有価証券報告書-第61期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 16:07
【資料】
PDFをみる
【項目】
161項目

(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費は持ち直し、生産・輸出・設備投資には一部に弱さがあるものの、企業収益も底堅く推移しており、緩やかな回復基調が続いておりましたが、長引く米中通商問題や国内で相次いだ自然災害に加えて、消費税増税が施行され減速傾向に転じると共に、年明けより新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、全世界的に経済活動が抑制され、足下の景気は急速に悪化しております。
当鉄鋼流通加工業界におきましては、国内鉄鋼メーカーは製造コストや物流コストの増加を理由に製品価格の値上げを推し進めていたものの、海外鋼材市況低迷の影響等からスクラップ価格は下落し、国内鋼材市況においても下落傾向となっており、予断を許さない状況となっております。また、国内需要につきましても、オリンピック関連投資の一巡に加え、今後見込まれる首都圏の再開発案件との端境期となっていた事に加えて、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による実体経済活動の低迷から、鋼材の荷動きはこのところ急速に悪化しております。なお、販売価格につきましても下落しており、一段と厳しさが増しております。
このような環境下にありまして当社グループは、首都圏においては、再開発案件等を中心に工事請負・鋼材販売の両面において積極的な営業活動を展開しております。また、2018年6月に開設しました相馬支店・工場はH形鋼・コラムの加工を始め、入出庫量も着実に増加しており、東北地区における重要拠点として機能して参りました。なお、その他の地域においても、地道な営業活動により販売エリアの拡大・シェアアップを図っております。
このような状況から、鋼材の販売・加工事業につきましては、販売量は前年同期を下回った事に加え、販売単価も比較的堅調に推移していたものの、このところ急速に下落傾向となっており、販売金額も前年同期を下回る結果となりました。なお、鉄骨工事請負事業は、工事完成基準適用の中小物件については、物件数は増加したものの売上高は減少となりました。また、工事進行基準適用の大型物件につきましても新規着工物件の減少等から売上高は前年同期を下回りました。これらの結果から当連結会計年度の売上高は83,366百万円(前年同期比7.3%減)となりました。
収益面におきましては、鋼材の販売・加工事業は、販売量の減少に加え、国内鋼材市況は下落傾向となっており、物流コスト等も増加している事から、収益確保はより厳しくなっております。鉄骨工事請負事業は、前連結会計年度からの継続物件等を中心に着実な進捗から完成時期を迎え売上高に結びつき、収益につきましても確保できました。これらの結果から当連結会計年度の営業利益は3,900百万円(前年同期比5.4%減)となりました。また、営業外損益につきましては、為替差益159百万円、受取保険金221百万円、デリバティブ評価損136百万円の発生等により経常利益は4,292百万円(前年同期比6.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,721百万円(前年同期比28.6%減)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(鋼材の販売・加工事業)
鋼材の販売・加工事業は、建築関連の民間設備投資は緩やかに増加しており、首都圏では再開発案件等が具体化しつつありますが、一方、首都圏以外は盛り上がりに欠けており、地域間の格差は広がりつつあります。また、鋼材需要につきましても前連結会計年度のような高揚感がなく、鋼材の荷動きは盛り上がりに欠ける状況となっております。このような状況から、販売量・販売金額共に前年同期を下回りました。
品種別に見ますと、当社主力のH形鋼は従来からの建築向けが弱含みに推移した事から、土木向けH形鋼や新たに製造販売を開始しましたカクパイプを始め、山形鋼、溝形鋼、異形棒鋼等のその他条鋼の販売は堅調に推移したものの、条鋼類の販売量・販売金額は共に前年同期を下回る結果となりました。また、鋼板類は、建築向けの切板や切断用母材等は前年同期並みに推移し、当社にて製造販売をしている合成スラブ用デッキとフラットデッキ等は前年同期を若干下回ったものの、土木向けの敷き板の販売が復調した事から、販売量・販売金額共に前年並みとなりました。鋼管類は、在庫出荷のロール成形コラムは、販売量は前年同期を若干下回ったものの、販売金額は単価にも支えられ前年同期並みとなりましたが、物件対応のプレス成形コラムが伸び悩んだ事から、販売量・販売金額共に前年同期を下回りました。以上の結果から、売上高は66,537百万円(前年同期比6.5%減)、営業利益は流通スプレッドの低下や物流コストの増加等から2,569百万円(前年同期比30.6%減)となりました。
(鉄骨工事請負事業)
