有価証券報告書-第170期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/29 12:16
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コーポレート・ガバナンスの状況

(1)【コーポレート・ガバナンスの状況】
当社は、平成29年6月29日開催の定時株主総会の承認をもって、従来の監査役会設置会社から、監査等委員会設置会社に移行しました。
①企業統治の体制の概要及びこの体制を採用する理由等
当社の事業運営は、主要な事業を3つのカンパニー(エネルギー・情報通信カンパニー、エレクトロニクスカンパニー、自動車電装カンパニー)として組織し、それぞれのカンパニーにこれを統括する業務執行取締役を配置しています。各カンパニーが所管する事業は、取扱製品が幅広く、顧客や競争環境もそれぞれ大きく異なるため、各カンパニーを統括する業務執行取締役が迅速果断な意思決定を行える機動的な体制の構築が必要だと考えております。他方、年度及び中期の経営計画や規模の大きいM&Aなど全社の成長に係る重要な事項は、取締役会の決議事項とし、社外取締役の多様な知見や客観的な意見を反映し、十分な審議をもって決定する体制が必要と考えております。
上記の機動性及び多様な知見や客観的な意見を反映できる意思決定体制の必要性から、当社の経営体制としては、監査等委員会設置会社が最も適していると判断しています。
具体的には、(1)監査等委員でない取締役9名及び監査等委員である取締役5名(うち社外取締役は4名)からなる取締役会は、その決定事項を経営計画等の重要な事項に絞り込み、審議事項を減らし迅速な決定を可能にするとともに、当該重要事項について、4名の社外取締役(社外取締役の属性は、企業経営経験者(金融、製造業)、弁護士、公認会計士)の幅広い知見を活用し、客観的で多様な意見を反映できる体制としています。(2)一方、個別の事業に係る決定は各事業責任者である業務執行取締役に委任し、当該業務執行取締役による機動的な運営を可能としています。
なお、取締役の指名及び報酬の決定に係る客観性及び透明性確保のため、取締役会の諮問機関として、指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置しています。
②内部統制システム
内部統制システムとしては、内部監査部門、全社共通管理部門、各社内カンパニー管理組織などにより、日常的な業務執行局面における適法性・妥当性を常に管理することとしています。重要な経営情報の保存・管理については、文書及び電子情報の管理規程を定めてこれを行い、また、リスク管理委員会を設けて全社共通のリスクについての検討やコンプライアンス体制の整備並びに内部通報制度の運用なども行っています。
子会社の業務の適正を確保するための体制としては、個々のグループ会社は、それぞれカンパニー又はコーポレート部門(カンパニー等)が所管する会社として位置づけられており、カンパニー等の長の執行責任の範囲として管理されます。具体的には、各カンパニー等は、(1)所管するグループ会社において生じた経営成績、人事・組織、設備投資、製品品質その他の重要な事項についての報告体制を整備、(2)リスク管理について、一定の報告義務及びカンパニー等による支援・指導体制の整備、(3)企業集団としての経営計画の策定及び予実管理並びに人事交流の実行、(4)グループ会社におけるコンプライアンス責任者の設置義務付け及び公益通報制度の整備等を行っています。
③内部監査の状況
内部監査専任組織としては監査部を設けており、各部門及びグループ会社に対し、監査を行っています。平成29年度ではそれぞれ10部署及び14社の監査を実施しました。
監査部は監査等委員会と原則月1回以上、内部監査計画及び監査の実施状況等の報告を行うこととしており、更に、必要に応じて監査等委員会の指揮命令下で監査業務を行っております。
④監査等委員会の活動状況
監査等委員は5名であり、うち4名が社外取締役です。監査等委員会の活動の実効性確保のため、監査等委員は互選により常勤の監査等委員を置くこととしています。なお、常勤監査等委員である小田康之氏は、当社の経理部門において長年の経験を有し、監査等委員である下志万正明氏は、長年にわたって大手都市銀行で枢要な地位にあった経験を有し、監査等委員である阿部謙一郎氏は、公認会計士の資格を有し、いずれも財務及び会計について相当程度の知見を有しています。また、監査等委員である関内壯一郎氏は弁護士の資格を有し、長年にわたって企業法務に携わってきており、企業法務について相当程度の知見を有しています。
監査は、内部統制システムの整備、運用状況等の監視及び検証を通じて取締役の職務執行が法令・定款に適合し、会社業務が適正に遂行されていることを確認するとともに、各カンパニー及びグループ会社の往査、重要書類の閲覧、重要会議への出席等を通じて適法性及び妥当性の観点から実施することとしています。
監査等委員会は、年初に立案する監査基本方針及び監査計画に基づき、原則毎月開催され報告と討議等を行うこととしています。また、当社では、常勤監査等委員が各種の事業遂行に関する経営判断を討議する重要な会議体へ出席し、意見を述べることができる体制を保証しており、かつ、執行責任者との定期的な意見交換の場を設けて監査等委員がその要求を表明する機会も保証しています。
監査等委員会は年初に会計監査に係る監査計画を会計監査人から聴取、確認し、それに基づき期中の監査、期末の監査の結果について会計監査人から報告を受けることとしています。また、監査等委員会は会計監査人と会計監査の内容・体制等について、年間数回のディスカッションを行い、意見交換を適宜行うこととしています。
監査等委員会を支援する監査等委員会室を設けて専任者を配置しています。なお、監査等委員会室は業務執行側からの独立性を有し、監査等委員会から直接の指示・命令の下、監査等委員会の支援を行います。
監査等委員会は、監査の実効性確保のため会計監査人及び内部監査部門である監査部との連携確保の場として三様監査協議会を設けています。同協議会は、これまで適宜意見交換を行っていたものを、四半期ごとに開催する正式な会合として設置したものです。内部統制システムの運用状況やそれぞれの監査状況についての情報共有や、不正リスクの低減に関する意見交換などを行っています。
⑤責任限定契約
