源の効率的な活用
事業領域の拡大
・販売力の強化に向けた新商品・新分野を含めた開発・拡販と需要喚起
・上下水道ガスDXの推進と顧客満足度の向上
・電気炉導入による脱炭素促進、上下水道ガスインフラを効率的に維持管理
ESG経営の推進
・管路整備サイクルの強化
・国際NGOへの寄付の継続、地域貢献の継続
・コーポレートガバナンス・コードを遵守した経営、ステークホルダーとの対話強化
安全・健康管理・人材活躍
・「安全は全てに優先する」の深化
・メンタルヘルス強化、コンプライアンス遵守、働きやすい職場環境の構築
・人材確保と育成強化および女性活躍の推進
1.経済性の追求
1)製造合弁会社設立による生産性の向上、収益の拡大
当社とクボタは、今後も社会インフラを支える企業として供給責任を果たしていくため、生産設備を再編し、クボタの京葉工場で生産している小口径(呼び径75mm~250mm)のダクタイル鉄管(直管)の完成品及び半完成品をOEM供給する製造合弁会社の設立に関する契約を締結するとともに、クボタからのOEM受託生産を実行するにあたり必要なダクタイル鉄管(直管)の生産能力の増強に係る設備投資について、2025年3月27日に決定、公表しております。製造合弁会社設立と組織構築・資産移管等の準備作業を進めており、ダクタイル鋳鉄管の生産能力の増強に係る設備投資についても、工事を進めております。
クボタ向けの母材を生産することにより、製造合弁会社の生産量は現在の当社久喜工場の生産量から大幅に増加すると見込んでおります。増産による生産性の向上、重量当たりコストの低減により収益の拡大を図るべく計画を進めております。
2)安定生産、品質向上およびコスト競争力向上の実現
製造業の競争力の源泉である、高品質・高効率な生産活動を追求し、操業の効率化や歩留の向上、エネルギー効率改善など不断の改善活動・コスト削減活動により、お客様にご満足いただける品質の維持向上と継続的な製造コストの低減を進めます。カーボンニュートラル実現に向けた電気炉投資、製造合弁会社設立に係るダクタイル鋳鉄管の生産能力の増強に係る設備投資を着実に実施するとともに、1981年の工場稼働後、45年を経過している久喜工場の生産設備における老朽更新投資について、設備の状態を精緻に把握し優先順位を明確にしたうえで、適時適切な更新投資を計画的に行ってまいります。
3)品種戦略のアップデートによる経営資源の効率的な活用
従来の直管製品の売り切りに注力したビジネスから、より高収益が見込まれる製品分野・商流への経営資源の配分を進めます。グループの商社・倉庫機能を生かし、付属品等を含めた荷揃いにおいてお客様のご希望に寄り添うことで、管路更新のビジネス全体において収益を確保し、連結トータルでの収益改善を進めます。
製品ポートフォリオとして、クボタへの直管半製品供給開始に加え、水道・ガス関連の異形管、鉄蓋等の領域において、新製品の投入を進めるとともに、既存製品の他社への製造委託、他社からの生産受託の拡大により、自社の販売網を活用した拡販と、自社設備の生産効率最適化を進めます。
2.事業領域の拡大
1)販売力の強化に向けた新商品・新分野を含めた開発・拡販と需要喚起
①㈱水研との業務提携
㈱水研と当社で知的財産を共同保有しておりますポリエチレン管用不断水バルブ「KATANAバルブ」は、当社が製造を担い、㈱水研が販売を進めております。切粉を一切混入させることなく短時間で簡単に管路にバルブを設置できるようにすることで、水質確保や施工時間の短縮といった社会課題解決に寄与しております。ポリエチレン管の需要が高い海外での展開をも視野に入れております。
②円形消火栓プレキャスト工法
本工法は、消火栓・排水栓設置における弁室工事に適用する工法です。当社は、ダクタイル鉄管、異形管、鉄蓋、レジンコンクリート製品を製造・販売する資器材メーカーとしての強みを生かし、それらを使用する円形消火栓設置工事に着目しました。従来工法のコンクリート基礎よりも施工性を格段に向上させ、東京都水道局様にご採用いただきました。2025年度より順調に施工実績を伸ばしており、2026年度はより収益に貢献するものと期待しております。
③新商品開発とイノベーションの継続
各種資材・労務費の高騰や人手不足を機会ととらえ、DX技術の活用、管路工事における施工期間の短縮、工法の簡便化等に資するイノベーティブな新商品開発を推進し、水道管路事業での顧客基盤を活用した需要の創出を図ってまいります。
2)上下水道ガスDXの推進と顧客満足度の向上
