有価証券報告書-第85期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 15:05
【資料】
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【項目】
131項目
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(2) 経営成績
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた都市封鎖や移動制限などの措置により、各国の経済活動が停滞しましたが、段階的な経済活動の再開を受け、年度後半にかけて回復の動きがみられました。
当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、製造業の生産活動が国内外の需要の落ち込みにより一旦は大幅に悪化しましたが、その後輸出が増加に転じるなど持ち直しの動きがみられました。設備投資は、企業収益の悪化や景気の先行き不透明感の高まりから、投資計画を先送りする動きが広がりました。海外においては、中国の経済活動の正常化が進み、順調な回復となりました。一方で、それ以外の欧米やアジアの景気は、依然として厳しい状況にありますが、徐々に回復に向けた動きが見られました。
このような中、当社グループは、中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)の3年目である当期において、顧客市場ごとにマーケティング・営業・技術・開発が連携する体制を強化し、CSVビジネス、総合ソリューションなどの新規受注による収益性改善目標を設定し展開を加速させました。また、製品・技術・サービスと契約方法を包含した水平展開可能なソリューションモデルの創出に引き続き注力しました。この成果として、工場における節水に貢献するRO運転最適化サービスなど、6件のモデルを完成させました。既存のビジネスプロセス・ビジネスモデルから脱却し新たな顧客価値を創出していくため、デジタル戦略本部を新設しグループ全体でのデジタルトランスフォーメーションを推進する取り組みに対する横串機能を強化し、AIやIoTの活用を推進しました。その一環として子会社である米国AIベンチャー企業フラクタ社と協働でメタ・アクアプロジェクトを推進し、水処理におけるAI・IoTを活用した製品の開発に取り組みました。その成果として、AIにより電力消費量の削減や運転管理コストの削減を図るAI最適運転ソリューションの開発に成功し、現場に設置したプラントでの検証を終え、特許を出願しました。さらに、国内においては、国内大型プラント向けのエンジニアリング洗浄を中心に事業を展開する当社の子会社である栗田エンジニアリング株式会社を2021年4月1日付で吸収合併しました。同社の持つ強固な技術基盤や顧客基盤に当社の財務資本や人的資本といった経営資源を機動的に投入することで、社会・産業インフラ市場のニーズを的確に捉え、最適なソリューションの提供を目指します。海外においては、米国を中心に精密洗浄事業を展開するペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の株式を追加取得し子会社化したほか、中東における事業成長のスピードを加速するため、アラブ首長国連邦(UAE)の水処理薬品事業会社であるアクア・ケミーDMCCと株式譲渡に関する契約を締結しました。
これらの結果、当期の受注高は262,341百万円(前年同期比1.1%増)、売上高は267,749百万円(前年同期比1.1%増)となりました。利益につきましては、事業利益は29,470百万円(前年同期比10.6%増)、営業利益は31,529百万円(前年同期比14.7%増)、税引前利益は29,150百万円(前年同期比9.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は19,088百万円(前年同期比4.4%増)となりました。なお、持分法適用関連会社であった米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.を連結子会社化し、同社の経営成績を新規に連結しております。
(水処理薬品事業)
MVP-22計画において水処理薬品事業は、ビジネスモデルの変革と海外事業基盤の強化による収益性の向上を目指しております。
国内では、顧客の生産性向上と環境負荷低減を実現する総合ソリューションの展開に注力しました。海外では、各地域において収益性の低い商品・取引からの撤退・縮小と収益性の高い商品・取引への切り替えを進めたほか、各地域におけるグループ会社間の連携強化、各機能の最適化による収益性向上に取り組みました。
製品・サービスにつきましては、当社グループのRO膜薬品に関わる商品・技術を始めとする経営資源を結集したグループ横断プロジェクトの推進により、RO膜薬品のグローバルラインナップが完成し、世界展開を開始しました。また凝集センサーを駆使した排水処理の安定化や、排ガス処理・飛灰処理での廃棄物削減・省力化など、顧客価値を実現するサービス契約型ビジネスの拡大に注力しました。
受注高・売上高につきましては、国内では、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞の影響を受け、電子産業などの一部顧客を除き、顧客の工場稼働率が低下したことにより、ともに減少しました。海外では、新型コロナウイルス感染拡大の影響に加え、一部の外国通貨に対して円高が進んだことに伴う海外子会社の円換算額目減りの影響もあり、受注高・売上高はともに減少しました。利益につきましては、減収の影響があったものの、売上原価率改善や経費削減の取り組みにより、事業利益、営業利益は増益となりました。
