有価証券報告書-第82期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は、次のとおりです。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類へ移行したことにより、厳しい行動制限も緩和され、個人消費の回復に加えてインバウンド需要の高まりがみられるなど社会活動・経済活動の正常化が進み、国内景気は緩やかな回復基調にあります。しかしながら、依然として経済全体において物価の上昇が続いていることに加え、日米金利差の拡大などに起因する急激な円安の進行や世界的な金融引き締めが引き続き国内景気を下押しするリスクとなっています。また、住宅投資に関しては、特に持家及び分譲において住宅ローン金利上昇の懸念や建築資材価格の高止まりの影響等から減少傾向に歯止めがかからず、新設住宅着工戸数は軟調に推移し、先行きは不透明な状況が続いています。一方で、政府主導で創設された大規模な住宅省エネ支援策である「先進的窓リノベ事業」における補助金制度の活用により、断熱製品を中心とした窓リフォーム市場において大規模な需要が創出されました。なお、本制度は次年度においても規模を拡大して継続されます。
世界経済に関しては、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や不安定な中東情勢、米中関係などの地政学的リスクに加え、インフレーションの抑制に向けた世界的な金融引き締め政策の長期化、不動産市場の低迷及び消費意欲の低下による中国経済の先行きの懸念などの影響を受けて景気の停滞感が続いています。一方で、欧州及び米国地域においては、これまでの金利上昇局面が一服したものの高止まりの状況が続いていますが、直近では利下げ観測もあり、その動向次第では消費マインドに大きな影響を与えることから、引き続き状況を注視していく必要があります。
このような環境のもと、当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」)における当連結会計年度の業績は、国内事業において補助金制度に下支えされ、断熱窓を中心とするリフォーム製品の売上伸長があったものの、引き続き新設住宅着工戸数の減少の影響を大きく受けたことに加え、海外事業では、主に欧州及び米国地域における金利の高止まりやインフレーションの長期化に起因する大幅な需要減退の影響などもあり、売上収益は1兆4,832億24百万円(前年同期比0.9%減)と減収となりました。利益面においても、国内・海外とも引き続き構造改革や販売価格の適正化、収益性改善の施策などの実行に努めたものの、資材・エネルギー及び部品価格の高止まりによるコスト増加に加え、特に海外事業における需要の軟化や市況低迷などによる減収の影響を補いきれず、事業利益は231億62百万円(前年同期比10.0%減)と減益となりました。また、構造改革の実施に伴うその他の費用の増加などから営業利益は163億51百万円(前年同期比34.3%減)、加えて金利上昇による金融費用の増加の影響などもあり、継続事業からの税引前利益は66億64百万円(前年同期比66.3%減)とそれぞれ大幅な減益となりました。
また、収益性の一時的な悪化などに起因する法人所得税費用の増加に加え、2020年9月に売却を完了している当社の連結子会社であったPermasteelisa S.p.A.にかかる非継続事業からの当期損失を計上しました。
これらの結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期損失は139億8百万円(前年同期は159億91百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
セグメント別の概況は次のとおりです。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前です。
[ウォーターテクノロジー事業]
主に水回り製品を手がけるウォーターテクノロジー事業においては、国内事業は新築需要の減退による影響が続いているものの、これまで取り組んできた価格改定効果の発現に加え、リフォーム関連製品の売上が引き続き堅調に推移したことなどもあり、対前年同期比で僅かに増収となりました。一方で、海外事業は円安による為替換算影響があったものの、特に欧州及び米国地域における金利水準の高止まりに加え、インフレーションが継続している影響により、住宅関連の投資意欲がそがれたことから、著しく需要が減退し、対前年同期比で減収となりました。その結果、同事業の売上収益は8,969億24百万円(前年同期比2.0%減)と減収となりました。
また、事業利益は、国内事業・海外事業とも価格改定効果による粗利の確保に加えて販管費の削減に努めたものの、売上の減少による影響や固定費の負担を補いきれず、227億17百万円(前年同期比51.9%減)と大幅な減益となりました。
[ハウジングテクノロジー事業]
主に国内にて住宅建材製品を展開するハウジングテクノロジー事業においては、これまで取り組んできた価格改定効果の発現に加え、国策による大規模な補助金制度の導入を背景に住宅性能・快適性の向上や環境保護を目的としたリフォーム需要が刺激され、断熱窓を中心とするリフォーム製品等の販売が大幅に伸長したものの、ウォーターテクノロジー事業と同様に新築需要の減退による影響を大きく受けたことなどにより、売上収益は5,964億48百万円(前年同期比0.3%減)と僅かながら減収となりました。
一方で、事業利益は引き続き資材・エネルギー価格の高止まりによるコスト増加の影響はあるものの、リフォーム関連製品の売上伸長や価格改定効果による粗利の確保に加え、生産現場のアセットライト化などの生産性向上施策に伴う収益性の改善が着実に進んでいることなどから、358億87百万円(前年同期比85.4%増)と大幅な増益となりました。