鉄骨工事請負事業は、民間設備投資は回復しており、首都圏を中心とした再開発や大型物件は堅調に推移しておりますが、地方の中小物件については厳しく、まだら模様となっております。受注状況につきましては、オリンピック関連施設の案件と首都圏の再開発の案件の端境期となっておりましたが、徐々に解消に向かいつつあります。しかしながら、足下の工事物件は薄く、収益性についても徐々に厳しさを増しております。売上高につきましては、工事完成基準適用の中小物件は期末における駆け込みでの完成物件が例年のようには無く、売上高は前年同期を下回りました。また、工事進行基準適用の大型物件は当初は前連結会計年度からの継続物件等を中心に着実に完成時期を迎えた事や追加工事等もあり堅調に推移しておりましたが、新規着工物件の減少等から売上高は前年同期を下回りました。これらにより売上高は16,624百万円(前年同期比9.9%減)となりました。また、収益につきましては、引き続き工事管理部門の強化や鉄骨加工子会社の原価低減は進めており営業利益は2,057百万円(前年同期比78.8%増)となりました。
(その他)
その他は、運送業及び倉庫業であり、運送業については全国的なトラック不足も徐々にピークを過ぎグループ外からの輸送依頼も落ち着いてきた事から、売上高は前年同期を下回る結果となりました。また、倉庫業についても取扱量の減少から売上高は前年同期を下回る結果となりました。これらにより売上高は205百万円(前年同期比34.6%減)、営業利益は44百万円(前年同期比72.3%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は67,784百万円(前連結会計年度末は72,758百万円)となり、4,974百万円減少しました。主な要因は、流動資産は売上高減少に伴う受取手形及び売掛金の減少5,940百万円、在庫量の減少及び評価単価の下落による商品及び製品の減少1,390百万円並びに原材料及び貯蔵品減少140百万円等がありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による急速な景気悪化による先行き不安から預金残高を厚くした事により現金及び預金が4,263百万円増加し、それらにより一部相殺されたものであります。また、固定資産は相馬工場建設やカクパイプ製造ラインの減価償却等が本格的に進み建物及び構築物の減少337百万円、機械装置及び運搬具の減少624百万円等によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は33,563百万円(前連結会計年度末は40,721百万円)となり、7,157百万円減少しました。主な要因は、流動負債は鋼材の仕入減少に伴う買掛金の減少4,808百万円、短期借入金の減少3,000百万円がありましたが、未払消費税等の増加1,149百万円及び未成工事受入金の増加773百万円等により一部相殺されたものであります。また、固定負債は長期借入金の減少561百万円等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は34,221百万円(前連結会計年度末は32,037百万円)となり、2,183百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の増加952百万円及び自己株式915,132株の消却等による自己株式の増加1,219百万円等によるものであります。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は50.0%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4,560百万円増加し、当連結会計年度末には7,641百万円(前年同期比148.0%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は8,989百万円(前年同期は248百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,285百万円、減価償却費1,397百万円、売上債権の減少額5,928百万円、たな卸資産の減少額1,762百万円及び未払消費税等の増加額1,132百万円等がありましたが、仕入債務の減少額4,808百万円及び法人税等の支払額1,949百万円等より一部相殺されたものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は257百万円(前年同期比89.6%減)となりました。これは主に、有形固定資産取得による支出483百万円及びその他の取得による支出323百万円等がありましたが、定期預金の払戻による収入356百万円及び保険積立金の払戻による収入339百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,181百万円(前年同期は1,449百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額3,000百万円、長期借入金の返済による支出561百万円及び配当金の支払額591百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
鋼材の販売・加工事業(千円)21,647,733108.8
鉄骨工事請負事業(千円)16,392,43384.4
報告セグメント計(千円)38,040,20696.7
その他(千円)--
合計(千円)38,040,20696.7