当社は、会社法第427条第1項の規定により、社外取締役全員との間で、会社法第423条第1項の賠償責任に関し、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない時は、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額を限度とする旨の契約を締結しています。
⑥社外取締役
当社の社外取締役は、関内壯一郎氏、下志万正明氏、阿部謙一郎氏及び白井芳夫氏の4名であり、その全員が監査等委員である取締役です。4名の属性は、それぞれ弁護士、企業経営経験者(金融)、公認会計士、企業経営経験者(製造業)であり、取締役会において、それぞれの幅広い知見を活用し、客観的で多様な意見を活用できる属性となっております。
社外取締役各氏は、適法性・妥当性の面から、各部門及びグループ会社の往査、重要書類の閲覧、取締役会への出席を通じ取締役の業務執行を監査することとしており、常勤監査等委員との連携は、毎月開催の監査等委員会で報告と討議を実施することとしています。取締役会及び監査等委員会に関する資料についても事前に配付することとしています。
関内壯一郎氏は、高い専門性を有する弁護士として長年にわたり企業法務に携わってきており、企業経営に関する十分な知見を有しています。また、同氏は東京有楽町法律事務所に所属する弁護士ですが、当社は同事務所との取引がないなど、当社の定める独立性基準に抵触せず、独立の立場を必要とする社外取締役として適格であると考えています。なお、同氏は東京証券取引所へ独立役員として届け出ています。
下志万正明氏は、長年にわたって大手都市銀行で枢要な地位にあった経験から、財務及び会計について相当程度の知見を持ち、また、企業経営に十分な経験を有しています。また、同氏は当社の取引銀行である株式会社三井住友銀行の業務執行者でありましたが、平成15年6月に同行を退職しているなど、当社の独立性基準に抵触せず、独立の立場を必要とする社外取締役として適格であると考えています。なお、同氏は東京証券取引所へ独立役員として届け出ています。
阿部謙一郎氏は、公認会計士として高い専門性を有するとともに、長年にわたり多くの企業の会計監査に携わってきており、企業経営に関する十分な知見を有しています。また、同氏は、当社の会計監査人であるあらた監査法人(現 PwCあらた有限責任監査法人)の代表社員でしたが、同監査法人に在籍中当社の監査に関与したことはなく、平成24年6月に同監査法人を退職しているなど、当社の独立性基準に抵触せず、独立の立場を必要とする社外取締役として適格であると考えています。なお、同氏は東京証券取引所へ独立役員として届け出ています。
白井芳夫氏は、トヨタ自動車株式会社専務取締役、日野自動車株式会社取締役社長及び豊田通商株式会社取締役副会長を歴任し、経営者としての豊富な経験と見識を有しています。平成28年からはセイコーエプソン株式会社の社外取締役監査等委員を務めるなど、社外取締役としての経験も有しています。また、同氏が過去に業務執行者であったトヨタ自動車株式会社、日野自動車株式会社及び豊田通商株式会社と当社との取引は販売、購入共に当社又は同社の連結売上高の1%に満たないため、当社の独立性基準に抵触せず、独立の立場を必要とする社外取締役として適格であると考えています。なお、同氏は東京証券取引所へ独立役員として届け出ています。
(社外取締役の独立性に係る基準)
当社が社外取締役の独立性を判断するにあたり、以下の基準を設けています。
現在、次の各項に該当する者又は最近3年以内に次の各項に該当していた者並びにこれらの者の2親等内の親族及び配偶者は、独立性を有さない。
・当社グループの重要な取引先*1又はその業務執行者*2
・当社グループを重要な取引先とする者又はその業務執行者
・当社の総議決権の10%以上を有する株主又はその業務執行者
・当社又は当社の子会社から、当社の社外役員であることによって得られる報酬以外に金銭その他の多額の報酬*3を受け取っている者又はその業務執行者
*1 重要な取引先:当社連結の販売額が連結売上高の1%以上である取引先及び当社による購入額が当該相手方の連結売上高の1%以上となる取引先
*2 業務執行者 :業務執行取締役及びその直下の従業員
*3 多額の報酬 :年額10百万円超
⑦会計監査の状況
会計監査につきましては、PwCあらた有限責任監査法人を会計監査人に選任しており、監査業務の体制は、下記の業務を執行した公認会計士の他、補助者として公認会計士9名、会計士試験合格者等6名、その他10名となっています。
業務を執行した公認会計士の氏名 所属する監査法人名
指定有限責任社員 業務執行社員 岸信一、五代英紀 PwCあらた有限責任監査法人
⑧取締役の定数
当社の監査等委員でない取締役は12名以内とする旨定款に定めています。
当社の監査等委員である取締役は5名以内とする旨定款に定めています。
⑨取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めています。
また、取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする旨定款に定めています。
⑩自己の株式の取得
当社は、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨定款に定めています。これは、機動的な資本政策を遂行できるようにするためです。
⑪中間配当
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めています。
⑫株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めています。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものです。
⑬当社のコーポレート・ガバナンスの模式図
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⑭役員報酬等
イ.役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数
役員区分報酬等の総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円)対象となる
役員の員数(人)
基本報酬短期業績
連動報酬
株式報酬
取締役(監査等委員及び社外取締役を除く。)50035168809
取締役(監査等委員)
(社外取締役を除く。)
1818--1
監査役(社外監査役を除く。)1111--2
社外役員4545--7

