有価証券報告書-第79期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社は2020年5月に当社の連結子会社であったPermasteelisa S.p.A. (以下「ペルマスティリーザ社」)の株式譲渡を決定したこと(2020年9月に株式譲渡を完了済み)及び2020年6月に当社の連結子会社であった株式会社LIXILビバ(以下「LIXILビバ社」)の株式譲渡が決定したこと(2020年11月に株式譲渡を完了済み)から、連結財務諸表の作成上、ペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社の事業をそれぞれ非継続事業に分類しております。このため、売上収益、事業利益、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を記載しております。また、前年同期実績も同様に組み替えております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.非継続事業」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動や社会活動が大きく抑制された結果、個人消費や企業収益が急速に悪化する等、極めて厳しい状況で推移いたしました。その後、社会経済の活動レベルの段階的な引き上げや新型コロナワクチンの早期普及への期待等によって持ち直しの動きはみられましたが、再度の感染拡大により緊急事態宣言が再発令される等、未だ先行きが不透明な状況が続いております。住宅投資に関しては、貸家及び分譲住宅が依然として前年割れの状況が続いており、一方で直近では持家が明るい兆しはみられるものの、新設住宅着工戸数は中長期的にも減少傾向が見込まれ、当社にとっては引き続き厳しい環境となっております。
世界経済に関しては、新型コロナウイルス感染症の拡大は日本国内よりも深刻な状況であり、主要都市のロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令等により社会経済活動が大きく制限され、その後の各国政府の財政政策等により段階的に回復基調に戻りつつありますが、収束の目途が立たない中、日本国内と同様に景気の先行きは不透明な状況となっております。また、各国・地域における社会経済活動の制限緩和や経済対策による需要の回復に差があることに加え、世界的なコンテナ不足による海上輸送のひっ迫、原材料価格の高騰やウッドショックの深刻化等不確実な要素もあり、今後も経済動向を注視していく必要があります。
このような環境の下、当社グループの当連結会計年度における業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の停止により上半期に大きく落ち込み、下半期において海外事業、特に米国と欧州を中心に需要の回復がみられたものの、売上収益は1兆3,782億55百万円(前年同期比9.0%減)と減収となりました。利益面においては、国内事業における継続的な粗利率改善活動の効果に加え、従業員の生産性向上を図る各種施策やコロナ禍における経費抑制策等による販売費及び一般管理費の削減により減収の影響を補うことができた結果、事業利益は572億88百万円(前年同期比9.6%増)と増益となりました。また、営業利益は国内事業の活性化に向けた包括的な人事プログラム「変わらないと、LIXIL」の一環として3月に実施した希望退職プログラム「ニューライフ」にかかる一時費用の発生があったものの、一部子会社の売却益の計上等により358億42百万円(前年同期比12.0%増)と増益となりました。一方で、税引前利益は前連結会計年度に計上した関連会社に対する持分の処分益109億77百万円の剥落の影響により338億4百万円(前年同期比17.4%減)、継続事業からの当期利益は163億68百万円(前年同期比41.0%減)とそれぞれ減益となりました。
また、ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社の売却にかかる損益を含む非継続事業からの当期利益は212億19百万円(前年同期は140億56百万円の非継続事業からの当期損失)となりました。以上の結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は330億48百万円(前年同期比1.6倍)と大幅な増益となりました。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメント別の概況は次のとおりであります。なお、ペルマスティリーザ社の株式譲渡を決定したことに伴い、従来「ビルディングテクノロジー事業」に含めていたペルマスティリーザ社及び同社子会社の事業を非継続事業に分類しております。また、LIXILビバ社の株式譲渡が決定したことに伴い、従来「流通・小売り事業」に含めていたLIXILビバ社の事業を非継続事業に分類しております。このため、前年同期実績も同様に組み替えております。(以下、「④生産、受注及び販売の実績」においても同様であります。)
[ウォーターテクノロジー事業]
ウォーターテクノロジー事業においては、国内、海外ともに当連結会計年度を通して新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことに加え、国内事業は新設住宅着工戸数の落ち込みによる需要減少や前連結会計年度における消費税増税前の需要増の反動等もあり厳しい状況となった一方で、海外事業は下半期における北米地域、欧州・中東・アフリカ地域及び中国地域の急速な需要回復等もありましたが、売上収益は7,838億5百万円(前年同期比5.4%減)と減収となりました。一方で、事業利益は売上収益の減少に伴う粗利減を商品価格の見直しや販売費及び一般管理費の抑制等で補ったこと等により621億48百万円(前年同期比1.0%増)と増益となりました。
[ハウジングテクノロジー事業]
ハウジングテクノロジー事業においては、ウォーターテクノロジー事業と同様、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことに加え、新設住宅着工戸数の落ち込みによる需要減少や前連結会計年度における消費税増税前の需要増の反動等により、売上収益は4,742億91百万円(前年同期比12.5%減)と減収となりましたが、事業利益はプラットフォーム化の進捗に伴う生産効率の改善効果やリフォーム売上比率向上による粗利率の改善に加え、販売費及び一般管理費を抑制したこと等が奏功し、314億35百万円(前年同期比11.1%増)と増益となりました。
[ビルディングテクノロジー事業]