(注)1.金額は販売金額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.その他の生産実績につきましては、事業の性格上、該当事項がありませんので、記載を省略しております。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
鋼材の販売・加工事業(千円)45,994,63083.8
鉄骨工事請負事業(千円)--
報告セグメント計(千円)45,994,63083.8
その他(千円)--
合計(千円)45,994,63083.8

(注)1.金額は仕入金額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.鋼材の販売・加工事業以外の商品仕入実績につきましては、事業の性格上、該当事項がありませんので、記載を省略しております。
ハ.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
鋼材の販売・加工事業19,471,170102.8576,78965.0
鉄骨工事請負事業18,476,410111.38,039,348101.8
報告セグメント計37,947,580106.88,616,13898.1
その他----
合計37,947,580106.88,616,13898.1

(注)1.金額は販売金額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度において、鋼材の販売・加工事業の受注残高が著しい減少となりました。これは、前連結会計年度が大幅に増加した事による反動減に加え、首都圏を中心とした建築需要が一巡し鋼材価格が下落する中で発注の先送りや受注単価の下落によるものであります。
4.その他の受注実績につきましては、事業の性格上、該当事項がありませんので、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
鋼材の販売・加工事業(千円)66,537,46993.5
鉄骨工事請負事業(千円)16,624,20790.1
報告セグメント計(千円)83,161,67692.8
その他(千円)205,31765.4
合計(千円)83,366,99492.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、鋼材の販売・加工及び鉄骨工事請負を主体事業として展開しており、販売している商品・製品の多くは、倉庫・工場及びビル等の建設に使用される鋼材であります。従いまして、国内の公共投資及び民間設備投資の動向、国内鋼材市況並びに物流コストの状況等により、常に業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、他にも「2 事業等のリスク」に記載した要因等が考えられます。
ロ.売上高と営業利益
当連結会計年度の売上高につきましては、鋼材の販売・加工事業は、国内鋼材市況は上半期については比較的堅調に推移しましたが、下半期に入り長引く米中通商問題、相次ぐ自然災害、消費税増税から、徐々に出荷量は減少し、販売価格についても下落しました。さらに年明けより新型コロナウイルス感染症の拡大により、一層の出荷量の減少及び販売価格の下落を招きました。また、鉄骨工事請負事業についても、上半期は前連結会計年度からの継続工事の進捗や追加工事の受注があり、堅調に推移しておりましたが、下半期は新規着工物件の減少から伸び悩みました。これらの結果、売上高は83,366百万円となり、前連結会計年度に比べ6,539百万円(前年同期比7.3%減)の減収となりました。
売上総利益につきましては、鋼材の販売・加工事業は、国内鋼材市況は上半期においては安定的に推移しておりましたが、下半期に入ると徐々に下落傾向となり、さらに年度末にかけて新型コロナウイルス感染症の影響から下げ足を速めた事から、収益率は急速に悪化の一途をたどりました。鉄骨工事請負事業は、上半期においては追加工事等により高い収益率で推移しておりましたが、新規着工物件は予定収益率についても陰りが見えてきております。これらの結果から売上総利益は11,796百万円、売上総利益率は14.2%となり、前連結会計年度より0.5ポイントの改善となりました。販売費及び一般管理費は、給料及び賞与が増加したものの、鋼材の出荷量の減少から運賃荷造費は減少し7,896百万円(前年同期比3.8%減)となりました。
この結果、営業利益は3,900百万円となり、売上高営業利益率は4.7%で前連結会計年度に比べ0.1ポイント改善いたしました。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(鋼材の販売・加工事業)
鋼材の販売・加工事業は、上半期につきましては、鋼材の荷動き及び鋼材市況とも比較的堅調に推移しておりましたが、下半期に入り、相次いだ自然災害や消費税増税等から国内景気が減速すると共に、荷動きも鈍化し、鋼材市況も下落傾向となりました。また、年明けからの新型コロナウイルス感染症の感染拡大から更に減速感は増してきました。これらから、売上高は66,537百万円となり4,596百万円(前年同期比6.5%減)の減収となりました。また、出荷量の減少から物流コスト等が減少し営業費用は66,950百万円(前年同期比6.9%減)となりました。これらの結果、営業利益は2,569百万円となり1,130百万円(前年同期比30.6%減)の減益となりました。
このような状況の中、国内大手鉄鋼メーカーは相次いで高炉の休止を発表し、今後、国内粗鋼生産量は大幅に減少する事が予想されます。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により至る所で経済活動は停滞しており、今後どのような経緯をたどり、回復への道のりを歩み出すのか、道筋は全く見えておりません。このような状況の中、喫緊の課題としては、下落傾向が続く鋼材市況がいつ底を打つかという事と、個人消費の持ち直しから、経済活動が活発になり、それがいつ民間設備投資に向かうのかであります。その間は、厳しい状況が続く事が予想されますので、仕入先との交渉により適正な在庫ポジションを維持する事や取引先としっかり向き合い着実に売上を積み上げて行く事が課題と認識しています。
(鉄骨工事請負事業)
鋼材の販売・加工事業は、上半期におきましては、工事進行基準適用の大型物件が着実に進捗する中、追加工事の受注等もあり堅調に推移しましたが、下半期につきましては、オリンピック関連投資が概ね完成時期を迎え、首都圏の再開発案件との端境期となる中で、新規着工物件の減少から売上高は16,624百万円となり1,834百万円(前年同期比9.9%減)の減収となりました。また、営業利益は2,057百万円となり906百万円(前年同期比78.8%増)の増益となりました。前連結会計年度から継続する工事物件等は収益率も高く大幅な増益となりましたが、新規着工物件の予定収益率は徐々低下しており、今後、受注する物件は更に厳しくなる事が予想されますので、鉄骨製造コスト、物流コスト及び現場施工コストの徹底的な効率化により収益の確保を目指します。
