有価証券報告書-第120期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 14:56
【資料】
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【項目】
99項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、企業理念である「社会の信頼に応え、モノづくりを通じて、人々の幸福と豊かな社会づくりに貢献する」を体現するために、当社グループの目指す姿として「JTEKT GROUP VISION」を、当社グループの従業員が共有すべき価値観として「JTEKT WAY」をそれぞれ定義し、これらをベースに日々の企業活動を実践しております。
「JTEKT GROUP VISION」においては、目指す姿として「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」を掲げ、その実現に向けて取り組むべきこととして、お客様の期待を超える「価値づくり」、世界を感動させる「モノづくり」、自らが“考動”する「人づくり」の3本柱を定めております。
「JTEKT WAY」は、過去より受け継ぎ今後も伝えていくべき価値観として「和して厳しく」「技に夢を求めて」、当社グループの“考動”の基礎となる価値観として「お客様視点」「当事者意識」「たゆまぬ改善」の計5つを定めており、全従業員が「JTEKT WAY」の真の意味を理解し、これらの価値観に基づいて考動できるように、グループ全社に対して浸透活動を継続しております。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは売上高、営業利益、営業利益率、棚卸資産回転月数、NET DEレシオ、ROE及びROAを経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。
(3) 長期的な会社の経営戦略
社会を取り巻く環境は、温暖化等に代表される環境問題やエネルギー資源の枯渇、新興国の経済発展・人口増加に伴う水・食料の不足、先進国での高齢化等、様々な課題が顕在化しております。各産業分野で社会の持続的な成長に向けてテクノロジーにより社会的課題の解決が図られている中で、当社グループの売上収益の約8割を占める自動車産業においても、100年に一度の大変革期と言われているとおり、自動運転や電動化などCASEに代表される技術革新が急速に進んでおります。
当社は、電動パワーステアリングのパイオニアであり、1988年の生産開始以来、世界No.1のシェアを維持しておりますが、上記のようなグローバルな環境変化のもとでは、当社の立場も決して安泰ではありません。今後も当社が単なるハードウェアとしてのステアリングメーカーではなく、制御技術を含むステアリングシステムサプライヤーとして世界トップを走り続けていくためには、自動運転をはじめとする先進技術開発に向けた投資を継続することで競争力を維持、強化し、グローバルでの厳しい競争を勝ち抜いてゆくことが必要です。既存製品については徹底的な原価低減活動に取り組み、先進技術開発は外部との連携を含め効率的な投資を進めることで、パワーステアリングシェア世界No.1の確固たる地位を築いてまいります。
当社は、主力であるステアリング事業の他に、駆動部品、軸受(ベアリング)、工作機械等の事業を有しておりますが、それらの事業についても同様に市場競争は年々激しさを増しております。このような厳しい環境下でも当社グループ全体として収益力を向上し、安定的・持続的に成長できる企業となるために、間接部門を中心としてスリムで強靭な企業基盤を構築するとともに、4つの事業がこれまでに培ってきた基盤技術や、グループ各社の固有技術を活用し、社会に役立ち、お客様に喜んでいただけるNo.1 & Only Oneの製品・サービスを生み出し続けてまいります。
(4) 経営環境
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により各国の経済活動が大幅に制限され、世界経済は深刻な状況に直面しております。急激な景気減速に加えて、原油価格の低迷に歯止めがかからない中での主要産油国間の軋轢や、新興国の通貨価値の下落など、新たなリスクも顕在化してきています。
また、中国や米国・欧州の一部などで経済再開に向けて出口を探る動きは見えるものの、世界的な感染拡大を食い止める抜本的な解決手段が見出せていない現状では、経済回復のシナリオを描くことは困難であり、今後の世界経済及び日本経済の先行きは極めて不透明であります。
このような経営環境のなか、当社グループは、より強力なリスクマネジメント体制を整備し、想定されるリスクに備えるとともに、「JTEKT GROUP VISION」で掲げた「No.1 & Only One -より良い未来に向かって-」の実現に向け、引き続き「価値づくり」「モノづくり」「人づくり」の3本柱を中心に、当社グループ一丸となって取り組みを進めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき課題
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、当社グループを含む多くの企業はその存亡をかけた生き残り戦略を遂行していく必要があります。次期の課題としては、無駄な贅肉をそぎ落とし、筋肉質の企業体質に生まれ変わることができるかに企業としての命運がかかっていると言っても過言ではありません。具体的には、サプライチェーン全体での収益最大化を目指すとともに、各事業において全社目線での大胆な選択と集中による構造改革を迅速に推進し、リソーセスを成長分野に重点的に配分します。また、生産現場の無人化・省人化、間接部門の業務効率化などにより生産性の向上を図り、経済環境の回復が見込めない中でも利益を確保できる、スリムで強靭な事業基盤を構築してまいります。さらに、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大終結後の世界、人々のライフスタイルの変化を予測し、当社の持つ独自の技術やノウハウから、真にお客様に喜んでいただける製品・サービスを提供できるよう、高付加価値なNo.1 & Only One商品の開発を加速してまいります。
なお、当社グループは、過去の軸受(ベアリング)等の取引に関する訴訟及び競争当局の調査に対して引き続き適時適切な対応をするとともに、再発防止に向けたコンプライアンス徹底の取り組みを継続してまいります。