ビルディングテクノロジー事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、オリンピック・パラリンピック需要の収束による国内需要減等の厳しい環境もあり、売上収益は933億75百万円(前年同期比17.2%減)、事業利益は受注粗利の改善施策や販売費及び一般管理費の抑制等で補ったものの26億11百万円(前年同期比2.2%減)と減収減益となりました。
[住宅・サービス事業等]
住宅・サービス事業等においては、引き続き重点施策であるBtoCビジネス等の新事業領域の伸長があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、前連結会計年度における消費税増税前の旺盛な新築需要が減少したこと等から、売上収益は465億56百万円(前年同期比13.8%減)、事業利益は21億36百万円(前年同期比28.4%減)と減収減益となりました。
なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前であります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて3,497億15百万円減少の1兆7,418億14百万円となりました。流動資産は、手元流動性確保のための短期資金の調達に伴う現金及び現金同等物の増加があった一方で、売上収益の減少に伴い営業債権及びその他の債権、及び棚卸資産が減少したことに加え、ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社の株式譲渡が完了し連結除外となったことにより売却目的で保有する資産をはじめ各科目における減少があったことなどから、前連結会計年度末に比べて1,050億7百万円減少の6,377億73百万円となりました。また、非流動資産は、為替換算による増加があったものの、流動資産と同様にLIXILビバ社が連結除外となったことによる各科目の減少などもあり、前連結会計年度末に比べて2,447億8百万円減少の1兆1,040億41百万円となりました。
また、資本は5,547億67百万円、親会社所有者帰属持分比率は31.7%(前年同期比7.7ポイント改善)であります。
(1) 主要子会社: ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,510億43百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて66億58百万円の減少となり、この主な要因は、棚卸資産や営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務などの運転資本の変動に加え、継続事業からの税引前利益の減少、及び法人所得税等の支払額の増加による資金減少があったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出に加え、子会社の売却による収入や支出があったことなどから541億51百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて128億37百万円の資金減少であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金やリース負債の支払のほか、社債の新規発行を含む有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことなどから934億25百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて598億60百万円の資金増加であります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて151億99百万円増加の1,110億61百万円であります。

④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
受注実績
ビルディングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っております。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しております。
① 重要な会計上の見積り及び判断、重要な会計方針
重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態および経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものであります。また、当社グループをとりまく市場の動向や為替変動などの経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、ある一定の仮定を置いた上で会計上の見積りを実施し、会計処理に反映しております。その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.追加情報」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及び主要なセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりであります。
[当連結会計年度の業績に対する評価]
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により不透明な環境下での事業運営が続いた1年でした。こうした中で、最初に注力したのが手許流動性の確保であり、次いで、投資の優先順位付け、在庫・売掛金管理の徹底、そして販管費の管理でありました。
その上で、事業ポートフォリオの見直しや、人事施策の「ニューライフ」、ハウジングテクノロジー事業におけるプラットフォーム化をベースとした生産体制への移行については、厳しい環境下ではありましたが進捗させることができ、業績面では通期で粗利率の改善、事業利益の増益を果たすことができました。
[バランスシートの強化についての目標と進展、今後の見通し]
持続的な成長の実現には、安定的かつ強固な財務基盤の構築が重要です。この認識のもと、当社では財務健全性の指標の一つとして、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下とすることを目指してまいりました。
当連結会計年度は、事業ポートフォリオの見直しによる複数の子会社売却、事業の収益性改善、ROICを重視した投資の優先順位付けなどの施策の結果、ネット有利子負債は前年同期比で2,522億円減少し、ネット有利子負債EBITDA倍率は目標の3.5倍まで改善をみせ、また親会社所有者帰属持分比率も前年同期比で7.7ポイント改善の31.7%となり、財務基盤の改善に大きな進展がみられたと考えております。