DX技術においてはFracta Japan㈱とのパートナーシップによるFracta-AI管路診断技術につき、当社の水道管における顧客基盤を最大限活用し、水道事業体様への展開を進めてまいりました。2025年1月のインフラメンテナンス大賞・内閣総理大臣賞受賞を受け、メディアで取り上げられる機会も増加し、水道事業体の皆様の認知も進んできております。限られた管路更新予算を有効に活用するため、管路の劣化進行状態を詳細に把握し、管路更新計画の精緻化を図りたいとの水道事業体の需要を追い風に採用が拡大しており、さらなる拡販を進めます。
マンホールの点検業務におけるDX推進の一環として開発いたしました「だいさくくん」は、スマートフォンやタブレットで、データ収集・集計、自動編集できるDXソフトです。作業効率の改善を実現したもので、マンホール点検業務でご使用いただき、高評価を得ております。2026年度は自治体とタイアップした点検イベントの開催などが進んでおり、当社の顧客基盤を生かして拡販を進めます。
3)電気炉導入による脱炭素促進、上下水道ガスインフラを効率的に維持管理
当社はカーボンニュートラルの実現に向け、キュポラ炉の電気炉への全面転換を公表しております。電気炉設備を導入し2025年7月より生産稼働を開始、10月には全量電気炉生産を達成いたしました。電気炉への転換効果により、2027年度には2013年度比50%のGHG排出削減を見込んでおります。今後も電気炉の電力原単位の改善や脱炭素電力の導入検討を通じ、2050年カーボンニュートラルへの道筋を明らかにするよう進めてまいります。
長年にわたる管路事業において蓄積された製造、販売、管理における社内のデータ基盤、管路施工技術の蓄積を活用するとともに、当社独自の新工事工法の拡大や施工能力を持つグループ会社との連携により、管路DB方式サービスへの進出を進めます。長期的にはウォーターPPPへのチャレンジも視野に、他社連携の強化も含めたグループ全体でのインフラ維持管理技術の推進・拡大を進めてまいります。
3.ESG経営の推進
1)管路整備サイクルの強化
①水管橋ドローン点検
点検困難とされていた水管橋上部工の目視不可部を、ドローンに搭載した高解像度カメラで撮影し、水管橋上部工の劣化状況(表層劣化・発錆・破断等)について近接目視と同等の点検を可能とする技術です。当社の水管橋ドローン点検は、動画だけでなく、解像度の高い静止画撮影を行うことで、劣化状況をより詳細に把握することが可能です。国土交通省が、2025年3月28日に公開した「上下水道DX技術カタログ」に掲載されており、引き続き顧客基盤を活用した拡販を進めてまいります。
②プリセット接合工具「楽ちゃく」の拡販
水道管埋設工事の施工要員の不足への対応として、水道管を楽に、早く、確実に一人で接合できるプリセット接合工具を開発し、販売してまいりました。従来の半分の時間で正確な接合が可能であること、管上部から作業できるクリーン施工をセールスポイントとしており、引き続き拡販を進めてまいります。
③さや管推進工法治具「オセール」の拡販
鉄道、交差点、河川横断等、水道管の上部を開削して工事が困難な箇所で行う非開削工法において耐震性能を維持できる治具として、「オセール」を開発し、2019年6月より販売開始、毎年拡販を進めてきております。地上で組み立てが極めて容易で、大幅に工数を削減できる特性を持ち、支持をいただいております。大口径サイズの対応を進めており、さらなる拡販を図ってまいります。
2)国際NGOへの寄付の継続 、地域貢献の継続、社員満足度の向上
世界34か国で活動する水・衛生専門の国際NGOウォーターエイドに対し、ダクタイル鉄管の販売本数に応じた寄付を2021年度より行っております。鋳鉄管を購入いただいた顧客の皆様にも、間接的に参画していただくことでSDGsへの貢献の輪を広げております。
また、地元や市民の皆様に自然と親しみ笑顔を届けられる当社の活動として、久喜工場近隣の久喜菖蒲公園において、“Nature Play Carnival in Kuki”と称する地域貢献のイベントを毎月開催しております。2021年の開始以来2026年4月までに50回開催し、市民のみなさまに好評をいただいております。
3)コーポレートガバナンス・コードを遵守した経営、ステークホルダーとの対話強化
上場会社に求められるガバナンス水準を意識し、コーポレートガバナンス・コードを遵守した経営を進めます。株主の実質的な平等性の確保に資する、適切な情報開示と透明性の確保を基本とする経営を進め、財務情報・非財務情報ともに法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組みます。配当政策においては、上下水道・ガス事業といった公共インフラを対象とした事業展開を背景として、安定的な配当の維持を基本方針としていきます。
