有価証券報告書-第98期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/18 16:24
【資料】
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【項目】
183項目

有報資料

(1)経営環境
①全般
当社を取り巻く外部環境は、世界の多極化、地政学リスクの高まり、気候変動への対応、人口動態の変化、技術革新等のメガトレンドの影響を受け、引き続き大きく変化しており、経済環境の先行きは依然として不透明な状況にあります。このような環境下において、当社は、技術開発力及び技術を見極める力、課題解決力に優れたエンジニアリング力、全体最適を実現するプロジェクトマネジメント力といったコア・コンピタンスを掛け合わせることで創出される事業機会を捉え、「エネルギーと素材」及び「ライフサイエンス」を主な事業領域として位置付けています。エネルギーや先端素材の安定供給の確保、中長期的な脱炭素トレンド、循環型社会の構築といった事業機会を背景に、エネルギートランジションの進展速度には変化が見られるものの、「エネルギーと素材」の事業領域における当社事業の需要は引き続き堅調に推移していると捉えています。
また、超高齢化社会の進展や、高度医療社会への期待を背景として「ライフサイエンス」の事業領域における需要も引き続き高い水準にあると認識しています。さらに、分野横断的な産業基盤の維持・更新に関しては、当社の知見を活かしたフィジカル・デジタル両面からのO&M-Xソリューションの提供機会が今後も拡大していくものと捉えています。
②エネルギーと素材
当社は、特にLNG・石油・石油化学分野を中心に、EPCコントラクターとして世界およそ60の国と地域で300を超えるプロジェクトの豊富な実績を積み重ねてきました。商業プラントのEPCだけでなく、触媒やプロセスの技術開発、商業化のためのスケールアップや、プラントの操業フェーズにおける技術提供など、幅広い領域での知見を蓄積してきました。これらの強みを活かし、LNG、石油・石油化学分野は勿論のこと、脱炭素・先端素材の分野においても事業を拡充していきます。
当社の強み・実績に裏打ちされたEPCコントラクターとしての知見・顧客基盤
・プラントの開発・スケールアップに必要な技術と知見
・設備保全の高度化支援、解析・診断技術
展開する領域・LNG(含むCleaner LNG)、石油・石油化学
・脱炭素(水素、低炭素燃料、CCUS、エネルギーマネジメント等)
・金属・先端素材(非鉄金属精錬、蓄電池・半導体材料等)
・O&M-Xソリューション

③ライフサイエンス
当社は、石油化学領域で培った知見やスケールアップノウハウを活かして、医薬品プラント領域を中心にライフサイエンス分野のEPCコントラクターとして1960年代より900件以上の実績を積み重ねてきました。これらの強みを活かし、付加価値の高いバイオ分野のソリューションプロバイダーとして、医薬品のEPC領域のみならず、細胞培養・植物バイオ領域の開発受託、産業設備領域での経済安全保障関連施設の社会実装、宇宙低軌道の実験プラットフォーム等において事業を拡充します。
当社の強み・培養領域(抗体・細胞)のプロセス開発・スケールアップ知見
・合成領域の連続生産・固相/液相法の知見
・産業設備全般におけるプロジェクトマネジメントの実績
・国際宇宙ステーションの実証試験装置開発
・設備保全の高度化支援・解析・診断技術
展開する領域・医薬品(低・中分子、高分子、細胞医薬他)
・食品・先端素材・バイオテクノロジー
・製法開発受託(細胞培養、植物バイオ、低軌道プラットフォーム)
・O&M-Xソリューション