今後の見通しとしましては、引き続きネット有利子負債EBITDA倍率を重要視しつつ、将来のキャッシュ・フローや利益の源泉となるROICの高い成長領域に対して重点的に投資をおこない、利益率のさらなる向上、財務体質の強化に努めてまいります。また、翌連結会計年度の後半には転換社債型新株予約権付社債(600億円)の満期償還を迎えますので、今後の株価の推移や事業の状況を注視しつつ、包括的に対応を検討してまいります。
[今後の投資方針]
成長にフォーカスできる時期に到達したものの、リスクの高い投資を行う必要はないと考えております。可能性までも完全に否定はしませんが、当社が過去に行ったような大型買収などは、基本的に当面必要ないと考えております。その意味で、今後行う当社の成長投資は、生産性改善のための投資や、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が中心になります。
当社では、3年前にROICを社内管理指標としてグローバルで導入し、投資判断において重視しております。よって、将来のキャッシュ・フローを生む効率的な投資、すなわち新商品や差別化された商品への投資、あるいは生産性向上のためのデジタル技術等に傾斜して投資することを基本方針としております。毎期の計画策定でも、何にどの程度資金を配分するか、あらかじめ比率を定めた上で投資額を決定しており、前期よりも当期、当期よりも来期というように、年を追うごとに将来に向けてより多くのキャッシュ・フローを生み出す投資に資金を配分してまいります。
[今後の展望]
財務体質の強化については中期目標を達成することができました。しかしながら、資本効率の面ではまだ取り組むべき課題があると考えております。中でも、営業部門や管理部門の生産性向上にはデジタル化が鍵であると考えており、全社的にはアセットライトの方針を掲げていますが、DXへの投資は増やしております。
今後も投資と効果の刈り取りに努め、資本コストを上回るリターンを継続的に上げられる仕組みを強固にし、それをもって株主の皆様に対しより高い還元ができるよう努めてまいります。

[次期の見通しと通期業績予想値]
次期の見通しについては、国内・海外ともワクチン接種など新型コロナウイルス感染症の拡大防止策が講じられるなかで経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、一方で世界的には半導体や樹脂材料、木材の供給不足による価格高騰やコンテナ不足による輸送費の上昇などのリスク要素もあり、依然として不透明な状況が続くと見込まれます。
このような事業環境のもと、当社グループは引き続き外部環境からの影響を受けにくく、かつ、利益ある持続的成長のできる経営への変革に努め、ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業を基幹事業と位置づけ、経営資源を集中させるとともに、国内事業の収益性向上を図りキャッシュジェネレーターへと進化させてまいります。また、生み出したキャッシュ・フローを海外事業の成長投資に充て、当社グループ全体の利益の伸長及び財務体質の強化を図ってまいります。
このような中、次期の通期業績予想値につきましては、国内外における経済が回復基調にあることから、堅調な年となるものと予想しております。具体的には、売上収益は1兆4,400億円(前年同期比4.5%増)、事業利益は800億円(前年同期比39.6%増)、営業利益は780億円(前年同期比1.2倍)、税引前利益は755億円(前年同期比1.2倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益は470億円(前年同期比42.2%増)と、増収増益を見込んでおります。とりわけ、事業利益率につきましては前年同期比1.4ポイント増の5.6%とさらなる伸長を計画しております。
また、さらなる株主還元を図るため、1株当たりの配当金は中間・期末それぞれ40円、年間80円に増配を予定しております。
なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでおります。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。また、各指標は、以下により算出しております。
ROE (%):親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+
親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)
ROA (%):親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))
÷2)
ROIC(%):営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +
固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)
ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。また、EBITDAの算出に用いた減価償却費には、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社に係る金額を含めておりません。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めております。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形・債権の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に新たな短期資金の調達枠を設定しております。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めております。
その結果、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて2,522億円減少し4,844億円となり、大幅に改善をみせております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,111億円となりました。

なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりであります。
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。なお、各指標は、以下により算出しております。
キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率:(有利子負債-現金及び現金同等物)/営業キャッシュ・フロー
ネットデット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。なお、主要指標の算出にあたり、2020年3月期の営業キャッシュ・フロー及び利払いには、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社に係る金額を、また、2021年3月期の営業キャッシュ・フロー及び利払いには、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社に係る金額を含めておりません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社は2020年5月に当社の連結子会社であったPermasteelisa S.p.A. (以下「ペルマスティリーザ社」)の株式譲渡を決定したこと(2020年9月に株式譲渡を完了済み)及び2020年6月に当社の連結子会社であった株式会社LIXILビバ(以下「LIXILビバ社」)の株式譲渡が決定したこと(2020年11月に株式譲渡を完了済み)から、連結財務諸表の作成上、ペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社の事業をそれぞれ非継続事業に分類しております。このため、売上収益、事業利益、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を記載しております。また、前年同期実績も同様に組み替えております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.非継続事業」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動や社会活動が大きく抑制された結果、個人消費や企業収益が急速に悪化する等、極めて厳しい状況で推移いたしました。その後、社会経済の活動レベルの段階的な引き上げや新型コロナワクチンの早期普及への期待等によって持ち直しの動きはみられましたが、再度の感染拡大により緊急事態宣言が再発令される等、未だ先行きが不透明な状況が続いております。住宅投資に関しては、貸家及び分譲住宅が依然として前年割れの状況が続いており、一方で直近では持家が明るい兆しはみられるものの、新設住宅着工戸数は中長期的にも減少傾向が見込まれ、当社にとっては引き続き厳しい環境となっております。
世界経済に関しては、新型コロナウイルス感染症の拡大は日本国内よりも深刻な状況であり、主要都市のロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令等により社会経済活動が大きく制限され、その後の各国政府の財政政策等により段階的に回復基調に戻りつつありますが、収束の目途が立たない中、日本国内と同様に景気の先行きは不透明な状況となっております。また、各国・地域における社会経済活動の制限緩和や経済対策による需要の回復に差があることに加え、世界的なコンテナ不足による海上輸送のひっ迫、原材料価格の高騰やウッドショックの深刻化等不確実な要素もあり、今後も経済動向を注視していく必要があります。
このような環境の下、当社グループの当連結会計年度における業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の停止により上半期に大きく落ち込み、下半期において海外事業、特に米国と欧州を中心に需要の回復がみられたものの、売上収益は1兆3,782億55百万円(前年同期比9.0%減)と減収となりました。利益面においては、国内事業における継続的な粗利率改善活動の効果に加え、従業員の生産性向上を図る各種施策やコロナ禍における経費抑制策等による販売費及び一般管理費の削減により減収の影響を補うことができた結果、事業利益は572億88百万円(前年同期比9.6%増)と増益となりました。また、営業利益は国内事業の活性化に向けた包括的な人事プログラム「変わらないと、LIXIL」の一環として3月に実施した希望退職プログラム「ニューライフ」にかかる一時費用の発生があったものの、一部子会社の売却益の計上等により358億42百万円(前年同期比12.0%増)と増益となりました。一方で、税引前利益は前連結会計年度に計上した関連会社に対する持分の処分益109億77百万円の剥落の影響により338億4百万円(前年同期比17.4%減)、継続事業からの当期利益は163億68百万円(前年同期比41.0%減)とそれぞれ減益となりました。
また、ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社の売却にかかる損益を含む非継続事業からの当期利益は212億19百万円(前年同期は140億56百万円の非継続事業からの当期損失)となりました。以上の結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は330億48百万円(前年同期比1.6倍)と大幅な増益となりました。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
セグメント別の概況は次のとおりであります。なお、ペルマスティリーザ社の株式譲渡を決定したことに伴い、従来「ビルディングテクノロジー事業」に含めていたペルマスティリーザ社及び同社子会社の事業を非継続事業に分類しております。また、LIXILビバ社の株式譲渡が決定したことに伴い、従来「流通・小売り事業」に含めていたLIXILビバ社の事業を非継続事業に分類しております。このため、前年同期実績も同様に組み替えております。(以下、「④生産、受注及び販売の実績」においても同様であります。)
| (単位:百万円) | |||||
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減額 | 増減率(%) | ||
| ウォーターテクノロジー 事業 | 売上収益 | 828,527 | 783,805 | △ 44,722 | △ 5.4% |
| 事業利益 | 61,524 | 62,148 | 624 | 1.0% | |
| 利益率 | 7.4% | 7.9% | 0.5% | ||
| ハウジングテクノロジー 事業 | 売上収益 | 542,204 | 474,291 | △ 67,913 | △ 12.5% |
| 事業利益 | 28,288 | 31,435 | 3,147 | 11.1% | |