情報発信サービスnoteやコーポレートサイトなどを最大限活用し、株式関連情報のタイムリーな発信を行うとともに、新製品情報等、当社の情報をきめ細かく発信してまいります。サイト等に寄せられるご意見を活用した双方向のコミュニケーションにより、情報開示をさらに充実させ、さまざまなステークホルダーの皆様に当社の活動をご理解いただけるよう努めてまいります。
4.安全・健康管理・人材活躍
1)「安全は全てに優先する」の深化
「安全活動は最優先で取り組むべき仕事である」と認識し『安全最優先の意識』の浸透を図ることをテーマとし、以下に取り組んできており、引き続き労働災害0を目標として活動を深化・強化します。
2)メンタルヘルス強化、コンプライアンス遵守、働きやすい職場環境の構築
メンタルヘルス強化として、すべての階層へのハラスメント防止教育を継続的に実施するとともに、人事部門・産業カウンセラーへの相談が可能となる窓口機能の整備を行っています。さらに、「コミュニケーション診断」として360度評価を導入し、結果を適切にフィードバックすることで、公正な評価とハラスメントの防止を進めています。
当社グループでは、企業理念・行動規範に基づいた企業活動を実践するための指針として、「グループ企業行動基準」を制定し、グループ全体で役員・従業員に対する周知を図っております。法令遵守を進めていくため、eラーニングなどを活用し、独占禁止法、公務員への贈賄、ハラスメントなどに関する教育を行っています。効果の測定として全社員を対象とした意識調査を実施し、結果を経営層にて共有しております。今後も企業倫理の向上とコンプライアンスの徹底を図ります。
また、当社グループは、人権尊重が企業の社会的責任であるとともに経営基盤の一つであると考え、2023年度に取り組み姿勢をより明確に示すため、「グループ調達ガイドライン」を制定いたしました。
持続可能な社会の実現に向けた活動をサプライチェーン全体で推進していくことを目的としており、取引先の皆様と本ガイドラインを共有し、サステナビリティに関する取り組みをサプライチェーン全体で推進していきます。
働きやすい環境の構築において、有給休暇取得率は2026年3月末までに80%以上を目標としており、2025年度は85%となり目標達成いたしました。小学校6年生までの子供がいる社員を対象に育児短時間勤務を導入し、育児期の社員より好評を得ております。男性の育児休業取得についても積極的に取り組んでおり、育児休業取得率は80%を超えております。在宅勤務の継続・ノー残業デーの実施などの取り組みも含め、埼玉県の「多様な働き方実践企業」認定制度において、最上位のプラチナ認定を受けており、取り組みに対する評価もいただいております。
3)人材確保と育成強化および女性活躍の推進
当社は50歳代以上が在籍の半数を占める年齢構成となっており、30歳代以下の社員が少ないことから、将来を担う若手社員の確保と育成が事業活動の継続において重要な課題となります。地元地域への働きかけを中心に、新卒採用・中途採用の強化を進めてまいります。
採用した人材を早期に戦力化するとともに、継続的な能力向上を担保するため、新入社員から管理監督者、経営人材に至るまでの網羅的な人材育成体系を整備し、技能習得等のOJT、スキル向上を進めるOFF-JTともに充実させることで、若手・中堅・管理者各階層における育成を充実させます。
さらに、モチベーション向上に寄与する人事賃金制度の改定、社員の帰属意識向上に寄与するインナーブランディングの推進を通じて、社員の採用・定着・能力向上を総合的に進めてまいります。
女性社員の活躍を増やすため、積極的な採用・育成と登用に取り組んでいます。実績として、2025年度の総合職新卒社員のうち過半数が女性となっており、部長級、課長級の管理職社員も複数活躍しております。今後も事業の中核において女性の比率を向上させるべく進めてまいります。
管理職に占める女性労働者の割合は、2028年3月末までに8%以上を目標としており、2026年3月末時点で6.3%です。男女の賃金の差異につきましては、2026年3月末までに73%以上を目標としており、2026年3月末時点で全労働者の76.1%、全正規労働者の75.2%となり目標を達成いたしました。
今後とも株主の皆様の一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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