この結果、当社グループの水処理薬品事業全体の受注高は103,579百万円(前年同期比9.0%減)、売上高は103,231百万円(前年同期比9.2%減)、事業利益は12,287百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は11,816百万円(前年同期比16.7%増)となりました。
(水処理装置事業)
MVP-22計画において水処理装置事業は、超純水供給事業で培った知見や技術力を、大型のEPC(設計:Engineering、資材調達:Procurement、建設工事:Construction)案件を起点とするメンテナンスと運転管理を包括した契約の提案につなげることで、収益性向上を目指しております。
国内では、水処理薬品と融合した市場別の体制により、顧客の生産性向上と環境負荷低減を実現する総合ソリューションの展開とAI・IoTの活用による水処理設備の運転最適化に取り組みました。海外では、精密洗浄事業の競争力強化に向けて、米国ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.を連結子会社化し、日本で精密洗浄事業を展開する子会社のクリテックサービス株式会社との営業・技術交流を強化しました。また、生産面では、生産性向上に向け社外との幅広い協業を推進し、エンジニアリングチェーン・サプライチェーンにおけるデジタルトランスフォーメーションを推進したほか、水処理装置設計の自動化に取り組み、一部の装置において設計初期段階からの購入機器の原価積算と機器リスト作成の自動化を実現しました。
製品・サービスにつきましては、お客様の工場敷地内に当社の資産である排水回収設備を設置し、遠隔監視による運転管理からメンテナンスまでを行う再生水供給サービスや、純水供給サービス「KWSS®(Kurita Water Supply Service)」などのサービス契約型ビジネスを拡大するとともに、生産面でもプラント生産における業務プロセスの改善や原価積算精度の改善を図りました。
国内の受注高・売上高につきましては、電子産業分野においては、水処理装置の受注高は増加しましたが、売上高は大型案件の売上計上が一巡し、減少しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高は、年度後半にかけて需要が回復し、横ばいとなりました。売上高は前年度に受注した案件の工事が進捗したことに加え、年度後半の需要回復により増加しました。一般産業分野においては、水処理装置の受注高・売上高ともに、大型案件の受注・売上計上により増加しました。
同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高・売上高は、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、顧客設備のメンテナンス時期延期の動きがみられ、ともに減少しました。電力分野向け水処理装置は、受注高は前期の大型案件受注の反動で減少しましたが、売上高は増加しました。土壌浄化の受注高・売上高は、大型案件の受注・売上計上の一巡と浄化計画延期の動きがみられたことにより減少しました。海外では、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の経営成績を新規連結したことにより、受注高・売上高は、ともに増加しました。新規連結の影響を除くと、受注高・売上高はともに減少しましたが、東アジアの電子産業向けの売上高は、韓国および台湾の大型案件の工事進捗により伸長しました。なお、超純水供給事業の国内および海外を合わせた売上高は、前期に開始した契約案件があり増収となりました。
この結果、当社グループの水処理装置事業全体の受注高は158,762百万円(前年同期比8.9%増)、売上高は164,518百万円(前年同期比8.8%増)となりました。利益につきましては、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.を新規連結したことに加え、経費削減の取り組みにより、事業利益は17,129百万円(前年同期比13.7%増)、営業利益は19,634百万円(前年同期比12.9%増)となりました。
生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
水処理薬品事業(百万円)102,22491.7
水処理装置事業(百万円)165,280109.8
合計(百万円)267,504102.1

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
水処理薬品事業103,57991.04,769101.9
水処理装置事業158,762108.956,98591.2
合計262,341101.161,75491.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
水処理薬品事業(百万円)103,23190.8
水処理装置事業(百万円)164,518108.8
合計(百万円)267,749101.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
①資産合計 424,928百万円(前連結会計年度末比37,179百万円増加)