| 利益率 | 5.2% | 6.6% | 1.4% | ||
| ビルディングテクノロジー 事業 | 売上収益 | 112,774 | 93,375 | △ 19,399 | △ 17.2% |
| 事業利益 | 2,671 | 2,611 | △ 60 | △ 2.2% | |
| 利益率 | 2.4% | 2.8% | 0.4% | ||
| 住宅・ サービス事業等 | 売上収益 | 54,019 | 46,556 | △ 7,463 | △ 13.8% |
| 事業利益 | 2,984 | 2,136 | △ 848 | △ 28.4% | |
| 利益率 | 5.5% | 4.6% | △ 0.9% | ||
| 消去又は全社 | 売上収益 | △ 23,075 | △ 19,772 | 3,303 | △ 14.3% |
| 事業利益 | △ 43,177 | △ 41,042 | 2,135 | △ 4.9% | |
| 利益率 | - | - | - | ||
| 合 計 | 売上収益 | 1,514,449 | 1,378,255 | △ 136,194 | △ 9.0% |
| 事業利益 | 52,290 | 57,288 | 4,998 | 9.6% | |
| 利益率 | 3.5% | 4.2% | 0.7% | ||
[ウォーターテクノロジー事業]
ウォーターテクノロジー事業においては、国内、海外ともに当連結会計年度を通して新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことに加え、国内事業は新設住宅着工戸数の落ち込みによる需要減少や前連結会計年度における消費税増税前の需要増の反動等もあり厳しい状況となった一方で、海外事業は下半期における北米地域、欧州・中東・アフリカ地域及び中国地域の急速な需要回復等もありましたが、売上収益は7,838億5百万円(前年同期比5.4%減)と減収となりました。一方で、事業利益は売上収益の減少に伴う粗利減を商品価格の見直しや販売費及び一般管理費の抑制等で補ったこと等により621億48百万円(前年同期比1.0%増)と増益となりました。
[ハウジングテクノロジー事業]
ハウジングテクノロジー事業においては、ウォーターテクノロジー事業と同様、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたことに加え、新設住宅着工戸数の落ち込みによる需要減少や前連結会計年度における消費税増税前の需要増の反動等により、売上収益は4,742億91百万円(前年同期比12.5%減)と減収となりましたが、事業利益はプラットフォーム化の進捗に伴う生産効率の改善効果やリフォーム売上比率向上による粗利率の改善に加え、販売費及び一般管理費を抑制したこと等が奏功し、314億35百万円(前年同期比11.1%増)と増益となりました。
[ビルディングテクノロジー事業]
ビルディングテクノロジー事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、オリンピック・パラリンピック需要の収束による国内需要減等の厳しい環境もあり、売上収益は933億75百万円(前年同期比17.2%減)、事業利益は受注粗利の改善施策や販売費及び一般管理費の抑制等で補ったものの26億11百万円(前年同期比2.2%減)と減収減益となりました。
[住宅・サービス事業等]
住宅・サービス事業等においては、引き続き重点施策であるBtoCビジネス等の新事業領域の伸長があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、前連結会計年度における消費税増税前の旺盛な新築需要が減少したこと等から、売上収益は465億56百万円(前年同期比13.8%減)、事業利益は21億36百万円(前年同期比28.4%減)と減収減益となりました。
なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前であります。
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて3,497億15百万円減少の1兆7,418億14百万円となりました。流動資産は、手元流動性確保のための短期資金の調達に伴う現金及び現金同等物の増加があった一方で、売上収益の減少に伴い営業債権及びその他の債権、及び棚卸資産が減少したことに加え、ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社の株式譲渡が完了し連結除外となったことにより売却目的で保有する資産をはじめ各科目における減少があったことなどから、前連結会計年度末に比べて1,050億7百万円減少の6,377億73百万円となりました。また、非流動資産は、為替換算による増加があったものの、流動資産と同様にLIXILビバ社が連結除外となったことによる各科目の減少などもあり、前連結会計年度末に比べて2,447億8百万円減少の1兆1,040億41百万円となりました。
また、資本は5,547億67百万円、親会社所有者帰属持分比率は31.7%(前年同期比7.7ポイント改善)であります。
(1) 主要子会社: ペルマスティリーザ社及びLIXILビバ社③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額であります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,510億43百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて66億58百万円の減少となり、この主な要因は、棚卸資産や営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務などの運転資本の変動に加え、継続事業からの税引前利益の減少、及び法人所得税等の支払額の増加による資金減少があったことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出に加え、子会社の売却による収入や支出があったことなどから541億51百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて128億37百万円の資金減少であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金やリース負債の支払のほか、社債の新規発行を含む有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことなどから934億25百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて598億60百万円の資金増加であります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて151億99百万円増加の1,110億61百万円であります。

