有価証券報告書-第64期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 13:32
【資料】
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【項目】
158項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社は「たくましい創造性と優れた技術を磨きあげ、社会を豊かにする価値を提供し、人々との共生を願い、限りなく前進する」ことを企業理念として掲げております。
この企業理念のもと、『①お客様に満足いただける新しい商品とサービスの提供、②地球環境との調和のとれたグローバルな事業展開、③企業環境の変化に迅速に対応して適正な利益を確保できる、強靱で柔軟性のある企業体質と、活力に満ちた明るい企業風土の確立』を経営方針としております。この経営方針を実践することで、グループ各社が一体となった事業活動を展開し、顧客、株主、取引先そして従業員等当社に関わる皆様にとって大きな存在価値を認めていただける企業グループとして、さらなる発展・繁栄を目指していく所存であります。
(2)目標とする経営指標
当社グループでは、収益性と資本効率を重視する観点から、売上高営業利益率、自己資本利益率(ROE)を経営数値目標として掲げて企業経営に取り組んでおります。
現状評価で認識した当社課題を踏まえ2028年3月期までに営業利益50億円、ROE6.5%以上の達成、2031年3月期までに営業利益70億円、ROE9.5%以上の達成を目指します。
(3)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題
当社は、2022年11月に中長期ビジョン『POWER! FOR ALL beyond 2030』を公表し、2050年までの中長期的な事業戦略を示しました。不確実性の高い時代に当社グループが柔軟に対応し成長し続けるため、①カーボンニュートラル・気候変動に向けた取り組み、②環境変化に即した収益体質強化、③マネジメント改革の3項目を最優先課題として取り組んでおります。経営目標として2031年3月期に営業利益70億円・ROE9.5%以上の達成を目指しております。
①カーボンニュートラル・気候変動に向けた取り組み
造船・海運業界ではGHG削減の取り組みとして、海上物流での新たな動力源の開発や航行スピードの調整、船体設計や排出CO₂の回収等の取り組みを進めており、当社においては次世代燃料であるメタノール・アンモニア・水素・バイオ燃料等の次世代燃料対応機関を開発・市場投入することでGHG削減の貢献を目指しております。
現在進行中の次世代燃料対応機関開発は、メタノール、アンモニアはそれぞれ2026年、2028年の商用機関出荷を予定しております。加えて、ハイブリッド(バッテリー、燃料電池等を構成機器とした船内電力最適化)、カーボンキャプチャなどによるGHG削減技術開発についても継続して取り組んでおります。
陸用分野では、我が国の人口減、財政逼迫ひっぱく、公共インフラの老朽化が同時並行で進む中、ゲリラ豪雨等の気候変動から当社の製品を通して人々の安心安全を確保する取り組みを図ってまいります。また、再生エネルギーを活用したGHG削減に資するエネルギーマネジメントソリューションの構築にも取り組んでまいります。
次世代燃料機関に対応した生産体制構築として、姫路工場における追加投資を行い、既存機関の増産とともに次世代燃料機関の組立・試運転の重要拠点とし、2026年稼働を目指します。製品のGHG削減と並行して、事業活動のGHG削減も推進してまいります。
②環境変化に即した収益体質強化
当社を取り巻く経営環境は目まぐるしく変化し続けています。造船業界における中国造船所へのシェアシフトに対応するため、組織構築に取り組む必要があります。新造船受注では、船主の投資判断や環境規制、地域紛争等の様々なファクターにより、受注が活発な船種やその規模が短期的に大きく変化しております。海運業界では船員が減少する中、航行の安心・安全を確保しながら機関1台当たりのお客様生涯価値の向上が求められています。
また、陸用分野では公共インフラ老朽化に対応しながらも、年々変化する気候変動から生命・財産を守るための貢献がますます求められております。
こうした環境変化に即した収益体質強化を図るため、ものづくりの面では調達安定化と内製化を推進し、プロダクトミックスに対応した守山・姫路のフレキシブルな生産体制を強化してまいります。加えて、DX経営を推進し、データに基づくマーケティング強化、製品開発プロセスの革新、業務プロセス革新等を通じ、事業経営のスピードアップと変化対応力強化を図ってまいります。
さらに新たな収益基盤づくりとして、AIやIoTの活用により、データベースに基づく営業基盤の強化や包括メンテナンス契約へのシフトを通して、お客様への価値提供の機会を増やし、サービタイゼーション事業の強化を図ってまいります。
③マネジメント改革
当社は人的資本経営コードを独自に社内で設定し、その方針に沿った経営を推進しております。人的資本への投資を加速することで求める組織能力を構築・開発しつつ、収益性向上に向け注力すべき分野へ人員をシフトさせるとともに、DXによる業務効率化を進め、人的リソースの創出を図ってまいります。
また、自前主義にこだわらず、他社とのシナジー創出を目的としたアライアンス等も検討・推進してまいります。
これら中長期ビジョン達成のために、次世代燃料対応に100億円、技術開発・生産性向上に150億円、生産基盤の強化に80億円、ロジスティクス改革に50億円、デジタル技術に30億円、その他、人的資本等を中心に40億円、合計450億円の成長投資を計画し、成長基盤の確立を実現してまいります。