また、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、大手・準大手のゼネコンでは一時建設中の工事の中断等もあり、工事の進捗にも影響が出る可能性も否定できません。なお、長期的には、働き方や人々の行動様式の変化から、建設需要も変る可能性があり、推移を見守りながら、対応を図って参ります。
(その他)
その他は、運送業及び倉庫業であり、運送業につきましては全国的なトラック不足が収まった事からグループ外からの輸送依頼が減少し、倉庫業につきましても取扱量の減少から、売上高は205百万円となり108百万円(前年同期比34.6%減)の減収となりました。また、営業利益は44百万円となり115百万円(前年同期比72.3%減)の減益となりました。どちらの事業も当社グループにおける主力事業ではありませんので、成長を目指すのではなく、全体のバランスの中で着実な収益確保を目指して参ります。
ハ.営業外損益と経常利益
営業外収益は為替差益159百万円、受取保険金221百万円及び受取賃貸料81百万円の計上等により712百万円となりました。営業外費用は支払利息56百万円及びデリバティブ評価損136百万円の計上等により320百万円となりました。
この結果、経常利益は4,292百万円となり、売上高経常利益率は5.1%で前連結会計年度と同様でした。
ニ.特別損益
特別損失は上場株式等の株価下落から投資有価証券評価損7百万円を計上しております。
ホ.親会社株主に帰属する当期純利益
上記の結果から、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は4,285百万円となり、法人税、住民税及び事業税1,417百万円、法人税等調整額80百万円等により、親会社株主に帰属する当期純利益は2,721百万円(前年同期比28.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
イ.キャッシュ・フロー
当社グループの連結会計年度のキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に加え、鋼材の荷動きと鋼材市況が徐々に低下する中で売上高が減少傾向となった事が、売上債権の増加より回収が上回る結果となった事と鋼材市況の低迷に備え、たな卸資産の圧縮を進めた事などが、大きな要因となって、営業活動によるキャッシュ・フローは8,989百万円と大幅な増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得の資金を定期預金や保険積立金の払戻により調達したものであります。また、財務活動によるキャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローにより生み出された現金及び現金同等物を長期借入金・短期借入金の返済及び配当金の支払いに充当したものであります。なお、今後につきましては具体的な大型の設備投資計画等につきまして予定しておりませんが、生産性の向上や他社との競争力維持の為、若干の生産設備の新設やリプレースは予定しております。資金につきましては、内部資金及び短期借入金による調達を予定しております。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は金融機関からの借入により資金調達しております。このうち、借入による資金調達の多くは短期借入金で賄っておりますが、工場建屋や生産設備等の長期資金につきましては、固定金利の長期借入金にて一部調達しております。当連結会計年度末における長期借入金の残高は2,979百万円であります。また、取引銀行7行と当座貸越契約を締結しており当座貸越契約の総額は27,500百万円、短期借入金の実行残高は12,500百万円、借入未実行残高は15,000百万円となっております。
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力及び借入金により、当社グループの成長を維持するために将来必要な資金を調達することが可能と考えております。
また、資金の流動性につきましては、連結会計年度末日における現金及び現金同等物は7,641百万円を有しており、企業の経営方針・経営戦略等を遂行するに当たっては十分な資金の流動性を確保しているものと考えておます。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際しては、連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定を行っております。過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい点もありますが、現時点において入手可能な情報を基に、当社グループへの影響は限定的であると仮定し、会計上の見積りを行っております。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりです。
イ.たな卸資産(商品、製品、原材料)の評価損
当社グループが販売する鋼材は、需給バランスにより常に価格変動をしている相場商品であります。当連結会計年度末のたな卸資産(商品、製品、原材料)は12,402百万円を有しており、評価方法につきましては、個別品目及び区分毎に総平均法による原価法を採用しております。また、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に準拠し、正味売却価額等がたな卸資産の簿価よりも下落している場合には、評価損を計上し、当該正味売却価額等をもって、貸借対照表価額としております。正味売却価額は、通常の事業活動による販売価額から見積販売直接経費を控除して算出しております。なお、正味売却価額が観察できない場合につきましては、再調達原価等を採用しております。長期在庫等により品質低下や陳腐化が明らかなものは、個別品目毎に過去の実績等からたな卸資産の実現可能価額を算定しております。当社グループのたな卸資産の評価は適正であると判断しておりますが、想定を超える鋼材市況の下落等がおきた場合には、評価損の金額は増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
ロ.工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)の完成工事高及び完成工事原価の計上
当社グループは、受注金額が3億円を超える工事契約の内、成果の確実性が認められる工事については、工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)により完成工事高を計上しており、当連結会計年度の工事進行基準における完成工事高は9,885百万円であります。工事収益総額、工事原価総額については、進捗に応じ都度、見直しを行っております。また、進捗率については鉄骨加工業者への発注総量の内、現場搬入された加工済み鉄骨量をもって算出しておりますが、工事原価総額及び発注総量につきましては、多分に見積りの要素が内在しております。従いまして、想定外の原価発生による工事原価総額の変更や工事進捗の遅延等により工事進捗度が大幅に変動した場合には、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