ロ.提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額等
連結報酬等の総額が1億円以上である者が存在しないため、記載しておりません。
ハ.使用人兼務役員の使用人分給与のうち重要なもの
重要なものが存在しないため、記載しておりません。
ニ.役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法
当社は取扱製品が多種多様なだけでなく、グローバルに事業を展開しており、取締役の業務も高度で多岐にわたります。このため、取締役の報酬の水準はこれら業務に対応し得る優秀な人材にふさわしいレベルであることを基本とし、複数の調査機関による主に上場会社を対象とした調査結果を参考に、具体的には、以下の3つの区分で取締役の報酬を構成しています。客観的な指標と評価に基づくとともに、業績への連動性を強めた報酬制度を改めて定めたものです。
なお、報酬額の決定は取締役会の諮問機関である報酬諮問委員会(社外取締役過半数にて構成し、委員長は社外取締役とする。)の答申を経ることとしています。
①「基本報酬」
取締役の監視・監督機能に相当する部分として、役位別の固定額とします。
②「短期業績連動報酬」
全社業績又は管掌部門の業績に応じた役位別の基礎額を設定し、一定の指標(営業利益率、株主資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC))に基づき、当該基礎額の0%から200%の範囲で支給することとします。
③「株式報酬」
上記①及び②とは別に、取締役の報酬として当社普通株式を交付するものです。取締役が株価上昇によるメリットを享受するのみならず、株価下落リスクをも負担し、株価の変動によるメリット及びリスクを株主の皆様と共有することで、企業価値の向上に貢献する意識を高めることを目的とするものです。
報酬全体に対して、業績や株価によって変動する報酬(短期業績連動報酬及び株式報酬)は最大で概ね4割強となる見込みです。
業務執行取締役以外の取締役の報酬は、その役割に鑑みて固定額である基本報酬のみとし、短期業績連動報酬及び株式報酬は支給しません。
⑮株式の保有状況
イ.保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
銘柄数127銘柄
貸借対照表計上額の合計額22,817百万円

