有価証券報告書-第83期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 14:54
【資料】
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【項目】
174項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指し事業活動を展開しています。また、CSRに関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進しています。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、2018年4月より5ヵ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。MVP-22計画最終年度(2022年度)の業績目標は次のとおりです。
売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)
売上高営業利益率 15%
自己資本当期純利益率(ROE) 10%以上
MVP-22計画では「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、次の重点施策にスピードを上げて取組んでおります。
(重点施策)
①CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開
自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。
②総合ソリューションの拡充
水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。
③水処理装置事業の生産体制の再構築
生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。
④新事業の創出とイノベーション推進
既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。
⑤研究開発の基盤強化と推進
技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。
⑥グループガバナンスの体制整備
グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。
(3) 会社の対処すべき課題
中期経営計画「MVP-22」の初年度である2018年度は、CSVビジネスの展開と総合ソリューションの拡充に注力し、米国のU.S.ウォーター・サービス,Inc.の買収により米国において水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスによる総合ソリューションを拡大展開するための事業基盤を獲得するとともに、米国で半導体向け精密洗浄事業を展開するペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の25%株式取得に関する契約を締結し、半導体市場における精密洗浄のグローバルサプライヤーとして付加価値の高いソリューションを提供するためのサービス事業の基盤を強化しました。さらに、米国で人工知能/機械学習を活用した水道管の劣化予測ソフトウエアサービスを展開するベンチャー企業フラクタ,Inc.の株式の過半数を取得し、人工知能と機械学習の最先端技術、ノウハウを取得し、水と環境の分野でIoT/AIを活用したイノベーションにより新たなビジネスモデルを創出する体制を強化しました。また、コーポレートガバナンスのさらなる強化にも取り組み、社長をはじめとした経営層の後継者育成に関わる仕組みを整備するとともに、政策保有株式の縮減に関する方針を明確化し、保有株式の売却に注力しました。
MVP-22計画の達成に向けた当社グループのさらなる変革には、従来のビジネスモデル、ビジネスプロセスから早期脱却を図り、顧客にとって他に替え難い独創性の高い総合ソリューションの提供に邁進していくことが必要です。そのために、MVP-22計画の2年目となる2019年度は、国内における市場別・地域別営業体制を一層強化し総合ソリューションの展開を加速するとともに、海外においては買収事業のPMIを迅速に完遂し、グループとしての最適かつ一体的な運営体制を軌道に乗せることで、中間年度以降の飛躍的な変革に向けた土台を固めていきます。