ハ.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が予測を大幅に超えて悪化し、その支払能カが著しく低下した場合、追加の引当処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をあたえ業績を悪化させる可能性があります。
ニ.工事損失引当金
当社グループは、連結会計年度末手持工事のうち、将来の損失発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能な工事契約について損失見込額を計上しております。工事完成基準の工事物件につきましては、未成工事支出金又は工事原価総額が工事収益総額を超過すると見込まれる額であります。また、工事進行基準の工事物件につきましては、工事原価総額が工事収益総額を超過すると見込まれる額の内、当該工事契約に関してすでに計上された損益の額を控除した残額であります。従いまして、想定外の工事原価の発生等があった場合には、追加の引当処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末においては、工事損失引当金の計上はしておりません。
ホ.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の総額1,196,970千円のうち、一定期間における将来の利益計画に基づいた課税所得や、将来減算一時差異の回収可能性を勘案し、評価性引当金330,217千円を計上しております。将来減算一時差異の解消にあたっては、過去及び当期の業績やタックス・プランニング、又、将来加算一時差異の十分性等を考慮しております。繰延税金資産の回収可能性については将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、税金費用の計上を伴う評価性引当金の追加計上が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
ヘ.投資有価証券の減損処理
当社グループが保有する投資有価証券につきましては、期末日での公正価値が取得原価に比べ50%以上下落した場合には著しい下落があったものとみなし、全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。また、時価のあるものは期末日における時価を公正価値とし、時価のない非上場株式は当該会社の直前の決算期における純資産額を公正価値としております。これらの判断基準は合理的なものと考えておりますが、市場の変化や予測できない経済状況などに陥った場合には、投資有価証券及び投資有価証券評価損が影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
ト.通貨オプション及びデリバティブ評価損益
通貨オプションの時価及びデリバティブ評価損益の計上につきましては、取引先金融機関から提示された時価評価の資料を当社の責任において使用しておりますが、その時価評価は、割引現在価値による方法又はオプション価格モデルによる方法で合理的に算定された価額であり、多くの見積りにより算定された価額となっております。金融市場の変化によって、これらの見積りに乖離が生じた場合には、通貨オプション及びデリバティブ評価損益が影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
チ.退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付制度につきましては、基本的に退職一時金制度を採用し、当社においては原則法を採用しておりますが、一部の連結子会社は簡便法を採用しております。退職給付に係る負債及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、死亡率、退職率及び予想昇給率に基づいて計算しております。割引率は従業員の平均残存勤務期間に対応する国債利回りを参考に決定しております。使用した数理計算上の仮定は妥当なものと判断しておりますが、仮定の変動は退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響をあたえ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
リ.固定資産の減損処理
当社グループは、減損損失の認識・測定を行う単位としての資産グループは、営業エリアを地域毎にグルーピングをしております。それぞれのグループにおいて減損の兆候が確認された場合、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額を算定し、その額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合には、減損処理が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが販売しております鋼材は、需要及び販売価格において国内の民間設備投資の状況に非常に左右される商品であるため、中長期の売上高や収益の予測が困難である事から、中期経営計画の策定はしておりません。しかし、長期的な財務体質の強化と安定的な収益の確保を目指しており、具体的には財務の健全性の指標として自己資本比率は連結決算・個別決算共に40%以上を確保する事に加え、収益指標として売上高経常利益率5.0%以上を安定的に確保し、また、株主価値の増大を数値的に判断できる株主資本当期純利益率(ROE)4.0%以上を目標としております。
当連結会計年度末における自己資本比率は50.0%(前年同期比6.3ポイント改善)、当連結会計年度における売上高経常利益率は5.1%(前年同期と同様)、株主資本当期純利益率(ROE)は8.3%(前年同期比4.3ポイント悪化)となりましたが、いずれも目標値には到達しており、引き続き当該指標の改善に邁進して参ります。
連結経営指標57期58期59期60期61期
売上高(千円)69,611,31567,420,63972,826,79389,906,55783,366,994
経常利益(千円)3,750,3294,829,7334,156,4474,583,9104,292,580
親会社株主に帰属する
当期純利益
(千円)2,539,8723,309,1572,767,4603,811,3232,721,118
自己資本比率(%)41.045.544.343.750.0
売上高経常利益率(%)5.47.25.75.15.1
株主資本当期純利益率(ROE)(%)10.812.99.912.68.3

