有価証券報告書-第82期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 14:25
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、本年度新たに定めた企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指しております。また、昨年度CSRに関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進していくものとしました。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは平成27年度から中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)に取組んで参りました。しかしながら、平成28年度に減収減益となるなど、当初の中期経営計画の達成には至りませんでした。
「CK-17」計画では、「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」基本方針のもと、持続的な成長に向け「グループの総合力発揮」、「海外事業の拡大」および「収益性の改善」を目指し、高い専門性とコミュニケーション能力を有し主体的に行動する人材、顧客へスピーディに課題解決策を提供する仕組み、競争優位性の高い商品・サービスと先進的なマネジメントを体現するビジネスモデルの確立に注力いたしました。
人材につきましては、様々なプログラムを実行し専門性の向上を図ったものの、課題解決に必要な専門性のレベルは一層高まりつつあり、今後も継続的に取り組む必要があります。仕組みにつきましては、IT戦略室の設置や顧客視点での組織改編など、顧客親密性の向上とソリューションの提供に向けた仕組みの変革に着手しましたが、既存のビジネスモデルからの脱却には至っておらず、さらなる取組みの強化と加速を図る必要があります。また、商品・サービス、ビジネスモデルの確立につきましては、水処理薬品事業、水処理装置事業それぞれにおいて競争力の高い商品・サービスを創出したものの、新たなビジネスモデルの創出と顧客視点でのソリューションの展開は道半ばであり、さらなる加速を図る必要があります。
これらを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の期間を従来の3カ年から5カ年へ変更し、本年度より新中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。「MVP-22」計画最終年度(平成34年度)の業績目標は次のとおりです。
売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)
売上高営業利益率 15%
自己資本当期純利益率(ROE) 10%以上
「MVP-22」では、「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」ことを基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、以下の重点施策にスピードを上げて取組んで参ります。
(重点施策)
1)CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開
自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。
2)総合ソリューションの拡充
水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。
3)水処理装置事業の生産体制の再構築
生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。
4)新事業の創出とイノベーション推進
既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。
5)研究開発の基盤強化と推進
技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。
6)グループガバナンスの体制整備
グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。
(3) 会社の対処すべき課題
「CK-17」計画においては、1、2年目の基本方針を「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」、当期の基本方針を「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」として、海外事業の拡大、ビジネスプロセス変革による収益性の改善、ならびに新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出に取り組みました。
海外事業の拡大については、欧州・米国での水処理薬品事業の買収、海外事業会社の再編、ならびにシンガポールの研究開発拠点設立等により事業基盤を拡充し、3年間で海外売上高は倍増しました。収益性の改善については、ビジネスプロセス変革は途上であり、改善成果は十分とは言えませんが、原価管理の徹底および設計の標準化等により水処理装置事業の工事案件の採算性が改善しました。新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出については、ソリューション推進部門を設置し、IT・センシング技術を活用した商品・サービスを展開しましたが、圧倒的な優位性を持つビジネスモデルへの転換には至っておりません。
現状の当社グループの優先課題は、顧客親密性の向上および高収益体質への転換に向けて、ビジネスプロセスおよびビジネスモデルの変革のスピードを加速することと捉えています。