④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| ウォーターテクノロジー事業 | 403,705 | 94.9 |
| ハウジングテクノロジー事業 | 194,917 | 89.5 |
| ビルディングテクノロジー事業 | 56,290 | 84.2 |
| 合計 | 654,912 | 92.2 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| ウォーターテクノロジー事業 | 70,427 | 79.5 |
| ハウジングテクノロジー事業 | 107,441 | 78.5 |
| ビルディングテクノロジー事業 | 10,390 | 73.7 |
| 住宅・サービス事業等 | 34,356 | 102.0 |
| 合計 | 222,614 | 81.5 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
受注実績
ビルディングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っております。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比 (%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比 (%) |
| ビルディングテクノロジー事業 | 68,527 | 67.7 | 105,132 | 107.4 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| ウォーターテクノロジー事業 | 783,805 | 94.6 |
| ハウジングテクノロジー事業 | 474,291 | 87.5 |
| ビルディングテクノロジー事業 | 93,375 | 82.8 |
| 住宅・サービス事業等 | 46,556 | 86.2 |
| 報告セグメント計 | 1,398,027 | 90.9 |
| セグメント間取引 | △19,772 | 85.7 |
| 合計 | 1,378,255 | 91.0 |
(注)金額には消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しております。
① 重要な会計上の見積り及び判断、重要な会計方針
重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態および経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものであります。また、当社グループをとりまく市場の動向や為替変動などの経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、ある一定の仮定を置いた上で会計上の見積りを実施し、会計処理に反映しております。その内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.追加情報」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及び主要なセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりであります。
[当連結会計年度の業績に対する評価]
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により不透明な環境下での事業運営が続いた1年でした。こうした中で、最初に注力したのが手許流動性の確保であり、次いで、投資の優先順位付け、在庫・売掛金管理の徹底、そして販管費の管理でありました。
その上で、事業ポートフォリオの見直しや、人事施策の「ニューライフ」、ハウジングテクノロジー事業におけるプラットフォーム化をベースとした生産体制への移行については、厳しい環境下ではありましたが進捗させることができ、業績面では通期で粗利率の改善、事業利益の増益を果たすことができました。
[バランスシートの強化についての目標と進展、今後の見通し]
持続的な成長の実現には、安定的かつ強固な財務基盤の構築が重要です。この認識のもと、当社では財務健全性の指標の一つとして、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下とすることを目指してまいりました。
当連結会計年度は、事業ポートフォリオの見直しによる複数の子会社売却、事業の収益性改善、ROICを重視した投資の優先順位付けなどの施策の結果、ネット有利子負債は前年同期比で2,522億円減少し、ネット有利子負債EBITDA倍率は目標の3.5倍まで改善をみせ、また親会社所有者帰属持分比率も前年同期比で7.7ポイント改善の31.7%となり、財務基盤の改善に大きな進展がみられたと考えております。
今後の見通しとしましては、引き続きネット有利子負債EBITDA倍率を重要視しつつ、将来のキャッシュ・フローや利益の源泉となるROICの高い成長領域に対して重点的に投資をおこない、利益率のさらなる向上、財務体質の強化に努めてまいります。また、翌連結会計年度の後半には転換社債型新株予約権付社債(600億円)の満期償還を迎えますので、今後の株価の推移や事業の状況を注視しつつ、包括的に対応を検討してまいります。
[今後の投資方針]
成長にフォーカスできる時期に到達したものの、リスクの高い投資を行う必要はないと考えております。可能性までも完全に否定はしませんが、当社が過去に行ったような大型買収などは、基本的に当面必要ないと考えております。その意味で、今後行う当社の成長投資は、生産性改善のための投資や、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資が中心になります。
当社では、3年前にROICを社内管理指標としてグローバルで導入し、投資判断において重視しております。よって、将来のキャッシュ・フローを生む効率的な投資、すなわち新商品や差別化された商品への投資、あるいは生産性向上のためのデジタル技術等に傾斜して投資することを基本方針としております。毎期の計画策定でも、何にどの程度資金を配分するか、あらかじめ比率を定めた上で投資額を決定しており、前期よりも当期、当期よりも来期というように、年を追うごとに将来に向けてより多くのキャッシュ・フローを生み出す投資に資金を配分してまいります。