ロ.保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の保有区分、銘柄、株式数、貸借対照表計上額及び保有目的
(前事業年度)
特定投資株式
銘柄株式数
(千株)
貸借対照表計上額
(百万円)
保有目的
㈱静岡銀行6,1855,603発行会社との業務上の連携を深めるため、長期間安定的に保有している
DOWAホールディングス㈱2,2421,798同上
東海旅客鉄道㈱851,541同上
㈱三井住友フィナンシャルグループ3671,487同上
日本電信電話㈱3061,454同上
㈱七十七銀行2,2301,074同上
東日本旅客鉄道㈱100969同上
㈱中電工403952同上
㈱ダイヘン1,200868同上
㈱群馬銀行1,473855同上
三菱電機㈱525838同上
JSR㈱361677同上
日本電設工業㈱289580同上
㈱ミライト・ホールディングス472516同上
中部電力㈱327488同上
東芝プラントシステム㈱290471同上
関西電力㈱266364同上
西日本旅客鉄道㈱50362同上
MS&ADインシュアランスグループホールディングス㈱77274同上
㈱千葉銀行382273同上

みなし保有株式
銘柄株式数
(千株)
貸借対照表計上額
(百万円)
保有目的
㈱村田製作所1522,406議決権の行使を指図、処分する権限を有している
三井不動産㈱6291,493同上
九州電力㈱706838同上
東北電力㈱431650同上
三井金属鉱業㈱1,415536同上
因幡電機産業㈱100400同上
㈱東光高岳ホールディングス110223同上
三井住友トラスト・ホールディングス㈱50193同上
㈱デンソー30146同上

(注)貸借対照表計上額の上位銘柄を選定する段階で、特定投資株式とみなし保有株式を合算しておりません。
(当事業年度)
特定投資株式
銘柄株式数
(千株)
貸借対照表計上額
(百万円)
保有目的
㈱静岡銀行3,0923,110発行会社との業務上の連携を深めるため、長期間安定的に保有している
東海旅客鉄道㈱851,711同上
DOWAホールディングス㈱4481,709同上
㈱三井住友フィナンシャルグループ3671,639同上
日本電信電話㈱3061,499同上
㈱中電工4031,161同上
東日本旅客鉄道㈱100986同上
㈱ダイヘン1,200980同上
三菱電機㈱525893同上
JSR㈱361864同上
東芝プラントシステム㈱290664同上
日本電設工業㈱289608同上
㈱七十七銀行223558同上
中部電力㈱327492同上
㈱安川電機100482同上
㈱群馬銀行736444同上
西日本旅客鉄道㈱50371同上
関西電力㈱266364同上
中国電力㈱209268同上
㈱九電工42219同上

みなし保有株式
銘柄株式数
(千株)
貸借対照表計上額
(百万円)
保有目的
㈱村田製作所1522,214議決権の行使を指図、処分する権限を有している
三井不動産㈱6291,623同上
九州電力㈱706895同上
三井金属鉱業㈱141683同上
東北電力㈱431613同上
因幡電機産業㈱100473同上
三井住友トラスト・ホールディングス㈱50215同上
㈱東光高岳ホールディングス110187同上
㈱デンソー30174同上

(注)貸借対照表計上額の上位銘柄を選定する段階で、特定投資株式とみなし保有株式を合算しておりません。
ハ.保有目的が純投資目的である投資株式
該当事項はありません。