IRBANK 採用情報

フルスタックエンジニア

  • 10年以上蓄積したファイナンスデータとAIを掛け合わせて、投資の意思決定を加速させるポジションです。
  • UI からデータベースまで一貫して関われるポジションです。

プロダクトMLエンジニア

  • MLとLLMを掛け合わせ、分析から予測までをスピーディかつ正確な投資体験に落とし込むポジションです。

AI Agent エンジニア

  • 開示資料・決算・企業データを横断し、投資家の意思決定を支援するAI Agent機能を設計・実装するポジションです。
  • RAG・検索・ランキングを含む情報取得/推論パイプラインの設計から運用まで一気通貫で担います。

UI/UXデザイナー

  • IRBANK初の一人目デザイナーとして、複雑な金融情報を美しく直感的に届ける体験をつくるポジションです。

Webメディアディレクター

  • 月間500万PVを超える、大規模DBサイトを運営できます。
  • これから勢いよく伸びるであろうサービスの根幹部分を支えるポジションです。

クラウドインフラ & セキュリティエンジニア

  • Google Cloud 上でマイクロサービス基盤の信頼性・可用性・セキュリティを担うポジションです。
  • 大規模金融データを安全かつ高速に処理するインフラを設計・構築できます。

学生インターン

  • 月間500万PVを超える日本最大級のIRデータプラットフォームの運営に携わり、金融・データ・プロダクトの現場を学生のうちから体験できます。

マーケティングマネージャー

  • IRBANKのブランドと文化の構築。
  • 百万人の現IRBANKユーザーとまだIRBANKを知らない数千万人に対してマーケティングをしてみたい方。