(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
2.「国内事業」「海外事業」については、当社グループの連結業績管理にて定義しているマネジメントベースの区分を使用しており、所在国による区分とは一部異なります。具体的には、ウォーターテクノロジー事業及びハウジングテクノロジー事業において、国内で管轄している一部の海外子会社を「国内事業」に含めています。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて330億61百万円増加の1兆8,865億95百万円となりました。流動資産は、為替換算に伴う増加影響に加え、手元資金の増加や期末休日に伴う営業債権及びその他の債権の増加などがあったものの、棚卸資産の政策的な調整に伴う大幅な減少などもあり、前連結会計年度末に比べて137億55百万円減少の7,307億78百万円となりました。一方、非流動資産は、主にのれん及びその他の無形資産において為替換算に伴う増加影響があったことなどから、前連結会計年度末に比べて468億16百万円増加の1兆1,558億17百万円となりました。
また、資本は6,443億38百万円、親会社所有者帰属持分比率は34.1%(前連結会計年度末比0.4ポイント増加)です。

③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額です。
営業活動によるキャッシュ・フローは、479億90百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて329億85百万円の増加となり、この主な要因は、継続事業からの税引前利益の減少があったものの、税金支払額の減少に加え、棚卸資産、営業債務及びその他の債務、営業債権及びその他の債権などの運転資本の変動に伴う影響があったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、政策保有株式の売却や子会社の吸収分割に伴う一時的な収入などがあったものの、主に設備投資に伴う有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったことなどから298億76百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて5億57百万円の減少です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期、長期とも有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことに加え、配当金やリース負債の支払があったことなどから36億73百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて235億12百万円の減少です。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて178億8百万円増加の1,244億85百万円です。

④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
受注実績
ハウジングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っています。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しています。
① 重要な会計上の見積り及び判断、重要性がある会計方針
重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。また、当社グループを取り巻く市場の動向や為替変動等の経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要性がある会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及びセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりです。
[当連結会計年度の業績に対する評価]
当連結会計年度は、国内事業では人件費の上昇や資材価格の高騰、海外事業では欧州及び米国地域の需要減退により収益性が大きく悪化し、前連結会計年度に引き続き厳しい事業環境に対峙した1年でした。
国内事業では、新設住宅着工戸数が減少したものの、高性能の断熱窓リフォーム向けの売上が下支えしました。一方、海外事業では、金利の高止まりとインフレーションの長期化によって、欧州・米国市場で住宅関連商品の需要低迷が続きました。その結果、売上収益は前年同期比128億円減の1兆4,832億円となりました。売上総利益率は31.9%と0.5pt改善しましたが、事業利益は海外での需要低迷が主な要因となり、前年同期比26億円減の232億円となりました。
国内では原材料・資材価格の上昇を価格改定により吸収しつつあるものの、海外において需要軟化局面で固定費が大きな負担となりました。収益性改善に向けた課題としては、変動費と固定費の適切なコントロールという2つの側面において対応が必要になると考えています。
まず、原材料・資材高などの変動費の上昇に対しては、これまでの取り組みを継続し、機動的な価格改定により収益性の回復と向上を図ります。加えて、付加価値の高い差別化商品の展開により、より利益率の高い商材の売上により商品ミックスを改善し、収益性を高めることが必要となります。