(2)中期経営計画「経営計画2025」(2025年~2027年)の概要
①中計策定に込めた想い
当社は2019年3月期の経営危機後、グループ一丸となって再生に向けて取組み、事業基盤の強化を図ってきました。再生計画前に受注した大型LNGプロジェクト含め略全ての損失処理を完了し、安定収益体質への転換に一定の成果を挙げることができたと考えています。一方、2024年3月期決算において、大型プロジェクト中心の受注計画が思い通りに進まなかったり、大型プロジェクトの遂行過程における予測不能な事態が発生したりすることなどによって、会社業績が大きく左右されるボラティリティの高い当社の収益構造を克服すべき課題として改めて強く認識するに至りました。これを踏まえ、収益の安定化と多様化を実現する為の「自己変革」をテーマとする中期経営計画「経営計画2025」を取り纏めました。
②10年後の目指す姿
大型プロジェクトへの集中から脱し、収益の安定化と多様化のための自己変革を成し遂げ、10年後には、純利益300億円、内Non-EPC事業の比率20%という安定・高収益企業になることを目指します。
純利益300億円達成のため、2025年から2027年までの3年間は、平均150億円の純利益を達成し、経営を安定化させ、盤石な会社経営の土台をつくります。同時に事業共創による収益多様化、Non-EPC収益化の種まきを進めていますが、2028年以降からこれらを本格的に伸ばし、10年後には共同事業者の立場から事業投資等を通じた収益獲得などの大きな果実に繋げたいと考えております。
海外EPCについては、本経営計画期間で事業の安定性を高めることを優先課題とし、2028年以降の成長軌道への回帰に道筋を付けます。
国内EPCについては、安定的に一定収益を計上できており、今後も国内の旺盛な需要に最大限応えていきます。
Non-EPCは、成長性の高い市場において安定的な収益の柱を確立することを目指し、EPCとも連動しながら事業開発を継続いたします。
③定量目標
収益の安定化と多様化を実現する定量目標を以下のとおり設定します。
・純利益:150億円(3年平均)
・Non-EPC事業での純利益:10億円(2027年度)
また、目標達成に向けた関連指標を以下のとおり設定します。
・粗利益:10%以上(3年平均)
・受注高:9,500億円(3年累計)
・売上高:3,800億円(3年平均)
・受注残:6,000億円(3年平均)
(3)中期経営計画「経営計画2025」の進捗・今後の対応
重点取組1: 海外既存大型PRJの着実な遂行
大型EPCプロジェクトとして、GPXプロジェクトとNFEプロジェクトを遂行しています。GPXプロジェクトについては、2025年11月13日に顧客であるGPX社とプロジェクト全体の完工迄の遂行に関するEPC契約の詳細条件合意に至り、2026年4月1日に公表のとおり、Train1において、建設及び試運転を完了し、顧客主導にてスタートアップ作業が進められ、1st LNGの生産を達成しました。Tran2及びTrain3の建設・試運転作業を完了させるべく引き続きプロジェクト遂行に尽力しています。
重点取組2: 海外取り組み改革(受注方針)
主要案件として、2025年度中東の石油・石油化学関係の中規模EPC案件をリスク抑制の形で受注を達成し、取り組み改革を進めています。今年度以降も当社リスクの抑制・分散や顧客とのリスク負担の徹底的な見直しを行い、分散の効いたポートフォリオ、プロジェクト選別可能な体質への変革を目指します。
重点取組3: 国内プロジェクト収益拡大
成長するライフサイエンスや脱炭素分野に対する旺盛な需要に応える事業基盤を整備しており、将来的な案件組成を目指し、同分野のFS・FEED業務等を遂行しています。主な案件としては、出光興産㈱向け全固体電池実用化に向けた固体電解質大型パイロット装置建設のEPC業務を受注し、固体電解質の量産化に向けた戦略的パートナーシップを提携しました。引き続きプロジェクトマネージャーやエンジニアのマルチタレント化を進めることや、協力会社の皆様との連携推進、さらにパートナー会社との戦略的提携により強化していき、多様なニーズに対応できる体制を整えていきます。
重点取組4: 事業共創の拡充
国内では、NEDO助成事業に採択された「植物による高度修復タンパク質の大量生産技術の開発」を完了しており、同助成事業にて当社子安オフィス・リサーチパーク内に設置した植物バイオ実証棟を、2025年6月より稼働を開始しました。今後は当社の強みである多様な技術のインテグレーションとスケールアップ技術を活かしながら、様々な企業の実用化開発をサポートすべく「植物バイオファウンドリ事業」を推進します。また、トヨタ自動車㈱と戦略的パートナーシップを構築し、大規模水電解システムの共同開発を行っております。2029年からの量産に向けて、トヨタ自動車㈱本社工場で実証機の導入を進めており、2026年6月より水素製造を開始する予定です。海外では、石灰石を用いた大気直接CO2回収技術を開発するHeirloom社、アンモニア製造技術を持つAmmobia社への出資を実施し、カーボンニュートラルの実現に貢献する技術の社会実装、事業化に向けて多方面から取り組んでいます。
技術開発基盤、豊富なEPC実績、そして多様なステークホルダーとの共創のネットワークに裏付けされる当社の強みを掛け合わせ、顧客・パートナーとの事業共創を拡充していきます。
重点取組5: 分厚い中核人財層の形成
2025年度は、EPC、Non-EPC及び事業共創を担う中核人財の人財像及びコンピテンシーを再整備するとともに、中核人財育成に必要なキーとなる経験を特定し、不足経験を計画的に補完する育成方針を確立しました。
その方針に基づき、スキル・経験の可視化機能を新たに加えたタレントマネジメントシステムを活用して、各々に不足する経験を特定し、その補完に向け、社内の複数領域における異動を更に促進させ、顧客の構想段階から事業化までの伴走支援に資する経験及び社外経験を組み合わせて付与する育成運用を開始しました。
今後は、事業戦略を踏まえ、中核人財の育成・輩出に関するKPIを設定・運用するとともに、人財の配置・育成・モニタリングの循環を支える運営基盤をより強固なものにし、中核人財の計画的な育成・輩出を加速します。

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