流動資産は176,482百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,635百万円増加しました。これは主に現金及び現金同等物が12,013百万円増加したためであります。
非流動資産は248,445百万円となり、前連結会計年度末に比べ23,543百万円増加しました。有形固定資産の増加(11,245百万円)は、主に当社が2022年4月に開設を予定している新研究開発拠点(東京都昭島市)の建設工事が進捗したことによるものであります。「のれん」の増加(8,563百万円)および持分法で会計処理されている投資の減少(5,891百万円)は、主に第1四半期連結会計期間より持分法適用関連会社であったペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)を連結子会社化したことによるものであります。その他の金融資産の増加(5,098百万円)および繰延税金資産の減少(1,096百万円)は、主に保有する株式の時価上昇により含み益が増加したためであります。
②負債合計 167,090百万円(前連結会計年度末比23,450百万円増加)
流動負債は74,952百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,456百万円減少しました。これは主に営業債務及びその他の債務が10,826百万円、未払法人所得税等が6,137百万円それぞれ増加した一方で、コミットメントラインの返済などにより借入金が34,926百万円減少したためであります。
非流動負債は92,137百万円となり、前連結会計年度末に比べ42,905百万円増加しました。社債及び借入金の増加(29,902百万円)は、主に第3四半期連結会計期間において無担保社債(30,000百万円)を新規発行したことによるものであります。その他の金融負債の増加(11,141百万円)は、主に当社100%子会社であるクリタ・アメリカ・ホールディングス,Inc.とペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)の非支配株主との間で締結した先渡契約に基づき、将来の株式譲渡見込み価額の現在価値を当初認識したことなどによるものであります。
③資本合計 257,837百万円(前連結会計年度末比13,729百万円増加)
主に前述したペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.株式の先渡契約に係る当初認識などで資本剰余金が10,424百万円減少した一方で、当期利益の計上などにより利益剰余金が12,682百万円、保有する株式の時価上昇に伴いその他の資本の構成要素が8,284百万円、それぞれ増加したためであります。
当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(単位:百万円)
報告セグメント調整額
(注)
連結財務諸表
計上額
水処理薬品事業水処理装置事業
セグメント資産123,476233,530357,00667,921424,928

(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は62,228百万円(前連結会計年度末比12,013百万円増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は40,002百万円(前年同期比2,626百万円増加)となりました。これは主に税引前利益29,150百万円、減価償却費及び償却費20,739百万円などで資金が増加したものの、法人所得税の支払額4,541百万円などで資金が減少したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で使用した資金は10,771百万円(前年同期比32,912百万円減少)となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入で8,401百万円の資金を得た一方で、子会社の取得による支出(取得資産に含まれる現金及び現金同等物控除後)4,599百万円、有形固定資産の取得による支出14,055百万円などで資金を使用したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は18,852百万円(前年同期比40,833百万円減少)となりました。これは主に社債の発行による収入で29,882百万円の資金を得た一方で、短期借入金の純増減額35,001百万円、配当金の支払額8,083百万円、リース負債の返済による支出5,033百万円などで資金を使用したためであります。
当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を想定しております。なお、当連結会計年度末において、当社は取引金融機関1社とコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「MVP-22」に対する達成状況については、以下のとおりであります。
2020年3月期実績2021年3月期実績2023年3月期目標
売上高年平均成長率
(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)
△0.7%△1.1%3%以上
売上高事業利益率10.1%11.0%15%
親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)7.6%7.7%10%以上

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