固定費の削減については、当連結会計年度は本社費などの販管費削減努力の継続に加え、海外事業における構造改革を推進してきました。欧州及び米国地域における人員配置の最適化、サプライチェーンの再構築、事業ポートフォリオの最適化等を図りました。次期においても引き続き構造改革は継続しますが、主にサプライチェーンの最適化により余剰設備の適正化を進め、主な構造改革は完了させる予定です。
当社グループを取り巻く事業環境の厳しさは続いており、迅速かつ適切な対応が迫られています。上記にて説明した対応策を着実に取り組むことにより、財務の安定性を確保しつつ、当社の持続的な成長とPurpose(存在意義)の実現に努めてまいります。
[資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応]
当社は、中期目標の指標として事業利益率7.5%、ネット有利子負債EBITDA倍率3.5倍以下、親会社所有者帰属持分比率35%以上の実現を掲げております。また、長期の財務指標として事業利益率10%、投下資本利益率(ROIC)10%を達成することを目指しております。

(注)1.ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷{(親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+
親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2}
2.ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +
固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)
また、当連結会計年度末時点でのPBRは0.8倍にとどまっており、ROEの向上に繋がる利益率の改善を推進していきます。そのために事業利益率の改善策として、価格の適正化、アセットライト化に加え、海外事業の収益性改善に取り組みます。加えて当期利益の拡大に向けて、構造改革遂行後の効果発現により収益性を高めていきます。
(注)1.親会社の所有者に帰属する当期利益を指します。
2.親会社の所有者に帰属する持分を指します。
[キャピタルアロケーション・株主還元に対する考え方]
当社は、2024年4月に新たな株主還元方針を発表しました。より実態に即した内容に変更したもので、期間収益並びにキャッシュ・フロー、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、利益配分を決定することを方針としています。具体的には、その時点でのキャッシュ・フローの状況を勘案し、財務体質の強化に加え、競争力の強化を目的とした設備投資(新商品開発、合理化、IT投資等含む)等の成長投資を優先することを前提に内部留保の使途を決定します。株主還元については、長期にわたり安定した配当を実施することを基本とし、中期的なEBITDAの水準に基づき年間配当金額を決定するとともに、自己株式の取得は機動的に行う方針です。この方針のもと、次期の配当は1株当たり90円を予想しています。

(注)調整後EBITDA:事業利益 + 減価償却費(IFRSにおけるリース会計適用による現金の流出を伴う減価償却費の計上額の補正)
[財務の安定性確保]
現時点では、イノベーションによる将来成長の基盤を築くフェーズにあることから、大型のM&Aや設備投資は検討していません。また、当面、大型の借入れや増資計画はありませんが、資本的支出の規模は概ね650億円を目安として、長期的かつ持続的な成長につながるITや人材、デザイン・ブランドなどの無形資産も含む成長投資により営業キャッシュ・フローの増加を図るとともに、保有資産の最適化を通じて成長投資に必要な資金の創出を図ります。
当社では、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下に、また親会社所有者帰属持分比率を35%以上に改善することを中期目標の指標として、アセットライト化の推進に基づく資本効率の向上と有利子負債の削減に取り組んでいきます。
[次期の見通しと通期業績予想値]
次期の見通しについては、国内・海外とも経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、一方で国際紛争や米国大統領選挙などの地政学的リスクに起因する世界的な情勢不安に加え、不動産市場の低迷やインフレーション及び金利の動向次第では依然として先行きが不透明な状況が続くと見込まれます。
このような厳しい事業環境のもと、当社グループにおいては経営の基本的方向性を示した「LIXIL Playbook」の優先課題に基づき、これまでも積極的な対策を講じてきました。特に喫緊の課題である海外事業の収益性の回復に向けて継続して構造改革に取り組むとともに、欧州及び米国地域を中心とした人員配置の最適化、不採算事業の整理などの事業ポートフォリオのさらなる見直し、サプライチェーンの再構築などを推進していきます。こうした取組みの成果は、次期以降の収益性の改善に必ず貢献するものと考えています。
また、当社グループは、業績の向上と持続的成長に向けて、差別化商品の拡大と、社会や環境へのインパクト創出を同時に実現することを目指しています。これまでも機動的で起業家精神にあふれた組織へと変革する取組みを続けてきましたが、今後も引き続き、デジタル化の加速とインクルーシブな企業文化の醸成を通じてイノベーションを推進し、新たな成長機会の確立につなげていきます。
これまで取り組んできた事業基盤の強化による成果は見え始めており、長期的な成長への道筋は変わっていません。ステークホルダーの皆様に提供する価値をさらに高め、ひいては、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という当社グループの存在意義を実現するために前進してまいります。
