有価証券報告書-第87期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:27
【資料】
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【項目】
119項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、技術に立脚し社会が求める優れた商品及びサービスを提供することにより、全てのステークホルダーの繁栄並びに経済・社会の発展に貢献すること、及び常に技術の研究開発に努め、グローバル化の時代に即した国際競争力のある企業体質を涵養し、世界の企業として発展することを企業理念としております。
また、東京証券取引所が定めるコーポレートガバナンス・コードへの対応に伴い、更なる持続的な成長と企業価値の向上を目指して全ステークホルダーとの協働を可能とするための行動基準を策定し実践しており、内部統制の強化、内部監査機能の充実により法令遵守の徹底に努めております。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
前中期経営計画(2017年度~2020年度)の振り返り
当社は、中長期的・持続的成長を実現するため、2017年4月より4ヵ年の中期経営計画を3ヵ年に亘り遂行してきました。企業理念である「技術に立脚した製品の提供により社会に貢献し、研究開発に努め競争力ある企業として発展する」に則り①「既存製品業界での地位を確立し海外市場への拡大」②「新規商品開発への取り組み」③「業容を拡大し、“信頼できる機器メーカー” としての知名度と自覚の向上」の3つの基本方針のもと様々な施策を実施してまいりました。FCV(燃料電池自動車)用水素ステーション向け超高圧圧縮機については、市場投入以来、順調に販売台数を伸ばし、業界での地位を確固たるものにしつつあると自負しております。また、新規商品開発への取り組みについても、FGSS(舶用エンジン燃料ガス供給設備)用ポンプや大型の水平対向型圧縮機等の開発など一定の成果を上げることができました。
しかしながら、原材料等の資材調達価格の上昇、圧縮機事業の競争激化さらに労働人口の減少による採用環境の悪化など、外部環境の変化に加え、工場再構築遅延による生産能力増強の遅れなどの内部事情もあり、2020年度計数目標の達成は難しいと判断し、現在の事業環境に合った新たな中期経営計画の立案が必要との結論に至りました。よって、当社は2020年度を初年度とする以下の新中期経営計画へ移行いたします。
新中期経営計画(2020年度~2022年度)の策定
当社は、混迷が深まる現在の経済環境に柔軟に対応し、中長期的・持続的成長を実現する為、2020年度から2022年度までの3ヵ年の中期経営計画(「2020 中期経営計画」)を策定しました。前中期経営計画の実行で得た一定の成果を踏まえ、企業理念である「技術に立脚した製品の提供により社会に貢献し、研究開発に努め競争力ある企業として発展する」に則り、以下に掲げる2022年のありたい姿を実現するために、基本方針とそれらを実現するべく策定した重点施策を着実に実行し、経営目標を達成してまいります。
1.2022年の当社のありたい姿と基本方針
当社が目指す3年後(2022年)のありたい姿は、次の3点です。
① 高圧圧縮をコア技術とした技術開発・高効率化・改善設計を継続的に進め、強化した「加地テックブラン
ド」により事業・サービス領域を拡大している
② 製品ライフサイクルサービスの事業モデルを確立し、営業活動を強力に推進し業績を伸ばしている
③ 社員1人ひとりが向上心を持って行動すると共に、新たな仕組みで技術技能伝承・人材育成に取組んで
いる
このありたい姿を2022年に実現するために、「2020 中期経営計画」における基本方針(戦略の柱)として、次の3項目を掲げ、それぞれ柱ごとに重点施策を定めております。
① プラント市場・産業ガス市場での営業活動強化による受注拡大
② PETボトル成形用圧縮機市場での標準仕様機の販売拡大
③ 水素市場での新技術開発による市場優位性の維持向上
2.重点施策
3つの戦略の柱ごとに、以下の重点施策を策定いたしました。これら施策を着実に実行することで、経営計画実現を目指してまいります。
柱①重点施策 (プラント市場・産業ガス市場での営業活動強化による受注拡大)
➤ お客様の要望にお応えし満足いただける製品とソリューションサービスを提供する
柱②重点施策 (PETボトル成形用圧縮機市場での標準仕様機の販売拡大)
➤ 市場ニーズに合致した商品を提供する
➤ お客様の要望にお応えする販売形態を提供する
柱③重点施策 (水素市場での新技術開発による市場優位性の維持向上)
➤ FCV用水素ステーション向け新型圧縮機を市場投入する
➤ 市場ニーズに基づく水素充填用ラインナップ製品を提供する
➤ メンテナンス計画に基づく適切なアフターサービスを提供する
以上の3つの戦略の柱を推進するために、次の生産体制強化と経営基盤強化へも取組み実行してまいります。
生産体制強化への取組
1.設計の生産性向上
2.部品の内作化と共通化推進
3.工場の生産性向上
4.購入・外注品の調達力強化
5.アフターサービスにおける国内外の協力会社充実
6.不適合の削減
経営基盤強化への取組
1.研究開発推進
2.設備投資推進(工場再構築)
3.業務改善活動
4.賃金・評価制度の改革
5.人材育成強化と教育制度改革
3.計数目標
当社は、企業価値向上を重要な経営課題の一つと考えており、そのため売上高・経常利益・純利益の他、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として位置づけております。上記から、「2020 中期経営計画」の最終年度である2022年度の計数として、次の目標を設定します。
2022年度(参考)
2020年度
経営指標目標目標
売上高65億円57億円
経常利益6.0億円3.3億円
純利益4.0億円2.1億円
ROE6.0%3.3%

なお、「2020 中期経営計画」期間中に、生産能力の増強と生産効率化を図るために工場再構築(総合組立工場の新設)を行いますが、その新工場完成後の操業開始は2022年夏の予定ですので、設備投資の効果としては2023年から始まる次期中期経営計画の経営指標に反映する計画です。
また、上記の経営戦略に対して新型コロナウイルス感染症の拡大が与える影響については、提出日現在において当社の受注、販売活動に重大な影響は出ていないため、軽微であると考えております。一方で、今後の動向によっては経済環境が悪化し、当社業績も悪化する可能性はありますが、本感染症の動向を予測することは困難であることから、提出日現在において入手可能な情報等を踏まえ、上記目標としております。