[今後の展望]
財務体質の強化については中期目標を達成することができました。しかしながら、資本効率の面ではまだ取り組むべき課題があると考えております。中でも、営業部門や管理部門の生産性向上にはデジタル化が鍵であると考えており、全社的にはアセットライトの方針を掲げていますが、DXへの投資は増やしております。
今後も投資と効果の刈り取りに努め、資本コストを上回るリターンを継続的に上げられる仕組みを強固にし、それをもって株主の皆様に対しより高い還元ができるよう努めてまいります。

[次期の見通しと通期業績予想値]
次期の見通しについては、国内・海外ともワクチン接種など新型コロナウイルス感染症の拡大防止策が講じられるなかで経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、一方で世界的には半導体や樹脂材料、木材の供給不足による価格高騰やコンテナ不足による輸送費の上昇などのリスク要素もあり、依然として不透明な状況が続くと見込まれます。
このような事業環境のもと、当社グループは引き続き外部環境からの影響を受けにくく、かつ、利益ある持続的成長のできる経営への変革に努め、ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業を基幹事業と位置づけ、経営資源を集中させるとともに、国内事業の収益性向上を図りキャッシュジェネレーターへと進化させてまいります。また、生み出したキャッシュ・フローを海外事業の成長投資に充て、当社グループ全体の利益の伸長及び財務体質の強化を図ってまいります。
このような中、次期の通期業績予想値につきましては、国内外における経済が回復基調にあることから、堅調な年となるものと予想しております。具体的には、売上収益は1兆4,400億円(前年同期比4.5%増)、事業利益は800億円(前年同期比39.6%増)、営業利益は780億円(前年同期比1.2倍)、税引前利益は755億円(前年同期比1.2倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益は470億円(前年同期比42.2%増)と、増収増益を見込んでおります。とりわけ、事業利益率につきましては前年同期比1.4ポイント増の5.6%とさらなる伸長を計画しております。
また、さらなる株主還元を図るため、1株当たりの配当金は中間・期末それぞれ40円、年間80円に増配を予定しております。
なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでおります。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。また、各指標は、以下により算出しております。ROE (%):親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+
親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)
ROA (%):親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))
÷2)
ROIC(%):営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +
固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)
ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。また、EBITDAの算出に用いた減価償却費には、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社に係る金額を含めておりません。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めております。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形・債権の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に新たな短期資金の調達枠を設定しております。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めております。
その結果、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて2,522億円減少し4,844億円となり、大幅に改善をみせております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,111億円となりました。

なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりであります。
| 2017年 3月期 | 2018年 3月期 | 2019年 3月期 | 2020年 3月期 | 2021年 3月期 | |
| キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率(倍) | 4.8 | 4.8 | 8.4 | 4.2 | 3.6 |
| ネットデット・エクイティ・レシオ(倍) | 1.2 | 0.9 | 1.1 | 1.5 | 0.9 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 7.7 | 15.5 | 14.9 | 26.5 | 35.5 |
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。なお、各指標は、以下により算出しております。
キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率:(有利子負債-現金及び現金同等物)/営業キャッシュ・フロー
ネットデット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。また、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。なお、主要指標の算出にあたり、2020年3月期の営業キャッシュ・フロー及び利払いには、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社に係る金額を、また、2021年3月期の営業キャッシュ・フロー及び利払いには、非継続事業に分類したペルマスティリーザ社及び同社子会社並びにLIXILビバ社に係る金額を含めておりません。