このような中、次期の通期業績予想値につきましては、上記のような事業環境・経営戦略を考慮し反映させた結果、売上収益は1兆5,700億円(前年同期比5.9%増)、事業利益は350億円(前年同期比51.1%増)、営業利益は250億円(前年同期比52.9%増)、継続事業からの税引前利益は150億円(前年同期比2.3倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益は80億円(前年同期は139億8百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)と、増収増益を見込んでいます。
なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。

(注)1.EPS(基本的1株当たり当期利益)の2025年3月期予想値の算定上の基礎となる期中平均株式数については、2024年3月31日現在の発行済株式数(自己株式数を除く)を使用しています。
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。また、各指標は、以下により算出しています。
ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+
親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)
ROA :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))÷2)
ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +
固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)
ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物
3.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めています。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っています。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大のような想定外の事象により経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しています。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めています。
当連結会計年度においては、パートナーシップ構築宣言に基づくサプライヤーへの支払期日短縮への対応などによる運転資本の増加により、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて410億円増加し5,527億円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,245億円となりました。
次期においては、フリー・キャッシュ・フローの改善を通じて有利子負債の圧縮と財務体質の健全化を図ります。

なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりです。
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。なお、各指標は、以下により算出しています。
ネット有利子負債:有利子負債-現金及び現金同等物
EBITDA :事業利益+減価償却費及び償却費
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としています。また、EBITDAの算出に用いた減価償却費及び償却費には、非継続事業に分類したPermasteelisa S.p.A.及び同社子会社並びに株式会社LIXILビバに係る金額を含めていません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は、次のとおりです。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類へ移行したことにより、厳しい行動制限も緩和され、個人消費の回復に加えてインバウンド需要の高まりがみられるなど社会活動・経済活動の正常化が進み、国内景気は緩やかな回復基調にあります。しかしながら、依然として経済全体において物価の上昇が続いていることに加え、日米金利差の拡大などに起因する急激な円安の進行や世界的な金融引き締めが引き続き国内景気を下押しするリスクとなっています。また、住宅投資に関しては、特に持家及び分譲において住宅ローン金利上昇の懸念や建築資材価格の高止まりの影響等から減少傾向に歯止めがかからず、新設住宅着工戸数は軟調に推移し、先行きは不透明な状況が続いています。一方で、政府主導で創設された大規模な住宅省エネ支援策である「先進的窓リノベ事業」における補助金制度の活用により、断熱製品を中心とした窓リフォーム市場において大規模な需要が創出されました。なお、本制度は次年度においても規模を拡大して継続されます。
世界経済に関しては、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や不安定な中東情勢、米中関係などの地政学的リスクに加え、インフレーションの抑制に向けた世界的な金融引き締め政策の長期化、不動産市場の低迷及び消費意欲の低下による中国経済の先行きの懸念などの影響を受けて景気の停滞感が続いています。一方で、欧州及び米国地域においては、これまでの金利上昇局面が一服したものの高止まりの状況が続いていますが、直近では利下げ観測もあり、その動向次第では消費マインドに大きな影響を与えることから、引き続き状況を注視していく必要があります。
このような環境のもと、当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」)における当連結会計年度の業績は、国内事業において補助金制度に下支えされ、断熱窓を中心とするリフォーム製品の売上伸長があったものの、引き続き新設住宅着工戸数の減少の影響を大きく受けたことに加え、海外事業では、主に欧州及び米国地域における金利の高止まりやインフレーションの長期化に起因する大幅な需要減退の影響などもあり、売上収益は1兆4,832億24百万円(前年同期比0.9%減)と減収となりました。利益面においても、国内・海外とも引き続き構造改革や販売価格の適正化、収益性改善の施策などの実行に努めたものの、資材・エネルギー及び部品価格の高止まりによるコスト増加に加え、特に海外事業における需要の軟化や市況低迷などによる減収の影響を補いきれず、事業利益は231億62百万円(前年同期比10.0%減)と減益となりました。また、構造改革の実施に伴うその他の費用の増加などから営業利益は163億51百万円(前年同期比34.3%減)、加えて金利上昇による金融費用の増加の影響などもあり、継続事業からの税引前利益は66億64百万円(前年同期比66.3%減)とそれぞれ大幅な減益となりました。
また、収益性の一時的な悪化などに起因する法人所得税費用の増加に加え、2020年9月に売却を完了している当社の連結子会社であったPermasteelisa S.p.A.にかかる非継続事業からの当期損失を計上しました。
これらの結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期損失は139億8百万円(前年同期は159億91百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益)となりました。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
セグメント別の概況は次のとおりです。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前です。
| (単位:百万円) | |||||
| 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 増減額 | 増減率 | ||
| ウォーター テクノロジー 事業 | 売上収益 | 915,285 | 896,924 | △ 18,361 | △ 2.0% |
| 事業利益 | 47,259 | 22,717 | △ 24,542 | △ 51.9% | |
| 利益率 | 5.2% | 2.5% | |||
| ハウジング テクノロジー 事業 | 売上収益 | 598,211 | 596,448 | △ 1,763 | △ 0.3% |
| 事業利益 | 19,360 | 35,887 | 16,527 | 85.4% | |
| 利益率 | 3.2% | 6.0% | |||
| 消去又は全社 | 売上収益 | △ 17,509 | △ 10,148 | 7,361 | |
| 事業利益 | △ 40,874 | △ 35,442 | 5,432 | ||
| 合 計 | 売上収益 | 1,495,987 | 1,483,224 | △ 12,763 | △ 0.9% |
| 事業利益 | 25,745 | 23,162 | △ 2,583 | △ 10.0% | |
| 利益率 | 1.7% | 1.6% | |||
[ウォーターテクノロジー事業]
主に水回り製品を手がけるウォーターテクノロジー事業においては、国内事業は新築需要の減退による影響が続いているものの、これまで取り組んできた価格改定効果の発現に加え、リフォーム関連製品の売上が引き続き堅調に推移したことなどもあり、対前年同期比で僅かに増収となりました。一方で、海外事業は円安による為替換算影響があったものの、特に欧州及び米国地域における金利水準の高止まりに加え、インフレーションが継続している影響により、住宅関連の投資意欲がそがれたことから、著しく需要が減退し、対前年同期比で減収となりました。その結果、同事業の売上収益は8,969億24百万円(前年同期比2.0%減)と減収となりました。
また、事業利益は、国内事業・海外事業とも価格改定効果による粗利の確保に加えて販管費の削減に努めたものの、売上の減少による影響や固定費の負担を補いきれず、227億17百万円(前年同期比51.9%減)と大幅な減益となりました。
[ハウジングテクノロジー事業]
主に国内にて住宅建材製品を展開するハウジングテクノロジー事業においては、これまで取り組んできた価格改定効果の発現に加え、国策による大規模な補助金制度の導入を背景に住宅性能・快適性の向上や環境保護を目的としたリフォーム需要が刺激され、断熱窓を中心とするリフォーム製品等の販売が大幅に伸長したものの、ウォーターテクノロジー事業と同様に新築需要の減退による影響を大きく受けたことなどにより、売上収益は5,964億48百万円(前年同期比0.3%減)と僅かながら減収となりました。
一方で、事業利益は引き続き資材・エネルギー価格の高止まりによるコスト増加の影響はあるものの、リフォーム関連製品の売上伸長や価格改定効果による粗利の確保に加え、生産現場のアセットライト化などの生産性向上施策に伴う収益性の改善が着実に進んでいることなどから、358億87百万円(前年同期比85.4%増)と大幅な増益となりました。
(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。
2.「国内事業」「海外事業」については、当社グループの連結業績管理にて定義しているマネジメントベースの区分を使用しており、所在国による区分とは一部異なります。具体的には、ウォーターテクノロジー事業及びハウジングテクノロジー事業において、国内で管轄している一部の海外子会社を「国内事業」に含めています。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて330億61百万円増加の1兆8,865億95百万円となりました。流動資産は、為替換算に伴う増加影響に加え、手元資金の増加や期末休日に伴う営業債権及びその他の債権の増加などがあったものの、棚卸資産の政策的な調整に伴う大幅な減少などもあり、前連結会計年度末に比べて137億55百万円減少の7,307億78百万円となりました。一方、非流動資産は、主にのれん及びその他の無形資産において為替換算に伴う増加影響があったことなどから、前連結会計年度末に比べて468億16百万円増加の1兆1,558億17百万円となりました。
また、資本は6,443億38百万円、親会社所有者帰属持分比率は34.1%(前連結会計年度末比0.4ポイント増加)です。

③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額です。
営業活動によるキャッシュ・フローは、479億90百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて329億85百万円の増加となり、この主な要因は、継続事業からの税引前利益の減少があったものの、税金支払額の減少に加え、棚卸資産、営業債務及びその他の債務、営業債権及びその他の債権などの運転資本の変動に伴う影響があったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、政策保有株式の売却や子会社の吸収分割に伴う一時的な収入などがあったものの、主に設備投資に伴う有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったことなどから298億76百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて5億57百万円の減少です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期、長期とも有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことに加え、配当金やリース負債の支払があったことなどから36億73百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて235億12百万円の減少です。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて178億8百万円増加の1,244億85百万円です。

④ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| ウォーターテクノロジー事業 | 488,004 | 100.1 |
| ハウジングテクノロジー事業 | 260,672 | 92.7 |
| 合計 | 748,676 | 97.4 |
商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| ウォーターテクノロジー事業 | 104,648 | 95.5 |
| ハウジングテクノロジー事業 | 139,366 | 95.7 |
| 合計 | 244,014 | 95.6 |
受注実績
ハウジングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っています。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前年同期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比 (%) |
| ハウジングテクノロジー事業 | 80,382 | 116.3 | 113,307 | 105.3 |
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
| ウォーターテクノロジー事業 | 896,924 | 98.0 |
| ハウジングテクノロジー事業 | 596,448 | 99.7 |
| 報告セグメント計 | 1,493,372 | 98.7 |
| セグメント間取引 | △10,148 | 58.0 |
| 合計 | 1,483,224 | 99.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しています。
① 重要な会計上の見積り及び判断、重要性がある会計方針
重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものです。また、当社グループを取り巻く市場の動向や為替変動等の経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要性がある会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及びセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりです。
[当連結会計年度の業績に対する評価]
当連結会計年度は、国内事業では人件費の上昇や資材価格の高騰、海外事業では欧州及び米国地域の需要減退により収益性が大きく悪化し、前連結会計年度に引き続き厳しい事業環境に対峙した1年でした。
国内事業では、新設住宅着工戸数が減少したものの、高性能の断熱窓リフォーム向けの売上が下支えしました。一方、海外事業では、金利の高止まりとインフレーションの長期化によって、欧州・米国市場で住宅関連商品の需要低迷が続きました。その結果、売上収益は前年同期比128億円減の1兆4,832億円となりました。売上総利益率は31.9%と0.5pt改善しましたが、事業利益は海外での需要低迷が主な要因となり、前年同期比26億円減の232億円となりました。
国内では原材料・資材価格の上昇を価格改定により吸収しつつあるものの、海外において需要軟化局面で固定費が大きな負担となりました。収益性改善に向けた課題としては、変動費と固定費の適切なコントロールという2つの側面において対応が必要になると考えています。
まず、原材料・資材高などの変動費の上昇に対しては、これまでの取り組みを継続し、機動的な価格改定により収益性の回復と向上を図ります。加えて、付加価値の高い差別化商品の展開により、より利益率の高い商材の売上により商品ミックスを改善し、収益性を高めることが必要となります。
固定費の削減については、当連結会計年度は本社費などの販管費削減努力の継続に加え、海外事業における構造改革を推進してきました。欧州及び米国地域における人員配置の最適化、サプライチェーンの再構築、事業ポートフォリオの最適化等を図りました。次期においても引き続き構造改革は継続しますが、主にサプライチェーンの最適化により余剰設備の適正化を進め、主な構造改革は完了させる予定です。
当社グループを取り巻く事業環境の厳しさは続いており、迅速かつ適切な対応が迫られています。上記にて説明した対応策を着実に取り組むことにより、財務の安定性を確保しつつ、当社の持続的な成長とPurpose(存在意義)の実現に努めてまいります。
[資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応]
当社は、中期目標の指標として事業利益率7.5%、ネット有利子負債EBITDA倍率3.5倍以下、親会社所有者帰属持分比率35%以上の実現を掲げております。また、長期の財務指標として事業利益率10%、投下資本利益率(ROIC)10%を達成することを目指しております。

(注)1.ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷{(親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+
親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2}
2.ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +
固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)
また、当連結会計年度末時点でのPBRは0.8倍にとどまっており、ROEの向上に繋がる利益率の改善を推進していきます。そのために事業利益率の改善策として、価格の適正化、アセットライト化に加え、海外事業の収益性改善に取り組みます。加えて当期利益の拡大に向けて、構造改革遂行後の効果発現により収益性を高めていきます。
(注)1.親会社の所有者に帰属する当期利益を指します。2.親会社の所有者に帰属する持分を指します。
[キャピタルアロケーション・株主還元に対する考え方]
当社は、2024年4月に新たな株主還元方針を発表しました。より実態に即した内容に変更したもので、期間収益並びにキャッシュ・フロー、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、利益配分を決定することを方針としています。具体的には、その時点でのキャッシュ・フローの状況を勘案し、財務体質の強化に加え、競争力の強化を目的とした設備投資(新商品開発、合理化、IT投資等含む)等の成長投資を優先することを前提に内部留保の使途を決定します。株主還元については、長期にわたり安定した配当を実施することを基本とし、中期的なEBITDAの水準に基づき年間配当金額を決定するとともに、自己株式の取得は機動的に行う方針です。この方針のもと、次期の配当は1株当たり90円を予想しています。

(注)調整後EBITDA:事業利益 + 減価償却費(IFRSにおけるリース会計適用による現金の流出を伴う減価償却費の計上額の補正)
[財務の安定性確保]
現時点では、イノベーションによる将来成長の基盤を築くフェーズにあることから、大型のM&Aや設備投資は検討していません。また、当面、大型の借入れや増資計画はありませんが、資本的支出の規模は概ね650億円を目安として、長期的かつ持続的な成長につながるITや人材、デザイン・ブランドなどの無形資産も含む成長投資により営業キャッシュ・フローの増加を図るとともに、保有資産の最適化を通じて成長投資に必要な資金の創出を図ります。
当社では、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下に、また親会社所有者帰属持分比率を35%以上に改善することを中期目標の指標として、アセットライト化の推進に基づく資本効率の向上と有利子負債の削減に取り組んでいきます。
[次期の見通しと通期業績予想値]
次期の見通しについては、国内・海外とも経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、一方で国際紛争や米国大統領選挙などの地政学的リスクに起因する世界的な情勢不安に加え、不動産市場の低迷やインフレーション及び金利の動向次第では依然として先行きが不透明な状況が続くと見込まれます。
このような厳しい事業環境のもと、当社グループにおいては経営の基本的方向性を示した「LIXIL Playbook」の優先課題に基づき、これまでも積極的な対策を講じてきました。特に喫緊の課題である海外事業の収益性の回復に向けて継続して構造改革に取り組むとともに、欧州及び米国地域を中心とした人員配置の最適化、不採算事業の整理などの事業ポートフォリオのさらなる見直し、サプライチェーンの再構築などを推進していきます。こうした取組みの成果は、次期以降の収益性の改善に必ず貢献するものと考えています。
また、当社グループは、業績の向上と持続的成長に向けて、差別化商品の拡大と、社会や環境へのインパクト創出を同時に実現することを目指しています。これまでも機動的で起業家精神にあふれた組織へと変革する取組みを続けてきましたが、今後も引き続き、デジタル化の加速とインクルーシブな企業文化の醸成を通じてイノベーションを推進し、新たな成長機会の確立につなげていきます。
これまで取り組んできた事業基盤の強化による成果は見え始めており、長期的な成長への道筋は変わっていません。ステークホルダーの皆様に提供する価値をさらに高め、ひいては、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という当社グループの存在意義を実現するために前進してまいります。
このような中、次期の通期業績予想値につきましては、上記のような事業環境・経営戦略を考慮し反映させた結果、売上収益は1兆5,700億円(前年同期比5.9%増)、事業利益は350億円(前年同期比51.1%増)、営業利益は250億円(前年同期比52.9%増)、継続事業からの税引前利益は150億円(前年同期比2.3倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益は80億円(前年同期は139億8百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)と、増収増益を見込んでいます。
なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。

(注)1.EPS(基本的1株当たり当期利益)の2025年3月期予想値の算定上の基礎となる期中平均株式数については、2024年3月31日現在の発行済株式数(自己株式数を除く)を使用しています。
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。また、各指標は、以下により算出しています。
ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+
親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)
ROA :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))÷2)
ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +
固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)
ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物
3.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。
当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めています。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っています。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大のような想定外の事象により経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しています。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めています。
当連結会計年度においては、パートナーシップ構築宣言に基づくサプライヤーへの支払期日短縮への対応などによる運転資本の増加により、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて410億円増加し5,527億円となりました。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,245億円となりました。
次期においては、フリー・キャッシュ・フローの改善を通じて有利子負債の圧縮と財務体質の健全化を図ります。

なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりです。
| 2020年 3月期 | 2021年 3月期 | 2022年 3月期 | 2023年 3月期 | 2024年 3月期 | |
| 売上収益事業利益率(%) | 3.5 | 4.2 | 4.5 | 1.7 | 1.6 |
| 親会社所有者帰属持分比率(%) | 24.0 | 31.7 | 34.3 | 33.7 | 34.1 |
| ネット有利子負債/EBITDA(倍) | 5.5 | 3.5 | 2.9 | 4.8 | 5.3 |
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。なお、各指標は、以下により算出しています。
ネット有利子負債:有利子負債-現金及び現金同等物
EBITDA :事業利益+減価償却費及び償却費
2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としています。また、EBITDAの算出に用いた減価償却費及び償却費には、非継続事業に分類したPermasteelisa S.p.A.及び同社子会社並びに株式会社LIXILビバに係る金額を含めていません。